2014年11月29日土曜日

メガバンクで社長(頭取)に戦略発表会

最大手の銀行で、社長以下トップ3人の役員に戦略発表会を行った。

関係会社の幹部12名に「戦略カード」を駆使して貰った。戦略的課題出しとそれらの解決策を戦略カードにより、カード出し(個別作業)をしてきて、本日はグループで重要カードの選定をして貰う。4人ずつ、3グループで作業をして貰った。

午後は、社長以下銀行本社の3役員に対して発表会を司会、講評。今回は時間的制約があり、当日のタイム・マネジメントに気を使った。社長は分刻みで動いているので、予定を遅らせることが出来ないからだ。上手く予定に収まり、その点でも面目を施した。

2014年11月27日木曜日

サントリー新浪社長、就任まで4年越しの深慮遠謀 ローソン玉塚体制へ周到に禅譲 (3)

サントリーホールディングスの佐治信忠会長(左)と新浪剛史社長(右/「同社HP」より)

恐らく、新浪氏はもうローソンを卒業したくなっていたのではないか。三菱商事社員だった新浪氏が子会社のローソン担当となったのが00年、送り込まれて社長に就任したのが02年のことだった。すでに10年以上経過しており、働き盛りの経営者としては、もうとっくに飽きてしまっていたのだろう。

 新浪氏のハラは10年にはすでに決まっていたのではないか。その準備のために玉塚氏を招聘し周到に経験を積ませ、4年かかってサントリー転出にこぎ着けた。このような時間軸でみると、新浪氏と佐治氏の間には強固な信頼関係があることがうかがえる。見方を変えれば、このような周到な準備なくして、サントリーのような巨大な同族企業が外部から経営トップを迎えるようなことは実現しなかったともいえる。

 4年越しで実現した人事がサントリーでどのように機能し、そして同社がどのような成長をみせるのか、目が離せない。

(この項 終わり)

2014年11月26日水曜日

サントリー新浪社長、就任まで4年越しの深慮遠謀 ローソン玉塚体制へ周到に禅譲 (2)

サントリーホールディングスの佐治信忠会長(左)と新浪剛史社長(右/「同社HP」より)

サントリーの佐治信忠社長(当時、現会長)が新浪氏に初めて社長就任を打診したのが、同年だったと報道されている。新浪氏がこの時点でどのようにコミットしたかは明らかではないが、同年10月、ローソンは玉塚氏を招聘した。当初玉塚氏は国内事業を担当したが、13年には海外担当となった。

「新浪剛史CEOは、昨年玉塚氏を国内担当から海外担当に移した時からすでに、翌年となる今年の経営権の玉塚氏への禅譲を決めていた、と今回私は思った。そのために、玉塚氏に国内に続いて海外部門を担当させ、両方での『経営土地勘』を持ってもらったと見る」(前出ブログ記事より)


●ポスト新浪体制を自ら確立


 では、なぜ新浪氏がサントリー社長就任の話を受けたのか。


(この項 続く)

サントリー新浪社長、就任まで4年越しの深慮遠謀 ローソン玉塚体制へ周到に禅譲 (1)

サントリーホールディングスの佐治信忠会長(左)と新浪剛史社長(右/「同社HP」より)
10月、サントリーホールディングスの社長に新浪剛史氏が就任した。玉塚氏登用の経緯を振り返ると、新浪氏の深慮遠謀がうかがい知れる。

 新浪氏のサントリーへの転出が発表されたのは今年6月のことだったが、実は筆者は4月にブログでそれを予言していた。
「この若さでこんな有能な経営者が次のステージを目指さないわけがない。それが外部転出なのか、三菱商事ワールドの中での別ポジションなのか。今年か、遅くとも来年には新浪氏には新しいタイトルが付くことを予言しておく」(4月23日付記事『ローソン新浪剛史CEO会長就任を深読みすると』
 
 この記事は新浪氏がローソン会長、玉塚氏が社長に就任するという新人事が発表された直後に書いたものだが、「新浪氏はローソンの外に出て行く」と筆者は直感した。

 新浪氏はローソンから転出するために、今春になって泥縄的に玉塚氏を社長に据えたわけではない。話はサントリーとキリンホールディングスの統合交渉が破談した2010年2月に遡る。

