2012年10月30日火曜日

経営者ブートキャンプ 第6期 盛況にキックオフ

10月27日(土)に第6期の第1講が行われた。経営者JPの新セミナー・ルームで賑々しく開講。残念なことに、寸前に1名がスケジュールの都合でキャンセルとなり、14名で出発。

14名の中の6名が再受講者。中には、何回も出席してくれている参加者もいる。経営者(あるいは幹部)が集まる、経営者の梁山泊としての位置付けは期を重ねる毎に強まってきている。

2012年10月27日土曜日

『ゲーム理論 (図解雑学)』 渡辺 隆裕 書評156

ナツメ社、2004年刊。

イラストや図表を多用して、ゲームセオリーを分かりやすく説明しようとしている。よく分かったことは、
「ゲームセオリーはやはり経営戦略としては役に立たない」
ということだ。

経営を巡る要素をあまりに抽象化しているし、プレイヤーが全員が合理的な判断、行動をとるなどあり得ない設定に基づいている。数学者が例えば「フェルマーの最終定理」とか「ABC予想」にうつつを抜かすのと同様な、単なるロジック・ゲームだ。

現代のゲーム理論の最大権威とされるアリエル・ルービンシュタイン(イスラエル)自身が、今夏
「ゲームセオリーは実用には全く役に立たない」
と、コメントしている。


経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(14)

課題図書はこう読み込む! 当プログラム「無敵の講師陣」の本を読む。

 高野登講師 『リッツ・カールトン一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣』(日本実業出版)
 新将命講師 『経営の教科書』(ランダムハウス講談社)
 井上和幸講師『あたりまえだけどなかなかできない係長・主任のルール』(アスカビジネス)
 出口治明講師『思考軸を作れ』(英治出版)
 山田修 『雇われ社長のプロの仕事術』(ぱる出版)
『超実践的経営戦略メソッド』(日本実業出版社)

8月4日に配布したのは、副テキストとしての『思考軸を作れ』(次回出口講師のご著書)と、正テキストとして私の『超実践的経営戦略メソッド』の2冊。
(この項 続く)

2012年10月26日金曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(13)

課題図書はこう読み込む! 当プログラム「無敵の講師陣」の本を読む

経営者ブートキャンプでは、課題図書として正テキストと副テキスト計2冊を毎回配布するのが慣例である。副テキストの方は、次回の特別講師の著書を事前配布して、読んできて貰う。読書感想文の作成とか、報告などの課題は無い。ただ、読んできて貰う。

しかし、スピーカーの著書を読み込んだ上でその方のお話しを伺う、というのは効果もありかつ贅沢なことだ。実際この方法により、当日のQA討議が非常に活発に出ている。私以外の特別講師の場合、講義を1.5時間、質疑を0.5時間、計2時間のセッションとしている。

ちなみに、第5期での私や特別講師陣の先生方に対応して選んで課した事前図書副テキストは次の通り。いずれの先生方も、複数どころか多数の著書をモノされている方々である。そのような経営者の方と、ブートキャンプでのクラスでのように直接的で真摯なやりとりが出来ることは滅多にあることではない。

(この項 続く)

2012年10月25日木曜日

iPadミニ  終わりの始まり

iPadミニが発表された。タブレットで他社が7インチ画面の分野で先行しているので、そこへのダウンサイズ化参入ということだ。スティーブ・ジョブスが死んだ後、最初の主要な新製品ということでもある。

ジョブス時代の新製品群と比べて、iPadミニは下記のように「チンケ」な性格を有する。
1.他社が確立した分野への後期参入。
2.他社の同様製品と比べて「画面がxx%(一桁)大きい」など、既存機能での差別化を訴えている。iPhoneやiPodの時のような革新性がない。
3.「品質がよい」とのことで高価格を設定。革新性が無いのに、性能の差別化だけで2倍の値付けが受け入れられるのか。

iPadミニが失敗作だとは思っていない。ジョブスの時代のような革新性や圧倒的な差別点を欠いてきている。中期的には、競合の製品と横並びになっていくことだろう。そして、メーカーとしても全体的に、現在のような突出した存在ではなくなっていく。失敗ではないが、「一人勝ちの終わり」の始まりだ。ジョブスの偉大さを締め括るストーリーとなってきた。

