2015年2月28日土曜日

ビッグホリデー 岩崎安利社長 経営者ブートキャンプに登壇

ビッグホリデーの破天荒経営
http://biz-journal.jp/2014/11/post_7490.html

18歳で旅行業界に身を投じ20歳で創業。その後アイデアと持ち前の行動力で、不可能といわれることを次々と可能にされ、一代にして年商800億規模のグループ企業に育て上げました。

その岩崎社長が2時間にわたり、親しく講演。同社の50年史のビデオ映像を4部に分けて紹介してはお話しいただき、山田がパネル対談させていただくという形式。

参加者一同、社長の着想力に感心し、人間力に魅了された。
「人間関係やコミュニケーションの極意は?」
というクラス質問に
「友達になることです」
と。
創業して、その同じ会社で50年間社長、まだ71才、こんな経営者を他に知らない。素晴らしい企業家だ。

2015年2月27日金曜日

テレビ朝日「ワイド!スクランブル」に緊急出演。

テレビ朝日「ワイド!スクランブル」2月27日(金)に緊急出演。

橋本大二郎MCの隣に招かれ20分ほどコメント。「大塚家具の父娘経営権騒動」について。

「大塚家具は上場していて公開企業なのだけど、実態は同族企業なのが問題。父が会長、娘が社長として経営に当たっているし、両者とも大株主という状況。」
「父、勝久会長が創業者で会社への思い入れが強い。社内でもカリスマ的な影響力を保持している。」
「業績の回復と、家族の間の平穏の回復の二つが課題となる。3月の株主総会で帰趨が決するが、破れた方は退陣せざるを得ないだろう。」
などとした。

出演場面をダイジェスト映像、約8分間。
https://www.youtube.com/watch?v=TGZqSye44dw&feature=youtu.be

2015年2月25日水曜日

化粧品、巨大なハラルビジネス進出で新市場創出(3)

「ハラル認証の化粧品製造の実績は、シャンプーやトリートメントなどのヘアケア製品、ソープ類が多いです。ここに来て、国内の一流ホテル向けのアメニティ仕様の引き合いが増えています」(伊豆味社長)
 これは、海外から訪れるイスラム教徒の観光客が急増しているからだ。

しかし、当然ながら日本国内でのハラル市場は限定されたものである。
「輸出用としては、シャンプーや化粧品の分野で大きな可能性があります」(伊豆味社長)

 また、伊豆味社長は生産体制についてもこう語っている。
「ハラル認証を受けるには、製造と包装の機材を一般製品の生産ラインと切り離して、独自のものを導入しなければなりません。当社の工場では、すでにそれを実施しており、本格的な生産体制が整っています」

 ハラル化粧品の可能性について、筆者はコスメティック・バーリィの取り組みが試金石になると考えている。ハラルビジネスの鍵は、当然ながら海外輸出だ。アジアや中近東の大イスラム市場を見据えて、日本の高品質なハラル商品が飛び立っていくことになる。その動きがうまくいけば、15年はハラルビジネス元年となるだろう。

(この項 終わり)

2015年2月24日火曜日

化粧品、巨大なハラルビジネス進出で新市場創出(2)

同社の伊豆味きみ子社長は、「昨年末、当社の顧客である化粧品会社がついにイスラム圏への輸出を始めました。これを機に当社も、化粧品会社と協力して輸出を本格化していきたいと考えています。ハラル認証を受けた日本の高品質な化粧品を、世界中のマーケットに普及させたいのです」と意気込みを語っている。

巨大なイスラム市場


 ハラル市場の規模は、驚くほど大きい。イスラム教徒は世界に16億人以上いるといわれており、2014年7月15日付日経産業新聞記事によると、15年のハラル市場は1兆ドル(約120兆円)以上と報じられている。

 この巨大市場に、国家戦略として対応しようとしているのがマレーシアだ。マレーシアの人口は約3000万人で、そのうち60%以上がイスラム教徒である。マレーシア政府は、1970年代からハラルに対応する基準や認証規定を設け、イスラム諸国のデファクトスタンダードとして機能してきた。

 その結果、マレーシアのハラル商品の輸出は、13年に100億ドル(約1兆2000億円)に達したと、14年4月25日付日経産業新聞記事は伝えている。コスメティック・バーリィの商品が認証を受けている日本のハラル認証機関も、マレーシアの規定に準拠している。

