2013年11月30日土曜日

三鷹のテニススクールを辞めたわけ(2)

クラスがキャンセルされてから数日して、そのテニススクールから私にメールが来た。その一部をそのまま掲げる。

こんばんは。Fテニススクール三鷹のHです。(略)
私の対応ミスが原因で山田様にご迷惑をおかけしたのですが、F校長への電話対応時にかなり怒鳴られたことで、今後の山田様の水曜受講をご遠慮したいとのことです」
(スクール名やF校長などは元メールでは実名:山田注)

? それは怒りましたよ、でも、、、「体調が悪いのでコーチできない」ということではなく、「まだ家にいるのでもう行けない」というのでは、ねえ?

このスタッフの方は、雇用主であるF校長(経営者)に配慮してか、「自分が悪い」などとしている。それはまちがいだろう。社長が悪い。

しかし、これはクラス受講の拒絶通知なわけで。「他のクラスに」と言われても、新しいスクールなので、平日はなんと3クラスしか開講していないし、他の2クラスは午後で水曜日だけが午前中だった。「移れ」と言われても、私には都合が悪い。

このスクールはチケット制で、私は8回分を買わされ、2回使ったばかりだった。残りが使えない?困った私は市の消費者センターを訪れ、経緯を話して相談した。上記のメールを示したら相談員の顔色が変わった。

(この項 続く)

2013年11月29日金曜日

三鷹のテニススクールを辞めたわけ(1)

堤清二氏が死去

10月に通い始めたテニススクールを退会した。それには経緯がある。

11月初めのクラスに、担当コーチ(何と校長自身!)が現れず、クラスがその場でキャンセルとなったのである。

「今日はクラスがありません、お帰り下さい」
と言われて納得がいかず、私は校長に電話を繫いで貰い、
「待つのでこれからでもいいから来て欲しい」
と要請した。
最初は謝罪の言葉もなく、
「それはもう、無理だ」と言われ
「それでは後でいいから、謝りに来てくれ、今日はこのために予定を調整して来ている(それは事実だ)」
とした。

それも出来ない、と言われてしまった。
私は大いに憤慨したが、翌日そのテニススクールからメールが来て愕然とした。それは、、、

(この項 続く)

新しい本を書くぞ!

ドイツ失業者11月は1万人増

昨日出版社編集の方と打ち合わせ。
来年3月に新刊を出すこととなった。

次作は戦略についての実用書というか、ハウツー本。経営戦略を誰でも立てられる、使える、そんな「技法」に落としてくる書とすることになった。経営戦略は従来セオリーとして語られることしかなかったが、全く新しいアプローチで、「百万人の経営戦略」とすることを目指したい。

来年3月刊行なので、これから1月末脱稿を目指して頑張る。私は今まで20冊ほどの本を著してきたが、
「これまでお書きになった本でベストはどれですか?」
と、聞かれるとこう答えてきた。
「それは、、、次作です」

乞うご期待。

2013年11月27日水曜日

フラッグスタッフのミルクシェークを知っていますか。

東洋ゴムに罰金120億円!

フラッグスタッフ(Flaggstuff)は、アメリカ西部の田舎町。アリゾナ州の州都、フェニックス市からグランドキャニオンへ北に向かう途中にある。東西の道は、ルート66(東海岸と西海岸を結ぶ、昔の重要ルート)が通っているので、開拓時代から開けた街道町。

近くは奇岩の山で知られるセドナがある。セドナは有名観光地。

ここの名物がミルクセーキ。アメリカ人にはとても有名。30年以上前、サンダーバードに留学していたとき、学友と共に訪れ、この名物をもちろん試したーそして愕然とした。アメリカ人の味音痴に、である。甘党の私ががっかりしてしまった。

遠い昔の思い出。本日とあることで思いだした。

2013年11月26日火曜日

『「バカな」と「なるほど」―経営成功のキメ手!』吉原秀樹 書評186(2)

秘密保護法案、与党が強行採決
まあ、この国はどこへ進んで行ってしまうのだろう。

本書は1988年刊ということでー当たり前だがー古くて、だが新しい。

80年代にはポーターの主著書が席巻した時代だったので、本書も繊維産業と電子産業に属している会社を比較し、産業全体の成長率を論じたりする「産業比較論」に陥っているところもある。