「開発生産性のディレンマ」 生稲史彦 国際戦略経営研究学会 戦略経営理論研究会

10月24日(水)に、上記の発表会に出席。生稲史彦氏は筑波大学 システム情報系 准教授。副題に「日本のゲーム産業の競争力」とあり、ゲームソフト業界の開発力の分析。任天堂のファミコン時代から現代のSNSやスマホでのオンライン・ゲームまでの推移を、「開発生産性のディレンマ」として説明。成功したゲームが定番となったり、シリーズ化して来て、大胆な新開発が低調となってきた状況を理論化しようとした。

私は、WKKジャパン社の社長時代、セガTVゲームの最大の委託生産先だったことから、同社がどうして任天堂、ソニーとの三社鼎立競争から振り落とされたのか、と質問。生稲准教授の見解は、日本国内での業界対応で後れを取ったのでは、とのこと。
もう一つした質問は、ゲームソフトには、テクノロジーと「プラットフォーム(ゲーム機やスマホなどのハード環境)」との対応だけでなく、文化としての側面の強さがあるのではないか、ということ。「クール・ジャパン」ということだ。生稲氏の見解は、コンテンツはグローバル化している、ということだった。そうかな?

2012年10月22日月曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(12)

「伝説の外資経営者」新将命(あたらし・まさみ)特別講師

「企業を伸ばすリーダーの条件」と題して、1.5時間お話しいただき、さらに30分間受講生からの活発な質問に答えていただいた。 話の流れとして、


- 勝ち残る企業創りの流れ
- 人ザイの4タイプ
- リーダー人財能力の2本柱
スキル
マインド

最後に、課題図書として『経営の教科書』(ランダムハウス講談社)が配布された。特別講師の著書は、講義の副読本として配布され、特に感想などの提出を求めない。しかし、「話を聞き、その先生の本を読む」という形でとても身に沁みていくものである。

(この項 続く)

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(11)

自社3年戦略の第4ステップをグループ討議
3限目はグループ討議。4人ずつに分かれて展開。  三年経営戦略策定の作業は、「解決策」ステップを討議。

各自30分ずつの持ち時間で、前講で確定した3つの重要な「自社経営課題」のそれぞれに対しての「3つの有効な解決策」カードを示し、その選定理由を説明。 他の参加者の質問及び提言を受ける。

グループ討議は、最終発表会に向けて計3回を組んでいる。第2期まではグループを固定して討議してきたが、第3期からはその都度グループの構成員を変更して、全員が全員の経営事例に当たれるようにしている。また、講師も私自身を含めて、3回の内少なくとも1回は全員の指導を担当できるようなローテーションとした。

経営者ブートキャンプの一大特色である「ミューチュアル・メソッド(互いの経営事例から学ぶ)」を最大限に生かすための方策である。

(この項 続く)

2012年10月20日土曜日

森口尚史氏、IPS細胞騒動、人格障害だったNさん

森口尚史氏
IPS細胞を使って人体手術を行ったと主張している森口氏、、。同氏の報道を見るに付け、Nさんのことを思い出す。

Nさんとは、昔とあるところにあったテニスクラブで会員同士となった。はじめにランチに行ったら
「三菱商事に勤めている。前職は三井物産だった。実は最初は住友商事だったが、野村総研を経て物産に入ったのだ」
と言われて魂消た。
「こんな経歴は当社でも私だけだ」

雨の日、彼がトレンチ・コートで現れ、それを褒めたら
「今、ロンドンから帰ってきた。空港から直行してきたんだ」
野球の話となったら、Nさんは慶応大学の2部を出たということだったが
「野球部時代、法政との親善試合で江川からホームランを打った。公式戦ではないので、記録されなかったのが残念」