(この項 続く)

2014年11月24日月曜日

『同族経営はなぜ3代で潰れるのか? ファミリービジネス経営論』 武井一喜 書評217(3)

ファミリービジネス企業の業績が、一般企業に比べて優れている、というのは「常識の嘘」的な事実だ。しかしこれは日本だけでなく、欧米いや世界中での傾向だし、世界の経済やビジネス、雇用の大部分はファミリービジネスが担っている。それらのことを本書は詳しい資料で物語っている。

著者は、その優越性を「ファミリネスス」という言葉で説明し、それこそがファミリービジネスを形作っている経営資源だとした。これは、新見だった。

多くのファミリービジネスが現在悩んでいるのが経営承継の問題だろう。子息経営者に対して
「ファミリーとビジネスの板挟みになったときは、親孝行や墓参りをした後で意思決定をすることをお勧めします」
などとしているのは、同じコンサルタントしての私に
「すごい!」
と思わせたさりげない助言だ。

私が指導しているいくつかの同族会社のファミリーメンバー経営者に、本書を課題図書として読んで貰うこととした。好適。

(この項 終わり)

2014年11月23日日曜日

『同族経営はなぜ3代で潰れるのか? ファミリービジネス経営論』 武井一喜 書評217(2)

著者の武井氏は
- コロンビア大のMBAである。
- 同族会社を4代目として嗣ぎ、倒産させた。
- ファミリービジネス専門のコンサル会社を始めた。
- この分野の世界的団体、FFIから日本人初の認定員となる。
- 欧米で開催されるFFIの総会に毎年参加、日本を代表してきた。
ー (社)日本ファミリーアドバイザー協会を立ち上げ、理事・事務局長。

前著から4年、満を持して世に問うた本書は、その間の世界での学的進歩を紹介し、武井氏の実地でのコンサルとしての豊かな経験、第一人者として集中してこの分野を拓いてきた専門家としてのご見識などが集約された。

たとえば、、、

(この項 続く)

『同族経営はなぜ3代で潰れるのか? ファミリービジネス経営論』 武井一喜 書評217(1)

クロスメディア・パブリッシング社、新刊。実は著者は4年前にそのタイトルも『同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?』というタイトルの書を同じ出版社から上梓している。そして、その時も私は書評を書いた。
2010年8月25日http://yamadaosamu.blogspot.jp/2010/08/blog-post_25.html

同じ著者で同じ出版社から、『つぶれる』と『潰れる』と漢字使いだけが違うタイトルの本を出すというのは混乱する。私なら新しい題を付ける。

さて本書の場合、同じような袋に盛られたのが同じ酒、というわけではない。めでたく、より芳醇なウマ酒がしっかりたくさん入った。

「同族会社」は近年の経営学では「ファミリー・ビジネス」と呼ばれるようになって、この20年ほどの間に急速に研究が進んできた分野だ。著者の武井氏はこの分野で書を著すべきあらゆるご経験を有している。それらは、、、

(この項 続く)

2014年11月22日土曜日

ユニクロ柳井・非情経営の強さ ローソン玉塚「みんなでがんばろう」経営の危うさ(2)

玉塚元一ローソン社長(「同社HP」より)

しかし、あれから15年ほど、玉塚氏の経営遍歴つまりキャリア・チェンジはしばしば華々しく喧伝されてきたが、その話題に伴うような実績を残せてはおらず、結果として「東洋経済」で「負け続けたプリンス」と評されてしまった。 


●「みんなでがんばろう」経営が孕む危険
 玉塚氏の経営スタイルについて、同誌記事は次のように紹介している。


「誰とでも一瞬にして打ち解けることができる。それこそが玉塚の最高のスキルである」
「今はチーム玉塚として、みんなで肩を組んで歩いている」(ローソンのフランチャイズ店舗の有力オーナーの談)
「全社員が考えて、全社員が実行する経営にしていきたい」(玉塚氏の談)

