2014年4月30日水曜日

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(6)


実際、柳井氏の「年商5兆円を目指す」という現時点での目標設定に至る変遷と、今に至るファストリの経営資源の獲得とは強い関連があります。それについては、前拙著『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修/ぱる出版)で詳細に論じました。

 一般的に経営者というのは、ヒト、モノ、カネ、情報などの、その企業独自の経営資源を獲得・追加することにより、業容拡大のチャンスを得ることができる。そして、階段を一段上がるような業容拡大を実現して企業としての次のステージに出ると、今度はそのステージから目指すにふさわしい「次の経営目標」を設定するのです。これが通常の戦略的プロセスを経た企業発展の過程ということなのです。

 それを考えると、柳井氏が喝破したように「孫さんは一種の天才」(前出の対談)といえるのでしょう。

 (この項 続く)

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(5)

●企業は「経営資源」で階段を上がる
 
 柳井氏の志の立て方は、孫氏に比べると穏当というか、リアリスティックでした。地に足が着いていた、ともいえます。柳井氏は孫氏との対談で、次のように話しています。

「僕はまったく反対で、事業を始めたときは一生やってもせいぜい売上20、30億円、30店舗ぐらいと思っていました。ただし夢として、アメリカやヨーロッパの製造小売で何千億円企業がありましたから、できたらそうなりたいなという夢はありました」(「企業家倶楽部」<07年4月号/企業家ネットワーク>より)

 柳井氏の「夢と志」の話は、経営戦略論的におもしろい。というか現実的な設定と考えることができます。経営者が創業時に年商数千億円という戦略目標を設定したら、それは過大すぎて機能しないことのほうが圧倒的に多い。

(この項 続く)

2014年4月29日火曜日

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(4)

●「科学的経営」と「勝負の経営」

 孫氏は柳井氏が確立してきたファストリのビジネス・モデルを「科学的経営」と呼び、それを学びたいと思ったそうです。一方、柳井氏は孫氏の経営スタイルを「いつも勝負している」、つまりリスク・テイカ―として認識したと言っています。さらに他のベンチャー経営者と比べて「孫さんには志がある」と評価しました。

 孫氏の志の立てよう、持ちようは、確かに若い時から突出していました。20代でソフトバンクを創業した当時、社内でミカン箱の上に立ち、アルバイト社員たちに向かって「当社は将来、その売り上げを豆腐と同じように数える会社になる」と、演説したそうです。その心は、「丁=兆」ということでした。しかし、この演説を聞かされた当時の社員は感心するどころか、呆れて退社していってしまったそうです。

(この項 続く)

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(3)

●尊敬し、学び合う2大経営者

2人は、いわばお互いを尊敬できる先進的な経営者として認識したのですが、本格的な関係ができたのが2003年でした。同年、ソフトバンクがインターネットサービスプロバイダサービス「ヤフーBB」を始めるのに当たり、本格的なBtoCビジネスは初めてということで、柳井氏をソフトバンクの社外取締役に招請して今日に至っています。

 2人はこのように互いを尊敬し、互いから学び合っているように見えます。また、お互いの理解者であり、最大の社外応援団にも見えます。孫氏が06年にボーダフォンを買収した時、1兆7500億円という破格とされた価格に対し、柳井氏はソフトバンクの役員会で真っ先に支持、つまり支援をしました。翻って今、この買収劇を振り返ってみれば大成功、どころかそれなくては現在のソフトバンクの隆盛はない、というくらいの意思決定だったわけです。

(この項 続く)

2014年4月28日月曜日

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(2)

●尊敬し、学び合う2大経営者

 通信やITビジネスで手広く展開しているソフトバンク・グループの孫氏と、ユニクロに代表されるファッション流通業に比較的特化して、いわば“業態深掘り”している柳井氏。この異なる業界で活躍している2大経営者は、実は結構長く深い接点があります。

 2人の出会いは1994年で、両社は偶然同じ年に上場を果たしています。ソフトバンクは店頭公開を果たし、ファストリは地元広島証券取引所に上場しました。孫氏がその店頭公開前に、イトーヨーカ堂の創業者・伊藤雅俊氏に「誰か、いい経営者を紹介してほしい」と懇請したところ、紹介されたのが柳井氏だったという縁です。柳井氏のほうも、当時話題となっていた孫氏の日次決算やコンピュータを活用したコックピット経営と呼ばれる孫流の経営技法に興味があり、それらを孫氏から学んだといわれています。