森口氏が報道陣から追求、叱責されているのになぜか恍惚としている。Nさんは人格障害だった。「劇場型虚言癖」とでもいうのだろう。

橋下市長 週刊朝日は廃刊した方が

週刊朝日の記事「ハシシタ 奴の本性」も読んだ。橋下市長の、記者会見における朝日新聞記者とのやりとりも読んだ(下記URL)。

橋下市長の喧嘩上手に大いに喝采。弁護士だから法務知識はあるし、TVタレントだからアピールの仕方を知っている。何より、怒りと信念を上手にコントロールして自己露出をした。名指しされた朝日新聞記者は、「別会社だ/編集権も別だ」などと弁解していたが、ここは市長の「100%出資しているだろう、同じグループだろう」という常識論が当然となる。

あの記事はタイトルからして、公人に対するものではない。その内容により、メディアである同誌に対して大変な非難、つまり言論活動に対する反発を生んでしまったことは、言論機関として責任が重い。つまり、言論の自由への危機を自ら招来してしまったと言える。

昔、「ホロコーストが無かった」という妄言記事を出してしまったマルコポーロ誌を文芸春秋社は廃刊とした。朝日新聞本社は、週刊朝日を廃刊することにより、言論機関としての、ことの重大さの自己認識を示すべきだろう。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121018/plt1210181139005-n1.htm

2012年10月19日金曜日

『ビジョナリー・カンパニー ―』 ジム・コリンズ他 書評155 (2)

同書が掲げた6つの重要項目は次の通り。

ジム・コリンズ
  

A)     社運を賭けた大胆な目標をもつ

B)     カルトのような強力な企業文化の構築

C)     実験精神とリスクを厭わない姿勢を養う

D)    人材を育成し、生え抜きの経営陣とする

E)     決して満足しない

F)     意思決定と行動を導く基本理念を持つ
はじめにAからEまでの5つが掲げられ、最後の方でFが総括のようにして追加された。
これらの立論のすべてのプロセスを、『なぜビジネス書は間違うのか』(書評154)の様に、ハロー効果だからとして否定しきってしまうことは難しいだろう。

 
それより問題は、著者達と同じデータを使っても、上記6つ以外の結論を持ってきても差し支え無いということだろう。まことに経営には絶対解など存在しないのだ。
 
(この項 終わり)
  
   

 

2012年10月18日木曜日

『ビジョナリー・カンパニー ―』 ジム・コリンズ他 書評155 (1)

日経BP出版センター、1995年刊。

書評154『なぜビジネス書は間違うのか』(フィル・ローゼンツワイグ、日経BP社)が主として批判したのが本書だったので、再読。

ローゼンツワイグが批判したロジックというのは、次のようなもの。
「成功した会社は、成功したというだけでハロー(後光)効果を発揮する。だからそのような会社に関して集めたデータの大部分は無効で、そこから引き出した結論は妄想だ」

『ビジョナリー・カンパニー』を支えたデータはしかし、主観的なものだけではなく、財務やら組織の変遷やらファクト・ベースのものも多く、ローゼンワイグの主張は強引に過ぎる。それより本書で私が問題だと思うことは、

(この項 続く)

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(10)

2時間目は、課題図書の報告。
 
第1報告は、『プロフェッショナルマネジャー』(ハロルド・ジェニーン)。ただし、いつものことだが私が指定した部分だけ。本書は前講でも1章を精読してもらった。今回は「付録」にある柳井正氏の解説を読む。この、柳井氏の解説というのが30ページもある結構なもの。

この部分を指定したのは、ハロルド・ジェニーンの経営哲学を読んで貰うというよりも、本書を「自分の経営の最大の教科書」とよんではばからない、柳井正氏の経営哲学の根っこに踏み込み始めよう、という趣旨。

第2報告は、『柳井正未来の歩き方』(大塚英樹)の第2章「経営とは矛盾を解決すること」。

それぞれの報告者が20分ほどまとめてきて、他の参加者との討論各15分ほど。次回の課題は、『柳井正未来の歩き方』の第4章「青年柳井正も落ちこぼれだった」と、ユニクロに関する雑誌記事4点。前期は星野リゾート星野社長の経営を勉強したが、今期は柳井正の経営を追ってみる。

(この項 続く)

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(9)

7月7日(土)に、第5期の第3講を迎えた。

打開のために、3月31日に全社朝礼を挙行。「モチベーションのターンオーバー」を図った(そして実現した)私の「コミュニケーション」とは、、、。

「モチベーション」を高めるには、一般的に3つの方法がある。
- トップからのコミュニケーション
- コンペンセ-ション (報酬や労働環境の改善、あるいは期待)
- トレーニング (自己実現、成長機会と社員はとらえる、優秀な上司の存在も同じ)

「意思決定」で重要なことが3つある。
- 早く決めろ!
- 自分で決めろ!
- 「ジグザク意思決定」で行け!