 こうした玉塚氏の経営スタイルは「みんなでがんばろう」という基本方針に基づくものだと推察されるが、実は企業経営上の危うさを孕んでいる。そして実際に玉塚氏は勝ち切れなかった。
 一方、ファストリで玉塚氏を社長から解任した柳井正氏(現社長)は、「君には降りて貰う」と言い渡せる経営スタイルだ。
 前者のスタイルを営業本部長のリーダー・スタイル、後者をCEOとしての経営スタイルと分類できるが、ローソン社長に就任した玉塚氏の本格的かつ最後となるであろう「逆襲」の成功を切に希望する。


(この項 終わり)

ユニクロ柳井・非情経営の強さ ローソン玉塚「みんなでがんばろう」経営の危うさ(1)

玉塚元一ローソン社長(「同社HP」より)
「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/11月22日号)が『玉塚元一ローソン社長の逆襲』という特集記事を掲載している。「負け続けたプリンス」という副題が付いており、見出しには「大学ラグビー、ユニクロ…。最後の最後で勝利を逃す男、玉塚元一。大手コンビニで人生最大の逆襲に打って出る」と、遠慮のない表現をしている。実は筆者も自身のブログ記事で「この、『目立った実績が何もない』スター経営者はどこへ行くのか」と評したことがあり、「東洋経済」記事と同様な見解だ。


 玉塚氏は、筆者が卒業した米サンダーバード国際経営大学院の後輩だ。2000年頃、アリゾナ州フェニックス本校から学長が来日した際、筆者が日本の同窓会会長を務めており、レセプションに玉塚氏も出席していただき挨拶を交わした。たしか当時はファーストリテイリングの副社長だった。

「ラグビーで鍛えた堂々たる体躯。身長は181センチ。甘いマスク」(「東洋経済」記事)の玉塚氏はグッド・ルッキングで、誰の印象にも残った。育ちの良さや洗練された物腰、そして何よりその後ファストリ社長に就任したこともあり、まさに我が校OBの星となってくれた。スキーの腕前もプロ並みと伝えられており、「若大将」社長、スター経営者として脚光を浴びていたのが2000年代前半のことだった。

 しかし、、、

(この項 続く)

2014年11月20日木曜日

上場会社で戦略発表会

夏から指導していたとある上場会社(小売業チェーン)で、今日は戦略発表会。

4名の幹部(取締役や本店の店長、二人の部門長)が準備してきた部門戦略と全社戦略(取締役)を発表してくれた。

発表を受けたのは、社長と常務、そしてメインバンクから4名。発表者の下のレベルの幹部達5名。発表者はイヤでも緊張する。

発表スライドについては、先週からメールを介して添削して上げた。今日は朝から出かけて、午前中は一人一人にリハーサル指導。午後2時からの本番に備えた。発表は一人40分枠、その中を発表20-25分、講評やコメントが残った時間。

リハーサルより本番の方が出来がとてもよかった。指導者として面目を施したが、やはりこのレベルのエグゼクティブというのは基本能力が高い、と感じた。

2014年11月19日水曜日

アサヒビール、なだ万買収の不思議 販売増・認知度向上などの相乗効果期待薄か(2)

アサヒは年商1兆7000億円(連結ベース、2013年12月期)、グループ社員数1万8000人以上だ。一方のなだ万は創業1830年という老舗だが、年商150億円、社員数1300人と、売り上げ規模でアサヒに2桁劣る。このような2社が資本関係に入ったとしても、買収側のアサヒにとってどれだけ戦略的な「報酬」が期待できるのだろうか。

●相乗効果に疑問

 なだ万は国内に26店、海外に7店の高級和食レストランを展開している。アサヒはなだ万海外店を通じて、そのプレミアム・ビールの海外認知度を高めること狙っているとの見方もあるが、世界中に散らばるレストラン7店のみでは、その効果は限定的といえよう。かといって、海外展開を急速に加速させることも難しい。老舗の和食レストランの質を担保する板前の育成には長期間を要し、このクラスの料亭にふさわしい仲居を海外で確保することも容易ではない。ファスト・フードのチェーン店を海外出店するのとは次元の異なる話である。