(この項 続く)

2015年2月23日月曜日

化粧品、巨大なハラルビジネス進出で新市場創出(1)

伊豆味きみ子社長


化粧品のOEM(他社ブランドの商品製造)を手がけるコスメティック・バーリィという会社が、ハラル認証を受けた化粧品の製造販売業者として本格的に輸出を開始した。

 ハラル認証とは、イスラムが認定する適正な方法で処理・加工などが施された食品であることを表すものだ。厳しい戒律で知られるイスラム教徒たちは、イスラム教の教えにのっとってつくられた食品を手にすることを望む。これまで、食品に関するハラル認証は比較的知られていたが、「体につける」ということで、実は化粧品トイレタリーもその対象となる。

 そして、化粧品の分野でハラル商品製造の実績があるのが、日本ではコスメティック・バーリィである。同社は自社ブランドの化粧品を製造するのではなく、ブランドを有する化粧品会社からの委託で製造を行うOEMメーカーだ。一昨年から、日本居住のイスラム教徒向けに、ハラル認証を受けた化粧品のOEMを行ってきた。

(この項 続く)

2015年2月22日日曜日

ビッグホリデー 岩崎安利社長 特別講演2/28(土)

ビッグホリデーの破天荒経営
http://biz-journal.jp/2014/11/post_7490.html

18歳で旅行業界に身を投じ20歳で創業。その後アイデアと持ち前の行動力で、
不可能といわれることを次々と可能にされ、一代にして年商800億規模のグループ
企業に育て上げました。
業界が不況下にある今、多彩なアイデアと秘策を胸に、成長戦略を練り上げていらっ
しゃる現役社長の岩崎先生に、創業・挫折・挑戦・発展の50年の流れをお伺いしながら、
時間の許す限り個別相談・アドバイスをいただけるまたとない機会となっています!


◇開催概要◇
【日時】2015年2月28日(土)15:30-17:00
【会場】G-FIELD EBISU(経営者JPオフィスビル7Fセミナースペース)
【住所】〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-16-2 K&S恵比寿ビルII 7F
【聴講料】25,000円⇒ 特別価格:10,000円(税込)
【申込締切】2015年2月25日(水)
【お問い合わせ先】経営者JP事務局(
info@keieisha.jp)
今回は特別に、経営者ブートキャンプ第11期をご検討の方にもお申し込みいただけます!経営者ブートキャンプ第11期http://www.keieisha.jp/seminar150523.html

2015年2月21日土曜日

大塚家具、父娘げんかの原因は「2人とも経営が駄目だから」?娘社長のブレる経営迷走(3)

しかし、客数が減ったのに「売上高もその分減った、ということではない」(同記事)ともしており、つまり14年の大幅赤字は店舗を勝久方式に戻すための設備や経費の出費だったということである。

 以上より、結論としては「久美子方式も勝久方式も、両方とも駄目だった」ということになる。両者とも共同経営者として、売り上げを09年以降押し上げていない。「駄目だから、喧嘩してしまった」というのが正しい。

●「会社の再ポジショニング」という難題


 そのため、経営権を再び握った久美子氏が対峙しているのは、販売方法の模索ではなく、それを超えた「会社の再ポジショニング」という難題だ。
 経営学者マイケル・ポーター氏の「競争の3大戦略」に当てはめて分析すると、「コストリーダーシップ戦略」を取っているのはニトリとイケアであり、「差別化戦略」はカッシーナ・イクスシーだろう。久美子氏が描く大塚家具の戦略というと、焦点を絞り切れていない。
「本当はみんなちょっといいものを提供してくれるお店を求めているはずだ。(略)大塚家具は高級家具だけ、と思われがちだが、本当は幅広く扱っている。(略)今後はサービスそのものをビジネスにしていきたい」(同記事)

「競争の3大戦略」における3番目の戦略は「選択戦略」といい、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略のどちらかに絞るべきとしている。久美子氏のように全部をやろうとするのは駄目であり、どこかに自社をポジショニングしなさいと演繹できる。

「差別化戦略」を取っているカッシーナ・イクスシーは絶好調だ。12年の売り上げを15年にはほぼ倍増の100億円強にすると見込み、営業利益は6億円を超えるとしている。コストリーダーシップ戦略は取れないだろう大塚家具は、カッシーナ・イクスシーの戦略点にポジショニングするのも選択肢だ。