(この項 続く)

2012年10月16日火曜日

『なぜビジネス書は間違うのか』 フィル・ローゼンツワイグ 書評154(2)

フィル・ローゼンツワイグ
著者が主として批判した二書の内、前者『エクセレント・カンパニー』については、私自身が2001年の旧著で批判した。後者、そして本書の主要なターゲットとなった『ビジョナリー・カンパニー』についても、ローゼンワイグは前者と同じ「ハロー効果の働きによる原資料の無効」を主張している。

「ビジョナリー・カンパニー」とされた17社について「その後の業績の検証」をしたところは、私が「エクセレント・カンパニーのその後」で行ったのと同じ手法。異なるのは、「エクセレント・カンパニー」とされた14社(邦訳で残された事例)では、私は「そのうち10社については消え去ったか、他社に吸収されたか、4社を残して見る影もない」としたが、ローゼンツワイグによる「ビジョナリー・カンパニーのその後」は、S&P500(つまり大手企業)の平均と対して変わらない凡庸さ、ということだ。

さてさて、「エクセレント」にしても「ビジョナリー」にしても、選出手続きの学的正確さに疑義が出されたわけだが、それでは2書が提出した「理想の会社像」はすべて無効となるのだろうか。それについては別の機会で書くことにした。

(この項 終わり)

2012年10月15日月曜日

『なぜビジネス書は間違うのか』 フィル・ローゼンツワイグ 書評154(1)

日経BP社、2008年刊。著者はヨーロッパの著名ビジネス・スクールIMD(スイス)の教授。

副題に「ハロー効果という妄想」とあり、原題もThe Halo Effectという。ハロー効果とは「挨拶の効用」ではなくて、「後光(ハロー)」による錯覚」という意味。先に名声が確立してしまうと、後付けで何でも褒められてしまうが、それらは妄想だ、というセオリー。

著者はこのセオリーを使って、先行した戦略セオリーの著名本を批判している。中でも『エクセレント・カンパニー』と『ビジョナリー・カンパニー』が主要なターゲットとされ、多くのページが割かれている。歴代最大のビジネス・ベストセラー2書を選んで攻撃したところに著者の粘着質的性格を読んだ。

(この項 続く)

2012年10月14日日曜日

代々木VILLAGE 「2012年度 グッドデザイン賞 」

代々木ビレッジは、代々木ゼミナールの旧校舎跡地での期間限定の開発プロジェクトである。各界を代表するクリエーターが集まり、エコやオーガニックなどを前提とした「新しい消費のあり方」にこだわり、イメージではなく「実感をもって選ぶ」という主体性を提案している。施設もそのコンセプトと同様、オープンスペースが豊富で、都市の中での新しい場のありかたを目指しており、一貫したコンセプトを持ったデザインへの取り組みが評価された。(同賞 審査員の評)

本プロジェクトを挙行したUDS社の中川敬文社長は、経営者ブートキャンプのOBである。中川さん、おめでとう!

2012年10月13日土曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(8)

「ホスピタリティ経営」高野登特別講師

午後の後半、3時半から高野登特別講師の講義。デパートのノードストロームと並んで、究極の顧客満足を実現した企業事例としてよく引かれるのがリッツ・カールトンホテル。その日本法人と最初の大阪リッツを立ち上げ、長らく日本支社長を務めてこられたのが高野氏。サービス産業の経営者ならずとも聞きたい、垂涎の特別講義が実現した。
高野さんの演題は「深化するホスピタリティ」。

この講義にはやはり特別講師の新将命(あたらしまさみ)氏も出席され、新氏が社長を務められたジョンソン&ジョンソン社のクレドの存在を指摘され、高野さんとコメントを交換されていた。
「ライオンと象の触れあい」(戦い、ではないな)
を参加者の皆さんは嬉しそうに聞いていた。