 また、なだ万各店で出すビールはすでに9割がアサヒの商品だといい、販売量増につながる効果は見込めない。
 逆になだ万にとっては、安定した経営資金的なバックアップを得られるだろう。
 こうして分析してみると、この買収は、あまり相乗的な効果を見込めないと筆者は考える。アサヒにとって買収の実質的な効能は、取引先企業の接待を担当する専門料亭を獲得したという程度で終わりかねないのではないか。

(この項 終わり)

アサヒビール、なだ万買収の不思議 販売増・認知度向上などの相乗効果期待薄か(1)

11月14日、アサヒビール(東京・墨田区)が老舗料亭のなだ万(同・新宿区)を買収すると発表した。アサヒは、その目的を次のように説明している。

「老舗料亭の経営ノウハウを取得し、外食企業に対する営業提案力の強化につなげることにあり、海外進出を積極化している外食企業に対しても、ノウハウの提供が可能となります。また、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された『和食』文化をリードしてきた『なだ万』ブランドを、グループ力を活用し、日本国内および世界に広めていくことも視野に入れています」(同社プレスリリースより)


 現在アサヒは高級ビール「ドライプレミアム」の販売に力を入れるなどプレミアム戦略を推進しており、その路線とのマッチングを図った買収とみられている。しかし、ビール飲料と高級外食産業に実際どれだけの相乗効果が期待できるのだろうか。この買収がまず違和感を与えるのが、両社の規模の違いすぎる点だ。

アサヒは年商1兆7000億円、、、

(この項 続く)

2014年11月18日火曜日

オリックスの弥生買収、マーケ4P的巧妙戦略 中小企業の半数を顧客基盤として獲得 (2)


そんな弥生を買収するオリックスは、融資、保険、リースなどの商品を保有しており、取引相手が法人の場合、福利厚生から年金設計、運用まで引き受けることができる。また、それらの金融商品を売り込む組織も人員も豊富に抱えている。

●4P戦略的に高い効果を期待

 

マーケティングで重要だといわれる「4P戦略」とは、プロダクト、プレイス、プロモーション、プライスの4つだが、オリックスはもともとプロダクトを保有していたところへ、弥生の買収によりプレイス、つまり流通経路(販売先)が一気に広まったことになる。

 加えて、プロモーションという点でも、プロ野球球団のオリックス・バファローズを保有しており、弥生の会員企業へのサービス、もしくは新規顧客企業獲得のためのツールとして、バファローズの試合の入場券を利用できるかもしれない。もちろん球団としては入場者増となる。

 残りのプライスの点では、弥生を通して日本の中小企業の半分をカバーできるため、さまざまな面でスケールメリットを生かした価格政策を実施できる。
 以上のオリックスのビジネス展開は、弥生の会員顧客チャネルを通じて行われるため、弥生にとっても新たなビジネスチャンスとなる。つまり、今回の買収は両社にとってまさに「Win-Win」のディールとなり、戦略的には極めて妙手である。

(この項 終わり)

オリックスの弥生買収、マーケ4P的巧妙戦略 中小企業の半数を顧客基盤として獲得(1)

総合金融サービス大手オリックス(東京・港)は11月13日、会計ソフト開発・販売の弥生(東京・千代田)を総額800億円強で買収すると発表した。

 弥生は1980年代から、中小企業にとって単独で会計・業務用ソフトを開発することが高負担だった状況を踏まえ、業務用パッケージソフトを納入してその運用を指導・支援する「会員会社」を開拓してきた。顧客基盤である会員数は120万社を超えるとみられる。

日本における小規模事業者(従業員30名以下)の総数は334万社ほどであり、そのうちで実質休業状態の企業もあるため、日本の中小企業全体の半分近くを顧客にしているといえる。さらに、業務用ソフトはサポートサービスやアップグレードなども発生するため、一度売ってしまえば終わりという「売り切り」でないため、顧客企業と強い関係を構築することができる。

 そんな弥生を買収するオリックスは、

(この項 続く)