しかし一方で経営の本質には不変なところもあるので、含意のある指摘も多い。
「カラ元気のリーダーシップ」
「ヒトは変わらない」
「社長の仕事は危機感の醸成」
など。

こうして見ると、読みやすい経営書というのは30年前から延々と再生産されてきたとつくづく思う。

(この項 終わり)

2013年11月25日月曜日

『「バカな」と「なるほど」―経営成功のキメ手!』吉原秀樹 書評186(1)

初代ローマ法王の遺骨を初公開 だそうだ。
同文館出版、1988年刊。経営者ブートキャンプ第8期に参加した経営者のお一人が推奨図書とした。

吉原秀樹南山大学ビジネススクール教授が、神戸大教授時代に書かれたモノ。

書誌学的なことを記しておくと、入手したのは三省堂書店オンデマンドによるもの。つまり注文が来ると1冊ごとのコンピューター製本をするらしい。1,575円で入手。ちなみに発行時の価格は示されていない。

また、アマゾンでのリアルな中古書は29,800円で出品されている。194ページの小型本である。高いのやら、安いのやら、中身で勝負だ!

(この項 続く)

2013年11月24日日曜日

テラモータース 徳重徹社長 走っている

核開発権利認められたーイラン
いいんだか悪いんだかのニュースが流れた日、サンダーバードの後輩、徳重徹さんから久しぶりにメールを貰った。

拙著『本当に使える経営戦略』を読んでくれ、感想を寄せてくれた。

徳重さんは、日本初の電動バイクを開発発売しているテラモータースの創業社長だ。頼もしい後輩のベンチャー企業、しっかり発展していって欲しい。

2013年11月23日土曜日

消費者価格 底打ち?

空自機、東シナ海上空で中国機にスクランブルという物騒なニュースが流れた本日、11月23日(土)は経営者ブートキャンプの第8期第2講。そこで参加者から仕入れた話し。

スーパーマーケット店頭に置ける消費者購買1個あたり単価、10月度に対前月より上昇したそうだ。

これは、何と20年ぶりの出来事とのこと。つまり今年の9月まで、スーパーでの購入単価の平均は一貫して20年も下がり続けていたのだ。消費者価格についての大きな転換点、つまりデフレからインフレへの道程がいよいよ始まったのかも知れない。

2013年11月21日木曜日

『競争力』三木谷裕史、三木谷良一 書評185(5)

本書によって三木谷浩史氏について私が認識を改めたのは、楽天創業社長の思わぬ知的レベルの高さである。

一代であれだけの大企業を立ち上げた事業家であるので、突進力に優れたジャングル・ファイター型の起業家をイメージしていた。ところが、碩学三木谷良一氏と互角に渡り合っている。

一橋大、ハーバードMBAという学歴を得た知力はやはり並のモノではない。そして、その頭脳的な毛並みの良さを、父親である故三木谷良一氏を引っ張り出したことで満天下に示した。「親父自慢」とならんで、本書で一番点数を稼いだのは浩史社長だろう。やはり並の経営者ではない。

(この項 終わり)

2013年11月20日水曜日

『競争力』三木谷裕史、三木谷良一 書評185(4)

本書の体裁としては、次のような各章テーマについて、三木谷浩史社長が問題提起し、父良一氏の見解を問う、というものだ。
ー 日本再生
- 民営化、英語の公用語化、移民受け入れ
- アベノミクス、官僚問題
- 教育問題

息子が元気な主張を展開すると、その父がコメンテーターとして学識と見識の高さを示す。実の親子でこのような対談が出来るということは奇跡のような組み合わせだ。

読者は本書で、楽天社長の実父がこのようなまでレベルの高い学者だったことに強い印象を受けるだろう。そして、それ以上に私が浩史氏について認識を改めたのは、、、

(この項 後1回)

2013年11月19日火曜日

『競争力』三木谷裕史、三木谷良一 書評185(3)

もし自分の親父が、こんな経歴の人だったらどうだろう。

日本の大学を出てからハーヴァード大学スタンフォード大学というアメリカの2大名門校に留学を果たし、母校(神戸大学)の教授となり、退官後は名誉教授に任官された。途中、日本金融学会の会長も長く務め、この分野の学者、アカデミーとして隠れもない一流である。その名声は諸外国の超一流大学で乞われて教えてきた(イェール大学オックスフォード大学ミュンスター大学等)ことでも明らかだ。