(この項 続く)

孫正義と柳井正 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク(1)

米国の投資週刊誌「バロンズ」が「世界のベストCEO」を毎年公表しています。直近の発表が3月号であったのですが、今年のリストにはソフトバンクの孫正義氏が初めてランクインしました。日本人経営者としては、ほかにはユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正氏が以前からランクインしていました。

 孫氏と柳井氏は、手腕と実績が世界的にも認知されている経営者です。この2人は確かに一代で事業を立ち上げ、グループ年商で兆円規模のビジネスに育て上げました。正確に言えば、柳井氏は小郡(おごおり)商事という山口市にある地方の零細ともいえる洋品店の2代目を継いだわけですが、現在のファストリのグループ規模を考えると、実質的な創業者とみるべきでしょう。

 この2人は経営スタイルや信条の上でいくつもの共通点がありますが、もちろん異なるところもあります。そこで本連載では、2人の共通点と差異点を考えてみたいと思います。

 (この項 続く)

2014年4月27日日曜日

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2014年4月25日金曜日

国際戦略経営研究学会 電気自動車は趨勢となるか

国際戦略経営研究学会・戦略的人的資源・組織開発研究部会に出席した。テーマは「EV(電気自動車)開発の経験から学ぶ組織革新」、発表者は寺本正彦氏。

寺本氏は大手自動車メーカーでシニアエンジニアとして、EVの開発の最先端にいた方。

例によって私も質問させていただいたが、時間の都合で聞かなかったことがあった。それは、

「EVはガソリン車に対して『破壊的技術』と言える。『破壊的技術』を成功的に導入し、従来企業を凌駕するのは外部の新興勢力であることが多い。EV車がモジュール化と、モーターと電池という基幹部品を標準的に外部から調達できるとなると、従来メーカー以外の参入、そして大成功という絵図があるのではないか。

実際、北米では畑違いのIT企業が電気自動車を開発販売している。トヨタ、日産は次世代で生き残れるのだろうか?」

どうだろう。

2014年4月23日水曜日

ローソン新浪剛史CEO 会長就任を深読みすると(3)

新浪剛史(にいなみたけし)CEOは、昨年玉塚氏を国内担当から海外担当に移したときから既に、翌年となる今年の経営権の玉塚氏への禅譲を決めていた、と今回私は思った。

そのために、玉塚氏に国内に続いて海外部門を担当させ、両方での「経営土地勘」を持って貰ったと見る。

要するに、新浪氏はもうローソンを卒業したくなっている。そして、それを行動に移しているのが今回の人事だ。

三菱商事の社員だった(まだ本籍はそちらにあるはずだ)新浪氏がローソン担当となったのが2000年、送り込まれて社長に就任したのが2002年のことだった。振り返ってみれば、現業で10年以上経過している。働き盛りの経営者としては、もうとっくに飽きてしまったことだろう。

この若さでのこんな有能な経営者が次のステージを目指さないわけがない。それが外部転出なのか、三菱商事ワールドの中での別ポジションなのか。今年か、遅くとも来年には新浪氏には新しいタイトルが付くことを予言しておく。

(この項 終わり)

ローソン新浪剛史CEO 会長就任を深読みすると(2)

新浪剛史(にいなみたけし)CEOは昨年、玉塚氏を国内担当から海外担当に移した。私は2013年1月10日から3回に渡って当ブログで見解を述べた。
ローソン玉塚元一副社長の正念場

その時の私の見解は、
「2011年1月に玉塚氏をスカウトしてわずか2年で海外担当に移す、しかも海外担当の責任者は新浪氏が上に来る(2トップとは言っていた)」
という人事を指して、玉塚氏の経営手腕への不安や疑問が新浪CEOに有るのではないかというものだった。

しかし、今回の会長・社長人事発表を聞いて、「そうではなかった、実は」と感じた。それは、、、

(この項 続く)

2014年4月22日火曜日

ローソン新浪剛史CEO 会長就任を深読みすると(1)

