2011年12月30日金曜日

「1,000冊読書感想文を書くとどうなるか?」 書評が

上記書評サイトに取り上げられた(12/30)。
また同サイト・オーナー(書評家)から直接メールが来て、
「素晴らしい内容ですね」
と、年の瀬に嬉しい言葉を貰った。

(書評より引用)
会社の売上、利益に貢献せねばなりません。
それには戦略を立てる必要があります。
その戦略を立てるに効果的な方法が、著者オリジナルの方法である「戦略カード」です。
この方法を活用することで、自社にとって
最重要な経営戦略を立てることができ、良い結果が出せるとのこと。
では、その方法とは、どういうものでしょうか?

(続きは、本日のブログタイトルからリンクが)

考具 ―考えるための道具、持っていますか? 加藤 昌治 (著)  書評114

阪急コミュニケーションズ (2003/4/4)

筆者は博報堂で顧客企業のPRの仕事をしている。企画というかプランニングがご専門で日常の業務。
いわば、その道のプロがアイデアを産みだし企画にまとめていくためのツールを開示し、プロセスを解説している。

私もマーケティングが先行だったが、ここまで細分化された領域には踏み込まなかったので興味深く、現役のビジネスパーソンには大いに実用になると思う。私が興味を持ったのは「マンダラート」。

おもしろかったのは、著者が駆使しているツールや、技法が私の「戦略カード」のそれらと共通しているところが少なくなかったことだ。
1.誰もやり方を教えてくれなかった。
2.課題に対して考える。
3.量が質を生む。
4.アイデアを出しているときは、実現度は後回し。
5.メモすることは、頭の中を外に出すこと。
6.一枚一案で書き出す。

使える本です。

2011年12月29日木曜日

「社長のための勉強法」 連載6

志ある経営者の梁山泊、
「経営者ブートキャンプ」

 このように、主要な「社長の勉強法」には限界もある。従業員や管理職には種々の研修プログラムがあるのだが、社長・経営者となると組織の中でもとりわけ特殊な存在であるため、適当で有効な方法論がないのが現状だった。
 そうした現状を踏まえて、私は二年前から「経営者ブートキャンプ」を主宰、指導している。どのようなものか、参考までに特長を記しておこう。

・月次で一回、土曜日全日、六回(半年)で終了。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で実際に自社の経営戦略を立てて、最終回に発表してもらう。経営者が実際に経営戦略を立ててみる指導法を取るプログラムは他にないものである。

(この項 途中)

「できる人」の話し方&コミュニケーション術 箱田忠昭著  書評113

フォレスト出版、2005年刊。

前書評(書評112)で取り上げた新将命(あたらしまさみ)さんと、本書の著者箱田忠昭さんと私の三人で
「200冊クラブだ」と冗談を言ったことがある。私が20冊弱、新さんが40冊強、そして箱田さんが100冊は出していることからだ。

三人は、旧知でそもそも箱田さんは日本コカコーラで新さんの直属の部下だった。新さんが日本フィリップスの代取をやっていたときに、関連会社のフィリップスライティング社の社長として私を誘ってくれた。まあ、その前からのおつきあいだけど。箱田さんとは1983年からのおつきあい。

箱田さんがたくさん出されている著書の中で、まず入門的で好個なのがこの本。箱田さんは今では隠れもないコミュニケーションとプレゼンテーションの大御所セミナー講師(日本一の評価が8年連続)となった。コミュニケーションは組織の全ての階層の人に重要な行為で、資質だ。要領よく重要なことがまとめられているので是非お勧めする。

2011年12月28日水曜日

「働き方の教科書」 新将命 書評112


ダイヤモンド社、最新刊。

著者の新将命(あたらしまさみ)さんが電話をくれた。初刷りxx万部だったが、出版社が新聞広告をかけて、直ちに年内にyy万部増刷を決定した、という。慶賀の至りである。

本書は、若いビジネスパーソンを想定して書かれた、キャリア構築のための本質的な心構え、働くコ根本的な哲学、といったものを示されている。一般社員や若手管理職には絶好の教科書となるのではないか。