高野講師のクラスは、意識的に午後の最後に置いた。そして、ブートキャンプのOBの皆さんにもオープンとしたら、10数名も参集してくれた。
高野講師も参加して、その後現クラスとの大懇親会。同窓会的なノリもあって、三次会まで開催されたという。講師陣は一次会で失礼した。

(この項 続く)

2012年10月12日金曜日

『なぜ、あの会社は儲かるのか? 』(山田 英夫・山根節) 書評153

なぜ、あの会社は儲かるのか?日本経済新聞社、2006年刊。

競争戦略の教授(山田氏)と、ビジネス・アカウンティングの教授(山根氏)がタッグを組んで、競争戦略を財務的な側面から解説、分かりやすく理解させようという啓蒙書。

その狙いは悪くないし、解説も平易で分かりやすい。採用した企業事例が執筆当時の話題企業だったので、今では少し古い印象があるが、それも大きな瑕疵ではないだろう。

ビジネスモデル(ジレット・モデル)による競争優位のことや、ポイント制度のメリット・デメリットなど読者は読んで益を得るだろう。PPMやM&Aの話など、後半は大企業向けのセオリーとなっている。それらの戦略を実際に繰り出せる立場の人は多くないだろうが、教養として知っておいて損はない。

競争戦略に興味を持ったビジネスパーソンに適している良い解説書である。

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(7)

ハロルド・ジェニーン『プロフェッショナルマネジャー』を講読

午後の前半は、課題図書の講読。ジェニーンは通信会社だったITTを世界的な一大コングロマリット企業グループに育て上げ、その間14期半もの長い間増収増益を続けた名経営者である。

本書(プレジデント社、2004年刊)は、経営者ブートキャンプ第1期参加生が「推薦図書3冊」に挙げてくれて、
「いつかはブートキャンプで」
でと思っていたら、前期第4期で何と三人の参加者が「推薦図書3冊」に挙げた。「推薦図書3冊」とは、「他の参加者に是非読んで貰いたい、為になる本3冊」、つまり「マイベスト」というわけである。これだけのレベルの受講生が申し合わせもしないのに、この本を掲げた。これは、他の皆さんにも是非読んで貰わなければならない。

いつものやり方であるが、当クラスでは、本の全体を討議しない。本書の場合では、第5章「経営者の条件」と第6章「リーダーシップ」のそれぞれを参加者に前回割り振った。15分ほど報告して貰い、その後15分ずつほど討議。まあ、大学のゼミにおける輪読の形式だ。発表者以外は、前日までに1ページ限定の「課題図書感想」を書いてきて貰っているので、討議に参加して貰えるようにしている。

(この項 続く)

『コア・コンピタンス経営』「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(10)

ゲイリー・ハメル
コア・コンピタンス経営

ゲイリー・ハメルとC.K.プラハラード共著、1995年。二人は別々のビジネス・スクールの教授だった。

「企業が中長期的に戦っていける中核的な能力(コア・コンピタンス)」を涵養せよ」と説き、そのような能力が不足していると自虐的な多くの経営者層に迎えられた。

「10年後の市場の状況を見晴らかし、それに対して今備えよ」と著者達はアジったのだが、私は「そんなことは分かりはしない」と旧著で揶揄した。

そんな予測行動を全社的に徹底して行った優等生企業としてEDS社を著者達は挙げた。「10年後にはすっかり生まれ変わった(素晴らしい)会社になっているだろう」とされた同社は、10年以内に消滅してしまった。

(この項 続く)

2012年10月10日水曜日

みずほ総研で社長の右腕になる!『部長の指導力・行動力』強化セミナー

昨年から恒例になってきた、みずほ総研での標題1日公開セミナー。本日出講。地方からも含め、40名が参加してくれた。

部長向けの公開セミナーは、他にもSMBCコンサルで定例となっていて、来月は11月10日(土)出講。詳細と申し込みは下記URL.
https://www.smbc-consulting.co.jp/company/seminar/teigaku/tokyo/month/201211/seminar_20122234-01.html