ローソンは、5月1日に新浪剛史(にいなみたけし)現CEOが代表権のある会長に、玉塚元一COOが社長に就く、と発表した。社長、会長という役職名は今回復活する。

新浪氏はローソンの発展に尽力してきた実力者で、経営者として脂が乗り切っている55才である。玉塚氏も51才と、同年代だ。

新浪氏がこのタイミングで同年代の新社長に現場の旗振りを譲るコトについて、私は「次の転身」を前から考えていたのではないかと思う。そのために周到に玉塚氏を引き上げてきたと見ることができる。というのは、、、

(この項 続く)

2014年4月19日土曜日

「話すように書く」時代が来たか(2) iPhone5

iPhone5Cの音声認識機能は、私を含む物書き一般に対しても、大きな可能性を有している。それは、「一人口述筆記」時代の予兆だ。

iPhoneに音声で入力して文字変換という方法で文章を作成していく速度は、パソコンのキーボードを使いこなしていくそれに叶わない。しかし今までのようにスマホや携帯の小さい入力ボタンを片手で入力操作する煩雑さから解放された。

原稿を外で書く場合、iPhoneのメールに音声入力してそれを自分のパソコン宛に送ってしまえばいくらでも予備的な原稿が作成できる。外でタブレット入力するよりも利便性は高いだろう。いや、パソコンの前に居てさえ、iPhoneに一度音声入力して予備原稿を作るという方式も、十分誘惑的だ。

音声入力による文章の質と性格の変質という問題が実は起こる。これについてはまた別の機会に書きたい。

(この項 終わり)

2014年4月18日金曜日

「話すように書く」時代が来たか(1) iPhone5

スマホをiPhone5Cに切り替えた。いろいろ機能を試していて驚いたのが、Siriと名付けられた音声認識機能だ。

特に印象深かったのが、メールの文章作成。マイクをonにして、iPhoneに向かってゆっくり話す。2センテンスくらいで区切って、「文章変換」とすると、話した言葉が漢字交じりで文章として表れる。句点(。)は私が入力する。これを繰り返していく。

本当に驚いたことに、今までの所、iPhoneによる聞き誤りや、間違った漢字の当て方がただの一回もない。私に限って言えば、100%の変換成功率なのである。

これは私のような、スマホの小さいキーボードを操作するのが苦痛だった人間にとっては衝撃的な改善だ。

そして、私を含む物書き一般に対しても、、、

(この項 続く)

2014年4月17日木曜日

春が長野に 甲府盆地 諏訪盆地(4)


春は東京では終わった風情だった。少なくとも桜は散っていた。

当社で会議を行った日の朝、現地の気温はまだ冬と言うべき1度だった。昼の頃には22度に上がり急に暖かくなると、ほころびていた桜がそれこそ目の前で全開となった。

中央線特急あずさで当地に向かってきた前日、大月あたりで
「あー、まだ桜が」
と喜び、甲府に入ると辺り一面赤い桃の花に囲まれうっとりした。

春を追いかけ、追いつき追い抜き、冬に来てしまったと思った朝のその日のその昼、私は満開の春のただ中で嬉しい話を聞くことが出来た。

(この項 終わり)

2014年4月16日水曜日

春が長野に 甲府盆地 諏訪盆地(3)

経営コンサルである私にとっても、大いに誇れる実績になったかと思う。

どんなことをやって貰ったかというと、次の3つだ。
1.リストラ―17パーセントの人員削減。

2.拠点集約―国内製造拠点を2カ所に集約。まだ完全完了ではないが。

3.海外注力ー始めていたアジアでの製造に、戦略的な重点と加速。

春は、、、

(この項 続く)

2014年4月15日火曜日

春が長野に 甲府盆地 諏訪盆地(2)

経常利益率の8ポイント改善というのは実に大変なことだ。損益ゼロの会社なら次の年に経常利益率8%ということだ。これは標準的な財務から見れば、もの凄く優秀な会社だということになる。

マイナスからの8ポイント戻しというのは、実は単純にプラス側にいる企業が同じポイントを上に押し上げるより遙かに難しい。

1年間、この会社ー名前は出せないがーの経営者と幹部達は実によくやってくれたと思う。私、コンサルは「口先介入」だけで汗を流さないが、私自身過去には社長経営者として実践してきたことなのでその大変さは良く理解できる。

どんなことをやって貰ったかというと、、、

(この項 続く)

2014年4月14日月曜日

春が長野に 甲府盆地 諏訪盆地(1)