学究、見識も一流の知識人である。しかし一般にはーその学問の外では―その令名がとどろき渡っているわけではない。大知名人の息子としては、何とかそんな素晴らしい親父を世間にお披露目したい、、、

そんな目論見は本書で成功している。というのは、、、

(この項 続く)

2013年11月18日月曜日

『競争力』三木谷裕史、三木谷良一 書評185(2)

親子が共著者だけど、この本はきっと息子である三木谷浩史・楽天社長が仕掛けたに違いないと私は見た。

二人の対談で内容を膨らませるという普通の対談集には無い動機がこの本にはある。それは
「親父自慢」
だ。

一般的な知名度から言えば、息子が日本国中あまねく知れ渡っているのに比し、三木谷良一氏がそれほど知られているわけではない。私も本書を手に取るまではお名前さえ知らなかった。ところがそれが、、、

(この項 続く)

2013年11月17日日曜日

楽天優勝経済波及効果 85億円

『競争力』(三木谷浩史、良一、講談社)の書評をアップし始めたら良一氏が逝去された。また偶然数日前は仙台で講演をしていた。

講演主宰社の七十七(しちじゅうしち)銀行は東北を地場とする金融機関の雄だ。10月度の『調査月報』をいただいたら、興味深いレポートがあった。

楽天イーグルスのリーグ優勝並びに日本一がもたらす経済波及効果」というレポートである。それによると、総計85億円。主として恩恵にあずかった業界は、飲食業や旅館業などの対個人サービス産業で34億円、製造業が12億円、運輸交通業9億円、商業が8億円などということだ。雇用創出効果は924人だという。

意外と小さいと思った。しかし、少しでも東北に経済的にも寄与があったことはよかった。講演でも参加者の皆さんに「優勝おめでとうございます」と呼びかけたら、皆さんの顔がほころんだ。

『競争力』三木谷裕史、三木谷良一 書評185(1)

講談社、2013年9月刊。10月から始まった経営者ブートキャンプ第8期の後半で、今期のテーマ経営者として楽天三木谷裕史創業社長を取り上げることにしたので、楽天本を集め読みしていた。

昨日読了して、この書評を書こうとして、その日に着いたビジネス誌を広げたら、三木谷良一氏が11月9日に亡くなられていたことを知った。

そして、11月11日は、プロ野球楽天イーグルスの優勝セールで起こった過当表示(平常価格を偽り、割引率を多く見せかけた)事件で、三木谷社長が謝罪会見に臨んでいた。

良一氏は裕史社長の実父である。親子対談本出版の晴れがましさ、突然の逝去、それを胆にしまっての謝罪会見、、、書評を書き出す前に人生ドラマというか経営者の男道にぶつかってしまったような気がした本だ。

(この項 続く)

2013年11月16日土曜日

SMBCコンサルで部長力養成講座

恒例となったSMBCコンサルティング社主催の「部長力養成講座」。

午前中は「戦略の立て方と活用法」午後は「コミュニケーション力を磨け」の二本立て。殆どの参加者は両方とも受講。土曜日というのに学ぶ姿勢に頭が下がり、私も熱講。

終わっての受講者アンケートを見て、また
「評価のパーフェクト・ゲームは難しい」
と思う。まだ全員が5点を揃えてくれたセミナー実施をしたことが無い。引退するまでに何時の日か。

2013年11月14日木曜日

七十七銀行で事業戦略セミナー

仙台で事業戦略セミナー。「伸びる組織とモチベーション」がタイトル。七十七銀行の本店に地場の経営者が100名以上集まり、壁際に椅子を並べた臨時席までぎっしり。

東北は寒いが、元気。2時間があっという間に過ぎ、「経営実体験からの話しなので納得がいく」などと。

噂の牛タンを土産に帰り、堪能。地方地方に上手いモノ有り。この仕事の醍醐味の一つ。

2013年11月13日水曜日

企業業績 冬が過ぎれば春が来る

火曜日は、顧問を務めている会社の役員会に出席するなどで長野県にいた。

月曜日から入ったのだが、いや本当に寒かった。コートを持っていかなかったので、火曜日の朝に下着を重ね着したのだが、本当に冷えた日だった。

当社も業績的にも今年3月期は最悪と成り、私に声が掛かった。実は私の指導で、9月末日に早期退職を断行したばかりだ。しかしその他の施策と相俟って荒療治を受け容れてくれた当社では、これで冬将軍の厳冬の時期は終わると私は見ている。