新さんは生涯で30冊以上の本を上梓なさっているが、ここ数年「経営者の教科書」「リーダーの教科書」「プロフェッショナル・リーダーの教科書」(私及び経営者ブートキャンプの講師陣の共著)、そして本書と、再ブレークなさった。

次のご本は先月経営者ブートキャンプで特別講義をしてくれた「グローバル・リーダーの教科書」となるものと推察している。

「社長のための勉強法」 連載5

【経営書による独習】

 毎年出版される経営書・ビジネス書に加え、古典、スタンダードといわれるセオリー書がある。それら万巻の書は、主張や目のつけどころがそれぞれ違い、時には対立する。したがって「体系的な読み方」を自分で構築できるかがポイントとなる。

【経営セミナー】
 経営セミナーでは、講師陣に経営体験があるか否かは重要なポイントである。社長業というのは特殊な、唯一のポジションなので、たとえ大企業の幹部経験者であっても、社長経験者でなければ社長を教えることはできない。

【ケース・スタディ】
 ケース・スタディには得るところがある。他社事例からベスト・プラクティスを当社に援用する、という案配だ。だが自社にとって真に参考・有益となるケースを見つけるのは困難をきわめる。

2011年12月27日火曜日

「経営戦略メソッド」 まぐまぐ「本のソムリエ」で家宝 認定!

拙著が、まぐまぐ「本のソムリエ」12月14日(本日のタイトルからのリンクで「本ソム」12/14レビューへ)で、

星5つ、総合評価96点
★★★★★(絶対お薦めです!家宝となるでしょう)

を頂いた。「本のソムリエ」は5万人以上の受信者がいる大手書評メルマガで毎日1冊だけビジネス書・経営書についての書評を発信している(年間で360冊ほどだけ)。

ちなみに、昨年「本のソムリエ大賞2010」の得点が96点だった。今年、2011年は12月14日現在で拙著の96点が最高点。

「社長のための勉強法」 連載4

経営者としての力量を「経営力」という。経営者なら誰もがこの「経営力」を強化、増進したいと望むことだろう。

 創業社長やオーナー社長なら、「会社はわが子同然」の存在であり、順調な発展へと導くことはオーナー・ファミリーだけでなく全従業員への責任上、当然の務めといえる。そのために必要となる「経営力」を伸ばす勉強法にはどんなものがあるだろう。一般的と思われる方法と、その特長を挙げてみよう。

「経営力」を伸ばす
勉強法はあるか
 
【社会人経営大学院】
 いわゆる国内MBAである。しかし、これは社長には向かない。まず二年間にわたって多大な時間を取られる。実際に足を運べばわかるが、社会人経営大学院は、「将来経営者になりたい」アラサー社員(三〇才前後)の、非管理職からせいぜい課長までが圧倒的で、「もう経営者」を教えるところではない。

2011年12月26日月曜日

「社長のための勉強法」 連載3

社長の伸びしろが
自社の発展の限界に

 実は、長期的な企業の伸びしろ──発展可能性──にも同じような「限界因子」が存在する。
 それは、企業を率いる経営者の力量・器である。現時点での力量・器も重要なことだが、たとえば一〇年後に自社がどれだけ成長しているか、発展しているかは、経営者がその時までにどれだけ成長しているか、力をつけているかによって決まってしまう。

 自社がいま現在の時点で発揮している実力と業績をスタート時点として、これからどれだけ上に、あるいは下に展開していくことになるかを決定づける大きな要素は何か。一つだけ挙げろと言われれば、その会社の経営者の力量ということになろう。企業の発展や減衰に対して経営者の経営力の変化が関与する割合は、少なく見積もっても九〇パーセント以上であることは間違いない。

「伸ばす人の社長力」 新刊 本日脱稿

今年は、共著と単著の2冊を著した。

12月に入り、次の本の執筆に取りかかっていた。テーマは、「社長への応援歌」。
「伸ばす人の社長力」がタイトルで、副題として「社長がやるべき四つのこと」としている。ただし、タイトルはあくまで仮題で変更も。

200頁ほどの読みやすい本となる。発刊は来春の予定。3月か4月。

2011年12月25日日曜日

「社長のための勉強法」 連載2

(以下本文)