週初めに諏訪の会社を訪問。顧問として経営指導に携わっている会社を1月ぶりに。年度末仮決算の数字を聞く。

昨夏前に「絶対目標」として掲げて貰った「当期黒字化」がめでたく達成された。3期続いた赤字決算の後の、黒転だ。

しかも前期の経常損失は対売上げで8%を超える、というどん底のような状態だった。コンサルに入る前に頼まれた私の意見表明プレゼンで
「当社は2年後に潰れる」
と表明して、幹部の顔が青くなったことを思い出した。

(この項 続く)

2014年4月12日土曜日

本を書く (19) 丸谷才一、大野晋、谷崎潤一郎

大野晋先生は、
「やっぱり谷崎ですね」
と、谷崎文章読本をテキストに選ばれた。丸谷読本はまだ世に出ていなかった。

本物の文学作品や文学論を見分ける大野先生のお眼鏡は素晴らしく、学習院時代に先生の講莚に連ならされて貰った私はずいぶん影響された。

大野先生のような、国語国文の分野での大碩学と、私のような卑小な教え子は勿論比べるべくも無い。しかし国文学(日本文学のことを業界ではこういう)での三大天才を、私は私なりに次の三人だと思っている。
― 紫式部
― 井原西鶴
― 谷崎潤一郎

勿論それぞれに突出した偉大さもあるが、敢えて共通点を挙げるとすると、、、

(この項 続く、しかし飛び飛び)

2014年4月10日木曜日

週刊ポストにコメント 2014.4.11日号


週刊ポスト2014.4.11号にも私のコメントが。

特別読み物「孫正義と柳井正 勝ち残るのはどっちか」4ページ。

以下、引用:
経営コンサルタントの山田修氏が話す。

「柳井さんは自分が経営者として優秀すぎるために、人を信じられない、人に任せられない、そして人を育てられないのではないでしょうか。

02年に後任社長に据えた玉塚元一さん(今年5月、ローソン代表取締役に就任予定)を3年後に解任したのがその象徴です」

上場企業 社長を個別指導(2)

以前聞いたのが、とある有名なコンサル会社であるT経営社に依頼して、役員研修を御願いしたという社長さんだった。

「MBAコースのダイジェスト版というか、中小企業診断士の受験教材を持ってきたようなプログラムだった」
と、つまり「ありきたりの知識教材」だった、と。

そしてそれよりも、教えに来たのが
「30代の、一般会社での勤務経験のないコンサルタント!」
と非難していた。

「そんな”ひよっ子”に、ウチの会社の役員連中を教えられるわけがない」
ということで、2回だけ開講して貰ったが、違約金を払って中止して貰ったそうだ。

「私や役員の時間の方がもったいない」

まこと、経営者や幹部を教える適当なプログラム、そして何より適当な講師は世の中にいないのである。このことから、新入社員研修がよほど簡単だということはすぐに理解できることだ。

(この項 続く、しかし実際にプログラムが始まる5月に再開)

2014年4月9日水曜日

週刊ポストにコメント 2014.4.18日号

週刊ポスト2014.4.18号に私のコメントが。

「誰も言えないホンネ直言!!女性取締役が会社を亡ぼす」4ページ。

以下、引用:
経営コンサルタントの山田修氏も続ける。
「女性経営者ですら『家庭の役割』を押しつけられるのが日本の社会風土。DeNAの前CEOの南場智子さん(51)は、日本の経営者を代表する存在でしたが、彼女ですら『病気の夫の看病のため』という家庭の理由で退任せざるを得なかった」

上場企業 社長を個別指導(1)

新年度に入り、各社が経営戦略を練り直したりしている。

とある上場企業から、6-7回で「社長個別研修」をしてほしい、との依頼を受けた。顧問や監査役、コンサルティングではなく、文字通り「社長の勉強」というアプローチだ。

以前に同様な指導を都心にある流通業で実施した。その案件が耳に入った、とのこと。

来週その銀行の担当者と先方社長を訪問、日程を詰める。プログラムが始まる前に渡す「事前課題図書」として、今回は旧著『実践!52週間 企業再生プログラム』(ダイヤモンド社)を持っていく予定。

このレベルの社長や役員を「教える」型のプログラムというのは正直無くて、以前聞いたのが、、

(この項 続く)

2014年4月5日土曜日

女性経営者は増えるか(5)野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)新社長

野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)氏が社長就任するということで、週刊誌からコメントを求められた。