 ただし、差別化戦略点では顧客の絶対数は少なくなる。家具の場合なら富裕層だ。実際カッシーナ・イクスシーは国内に4店舗しか展開していない。 現在15店舗の大塚家具は、これを5店ほどに減少して大幅な利益増を目指すという戦略肢がある。父娘は、同社をどこに導いていくのだろうか。

(この項 終わり)

2015年2月20日金曜日

大塚家具、父娘げんかの原因は「2人とも経営が駄目だから」?娘社長のブレる経営迷走(2)

勝久氏が社長時代、大塚家具に買い物に行くと入り口受付で個人情報登録(入会申し込み)をさせられ、案内に付く店員が必ず割り当てられた。例えば「ベッドを買いたい」ということなら、大型店舗内のあちこちに置かれたベッドをくまなくかつ詳細に説明され、「これだけの選択肢があるならこれでいいか」などと、どれかは買ってしまうことになる仕組みだった。そして、それらのどれも実は安くはない値付けだったのを覚えている。

 久美子氏はこの方策を変え、オープンな入場方法に切り替え、来客トラフィックを増やそうとした。ところが、それによっても同社の年商は550億円ほどに減少し、低位安定的に推移してきた。14年に至りしびれを切らした勝久会長が、社長に兼任復帰したわけだ。
 勝久氏は直ちに以前の販売方法に舵を切り直した。結果は、財務的には悲惨なものだった。年商は前年比微減の550億円強だったが、営業損益は4年ぶりの赤字で、その額は4億円以上に上った。この結果を受けて、久美子氏が昨年末に社長再登板となったわけだ。

●駄目だから、喧嘩してしまった


 経緯を一見すると、久美子氏に軍配が上がったように見えるが、どうか。久美子社長は勝久氏の経営について次のように批判する。
「2014年10月に従来型店舗に変えた新宿ショールームでは、11月にサーモセンサーで人数カウントした結果、2013年に月間3万8000人だった来店客数が、14年には3万人へと2割以上も減った」(2月12日付東洋経済オンライン記事『速報!大塚家具、父・勝久会長が「退任」へ』より)

(この項 続く)

2015年2月19日木曜日

大塚家具、父娘げんかの原因は「2人とも経営が駄目だから」?娘社長のブレる経営迷走(1)

大塚家具(本社東京、ジャスダック上場)は2月13日、創業者の大塚勝久会長が3月で取締役から外れて経営から退き、長女の久美子社長に経営権限を集中すると発表した。同日、同社は久美子社長を中心とする新経営体制を「会社提案」として株主総会(3月下旬)に提出。同社筆頭株主でもある勝久氏は、この会社提案に真っ向から反対する「株主提案」を株主総会へ提出したが、17日にはこの株主提案を同社として反対することを取締役会で決議。

 世間の注目を集める、創業者会長である父と、外部で華麗なビジネスキャリアを積んできた娘との経営権争いは一旦収束の兆候を見せたが、勝久氏が18.04%の株を所有する最大株主ということもあり、いまだに火種がくすぶる状態が続いている。

 大塚家具は勝久氏が創業し、一時は日本最大の家具販売チェーンを形成するなど隆盛を極めていた。しかし、2007年までは700億円台で推移していた売上高は減少に転じ、外部にいた久美子氏を09年に社長に迎えたが、経営改革にいそしんだとされる久美子氏は14年7月に解任され、勝久氏が社長復帰(会長兼任)した。その後、今年1月には久美子氏が社長、勝久氏が会長という体制に戻り、冒頭の発表で勝久氏は経営から退くという経緯だった。

(この項 続く)

2015年2月18日水曜日

職の半分がコンピュータに奪われる?事務職、サービス業…中間所得層激減で貧富二極化(3)

雇用の将来』の結論は衝撃的だ。副題には「仕事コンピュータにどれだけ影響を受けやすいか」とある。アメリカにおける702の職種は、その度合いによって3つのグループに分けられる。そして、「多くの現在の職種がIT化によって影響を受ける」としている。「影響を受ける」とは「コンピュータに仕事を奪われるリスクが高い」ということだ。