 「大きな課題を発見・認識できれば、大きな成果に結びつく。小さなものしか認識できなければ大きな成果を得ることはない」──これは、私が経営戦略を策定指導する際、いつも強調して言っていることだ。
 私の指導法は、参加者自身にそれぞれご自分で経営戦略の組み立てをしてもらうもので、「戦略カードとシナリオ・ライティング」という、私が開発したツールと技法で展開する。

 この技法では、重要なステップとして「課題の発見」というものがある。冒頭で掲げたアドバイスはこのステップで繰り出すことが多い。「課題解決型の経営戦略立案法」なので、設定した課題の大きさがそのまま、めざす業績伸張や経営改善における上限となってしまうわけだ。

「社長のための勉強法」 連載1

月間経営誌「ニュートップL.」は前の名前を「経営者会報」という。本屋では販売せず、経営者に直接郵送・購読して貰うという形態では日経ビジネス誌より古い、伝統ある雑誌だ。日本実業出版社刊。12月号に5頁掲載した記事を、ブログで連載の形で転載する。

会社の成長はトップの成長にかかっている!(サブ)
社長のための自分を“ぐんと伸ばす”勉強法ガイド(メイン)

(リード)
中小企業の成長は、経営者その人の成長にかかっている。多忙を言い訳にせず、自己研鑽に励むためのヒントを、「プロの経営者」として複数の企業の立て直しに成功した経験をもち、自身、日々の鍛錬に怠りない気鋭のコンサルタントが示す。

2011年12月24日土曜日

経営者ブートキャンプ説明会 1/25(水) 2/8(水)

下記のセミナーの中で、経営者ブートキャンプ第5期(4月開講)詳細の説明がある。

山田修氏が主任講師を務める経営勉強会に参加しませんか。
山田氏が長年の歳月をかけて一つ一つ解き明かし完成させた魔法のような戦略パッケージ。
「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法であなたの頭の中に詰まっていたものをどんどん引き出し、目から鱗の解決策・戦略が生み出される!

■2012年1月25日(水)、2月8日(水)開催
『〈超実践的〉経営戦略メソッド』 出版記念公開セミナーのお知らせ
講師:山田 修
6社を再生させたプロ経営者が教える!
社長・幹部のための、儲かる・成功する勉強法&戦略立案法
日時:1月25日(水)、2月8日(水)
各日2回16:00-18:00/19:00-21:00
会場:恵比寿駅5分・経営者JPセミナールーム
参加費:5000円 (出版記念特別価格)
【詳細・お申し込み】 経営者JP
http://www.keieisha.jp/seminar120125.html

(経営者JP メルマガから転載)

2011年12月23日金曜日

「利益を上げる会社の社長が必ずやっていること」 中島孝志 書評111

PHP研究所、新刊。

中島孝志氏は、私の旧著「タフ・ネゴシエーターのヒトを見抜く技術」(講談社ニューハードカバー)をプロデュースしてくれた方。ちなみに拙旧著はアマゾンのビジネス書ランキングで連続5週第1位を達成した。

中島さんの一つの異名が「月刊中島」で、今までに著書200冊以上上梓されているという。書評109で最近紹介した松本幸夫さんとならぶ、大変なビジネス書多作者である。

本書は、タイトル通りの内容を80項目に分けて説明している。1項目が2頁見開きで読みやすく、全体の長さやタイトル付けなど、「さすがに達者」と。読みやすいということは本の発信力として意味があり、有り難いことだ。73「えこひいきで再建する」で紹介されている外資の再建経営者というのが、どうも心当たりがあるのだが、うまく思い出せない。

2011年12月22日木曜日

「後世への最大遺物」 内村鑑三 書評110

岩波文庫。「デンマルク国の話」も収載。

内村鑑三が明治27年(1894年)に講演した筆記録。キリスト教の先達、啓蒙者としての著者が人生に関する理想を述ぶる、清々しい話。いずれは死んでいく我々が現世に何を残していけるのか、カネか事業か、思想か。それらは万人に可能なモノでもないし、実は最大の遺物ともならない。「勇ましい高尚なる生涯である」と熱く説いている。

