2011年7月28日木曜日

「超実践的 経営戦略メソッド」8/24 刊行決定



日本実業出版社に預けた原稿は、先週再校赤入れも終了した。タイトルも表題のように決まり、私の手元には表紙のデザインが本日届いた。

6月に出した共著「プロフェッショナルリーダーの教科書」(東洋経済新報社)のことを、このブログで先行告知したら、愛読者の方から「次の本ではオリジナルなエピソードを披露してくれ」との希望コメントの書き込みがあった。幸い「プロフェッショナルリーダーの教科書」の評価も、アマゾンの読者レビューを見る限り大変高いものとなった。

今度は単著でもあり、プロレス的な表現で言えば、「開けていなかった引き出しを幾つか開けてみた」状態だと自負している。著書のタイトルは例により出版社が決定するのだが、何か自信に満ちた感じだし、経営現場の話と経営戦略セオリーの話がカバーされているような感じのタイトルに聞こえはしないだろうか。、、、そう、その通りなのだ。乞うご期待。

2011年7月23日土曜日

SMBCコンサルで部長力強化セミナー「戦略」と「コミュニケーション」



SMBCコンサルで、ほぼ3月おきに実施している公開「部長力強化セミナー」。今回も午前中は部門戦略の立て方、午後は部門長のためのコミュニケーションの方法と2講。実際には両方とも出てくれる方が多数。

アンケートとしては、午前中は殆どが「とても役に立った」(5点法では5点)と最高レベルの評価。午後の方は数名が「役に立った」(5点法の4点)以外は「とても役に立った」。

公開の部長向けセミナーとしては、秋にもみずほ総研で出講することになっているので、「戦略立案セミナー」と並んで、定番的なメニューとなってきている。

2011年7月22日金曜日

数兆円企業の小会社経営者への講演




6月の株主総会で、今年も多数の新取締役が選任された。

日本を代表する某大手企業から、関連小会社での新経営者、新役員たちに向けてこの時期に開講している6日間セミナーの最終講での講話を頼まれた。「いわばオオトリでよろしくお願いします」と言われる。この規模のグループ会社の社長連への講演としては、NTTグループでの軽井沢トップセミナー以来である。

本社から出向というか、派遣される形の新経営者の皆さんだという。私の体験談、エピソードを出来るだけ話して欲しい、とのコトなので「新しい会社で私がやったこと」というのをタイトルにした。

1時間半話し、30分間質問を受けた。新任経営者としての立場からの質問が続き、活発な応答となった。
「悩むな、考えろ」
というアドバイスが通じたのなら良いと思う。

2011年7月17日日曜日

星野リゾート社長に大躍進の軌跡を聞く(2)

私は「組織が最重要戦略」と著述している。リゾート再生経営者である星野氏も同様な信念だった。

星野氏は、グループがまだ小規模だった時代の最大の懸案が人材の獲得と定着だったことを明かした上で、それへのコン本対応策として「4つのキーワード」で説明できる経営技法に至った、とした。それらの4つとは以下の通り。
1.コンセプトの共有
異なる各事業現場で、それぞれに適した経営コンセプトを作成し、社員達としっかり共有する。
2.フラットな組織文化
議論は擡頭に、意思決定は責任者が。
3.醍醐味満喫
それぞれの現場での労働から働く醍醐味を各自が満喫できるようにする。
4.自分でコントロールするキャリア
いくつものキャリア・パスのオプションを会社で制度として用意して上げ、社員への支援プログラムも提供している。

大変気に入ったので、経営者ブートキャンプでのクラスでも教材として取り上げることにした。

「反社会学講座」パオロ・マッツアリーノ書評88


(株)イースト・プレス、2004年刊。

何が言いたいんだか。本書はいろいろ突っ込みどころがある。

まず、著者。イタリア生まれの30代で日本で教鞭を執る、とあるがそんな本名の学者は存在しない。グループによる「XX委員会 編・著」の亜流と思われるが、そのわりに6-7冊も著書がある。

タイトル。「反・社会」的な強いアジテーションの本かと思ったら、「反・社会学」つまり従来の社会学の主張などをあげつらうだけという弱い内容でがっかり。今までの社会学の主張の陥穽を突くということを目指すのなら、「常識の嘘」的なことの指摘が期待される。「エー、そうだったの」という驚きをもたらして欲しい。

冒頭第2章で「実は少年の凶悪犯罪は昔に比べれば減っている」という資料が示されているが、そのレベル(これも強い驚きとまでは行かないのだが)の指摘の提出が続かない。取り上げている内容も雑多に渡ってしまい、いよいよ複数の社会学者(それも単著も出せず、本名で共著を出すレベルではない)による執筆によるテーマの分散かと疑われる。