両教授の推計によれば、全米で労働者の47%もが、この「高リスクグループ」に属するという。そしてこの「影響を受ける」ことが起きる年限としては、「10~20年」という時間枠のことだともいう。
 アメリカでの702職種のうち「高リスクグループ」に分類されたのは、例えば運送・物流業、事務職、秘書的な補助職、製造業の作業員などだ。さらに過去数十年間アメリカで増え続けてきたサービス業従事者も、このグループに含まれてしまうという。そして、このグループに分類された職種の中では、高学歴などもコンピュータ化に対して無力だ、ともしている。


 両教授のもう一つの推計は、「職の二極化」である。中間所得層が激減して、大多数が低賃金職か高所得職に二分される、というのだ。『雇用の将来』は、昨年来、欧米でとても注目されてきた。日本でもフランス経済学者のトマ・ピケティに次ぐブームとなるだろう。本格的な翻訳・紹介がまたれる。
 

※本稿は、九段クラブ1月例会での平田洋介氏の発表に負うところが大きい。記して謝意を表する。

(この項 終わり)

2015年2月17日火曜日

職の半分がコンピュータに奪われる?事務職、サービス業…中間所得層激減で貧富二極化(2)

人間の思考能力を脳の演算能力として考えると、脳全体のコンピュータ命令(0か1かの判断)は毎秒約10の14乗回程度の能力だと考えられている(『シンギュラリティは近い』<レイ・カーツワイル/NHK出版>)。

IBMのコンピュータである「ブルージーン/L」は、05年時の計測ですでに毎秒3.6×10の14乗回の演算能力があった。つまり、すでに私たちの能力はコンピュータに追いつかれ、将棋のような複雑なゲームでさえ太刀打ちできないほどの状況が現出しているのだ。

●コンピュータが人間の職を奪う?


「変なホテル」のようにコンピュータが私たちの仕事を、雇用を奪うという可能性を指摘した論文が欧米で話題になっている(『The Future of Employment(雇用の将来)』)。著者は、イギリス・オックスフォード大学のカール・ベネディクト、マイク・オズボーン両教授だ。
 2人が資料としたのは、アメリカ労働省の公開データベースである業務情報ネットワークだ。なぜイギリスの学者がアメリカ政府のデータベースを参照するかというと、同ネットワークはアメリカ国内で現在実在する職業を702も取り上げ、さらにそれぞれの職種の業務特性を約100項目も掲げ、それぞれの項目に数値段階を与えている。つまり、計量的に、とても扱いやすいデータベース資料となっているからだ。

(この項 続く)

2015年2月16日月曜日

職の半分がコンピュータに奪われる?事務職、サービス業…中間所得層激減で貧富二極化(1)

ハウステンボスが今年7月に開業する、その名も「変なホテル」には、チェックイン時の接客ロボット(3台)、コーヒーなどを運ぶサービスロボット(1~2台)、清掃ロボット(数台)などが配備されるという。写真がそのロボット。.

これによりホテルで最も経費がかかる人件費を従来の3分の1以下に抑えられるという。これは企業から見れば大胆なコスト削減戦略だが、従業員側から見ると、ロボット、つまりITシステムにサービス業の雇用が奪われる先例となる動きとして注目したい。

 映画『ターミネーター』(ワーナー・ブラザーズ)で描かれたように、コンピュータは人間の能力を超えるのか、そして敵対するまでになるのか?

1997年に、チェスの世界チャンピオンのガルリ・カスパロフとIBM製コンピュータ「ディープブルー」が対戦しし、ディープブルーが2勝1敗3引き分けで世界チャンピオンを破ってしまっている。将棋の場合は、取った持ち駒を使うことができるという一段の複雑さがあるので、コンピュータが人間を破ることは至難のことだと考えられていた。ところが2014年、プロ棋士5名がコンピュータと戦う「電王戦」で、人間が1勝4敗でコンピュータに敗れてしまった。

 人間の思考能力を脳の演算能力として考えると、、

(この項 続く)

2015年2月15日日曜日

任天堂、もう沈みゆくしか道はない(3)

●組織全体に刷り込まれた「価値基準」


 任天堂は、スマホゲームに参入できる、そして制覇できるすべての経営資源を有しているにもかかわらず、なぜ参入しないのか。
 岩田社長の言動は「成功の復讐」的に解説することもできるが、「イノベーションのジレンマ」的には同社の組織全体に刷り込まれた「価値基準」がローエンドへの参入意思決定を阻止していると説明できる。デジタル・カメラを発明したのはコダックだったが、銀塩フィルムのトップメーカーだったコダックはデジタル・カメラに力を入れることなく倒産してしまったのと同じだ。