講話が行われたとき、内村は34才だという。時代を代表する思想家として、恐ろしく内外の教養に富む。特にキリスト教者として欧米の思想に博識で感心。明治27年の講演の筆記で、その年の話し言葉が佳く理解でき、既に現代語とほぼ同じ語りが実践されていたことが分かる。内村の講話者としての組み立て、話術も見事なモノで、講談的なリズムを刻みながら、聴衆を魅了して説得していっている。

ただ、内村への文学に対する造詣については疑問だ。源氏物語を女流だということで貶めているかと思うと、トーマス・グレイというイギリス人の300行ばかりの詩を絶賛している。あちらのモノを不用にありがたがる明治教養人の悪い性癖が感じられる。

それに、文章を書くと言うことについて、「思うように、喋るようにただ自然に書けばよいのだ」などと言っている。ご本人は文才に恵まれていたのかも知れないが、頁をものするために血尿を流すような苦しみをする文学者には戯言としか聞かれないだろう。

いろいろな面で理想論者の、いっそ裁ち切りの佳い話である。

2011年12月21日水曜日

「経営者の器」 連載22(最終回)

◆引退後のライフスタイルを捜す

新社長にバトンタッチしたら、現社長はできるだけ早期に引退すること。毎日出社などすると影響力が残り、新社長が機能し始めない。自分が非常勤取締役あるいは相談役などに引く時期を決めておくべきだ。
承継当初は、新社長に対して心許なく感じるところがあるだろう。しかし、そこで出しゃばってしまうと、新社長が経営者として育たない。じっと我慢して、相談された時だけ助言してやるくらいがよい。

「地位が人を育てる」という言葉もある。任せることで、いずれその器にふさわしくなってくる。少なくとも、承継までの10年間を上手く使って育ててきたのならば。
だからこそ、現社長は今から、引退後に楽しめることを捜しておいた方がよい。

<<書籍のご案内>>
経営戦略の立案技法が示された山田氏の著書『超実践的 経営戦略メソッド』(日本実業出版社)が発売されました。詳しくはHPより。

「経営者の器」 連載21

◆ここで、私が指導している「次世代幹部育成研修」の例を掲げておくので、参考にして欲しい。


<図>次世代幹部育成研修
(部門戦略立案型研修、月次6回の例)

1講目
「戦略の有効性」
「戦略カードとシナリオ・ライティング」による戦略立案法 部門目標と重要課題 カード出し 
課題図書6冊 
2講目
「戦略フレームワークと活用法」
「マーケティング:セオリーと活用」 ▲「目標と課題」個別指導
3講目
「有効な組織再編成の方法」
「チームワーク」 ▲「課題の解決策」個別指導
4講目
「リーダーシップ」
「プレゼンテーションのやり方」 ▲「派生問題と対処」個別指導
5講目
「責任者の意思決定」 ▲「部門戦略パッケージ」個別指導
▲「発表リハーサル」個別指導
6講目
発表大会(役員へ) 懇親会

2011年12月19日月曜日

「経営戦略メソッド」 アマゾンでまた星5つ


アマゾンで4つめの読者レビューがアップ。今まで全て星5つ。

この著者の他の本や講演も聴いたことがあるが、実に具体的で実体験に基づいたもので、引き込まれるものがありました。
いくつもの大学院で学び、いくつもの会社を立て直し、業績をV字回復させた実績はすごい。
理論と実践の両面を備えた良書だと思います。

2011年12月18日日曜日

「1分間を10万円にする時間力」松本幸夫 書評109

青志社、2010年刊。

著者とは縁がある。箱田忠昭さんはインサイトラーニング社を設立し、セミナ-・研修業界の大御所的な講師先生となったが、松本氏は箱田忠昭氏の一番弟子みたいなお立場。私もここ3年ほど、同社から特別講師という肩書きをもらって出講させて貰うことがある。私の場合は、箱田さんと30年来の友人関係(私の方が弟分)。

著者の松本さんは「鬼才」という表現が当たる方で、これまでに150冊以上ものビジネス書を上梓している。恐ろしく多作であるばかりか、全て手書きで神速ともいうべき速書き。1冊書き上げるの1-2週間、最短で2日という、人力を越えた能力を発揮している。しかも、書くに当たって原則として資料を当たることなく、「頭から涌いてくるより速く、書く手が動く」という書き方だという。