読み終わって、「はて、この著者が言いたかったことは何なのだろう」と首をかしげた。

2011年7月16日土曜日

経営者ブートキャンプ 第3期第3回 「プロフェッショナルリーダーの教科書」




本日より、「プロフェッショナルリーダーの教科書」(東洋経済新報社、新刊)を文字通り公式副読本として使用開始。第1章「成長戦略」第4章「競争戦略」をそれぞれの報告者が報告、クラス討議、私の解説講義という形で2時間半。

経営戦略策定セッションをグループ討議で分かれて2時間。締めは池本克之講師が第3章「マーケティング戦略」を1時間半。

終わって、皆で夕食会に繰り出す。充実感と学びに富んだ1日を嘉した。

次回の課題図書は何と、「八甲田山死の彷徨」(新田次郎)。これを二人の参加者が、「南」と「北」あるいは「生還」と「遭難」に分かれて報告して貰う。サブリーディングは「エンデュランス号」(シャクルトン)。分かる人には、ずいぶんセンスの良い読書課題だと表貰えるはずだ。

2011年7月15日金曜日

学習院大学漕艇部 東日本選手権で優勝



母校の一つ、学習院大学のボート部から連絡があり、先日行われた東日本選手権で舵手付きフォアで優勝したという!舵手付きフォアとは写真のような艇。

漕艇競技で使用される船には大別2種類有り、片側に出ている1本のオールを漕ぐの「ロー・ボート」、一人の漕手が左右2本のオールを漕ぐのが「スカル」という。カヌー、カヤックは全く別種の競技である。

それにしてもこのような朗報は40年ほど聞いたことが無い。女子スカルの部では強い選手が出た時代もあった。ロー・ボートの分野では私が大学2年の時に同じく舵手付きフォアで全日本ジュニア選手権で優勝して以来のことだ。私は3番という席を漕いだ。当時は全日本学生が中断していて、その上がいきなり全日本選手権だったので、全日本ジュニア選手権(大学2年生あるいは社会人20才までの出漕)が実質的なインカレだった。

学習院大学漕艇部の躍進を願う。

2011年7月14日木曜日

星野リゾート社長に大躍進の軌跡を聞く(1)



恒例の(第114回!)「全国経営者大会」(日本経営開発協会)が3日間に渡り帝国ホテルで開かれ、例により何百人もの経営者の方が参集して20にも登るプログラムで勉強していた。私も、2日目に個別の経営相談会を受けるように依頼され、参上した。時間の合間に、一コマだけ星野リゾートグループのオーナー社長、星野桂路氏の講演を聴く。

星野氏はコーネル大学院を卒業し、軽井沢の星野温泉に着任し、やがて2代目オーナー社長に就任する。新社長として星野温泉のてこ入れに成功し、その後日本全国のリゾート施設の運営受託を手がけ、現在では22宿泊施設(ホテルおよび旅館)と3つのスキー場を経営するに至っているという。それらの観光施設の規模や価格体系、地域などは皆バラバラだそうだ。

リゾートなどにおけるそれらの観光施設における近年の傾向の一つは、「所有と経営の分離」ということで、星野リゾートグループは、「資本家からの委託を受けて、フィー・ベースと成功報酬インセンティブで経営のみを請け負う」というビジネスモデルで急成長してきたそうだ。

その成功の秘密について氏が語ったことについては次回に書く。

2011年7月11日月曜日

「柳井正未来の歩き方」大塚英樹書評87



講談社、2010年刊。柳井正へのインタビューを1冊とした。

柳井正が饒舌で明晰なことに改めて驚く。大会社の社長でこんなに自ら露出、発言を厭わない経営者は珍しい、というか他に知らない。

でも、大したものだよね。松下幸之助亡き後、発信力と影響力をふるっているのは柳井正だ。系譜としては、本田宗一郎、盛田昭夫、中内功に連なる。つまり、小企業を一代で日本を代表する大企業に育てた創業経営者だ。正確に言えば、柳井は2代目だが、まあ実質的に創業者と言ってよいだろう。

オーナー経営者なので、自分が好きなようにリーダーシップをふるうことが出来るわけだが、これから先、ポスト柳井の体制を取れるのだろうか。中内功は何度も経営復帰をしてしまって晩節を汚してしまった。柳井は玉塚氏を社長にしてまもなく解任してしまっている。

