2011年7月8日金曜日

「貞観政要」呉競(2)書評86

本書のテーマは、「創業」と「守成」である。唐の太宗帝は2代目だが、父高祖帝を補佐して唐王朝を実質的に確立した。つまり「創業」した皇帝である。

「創業」の後、このファミリー・ビジネスが長期維持されるように、種々の施策を行った。それが「守成」である。「創業」と「守成」でどちらが難い事業であろうか。太宗帝は「守成」の方が遙かに難しいとして、人事、善政を心がける。高官達との対話録の形で多くのレッスンが語られている。徳川家康なども本書を研究して徳川300年の礎を築く助けとしたという。

今日本書がビジネス・シーンに引きつけられて読まれるのは、一つにはリーダーシップや組織論との絡みだろう。しかしより直截的には創業社長の立場を太宗帝に重ねられるのではないか。

私のような雇われ社長は、「創業」と「守成」は別の経営者の役割などと割り切って考えてしまう。しかし、創業社長は、事業承継も含めて逃げ場がない。となると、一人の経営者の中に、これら二つの要素を取り入れて考えざるを得まい。特に事業の伸展が進んできた後半期ともなれば。

図書(46)で「同族経営はなぜ3代でつぶれるのか?」武井一喜をとりあげた。こちらの方も関連して参考と成ろう。本日のブログ・タイトルからリンクを張った。

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