そんな著者が著した「時間力」の本。読む前から説得力がある。

「経営者の器」 連載20

◆“若殿”を支える旗本連を

私はかねてより「社長は1人では何もできない」と主張している。

先代が創業社長だったりすると、新社長がそれに匹敵するだけのオーラやカリスマ性を持っていることは少ない。そこで、他の幹部社員や役員達の補佐などにより経営執行を始動していくことになる。
しかし、いずれ新社長自身の子飼いの幹部達の登用、つまり自分の経営チームを組閣機能させる必要が出てくる。そこで初めて、会社の経営が新しい世代に移るのだ。

そんな“同志幹部”をつくるには、後継者が部長クラスあたりの時代に、本人も入って同じ世代の部課長達と選抜研修を重ねるのも一つの方法だ。“同期意識”が涵養され、後継者の取り巻き的な管理職グループが形成される。そしてその中の何人かが、次代の役員として後継経営者を支えてくれる。

2011年12月17日土曜日

「経営者の器」 連載19

10年以上かけて、よい経営承継に備えよう


◆バトンタッチは長期スパンで

子供・親族による経営承継を考えるなら、早期指名による家督相続型が望ましい。その選択が取れるのなら、以下のようなことを行っていこう。

○ 始めは外の会社に預けて“雑巾がけ”をさせて、30代で戻らせる
○ 自社の各部門を幾つか担当させ、数年単位で昇格させる
○ 40歳前後で役員に登用し、責任ある仕事を任せる
○ 途中で目に見える実績をつくらせる。そのために、配置する部署や番頭役員からの目立たない手助けなども配慮しておく
○ どの役職にあっても現社長とよくコミュニケーションを取り、常に“帝王教育”を施しておく
○ 次期社長となることを本人にも自覚させ、能力開発・自己修練にいそしませる

2011年12月13日火曜日

河合忠彦 中央大学ビジネススクール教授も 「ブルー・オーシャン戦略は誤っていた」

拙著「超実践的経営戦略メソッド」(日本実業出版社)などで、ブルー・オーシャン戦略の無効誤謬なことを指摘してきた。

国際経営戦略研究学会・会長の河合忠彦教授は、その御論を拙著に引用させて頂いている。その河合先生が12月10日に公開セミナーを行ったタイトルが、「ブルオーシャン戦略の誤り」という。

参加できなかったので、セミナーの資料を入手して読ませて頂いた。同戦略への批判というか、有効性への疑問は学会でも一段と高まっている。

2011年12月11日日曜日

「いい会社とは何か」小野泉・古野庸一 書評108

講談社現代新書、2010年刊。「いい会社」についていろいろ調べ、論じている。いろいろな要素や仮説を挙げて、それぞれについて言及しているのだが、読んでいてどうも収束しない。

「長寿企業」という観点を挙げたかと思うと、「財務的業績がよい企業」と別の切り口を示す。「働きがい」や「信頼関係」という組織論的な視点も挙げるし、「企業理念」という企業文化的な要素についての重要性も指摘しているかと思えば、「社会貢献」も重要だというわけだ。途中に「長寿企業の4条件」が入ってきて、その4条件が「長寿企業」以外の視点ととしてあげられている諸点と重なったりしている。

取り上げている諸ポイントの連関性や優先順位がよく理解できない。つまり「モデル化」が成されていない。どこのポイントを聞いてもその場その場では「お説ごもっとも」ということになるが、それでは何をどう企めば「いい会社」が現出されるのか、すっきりとした理解あるいは解に到達できない。どれをどうすれば「いい会社になれるのか」判然と見えてこない。

ところで、著者古野氏は組織行動研究所所長で、私自身が「プロ経営者の育ち方、育て方 研究」の対象となり、今年の2月レポートが公刊されている。本日のタイトル・クリックでリンクが張られている。

2011年12月10日土曜日

村上憲郎グーグル元社長 経営者ブートキャンプ特別講師

経営者ブートキャンプ第4期の、本日は第3講。終日勉強して、最後の2時間は村上特別講師。

グーグルを例として、日本の会社・外資の会社の違いを話して貰う。「日本の会社には厳しさが足りない」という厳しいコメントも。村上さんは夜の懇親会にも付き合ってくださった。