しかし、柳井の経営信条には学ぶべきところがとても多い。その合理主義経営や自己否定哲学などである。一読の価値があるビジネス書だ。

2011年7月8日金曜日

「貞観政要」呉競(2)書評86

本書のテーマは、「創業」と「守成」である。唐の太宗帝は2代目だが、父高祖帝を補佐して唐王朝を実質的に確立した。つまり「創業」した皇帝である。

「創業」の後、このファミリー・ビジネスが長期維持されるように、種々の施策を行った。それが「守成」である。「創業」と「守成」でどちらが難い事業であろうか。太宗帝は「守成」の方が遙かに難しいとして、人事、善政を心がける。高官達との対話録の形で多くのレッスンが語られている。徳川家康なども本書を研究して徳川300年の礎を築く助けとしたという。

今日本書がビジネス・シーンに引きつけられて読まれるのは、一つにはリーダーシップや組織論との絡みだろう。しかしより直截的には創業社長の立場を太宗帝に重ねられるのではないか。

私のような雇われ社長は、「創業」と「守成」は別の経営者の役割などと割り切って考えてしまう。しかし、創業社長は、事業承継も含めて逃げ場がない。となると、一人の経営者の中に、これら二つの要素を取り入れて考えざるを得まい。特に事業の伸展が進んできた後半期ともなれば。

図書(46)で「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」武井一喜をとりあげた。こちらの方も関連して参考と成ろう。本日のブログ・タイトルからリンクを張った。

2011年7月6日水曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載 終了



前回、第18回をもってこのシリーズの連載は終了です。

現在、三菱UFJコンサルの企業向け配信サービスで、別のシリーズの月次連載を展開しています。こちらの方が終了次第、ブログ転載可となりますので、10月あたりから再開する予定です。

2011年7月5日火曜日

「経営幹部が会社を潰す!」連載(18)



◆最強の経営チームを組成しよう
何人かの幹部を更迭したら、その代わりを中堅の部長職あたりから抜擢する。執行役員クラスの、経営チームの末席でよい。その抜擢基準については、本連載の第4回目(2011.
2.4 No.11-023)に示した。
「強い、役立つ幹部」は畢竟(ひっきょう)、「戦略力」を持っているか、これから持ち得るかにかかっている。
幹部になろうというほどの社員なら皆、「リーダーシップ」や「コミュニケーション能力」には優れている。差が出るのは、「戦略の立案力」という分野だ。
経営チームの全員が優れた戦略立案力を発揮できるような幸運は、多くの企業には起こらないだろう。実際には、それぞれの幹部たちの各能力の特性と限度を見極めて、うまい組み合わせを実現することが必要だ。
会社において「組織」はとても重要だが、中でも経営チーム内部の組み合わせが一番肝心なところとなる。それが、「経営幹部が会社を潰す!」として連載してきた所以である。
最後に、経営者自身も勉強してぜひ「戦略の立案力」を身につけて欲しい。これが「経営力」として決定的に重要な分野である。私自身も、自分が主宰している経営者塾(HP参照http://senryaku.p1.bindsite.jp/)で重点的に指導している。

「貞観政要」呉競書評86



著者は呉競、編訳者は守屋洋、徳間書店、1975年刊。
図書81(6月12日)で「帝王学 貞観政要の読み方」(山本七平、日経ビジネス文庫)を取り上げたところ、「こちらの方を読むように」として本書を強く推挙された。まあ、「帝王学、、」の評については、どちらかというと山本七平の方に興味が傾いた向きがある。本書の方がオリジナルとの近さという点では勝っているのだろう。

どこが勝っているかというと、呉競が著したという漢文(白文:レ点の無いもの-レ点と書いても分かる人の方が少ないだろうが)と、その読み下し文を掲げているところだろう。この両方について、編訳者の守屋は
「漢文愛好家への配慮であって、一般の読者はこの部分をとばして読んでいただいていっこうにかまわない」
としている。
守屋のその他の役割は、オリジナルの漢文の訳文を掲げていることと、各項目で解説を書いていることである。まあ、分かりやすい構成だ。
ただし「解題」で
「古来から、帝王学のほとんど唯一のテキストとして珍重されてきた秘密」
という表記は、東洋学者の牽強付会で、西洋には本書に対応すべき「君主論」(マキャベリ)があることはいわずもがな。「君主論」の書評も本ブログで取り上げていて、本日のタイトル・クリックでリンクを張ってある。

内容に入る前に字数が尽きたので、もう1回取り上げる。

2011年7月4日月曜日

三遊亭 勉強会 小咄四題を発表



三遊亭圓窓師匠に、インサイトラーニング所属の講師10名が稽古を付けて貰う、今日は2回目。今期が第2期で、初参加が半分の5名。初参加者は恒例として小咄を披露して、師匠から公開稽古を付けて貰う。