2014年11月17日月曜日

『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』 書評216(3)

それから、巻末に示されているのがお約束のようなデシジョン・ツリー。選択を無限に場合分けして得意がる技法だ。結果、選択肢は一つの事象について50以上も出現し、それぞれについての採択率は1%を切る割合の中での選択を迫る手法だ。

デシジョン・ツリーの技法は数学の領域理論の範疇のものであって、つまり人文学の世界の話しではない。経営は言うまでもなく、不整合な人間が行う行動である。

およそ自然人の意思決定にはなじまない技法がデシジョン・ツリーである。その効能というと、経営コンサルがクライアントにいたずらに圧倒感を与えるに適しているものである。

楠木建や星野佳路なら「コンセプトから思い付け」と言う。実はそれも常人にはなかなかうまく出来ないのだが、まだその方が可能性がある。

(この項 終わり)

『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』 書評216(2)

本書を開いていみると果たして、事業会社(普通の会社のこと)を多数指導してきたコンサルタントらしい筆致だ。つまり意思決定の方法を詳しく指南しているが、自らは意思決定をしてきていない、つまり経営者として責任を取らなければならない立場ではそんなことはして来なかったというコンサル立場である。

著者による意思決定プロセスのそこかしこで、「・・をリストアップする」とある。その項目出しがいかにも簡単なようにさらりと指示されているが、現場では一つのアイデア出しに呻吟している。その「リスト」なるものをどう出し、どんなリスト例が示されているか。

またまとまったケースとして示されているのが、とある中間管理職のキャリア選択というものだが、それは言うまでもなくビジネス・デシジョンではない。エグゼクティブの意思決定論にはなじまない例示だ。

それから、、、

(この項 続く)

『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』 書評216(1)

クロスメディア・パブリッシング社、新刊。

マッキンゼー本というのは世にたくさんある。一つの理由はOBが多いから。OBが多い理由は、Up-or-Outという就業原則のため。それは「次のステップに偉くなれなければ止めてください」というものだ(本当の話)。

さて、数多い日本のマッキンゼーOBの中でも俊英なのがDeNA社を創業した南場美智子さん。南場さんは昨年ベストセラーとなった『不格好経営』(日本経済新聞出版社)の中で、こう述べている。
「マッキンゼー時代に習得してコンサルした理論など、何の役にも立たないことが(自分が実業に出て)よく分かった。」
そしてこうまでも実際書いている。
「昔のクライアントにあったら、土下座して謝りたい」
私がやっていた会社の一つも、前任社長の時代にマッキンゼーには非道い目にあった(これは私の個人的評価である)。

というわけで、私はマッキンゼー本には偏見を持っている立場だ。そんな立場から本書を開いてい見ると、、

(この項 続く)

2014年11月16日日曜日

新将命氏、箱田忠昭氏と三巨頭会談、久々。


 
新 将命さん
箱田 忠昭さん

お二人と会食。伝説の外資経営者(新さん)とカリスマ講師(箱田さん)と並んで弟分が山田。

箱田さんとは32年、新さんとは22年ほどの長い長い付き合いだ。それぞれ個別に親しくして頂いて、新さんに10年ほど兄事してから知ったことがあった。箱田さんが新入社員時代の最初の上司が新さんだったということ!

近年は「三巨頭会談」と戯れ名を付けて、年数回会食を続け、旧交を温め続けている。私が親しくさせて頂いている先輩格の方もすっかり少なくなった。どうか、三人組で元気で四方山話を続けていきたいものだ。


2014年11月15日土曜日

ベネッセ、“実質的な”経常利益は100億以上の増加?漏洩事故で「血の入れ替え」加速(2)



今回発表された経常利益の予想が265億円ということは、賠償支払いの250億円がなければ経常利益は500億円を超える勢いだということを示している。つまり、前年実績より100億円以上も伸びたことになる。同社の実質的な業績は伸びていると読むべきなのだ。