午前は、星野リゾートの「コンセプト」と「リーダーシップ」、そして私の「オペレーション戦略とコミュニケーション」。午後の前半は戦略カードによる戦略立案のグループワーク。本日は「解決策」のステップ。例により皆さんとても熱が入った。

2011年12月6日火曜日

次の本は、経営者へのエール

今年は、共著と単著の2冊を著した。

12月に入り、次の本の執筆に取りかかっている。テーマは、「社長への応援歌」。

中堅、中小、創業あるいはオーナー経営者、承継経営者など、「圧倒的な社長の多数派」に対して、経営の勘どころを簡単なモノとして提示できればと思っている。

発刊は来春の予定。

2011年12月4日日曜日

「経営者の器」 連載18

◆後継までの道のりを用意する

後継者が30代で入社したとして、現社長がまだまだ現役なら、後継が発生するまでに15年とか20年もかかる場合もあるだろう。後継候補指名が明らかなら、「ジュニア」とか「若殿」として特別な存在となることは避けられない。そうだとしたら、本人のキャリア・パスについて特別扱いすることは当然だ。外部の経営者の元で学んできた後継者ならば、従業員達にも受け入れられるだろう。
次回では、後継経営者としてどのように育てていけばよいのかについて書く。

2011年12月3日土曜日

「経営者の器」 連載17

若い時に自社で甘やかされて育ち、実力もないまま親族というだけで出世していくと、結局は本人の不幸となる。そんな子供がそのまま経営者の座に滑り込んでしまうと、今度は会社全体の不幸となってしまう。
一方、普通に外部に就職させてしまうのもリスクがある。子供が自分の興味で選び自分の努力で入社した場合、その会社や仕事に愛着が湧き、結果、自社に転職してくれない場合があるからだ。
知り合いで信頼できる外部の経営者に、お願いして預けるのが一番よい。私が社長をしていたとき、代理店のオーナー社長から「長くて20代の間、預かって欲しい」と言われて、ご子息を入社させたことがあった。「この人はいずれお返しする人、そして経営者として大成して欲しい人」と私も思ったので、特別に目を掛けていろいろ教えた。つまり「帝王学」を授けたのだ。このように頼まれた方も、自分の秘書にするなど特別な気遣いをしてくれるものである。

2011年12月2日金曜日

「経営者の器」 連載(16)

◆後継経営者は信頼できる先に預ける


候補となる子供・親族を検討する際には、長幼や男女の別、あるいは血縁の疎近などよりも「経営者としての資質・可能性」を第一に考えるべきだろう。「自分の会社を次の世代で一番幸せにできるのは誰か」ということを判断尺度にすることが重要だ。

後継者は、自社に新卒入社させない方がよい。「社長の子供」とわかっていると、いくら「特別扱いしないで欲しい」と社員達に言っておいても、そうはならない。これまで大会社となった同族企業で、何人もの「○○ジュニア」と呼ばれる若手部長とお会いしてきた。残念ながら、20年ほど経ってその会社の新看板のような経営者に育った例をまだ見ていない。

2011年12月1日木曜日

「経営者の器」 連載(15)

可愛い子供は旅に出せ

◆親族承継なら早めの指名を

第3回でも紹介したが、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が平成23年3月に発表した「事業承継実態調査」によると、同族企業での経営承継は7割が子供、1割が親族だという。それを踏まえ、私は「早期の後継指名による家督相続型の経営承継」を提言している。

従業員の中から後継経営者を選ぶ場合には、複数の候補者を選定し、経営承継の比較的ぎりぎりまで競争させて、それぞれの能力開発や実績作りに励ませるのがよい。しかし、同じ方法を子供や親族同士に適応すると、それぞれの候補者に与(くみ)する幹部や社員のグループが形成されたりして、「お家騒動」になりかねない。そこまでに至らなくても、最後の段階で経営承継を果たせなかった子供・親族にしこりが残る。

早めに指名しておけば次世代経営者として認知され、その体制構築に向かって組織全体が集約していく。もちろん本人の自覚も促される。