2012年10月9日火曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(6)

多彩・充実の特別講師陣

5月12日は、私の講義としては、「繁栄の黄金律と成長戦略」を講じた。「繁栄の黄金律」を構成する4つの経営行動のうち最初のものだ。これ以降も、残りの三つの要素を各講で講じていく。いずれも、単にセオリーを解説するのではなく、私が実践した経営事例を元として解説していく。

今期は、私の他に出講してくれる特別講師は、
高野 登氏 (ザ・リッツ・カールトン元日本支社長)
新 将命 氏 (元ジョンソン&ジョンソン社長)
出口 治明 氏 (ライフネット生命 社長)
井上 和幸 氏 (経営者JP 社長)
のお四方。
「経営者が経営者を教える」というのがブートキャンプの謳い文句であるが、豪華絢爛たる講師陣ではないか。私を含めて5人の講師で合計50冊以上の著書がある。こんな経営者軍団がどこにあるだろう!

(第5期の話、続く)

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(5)

殆ど唯一のポストMBAプログラム
 
上記のことは私たちの誇張ではない。参加者の満足度、評価は格別に高いものが有る。5月12日の第1講が終わった時点で初参加者のお一人が事務局に、第6期の申し込みを希望した(まだ日程が決まっていない)。第3期の時は、参加者全員が―一人を除いて―次の期への継続を希望した。新しい参加者を入れたいので、慌てて「継続参加者の上限枠」をその時から設けた。ちなみに、その時継続を希望しなかった一人は、第1期から第3期までの既継続参加者だった。

今までに多くのMBAホルダーも参加者として迎えてきた。北米の有名ビジネス・スクールを卒業してきて現在はエグゼクティブという方達だ。その中の一人が、ブートキャンプのサイトに次のようなコメントを寄せてくれている。

「組織コミュニケーションを通じてクリエイティブに戦略を立案する山田式は全く趣きが異なり、浸透と実行、そして結果にフォーカスしている大変実践的なものでした。また、実際の成果を出してきた講師の方々には確たる哲学と強い想いがあります。ともに学ぶ受講生には熱い夢があります。 少人数のなか、こうした想いにインスパイアされるブートキャンプは素晴らしい学びの場であり、ポストMBAの場としても相応しいものだと考えております」

(第5期の話、続く)

2012年10月4日木曜日

新経営陣、やり方を変えて結果を出す

3年前に幹部研修を実施した会社の年次業績発表会に招いて貰い、出かけてきた。

その時本部長だった一人が、一昨年に社長承継を果たし、今度の株主総会で、他の二人が専務と常務に昇格した。同族会社ではない。

20年以上続いていた前社長時代から、この三人の新経営者が、会社の雰囲気、やり方を一新した。7月30日期の昨期では、対前年売上げ10%増を達成したという。経常利益も久しぶりの数字をたたき出した。

招かれた取引先の来賓達も「このご時世に」と感心しきりである。そのような業界(食材商社)でもある。
「骨格は、3年前の戦略策定研修のとおりのことを展開してきました」
言われて、コンサルタント冥利だ。

太平洋クラブ 会社更生法適用へ

太平洋クラブに対して、会社更生法に基づく保全管理命令が東京地裁より10月3日出された(ニュース、下記URL)。

民事再生計画案が出されていたが、多数の債権者からの反対にあり、否決された。出資しているファンドに有利な案であると反対運動が、会員などから起こっていた。

同社は、私が就職した最初の会社。学習院大学修士2年目に「中退の意向」として採用して貰った。国際的なゴルフ・トーナメントの奔りだった「太平洋クラブ・マスターズ」の運営事務局の仕事などをさせて貰った。

1年しか在職しなかったが、当時は「入会金1千万円、日本全国に数百のゴルフコースを」などとぶち上げて華々しいものだった。栄枯盛衰。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD030HO_T01C12A0TJ1000/

2012年10月2日火曜日

「本当に使える戦略・使えない戦略」 凱旋講義 10月11日(木)


競争戦略セオリーにだまされるな、社長のための「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義
大好評につき、10/11(木)追加開催決定!(これが本テーマでの最後の開催となります)