 このような構造の中で、任天堂が選択できる企業戦略としてはM&Aである。同社の財務諸表を見ると、現金と有価証券でなんと約9000億円も保有している。これを有効活用して、世界中のゲーム開発会社や関連するIT企業を早期に10社以上買収することだ。そして同社に統合することなく、それらの会社を活性化させてローエンド・セグメントを席巻する。人事交流は行わないほうがいい。任天堂本社の現在の「持続的イノベーション」のモメンタム(惰性)が、それらの「破壊的イノベーション」を担当すべき企業の風土を阻害してしまうからだ。

 だが、このような戦略的な打開策を任天堂は採用することができない。なぜなら、岩田社長自身が現在の同社の「価値基準」の創出者であり、専用ゲーム機ビジネスのアイコンだからだ。経営者が替わらなければ新しい戦略を選択できない典型的な事例でもある。「大きな時代の終わりは加速している」のである。

(この項 終わり)

2015年2月14日土曜日

任天堂、もう沈みゆくしか道はない(2)

11年に任天堂上場後初の赤字決算見通しを発表した際、筆者はブログ記事『任天堂 岩田聡社長 潮目の会見』(11年10月28日)で 「大きな時代の、終わりの始まり」「任天堂のような専用ゲーム機の時代は終わりはじめた、と思う。時代はスマートフォンスマホ)でのゲーム提供となっていくだろう」と分析した。

専用ゲーム機とスマホゲームの関係は、米ハーバードビジネススクール元教授クレイトン・クリステンセン氏の著書『イノベーションのジレンマ』に載るべき典型的な事例なのだ。

 任天堂は専用ゲーム機というセグメントの中で、ひたすら勝者になるべく、使い勝手や魅力的なゲームソフトの開発、見やすい画面などの改良に励んできた。つまり同書でいう「持続的イノベーション」(よりよい製品を既存市場にもたらす)だ。ここでの競合はソニーのプレイステーションや以前のセガのゲーム機などだった。

(この項 続く)

2015年2月13日金曜日

任天堂、もう沈みゆくしか道はない(1)

任天堂が1月28日に2014年度第3四半期(4-12月)の決算を発表した。営業利益が316億円と黒字を計上したのは、実に4年ぶりのことだという。しかし、同社の事業が実質的に改善したというわけではない。というのは、今期の損益改善は、13年度に据え置き型ゲーム機「Wii U」の在庫損を一括処理した恩恵によるところが大きいからである。

 14年度(15年3月期)通期決算予想としては、営業利益を400億円程度の見込みから200億円へと下方修正したが、果たして通期での黒字達成は可能なのだろうか。

今回の決算発表を受けて、年末商戦での不調などと関連して任天堂ゲーム機個別製品の競争力分析が数多くなされているが、同社の不調は構造的なものであり、経営者が変わらない限り状況は変えられないと考えられる。また、経営者が変わったとしても、実は同社の構造的問題から状況改善が難しいといえる。

(この項 続く)

2015年2月12日木曜日

三巨頭会談 新年会 開催さる

 新将命(あたらしまさみ)さんとは、21年前に私が著書を上梓したときに帯に推薦文を書いていただいて以来のお付き合いだ。
箱田忠昭さんとは、33年前に私を転職面接で落として、ヘッドハンターを紹介していただいた以来ご指導いただいている。
箱田さんが新卒で日本コカコーラ社に就職したとき、マーケティング部門で上司が新さんだったという。

この三十年間、三人で計200冊近くの著書を世に問うてきた。三人とても親しく、年に何回か会食することにして、それを「三巨頭会談」と2先輩は呼んでいる。

昨夕は、銀座資生堂パーラーで歓談。お二人ともとてもお元気で盛ん。この会談を長く続けていきたい。

2015年2月11日水曜日

介護のための退職者、年間10万人(3)