 さらに売上高に至っては、事件の影響を受けても前期の4660億円から4670億円へと伸びる予想であり、筆者の経営者としての経験から推察するに、「大事件で世間を騒がせた後にあまり売上高が伸びると批判を浴びる恐れがあるので、少しだけ伸びるという数字に収めておこう」という同社経営陣の意向が働いたと思われる。そのため、15年3月通期の実績は、今回の予想値より上振れする可能性が高い。「事件がなければ経常利益は100億円以上伸びていたはずで、売上高は実質的に伸びた」となり、期中の6月に社長に就任したばかりの原田泳幸氏の手腕が大きくたたえられることになるだろう。

 実は原田氏は、事件を契機として大胆な経営陣の入れ替えを進めており、社内では「血を入れ替える」と表現しているという。
 原田氏は事件を奇貨として、今後さらに同社内での経営基盤を確立していくだろう。

(この項 終わり)

ベネッセ、“実質的な”経常利益は100億以上の増加?漏洩事故で「血の入れ替え」加速(1)

●ベネッセの業績予想は下方修正ではない

 10月31日、べネッセホールディングスが2015年3月期業績予想を発表した。7月末の四半期短信では、同月に発覚した会員情報漏洩事故を受け、異例の「未定」としていた。今回発表された予想では、経常利益を約265億円としており、前期実績の350億円と比較すると一見、大幅な減額のようにもみえる。

 しかし、こうした見方は誤りである。筆者は9月、週刊誌の取材で次のように述べた。
「情報漏洩事件がベネッセの業績に与える影響は一過性のもので終わるだろう。通年のグループ経常利益が半減する程度で済むのではないか」
「会員に対しての、情報漏洩関連での賠償が約250億円と発表されている。同社(ホールディングス)の近年の経常利益額はおおよそ安定して400億円前後なので、それが今期は半減するほどのインパクトはある。しかし、赤字に陥るようなことはない」

 今回発表された経常利益の予想が265億円ということは、、

(この項 続く)

2014年11月12日水曜日

人手不足!

猫の手も借りたくて、、
首都圏でも、地方でも各社が人手不足に悩み始めている。

指導している首都圏のとある会社は、材料加工業で典型的な3K産業だ。業容は拡大しているのに、今春から現場の社員の採用が思うようにいかなくなった。

今月指導に行ったら、
「先生のお陰で」
と、礼を言われた。聞くと、9月に私が
「社員に報奨金を出して、紹介制度を一時的に発布したら」
といったことが奏功したという。5万円の奨励金で、70名の会社に4名採用できたという。それも現業の弟、あるいは何と息子を入れた、というではないか。

当社の未来は明るい。そう思わなければ、誰が子息を入社させようとするだろうか。私も付いているし。

2014年11月10日月曜日

指導企業、業績弾ける!

地方に経営指導をしている製造業会社がある。監査役(非常勤)という形で、役員会に出た後、社長と面談指導してくる。

私が関与し始めたーつまり監査役に着任したー昨年度(2014年3月期)は、いきなり経常黒字転換を果たした。3年間続いていた経常赤字決算の後の快事となった。

今月役員会に出たら、10月度の売上げが、何と、6年ぶりの金額を達成したと言うではないか。
「円安で、顧客の会社が国内に製造回帰したのか?」
と問うと、
「そんなことはない」。

それなら経営が良くなったということに違いない。まことに嬉しい。

2014年11月8日土曜日

部長研修を大手企業で

某大手企業傘下の子会社で部長研修を午後2時間行った。

短い時間だったので、私の講話と質疑応答だけとなった。私としては、企業で中枢の重要な位置にいる皆さんに元気を出して貰いたかったので、発破をかけた。cheer-up talkに務めたわけだ。

事前に、数年前の旧著を読んできて貰い、講話中に「質問カード」を最低一つは書くように指示。こうすると、必ず質問が後で出てくる。

研修には、社長以下役員の方も出てくれて、大いに盛り上がった。当社の隆盛を願う。

2014年11月7日金曜日

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク 書評215(3)