—— 9/13(木)参加者の声(一部抜粋)
「アカデミーの戦略論と、実務の経営戦略の違いが分かりました!」      
    (大手IT企業・組織長)
「短時間でこれだけのエッセンスを盛り込んでいただけて、大変ありがたく効率よく学べました」
    (大手人材会社・グループマネジャー)
「私の後に、会社幹部を参加させたいと思っています」  
    (オーナー会社社長)
「経営実務家としての興味深いお話しありがとうございました。率直に言って、大変おもしろかったです。」   
     (ベンチャー企業・創業社長)
「アカデミーの戦略論と、実務の経営戦略の違いが分かりました!」  
    (大手IT企業・組織長)
「短時間でこれだけのエッセンスを盛り込んでいただけて、大変ありがたく効率よく学べました」
    (大手人材会社・グループマネジャー)
「戦略を考える上での入門と成る機会でした。より深く学ぼうと思いました」 
    (外資系企業・代表取締役)
「学者が書いた戦略本で、“そうは言ってもね”と思うことがあったので、共感を持って話を聞けました。」      
    (ITコンサルティング会社・取締役)
「私の後に、会社幹部を参加させたいと思っています」  (オーナー会社・社長)
 

10/11(木) 詳細・お申し込み:http://www.keieisha.jp/seminar120913.html


ソフトバンク、イー・アクセス買収はランチェスター戦略そのもの

孫正義社長にはまた驚かされた。疾風怒濤の経営者という他はない。

iPhone5の発売に当たり、「LTEが弱い」と消費者からツイッターで迫られた孫社長は、発売翌日だったか「解決する」と断固つぶやき返した。精神論や「がんばります」の類かと思っていたら、こんな案件を仕掛けたわけだ。KDDIが先行していた買収話を、時価総額の3倍という札束を積み上げてこの1-2週間で巻き返してしまったという。

この買収も後世、孫社長の胆力と先見性の発露として賞賛されるだろう。というのも、この業界ではもう他に競合会社ーつまり買収できる会社ーは残っていなかったからだ。

携帯電話事業者は、シェアから言うと、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスの4社に集約されていた。
「自分の上位ではなく、下位を叩き、しかしてすぐ上の上位を狙え」
というのがランチェスター戦略が教えるところだ。これ以上ない典型的な戦略適応である。

2012年10月1日月曜日

ポーターの三大戦略「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(9)

ポーターの「2者択一戦略」
マイケル・ポーターが提出した主要なセオリーの内、5F:5Forces(5つの脅威)については、拙著『〈超実践的〉経営戦略メソッド 』(日本実業出版社)で批判した。
http://www.amazon.co.jp/dp/4534048602

もう一つ有名な、「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」について。この2つについては、「そのどちらかに集中せよ」という「集中戦略」が入って、3つでセットとなっている。

ポーターのこのセオリーは、左の図に表して平易に理解することが出来る。図の「ポーターの四角」の中で、左下か右上のどちらか「だけ」に位置取り(ポジショニング)せよ、ということだ。

言うまでもなく、このポジション取りの限定にはその後議論が巻き起こり、今日に至っているわけだ。

(この項 続く) 9月13日に行った公開セミナー。10月11日(木)16:00と19:00に再開催。

『戦略サファリ』ヘンリー・ミンツバーグ 書評152

cursor:hand;float:left;
ダイヤモンド社、1999年刊。

経営戦略に関する欧米アカデミーの学説を概観する書。「セオリーのカタログ」と思えばよい。私も手元に置いて、資料として重宝している。今度、とある原稿を書くために再通読したので、書評として再掲載。

発刊年が1999年ということもあり、20世紀における欧米の戦略アカデミーで主要とされている文献が渉猟され、整理されている。ミンツバーグは本書で10のスクール(学派)を立て、分類・概説・批判をしているわけだ。逆に言えば、本書で触れられていない文献は―あちらではー大したものではない。

日本からの学説が世界発信していないことに気が付く。野中郁次郎、伊丹敬之が例外のように登場しているだけだ。英語文献による積極的な発言がないと世界では通用しない。日本のアカデミーもあちらの学説を紹介するだけにとどまって欲しくないと願う。