●重要な経営課題である「介護によるキャリア中断」


 昨年11月に発表された明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団の調査によると、介護を始めた人の50%以上が1年以内に会社を辞めている。もちろん、介護の必要度や状況はケースバイケースなので一概にはいえないが、会社にとって最大の問題は経営の舵取りではなく、実は従業員たちの介護問題なのかもしれない。
 同調査では、介護のために転職した場合、男性の約30%、女性の約60%が非正規雇用であり、年収は約半分に減少するケースもあると伝えている。また、これらはあくまで従業員の話で、経営者の場合は介護問題を抱えながら別の会社の社長に就任するというわけにはいかないだろう。幹部などの要職でも同じことだ。そうなると、会社は最も有為で必要な人材を失うことになる。これは、社会全体で考えても大きな損失であろう。
 総務省の就業構造基本調査によると、介護や看護のために退職する人は年間10万人を超えている。また、仕事と介護を両立している人は約240万人という多さだ。
 このような「介護によるキャリア中断」は多くの場合、従業員の視点から語られてきたが、実は会社にとって最も重要な人材である経営者や幹部社員たちに襲いかかってきているのが現状である。これからの時代に最優先すべき経営課題といえるだろう。

(この項 終わり)

2015年2月10日火曜日

介護のための退職者、年間10万人(2)

それから、Iさんは週末になると新潟の実家に戻り、母親の世話をする日々を続けた。父親を亡くしてからの母親は、喪失感からか一気に老いが進んだ感があり、物忘れも激しくなっていったという。
 Iさんは「体力的にはまだなんとかなっているのですが、母を1人にさせておくのがすごく心配になりました」と退職の理由を語る。現在、横浜で妻と2人暮らしをしており、Iさんは横浜での同居を希望しているものの、老齢の母親は都会暮らしを不安に思って拒否しているようだ。一方、Iさんの妻は60歳を過ぎていきなり姑を抱え込むことに難色を示している。

「結局、自分が実家に戻って母を介護することにしました」。Iさんは決断し、昨年末に会社を退職した。社長から一転して、介護のための単身赴任者となったのである。

 
 また、大手金融機関で年金問題の専門家として名を馳せたEさんも、老親の介護のために退職せざるを得なかった。Eさんは退職後、社会保険労務士として自宅兼事務所で開業している。
 IさんやEさんのように、働き盛りでなおかつ経営者や専門家であっても、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護によるキャリア中断」が社会問題となっている。会社の中で最も責任が重く重要なポジションを担っているのは、多くが50代から60代だ。しかし、この世代は親が80代から90代となっており、最も介護の手が必要な状況にある。


(この項 続く)

2015年2月9日月曜日

介護のための退職者、年間10万人(1)

先日都内で菓子の卸問屋を営んでいるIさんから退職のあいさつを受けた。Iさんの会社は社員15名ほどの規模だが、菓子メーカーの親会社は東北地方に工場を持ち、グループの年商は20億円、社員は約150名在籍している。

 Iさんは親会社で部長を務めた後に定年となり、子会社の社長に就任した。当時60代のIさんは、経営者としての意欲や体力にはまったく問題はなかったという。
 しかし、故郷の新潟で健在だった父親が昨秋に急病で亡くなり、90歳近い母親が1人になってしまった。それから

(この項 続く)

2015年2月8日日曜日

新将命特別講師、経営者ブートキャンプに降臨

経営者ブートキャンプの2月7日(土)は、第10期の第5講に当たった。授業は10時からあったが、14:45から新将命講師の特別セッションが開始した。

1時間半、「勝ち残るリーダーの条件」というテーマでお話ししていただき、その後15分私の司会でクラスから質疑を受けた。特別講師セッションのみOBの参加を認めていて、OBの参加者からも活発に質問がでて、QAセッションは心地よくスイングした。

休憩の後、戦略策定のグループセッションにコメンテーターとして特別参加して貰う。発表順番に当たった社長さんは大感激。1時間にわたり、他の2名の参加者コメンテーターと共に新講師に絞って貰った。4名グループ以外、他の参加者は、この時はグループ・パネルを聴講する形式。聞いている方も新講師の助言、コメントにとても感心。皆さん全員に満足度の高い一日となった。

2015年2月7日土曜日

大躍進牽引のスシロー、豊崎社長電撃退任 「成長しきった」同社、成長余地小さく前途多難(3)