私もデスクの上に座布団を引いた稽古高座に座り、20分ほど特訓を受けた。「春の七草」から「セリ2題」、「秋の七草」から「女郎花」、そして「鼠の嫁入り」。イヤー、小咄でこんなに絞られるのに、来月当てられている「変わり目」は古典で、その前の方の一部分とはいえ、20分以上を披露しなければならない。

本日は、圓窓師匠の紋が入った手ぬぐいと、扇子を購入した。いずれも落語につきものの小道具。

「おっ、山田君、扇子を仕入れたんだね」
「はい、落語の扇子をあげたいんです」

お後がよろしいようで。

2011年7月3日日曜日

「フォーカス」アル・ライズ書評85




海と月社、2007年刊。

原書は1996年刊で、著者の処女出版。
以前に同じ著者の「マーケティング脳vsマネジメント脳」を図書41として取り上げ、酷評した(本日のブログ・タイトルからリンク)。「経営者を左脳(論理的)思考者、マーケターを右脳(感覚的)思考者と都合よくかつ根拠なく分類し、ポイントを先鋭化して論を立てている」など指摘した。

処女作では、「偉大な経営者はマーケティング上がりが多い」との記述が初めの方にあり、「いよいよご都合主義のコンサル作家か」と眉をひそめた。

しかし、読み進むにつれ、本書の方には評価が高まった。その才能を示した処女作を終世超えられず、あとは最初のものの焼き直しで終わってしまう芥川賞作家って結構居る。この著者とこの著作ももしかしたらそのようなものかも知れない。

どこがよいかというと、「フォーカス」って北米版ランチェスター戦略なわけだ。ランチェスター戦略はカタカナを使っているが、純粋の和製セオリーでかつ学会セオリーでないこともあり、海外では評価以前に全く知られていない。もしかしたらアル・ライズはどこかでランチェスター戦略を仕入れたのではないかと思われるほど、彼の主張はランチェスター戦略に引きつけて理解することが出来る。そして、その主張を証明する、欧米での有名企業の事例をとてもたくさん紹介している。だから、説得力もある。

日本の誰かが、ランチェスター戦略の欧米文献を出すと良いのでは。学問的には意味のあることになると思うのだが。

フィリップス ライティング 同窓会



フィリップス時代の部下の人たちが夕食会を開いてくれて、参加。

秘書だったAさんが定年退職で引退したこと、マーケティング・マネジャーだったTさんがアメリカの著名外資のマネジャーに就任したこと、私の新著のことなどを祝う主旨。その他に、ドイツの外資の社長を勤めているMさん、1部上場企業で要職を務めているN女子が参集。

Aさんの退任により、ついにフィリップスで現役の人は居なくなった。皆、所属は変わってきたが、それぞれに活躍してきてくれたことは嬉しい。

2011年7月1日金曜日

サンダーバード日本同窓会



先週、伊藤さんという方からメールをいただいた。母校サンダーバードの日本同窓会長に新任されたという。そのメールは、同窓生のメーリング・リストという形で同報配信された。伊藤さんのアドレスもあったので返信したところ、「山田さんは昔同窓会長をなさっていた方ですか」などのやりとりがあった。

3回目のこちらからのメールで、今回の新著のことと、経営者ブートキャンプのことをお知らせして「数名のサンダーバード卒業生も来ているのでよければ(ブートキャンプの)サイトを覗いて欲しい」とご案内した。

すると、面妖なことに
「これは何というメールか。私はあなたのメーリング・リストに乗せて良いというような許諾をした覚えはない」
という返事が来て、つまり「以後つつしんでほしい」との剣幕だった。

私は、「(卒業生であるあなたに)ブートキャンプのことをお知らせしようと思ったわけですけど」
と返答した。

おかしな成り行きである。そもそも最初に連絡が来たのが伊藤さんからのメーリング・リストで私はそれに収載される許可を出していない。アドレスは本校から手に入れたと言っているが、それも許可していない。

そもそも伊藤さんが同窓会長に選出されたプロセスに、卒業生である私は知らされていない(別に元同窓会長だからということではない)。だから、私たちのアドレスを扱うどのような正当性が確保されたのか。「自称」ではないかと言われたらどうするのか。

次に私が出した案内は伊藤さん向けのもので、メーリング・リストではない。元同窓会長から新同窓会長への好意的なお知らせをなぜ素直に聞けないのだろう。

卒業生で私の著作を読んでくれていたりするひとが多いのは事実だ。同窓会のネットワークで、卒業生の著作情報をやりとりすることを何を嫌悪することがあるのだろう。同窓会長という立場とはあまり整合性のない反応だったと思うがどうだろうか。