ZOZOという大成功したファッションECサイトを立ち上げた前澤氏だったが、2016年の「ツケ払い」(2カ月後の支払い)導入あたりを境に、世間を震撼させるようなユニークな革新的ビジネスはあまり見受けられなくなった。それどころか、打つ手の「当たり」が悪くなってきていた。
まず、ZOZOに参画しているアパレルメーカーの商品だけでは不安になったのか、プライベートブランド(PB)の展開を模索し始めた。17年11月にそれが発表された時、私は「ZOZOに出店しているアパレルメーカーと競合する」と危惧した。
ところが、そんな危惧は杞憂に終わり、18年度のPBの年間売上高はわずか約30億円で、その赤字額は125億円だったという。つまりZOZOに参画しているアパレルメーカーにとって脅威ではなく、むしろ笑いものとなって終わった。
そのPBを軌道に乗せるマーケティングツールとして鳴り物入りで発表、導入されたのがZOZOスーツだった。それを着ると自動的に全身採寸できるという独自のもので、ZOZOではPB、すなわちオーダースーツへの導入ギミックとして無料で配布していた。18年7月の段階で110万着以上を配布したとされている。同社によれば「今後1年間の間に600万から1000万着の配布を実現したい」とのことだった。その時点での年間購買者数が739万人だったことを考えれば、これはとても無謀な数字だった。
ZOZOスーツは結局、無償配布の有効性を問う前に、その使い勝手や機能のために高い評価を得ることなく、消費者から大きな支持を得ることはできなかった。
前澤氏のもうひとつの大きな蹉跌は、
(この項 続く)
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