今期は4期ぶりの経常黒転を目指して動き始めた。社員の人たちも徐々に前を向き始めてくれたようだ。進むしかないのだ。

2013年11月12日火曜日

四人に一人は仕事が嫌い(3)

通信簿、5の割合は7%
私は常々、「伸ばすよりも、『伸びる』を見抜け」と教えている。

社員(部下)を全員伸ばすことは無理であり、それを目指すことはだから不効率で不毛なことだ。

社員を学級だと思うと、通信簿で5を付けていいのは7%である(正規分布型評価)。優秀な人の割合は会社という組織でも似たようなものである。そして階層ごとで見ても当然差があることだ(部長の中でも出来るヤツとそうでない者がいる)。

優れた人の割合が7%というのは、見事に今回のギャラップ調査と一致した。やる気のある人ーすなわち伸びる人ーは組織の各階層で7%しかいない。経営者やリーダーの賢いやり方は、その7%を見分け、集中的に処遇したり研修したりして伸ばすコトに尽きる。「選択と集中」は組織論でも有効なセオリーなわけだ。

(この項 終わり)

2013年11月11日月曜日

四人に一人は仕事が嫌い(2)

ギャラップ社が発表した同調査(State of the Global Workplace)によると、日本では

1)意欲があり積極的に仕事に取り組む(注:英語でエンゲージド「engaged」)従業員はわずか7%だった。

2)幸せとは言いがたいが、ひどく不幸というわけでもない従業員は69%。

3)「意欲を持とうとしない(注:「actively disengaged)」従業員、つまり仕事をかなり嫌っている人たちだ。仕事が嫌いであることを隠さず、さらに同僚の成果をも台無しにする。24%。

上記の結果に私は余り驚かなかった。というのは、

(この項 続く)

2013年11月10日日曜日

四人に一人は仕事が嫌い(1)

私は経営者だったし、現在の境遇は経営コンサルタントとして、経営者や幹部に囲まれている。

経営者や幹部というものは向上欲が強く、達成意欲に溢れている。だからその立場に上がって来られた。

しかし、そんな私たちが使う社員の人たちは皆そうなのだろうか。「そうではない」と私はクラスで教えているのだが、それを証明する調査が目に止まった。http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3002I_Q3A031C1000000/

アメリカの世論調査会社ギャラップ社が世界の被雇用者の満足度を調査してきた。今回10月8日に発表された最新版では、142カ国、23万人のフルタイム、パートタイムの従業員の情報を集めた。

それによると日本では、、、

(この項 続く)

2013年11月9日土曜日

名古屋で戦略立論をセミナー

名古屋中京地区で公開セミナー研修事業者として気を吐いているのが、三菱UFJリサーチ&コンサルティング社。

依頼があり、「勝ち残る経営戦略はこう立てろ!」というタイトルで1日セミナーを出講してきた。

実際に戦略カードを使って貰い、三年経営戦略の「立て方」を伝授。「シナリオ・ライティング5つのプロセス」のうち「課題の発見」と「解決策の策定(アクション・プラン)」を行う。前者では「最重要課題カード」を2枚選定させ、後者では前者のうちの1枚に対する解決策カードを4枚以上出させた上で「ベスト・アンサーカード」を選んでもらって、カード裏に「理由書き」をしてもらった。

演習ステップを進める間に、「課題解決型戦略立案技法」をセオリー的に解説。

終わってのアンケートをみて、主催者殿が
「名古屋人がこれだけ褒めるのは珍しい」
と。実ビジネス展開に使える経営技法を教えているので。

社長OBとプロ野球監督交代

昨日まで数回に渡って、シャープ元社長佐々木正氏のインタビュー記事について書いてきた。そして思ったことだ。

経営者とプロ野球の監督の役割には共通するところがある。新監督が着任すると、最初のキャンプで
「これからは、オレのやり方でやってもらう。前監督が言ったことは全て忘れろ」
などと言うだろう。

前監督は高い報酬を貰って、全精力を費やしてきた。しかし、新監督もまた同様な報酬を貰って、最大努力をする。チームを去った前監督が、新監督の指導方針や采配に注文を付けることはもはや許されない。前も現もお互いにプロフェッショナルだからだ。