大前研一氏が都知事選で大敗したのは、超エリート臭が敬遠されたのだという解説があった。

同氏がダニエル・ピンクの著書を一冊ならずと訳出したのも、当然価値観や興味、世界観にフィットを感じたからである。そうでなければ、大前氏ほどの大家が今更手がける理由が理解できない(私にも翻訳書があるのでそう思う)。

さてさて本書でアジテートされている、「自覚して、報酬を求めないモチベーションにより自ら無限に働く意欲を持つ」社員を持つ、育てるのは経営者の夢だろう。

そんな夢を持ってはいけない、と私は強く警告したい。そんな社員がいないわけではない、そして出現しないわけではない。しかし、絶対少数だ。モチベーション3.0を持って励みたい、と志して本書を手にする社員は、そのような人であるかも知れない。だから、本書の読者は既にしてモチベーション3.0の隠れ保持者だ。そんな人たちが、この本を読んでそのモチベーションの機序を理解して、上を目指してさらに進んでいける。しかし他の全ての社員に適用できる、適用しようなどと経営者なら思わないことだ。

(この項 終わり)

2014年11月6日木曜日

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク 書評215(2)

ダニエル・ピンク
本書でピンクが整理したのは、
「自覚したビジネス・エリートには、普通のビジネスパーソンとは異なるモチベーションの機序がある」
ということだ。

「今をときめくベストセラー作家」(大前研一による著者紹介)であるピンクは、自ら何かを明らかにするわけではない。立花隆と同じように、最先端のトピック領域で発表されている学説を発掘して、分かりやすく整理して、これも高級読者の知的興味に突きつけるのだ。

ピンクが繰り返して紹介した学説やそれを担保する実験結果では、
「報酬として金銭的なものが与えられると、その活動は労働に堕し、本心からの興味が失われてしまう」
というものだ。
だから、こころある経営者や労働者は、金銭的な報酬でないものによって活動を行う方がいい。その結果、労働はゲームになり、人は限りなくその活動を続ける意欲を持ち続ける」
というわけだ。

だが、待てよ。

(この項 続く)

2014年11月5日水曜日

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』ダニエル・ピンク 書評215(1)

講談社、2010年刊。あの大前研一訳。もちろん「翻訳協力」としてとある人の名前が示されている。しかし、あの大御所が訳出しようと腰を上げた本、ということで一読の興味を得た。

ダニエル・ピンクは本書略歴によれば、経営学畑ではなく、エール大卒の法学博士。ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めたという。この経歴一つで、私にはピンクが立派なあるいは一流のアジテーターなのだろうな、と思う。なにしろ、アル・ゴアといえば映画「不都合な真実」、つまり地球温暖化問題をあまねく訴えることに大成功した人物である。

その訴求力を遺憾なく発揮してきた著者は、ビジネス書の分野で「強い影響力を持つ4人の作家」に選出されるに至っている(これも同書にある略歴から)。

と、結構な偏見を前もって有しながら本書を開いたのだが、

(この項 続く)

2014年11月2日日曜日

『トヨタの思考習慣』(日比野省三) 書評214

講談社+α文庫、2005年刊。知り合いになった、トヨタ出身で開発技術指導コンサルタントの先生が
「トヨタ本というなら、これだ」
と勧めてくれたので、勉強させて貰った。

カイゼンなどで象徴され、喧伝される「トヨタの強み」の源泉は那辺にあるのか。著者は経営工学から入った学者教授で、現在は企画経営学の第一人者だという。不勉強で、そんな分野が確立されているということを知らなかった。

東海地区を本拠とするトヨタの強みの源泉を、三河武士、徳川家康から続く同地区特有の「思考習慣」にある、とするのが本書の主要な指摘だ。これにより「変わり続けるための究極思考」や、「絶対ベンチマーク」(他社を真似ない、目標としない)などの特徴が形成されてきた、としている。

そうなのかも知れない、と読み、勿論反証を出来ることではない。しかし、こういう指摘って困るんだよね。というのはある卓越した企業の成功事由がその会社の企業文化だ、ということだと断言されたら、他社は何も学べなくなってしまうからだ。企業文化は一番変えるのが難しい領域である。ということは、トヨタの独走は続くということなのでもあろう。めでたいことだ。