●次期社長を待ち受ける困難

 しかし、順調に成長してきたスシローは、12年9月にペルミラへ約10億ドルで売却されてしまう。ユニゾンはこのエグジットで約540億円の売却益を得たと報じられている。これを機に、ユニゾンから出向・転籍していた経営陣は、加藤氏を除き全員スシローから引き揚げてしまった。ユニゾンからの派遣経営者だった加藤氏も、14年2月に退社に至った。
 投資ファンドからの派遣経営者の立場は筆者も経験したが、派遣元だった資本家が撤退してしまうと、次の新しい資本家となじめないことが多い。新たなファンドとしても、別の経営者を自社で選抜して送り込みたいものだろう。そこで加藤氏が阿吽の呼吸で退職したと思われるが、スシローを大躍進させたというトラックレコードを引っ提げ、次の就任先も引く手あまただろう。

一方、新社長として送り込まれた水留氏は大変だ。業績が良くてうまくいっている会社を引き受けるのは、企業再生より難事だからである。前経営陣は同社を日本一にのし上げてしまった。業績は拡大しきって、成長速度は遅くなってきている。
 回転寿司の一業態、国内の特定市場という組み合わせのままでは、スシローのさらなる発展の余地は少なくなってきている。この状況で着任したプロ経営者、水留氏はどんな戦略を選択し展開していくのか。とても興味深いところである。

(この項 終わり)

2015年2月6日金曜日

大躍進牽引のスシロー、豊崎社長電撃退任 「成長しきった」同社、成長余地小さく前途多難(2)

豊崎氏のスシローでの経営実績は誇れるものだ。高卒で辻調理師専門学校へ入り、すし職人としてスシローの前身「鯛すし」へ就職して以来同社一筋、職人として頭角を現し、取締役営業部長を経て2009年6月に社長へ就任した。

 スシローは03年に東証二部に上場していたが、投資ファンドのユニゾンが08年にTOB(株式公開買い付け)により最大株主となり、09年4月に上場廃止した。新オーナーとなったユニゾンは、豊崎氏の職人技能とすしビジネスへの造詣を評価して社長に抜擢した。

しかし、投資ファンドとしてリスクマネーを投下したユニゾンは、スシローの経営に保険をかけた。それが、豊崎氏を補佐する経営人材、加藤智治氏の専務起用だった。大手経営コンサルティング会社マッキンゼー出身の加藤氏は理路整然と経営戦略を練り、現場上がりの豊崎氏はメニューや仕入れに目を光らせ「うまいすしを腹いっぱい」という職人魂を追求。2人のツートップはバランスの良い補完関係を築き、11年9月期には1店当たりの年間売り上げが3億円を超え、「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトホールディングスを抜いて回転寿司業界の首位となったのである。

(この項 続く)

2015年2月5日木曜日

大躍進牽引のスシロー、豊崎社長電撃退任 「成長しきった」同社、成長余地小さく前途多難(1)

スシロー」を展開しているあきんどスシローが、1月15日に社長交代を発表した。2月1日付で水留浩一氏が新社長に就任する。水留氏は外部から招請される、いわゆる「プロ経営者」だ。日本航空副社長やアパレル大手ワールド専務などを歴任し、複数企業の再生フェーズにおける経営を経験している。

代表権を返上して取締役最高顧問に退く豊崎賢一現社長は、会見で「豊かな国際感覚、経営のプロとしてのノウハウ、ビジネスマンとしての高度な経験、明確なビジョンを語れる先見性。この4つを兼ね備えた方を株主と協力して探した」と説明した。

 豊崎氏のいう株主とは、外資系投資ファンド、ペルミラである。ペルミラとしてはスシローのプロパーであり経営経験が長くなった現社長をあえて外して、新社長に全権を付与しようという意向なのだろう。

(この項 続く)

2015年2月4日水曜日

セブン&アイ、株価下落の元凶“お荷物”ヨーカ堂を即刻売却すべき(3)

一方、イトーヨーカ堂事業は、営業収益がセブン事業の約半分で、営業利益は計上しているが収支トントンの状態。加えて、対前年比で44.6%減と急速に収支が悪化している。GMSという業態の構造的なスランプについては、本連載記事『イオンに異変、業績悪化で株価急落 総合スーパー、消費者離れ深刻化で迫る終焉』でも触れたが、イトーヨーカ堂も例外ではない。年を待たずして赤字部門に落ち、セブン&アイ・グループの大きなお荷物になることは必至だ。