責任を負うことが無くなった、あるいは取れなくなった前任者は、もはやチームの運営や成り行きに対して注文を付ける立場にない。このことをわきまえないOBは老害とよばれる。部外者になったことを知るべきだ。

2013年11月8日金曜日

シャープ 止まると倒れる自転車とイノベーション企業(4)

敵と付き合う方法 副題「長老の智恵」 2013年3月5日「アゴラ」山田高明氏記事

同記事を一部引用紹介したい。

引用:「半導体」と「液晶」といえば、日本企業が莫大な資金を投じ、技術者たちが開発に心血を注いだ、当時世界最先端の技術だった。むろん、実際に与えたのは、やや“お下がり”のものだったのだろうが、それでも「感謝してくれればいい」などという善意から、お家芸を外国企業に譲り渡す。その行為に対して、恩恵を受けた側の韓国人が“特許侵害”で日本側を訴える。こういった逸話を経済誌が「長老の智慧」などと、まるで美談であるかのように紹介する…。
あまりにアブノーマルで、とても私はついていくことができない。


山田修 注: 筆者は佐々木氏が、半導体や液晶の技術をサムソンが「学んだ」ことに寛容だったことを非難している。

引用:それを「克日」を国是とする人々に譲り渡し、わざわざ敵を育てる――それは会社としての判断だろうが、佐々木氏が主導的役割を果たしたことも事実だ。

山田修 注:上記で「それ」とはシャープが渡してしまった技術のことと読める。

山田高明氏の同記事での見解は興味深い。私自身の見解は、この4回続きブログの3回目までに示した。

(この項 終わり)

2013年11月7日木曜日

シャープ 止まると倒れる自転車とイノベーション企業(3)

佐々木正 シャープ元副社長
写真:村田和聡氏

しかし、「松下と異なりシャープは自前主義でやって来た」
というのは単なる老人の自慢話だ。

「経営陣が大局を見た方向性が明確でないのが心配なんですね」
「経営陣の一部に自分の利益ばかりを追求するものがいると、他社との提携は難航してしまう」
などの発言は、私に言わせれば「外野席から何を言っている、何が言いたいんだ」ということになる。結局足を引っ張っているだけじゃあないか。

そもそも30年前に引退したOBがまだ現役経営者に注文を付ける、それは言論の自由だから、ということはあろうが、私に言わせれば百害あって一利無し、だ。OB経営者は沈黙した方がよろしい。それが最大の応援と知るべきだ。

(この項 終わり, と思ったらとある別記事が目に止まり、それを次回で紹介 佐々木氏という方は、という記事

2013年11月6日水曜日

シャープ 止まると倒れる自転車とイノベーション企業(2)

シャープ元副社長の佐々木正氏はまた、同社が近年台湾ホンハイ社や韓国サムソン社との資本提携で、迷走して来たことに触れ、
「共創は不可能を可能にする力です。シャープには違う文化を受け入れる素地が時代とともに失われてしまっているように見えます」
と、コメントしている。

ところが、その直前には
「シャープは、独創が上手な会社です。(略)でも他社と組んで新しい価値を生み出す『共創』が下手でした」
としている。これは、上述した「この頃共創が下手になった」というコメントと全く矛盾する。二つを結ぶと、「この頃下手になった、でも昔は下手でした」?
何のことだ。

そこそこではそれらしいことを語る。しかし、時系列で読んでみると一貫性が無い発言をする人には気をつけた方がいい。そもそも98才の方をまともなインタビューに引っ張り出したジャーナリストの見識を疑う。

インタビュー全体を通じて佐々木氏は「松下と異なりシャープは自前主義でやって来た」
ということを誇っている。しかし、これは実は、、、

(この項 続く)

2013年11月5日火曜日

シャープ 止まると倒れる自転車とイノベーション企業(1)

元副社長、昭和の生き証人が語る
上記をクリックすると、「シャープ、共創下手の要因は自信過剰と動機不純」(日経ビジネスオンライン2013年11月5日)の記事がポップアップ。