というのは、この頃の社会学的な諸調査では、女性の保守化の傾向が強い。つまり、結婚願望、そして専業主婦願望がかってなく強くなっている。

女性が自立してキャリアを切り開いていこうということとは逆行しているし、女性の幹部の割合は、昨年の調査では44カ国中日本が最下位だった。
経営幹部の女性比率44カ国調査

真保社長は報道によれば既婚だが、お子さんが居ないと。現代の働く女性にとって一番切実なのが保育所の絶対的な不足である。こんな日本の社会情勢にあって、「これから女性幹部、経営者が輩出する時代になる」なんて誰が言えるのだろうか。

(この項 終わり)

2014年4月4日金曜日

女性経営者は増えるか(4)野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)新社長

野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)氏が社長就任するということで、週刊誌からコメントを求められた。

「飛んでる女性」は確か流行語大賞となったのではないか。80年代は女性誌『クロワッサン』が、「キャリア・ウーマン幻想」をはびこらせ、世の働く女性の幸福度を落とした、などと非難されたこともあった。

真保新社長は、まさしくこのような世代の先頭を走って、企業の頂点に辿り着いた一期生という性格をお持ちである。

しかし、取材を受けた週刊誌の興味にあったように、
「真保新社長を突破口に、日本に女性経営者の時代が花開くか」
というと、私はむしろ悲観的である。

というのは、、

(この項 続く)

2014年4月3日木曜日

女性経営者は増えるか(3)野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)新社長

野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)氏が社長就任するということで、週刊誌からコメントを求められた。

それは、数千人に上るような大組織を取り纏め、取り回し、そしてぶん廻すような「経営腕力」が-一般的にはー女性経営者にはまだ不足しているのではないか。

今回の真保新社長の就任を見てみると、アラフィフだということに世代的な巡り合わせを感じる。

男女機会均等法が施行されたのが1986年。真保新社長が新入社員として世に出た時期だ。この世代の女子新卒で意識の高い学生は大いに意気込むところがあっただろう。さらに、就職に先立つ、70年代の終わりに流行っていたことは何であったか。
「飛んでる女性」
と、
「キャリア・ウーマン」
だった。

前者は、、、

(この項 続く)

2014年4月2日水曜日

女性経営者は増えるか(2)野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)新社長

野村信託銀行に真保智絵(しんぽちえ)氏が社長就任するということで、週刊誌からコメントを求められた。

それどころか、世に喧伝されている現代の著名女性経営者を挙げてみると
篠原欣子氏(テンプスタッフ)
寺田千世乃氏(アートコーポレーション)
森英恵氏(故人、ハナエ・モリ)
元谷芙美子氏(アパホテル)

などはいずれも強力な男性経営者をパートナーとして恵まれてきた。そして、自らは企業グループの顔として活躍してきたが、社内のことは男性の経営者が仕切ってきた、という分業経営が共通的な特徴と言える。

ホンダにしてもソニーにしても、2大経営者がタッグを組んで繁栄させてきたので、女性経営者にそれがあっても不思議はないし、一向に非難されることでもない。しかし課題は、殆どの名を成した女性経営者がこのような「男性経営者パートナー・モデル」によって業績を伸ばしてきたということだろう。

先日の拙ブログで指摘した「重厚長大の製造業ではまだ女性経営者が出ていない」ということと組み合わせると、日本における女性経営者の現在での限界が垣間見えると私は思う。

それは、、

(この項 続く)

2014年4月1日火曜日

経営計画策定1DAYセミナー

 

左記標題の1日セミナーを実施。
10時から18時まで、終日びっしり。

戦略カードを使って、駆け足かつ小規模に各自の経営戦略を策定して貰う。ステップごとにセオリー解説を加える形で進行。

最後は小グループに分かれて、一人40分ずつ創った経営戦略を発表して貰う。私のファシリテートにより、発表者以外も盛んにアドバイスを浴びせていた。これを交代で行う。

私が志向指導するMutual (Learning) Methodが発動し、発表する方も聞く方も学ぶ。そして重要な事だが、その到達度は私が一方的に教授するセッションよりずいぶん高い。

結果、参加者の満足度は極大化し、参加アンケートでは全員からフルマーク(満足度満点)をもらった。その日に5月から始まる経営者ブートキャンプ第9期に数名の参加をもらった。私自身も充実感に包まれた1日となった。