 上記のセグメント別業績表からイトーヨーカ堂を除いたら、セブン&アイHDの業績はどういう景色となるだろうか。売り上げ約3兆円、営業利益約2400億円の大優良グループが出現する。
 セブン&アイHD会長兼CEOで現在の同グループの繁栄を築いた鈴木敏文氏の最後の大仕事は、イトーヨーカ堂の売却ではないか。そして、それにより得られる数千億円あるいは兆円単位となるキャッシュ相当資産を駆使して、セブンのチェーンを世界中に一挙展開することだろう。イトーヨーカ堂は同グループにとっての祖業だからこそ、従業員経営者である鈴木氏でなければできない「最後のご奉公」がそこにある。

(この項 終わり)

2015年2月3日火曜日

セブン&アイ、株価下落の元凶“お荷物”ヨーカ堂を即刻売却すべき(2)

今回の決算と株価の動きによって、コンビニエンスストア事業であるセブン-イレブンと、GMSのイト-ヨーカ堂の組み合わせの齟齬が大きくあぶり出された。連結決算をセグメント(ビジネス領域)別の数字に分解してみると、問題点は明らかだ。
【14年3月~11月期 セブン&アイHD業績】
※以下、セグメント:売上高(前期比)、営業利益(前期比)、グループ全体における営業利益構成比
・セブン-イレブン事業:2兆751億9400万円(8.6%増)、2096億3700万円(6.1%増)、84.0%
・イトーヨーカ堂事業:1兆4871億7400万円(0.2%増)、94億5200万円(44.6%減)、3.8%
・金融関連事業:1337億6600万円(12.9%増)、369億6600万円(7.3%増)、14.8%
・その他の事業:8056億1700万円、▲66億円、▲2.6%
・合計:4兆5017億5100万円、2494億5500万円、100%


●鈴木敏文会長の最後の大仕事

  今回の3四半期分の決算の中でセブン事業は好調で、コンビニ大手3社の中でセブンだけが既存店売上高が前年同期比2.4%増で、ローソン、ファミリーマートはそれぞれ同1.4%減、1.5%減だった。コンビニやさまざまな業態の積極的な出店による販売シェア争いが激化しているし、消費増税の影響がある中でセブンだけが既存店のプラス基調を維持している。

(この項 続く)

2015年2月2日月曜日

セブン&アイ、株価下落の元凶“お荷物”ヨーカ堂を即刻売却すべき(1)

 2014年3~11月期の連結決算発表を受けて、2大流通企業であるイオンセブン&アイ・ホールディングス(HD)がそろって株価を下げた。両社とも1月9日に発表を行ったが、翌営業日13日の株価はイオンが6%安、セブン&アイHDが3%安となった。3~11月期9カ月間のセブン&アイHD決算は、営業収益が4兆5017億5100万円と対前年同期7.5%の増収、営業利益は2494億5500万円で同0.1%増だった。増加分はわずかとはいえ、同時期の営業利益としては過去最高となった。

 にもかかわらず株価が下がったのはなぜか。業績が芳しくなかったイオンの株安に連られての「連れ安」の要素もあるだろうが、市場がセブン&アイHDの「企業組み合わせ」、つまり事業ポートフォリオに対して低評価を下した、もしくは疑問を感じ始めたと受け取るべきであろう。具体的には、同グループの中に総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂を抱えていることに、大きな戦略的課題があるといえる。

(この項 続く)

2015年2月1日日曜日

香港 再訪

2年ぶりに香港に遊ぶ。往復のキャセイは満席。ところが日本人旅行客は数えるほどで、ほとんどが香港からの旅客。香港の繁華街も、日本人の買い物客は少なく、本土中国からの観光客で溢れていた。

昨年末のデモや座り込みの余燼は感じられなかった。私が最初に外遊した海外でもあり、長く香港ウォッチャーとして研究もしてきた地域だ。1997年に英国から中国への返還セレモニーがあったコンベンション・ホールを懐かしく見た。あの時、あの場所で私も取材特派員としてセレモニーに参加していた。初代行政長官 董建華 (Tung Chee Hwa)と個別に会見したのもそこだった。

香港や華僑型経営については多数の記事や論文(英語のものも)を書いた。まとまったものとしては、『華僑 最強の家業経営』(日本実業出版社)がある。経営学的に華人経営を説明、分析した書としては今でも価値を有しているかと思う。