上掲記事でシャープの元副社長佐々木正氏がインタビューに答えている。98才。30年近く前に同社を去った同氏はシャープの「発展の礎を築いた」(同記事)とのこと。

佐々木氏は「結局、液晶も真似られる技術だったということでしょう」とし、「やはりイノベーションは連続性がないと死んでしまいます」とも述べている。

しかし、シャープの液晶ほどの一時代を画したようなイノベーションを次々と生み出し続けろと開発陣に叱咤するのも気の毒なような。

一方で佐々木氏は、、、

(この項 続く)

2013年11月3日日曜日

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君達へ』K.クリステンセン他 書評184(5)



クリステンセンの価値観はとても西欧キリスト教的なもののように聞こえる。しかし、その徹底ぶりは驚嘆すべき段階らしく、本書によって私たちは教授の個人的側面に触れることが出来る。共著者として協力したカレン・ディロンは教授から強い感化を受け、自らキャリアを放棄して家庭に入ってしまったほどだ。

さて、経営者を目指す人はそうでない人よりよほど自分を律し、優先すべき価値観を自覚しないと不幸になるということは真実だろう。ビジネス上の達成だけだと、「気が付けば、、、」となってしまった人が沢山いる。

先輩経営者である新将命氏が先日の会食で「徳の人と才の人」という表現を使った。私たちは両方を兼ね備えなければ、自分も周りの人(家族と社員)をも幸福にすることは難しいと知るべきなのだろう。

(この項 終わり)


2013年11月2日土曜日

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君達へ』K.クリステンセン他 書評184(4)

クリステンセン教授が幼少の時から一貫して保持していた2大価値観がある。
それは、
1) 信仰
2) 家族愛
の二つだ。

以前から写真で見る印象からそんな気がしていたのだが、クリステンセンはモルモン教徒だそうだ。それも相当にディープな信者で、オックスフォード大留学中に入部していたバスケット部が全英大学選手権での決勝戦が日曜日に組まれてしまったので、レギュラー・センターの彼は出場を拒否した。コーチやチームメートの説得・懇願にも関わらず、とのことだ。

HBSで教えてきて彼が感じていたのは、卒業生達が彼のような価値観を保持・優先していれば著名企業のCEO職を務めたあげく刑務所に行ったり(エンロン社のCEOは教え子だったらしい)、自殺や離婚に追い込まれることが大きく減るのに、ということだ。

彼の価値観というのは、、、

(この項 あと一回)

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君達へ』K.クリステンセン他 書評184(3)

その一つは、クリステンセン教授が近年大病を立て続けに患い、遂に退官を余儀なくされたという事情がある。2007年に心臓発作、2009年には癌。抗ガン治療を行っている最中に脳梗塞に倒れ、1度は言語能力をほぼ喪失した。

超人的なリハビリを実施して教壇に戻ってきた意志と規律、努力する力、、、

もう一つの理由は、HBSのOBが民間会社、それも著名でグローバルでさえあるような多くでCEOとして位人臣を極めるケースにはいとまがない。しかし、著者の観察によれば、そのようなポジションに就いたのに、あるいは就いたからこそ、プライベートあるいはパーソナル・ベースでは不幸な状況に陥ってしまうのをたくさん見てきたことだ。

これら二つの理由は相俟って、著者に「経営者の幸福」ということをしみじみと考えさせた。規模は違えど同じく経営者やそれを目指す人たちを教導している私が本書に大きく共感する由縁である。

クリステンセン教授の幸福観は二つの要素から形成されてきた。それらは、、、

(この項 続く)

2013年11月1日金曜日

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君達へ』K.クリステンセン他 書評184(2)

本書は、クリステンセンが行ったハーバード・ビジネススクール(HBS)での最終講義をまとめたもの、とされているが構成やボリュームを見ると相当手を加えて整理したものだ。

共著者二人は普通だと編集協力者として記されるのだろう。かといって、ゴースト・ライターとして関与したわけでなく、クリステンセン教授の真摯な呼びかけが書の中からわき上がってきて、思わず経営者読者も粛然とさせられる。

各章は経営学セオリーの紹介と解説から始まる。当代筆頭の経営学者によるものなので、それもおもしろい。しかし、著者の企みは、それらのセオリーを、を卒業しようとしているこれも当代最高のビジネス・エリート達のプライベートな幸福の実現に応用して欲しいというものだ。

そのような執筆動機として二つのことが読み取れる。それは、、、

(この項 続く)