2010年6月30日水曜日

ユニクロの返品ポリシー

先日ユニクロで買い物をしたところ、レジのところで
「返品の場合はお買い上げ3か月以内にお持ちください。レシートをお願いします」
という旨の掲示を見た。

衣類で3カ月と言うと、結構着てからのことになる。下着など何度も何度も洗濯を重ねた後の返品を受ける、と言っているわけだ。

先日『フリー』(クリス・アンダーソン、NHK出版)の書評を6月9日付のブログに書いた。ユニクロの返品ポリシーって「逆フリー」(購買後の「フリー」の保証)だな、と思った。

ちなみに友人のW氏は、レシートなしで3月後に返品に応じさせたという。考えてみれば、日日の買い物のレシートなんか取っておかないよね。でもそれを受け付けることで、ユニクロは消費者の支持を構築しているわけだ。

経営者ブートキャンプ実録日記(6)課題図書報告はゼミそのもの



経営者ブートキャンプの最終目標は、各参加経営者が「新たな三年経営戦略」を策定する、というものだ。だから、私の講義も「戦略」に焦点を当てている。

最初の「課題図書」として選定したのは、だからこの分野のスタンダードとして『経営戦略の論理』(伊丹敬之、日本経済新聞出版社)。序章、1・2章、9章をそれぞれ指名し、報告させる。報告各10分、他の参加者との討議各10分。3名のセッションで計1時間。

本書を前に読んだことがあるという人が少なくとも3名はいた。夜の懇親会での感想は、

「学者が書いたものはとにかくつまらない」

現場の経営者ならではの切り捨てだった。

自社紹介(前回の続き)

残っていた4名の人が持ち時間12分、QA5分で、自社のビジネスを説明。最終回の「戦略発表」に向けての初めの基礎データ開示ということでやってもらっているのだが、これ自体が大変好評。

「他の会社、業界の話をそれぞれの社長さんから直接説明してもらうのがとてもおもしろい」

と、参加者の皆さんが言う。

読書課題のサブ・リーディング(発表は無し)として、『成功するデジタル・プレゼンテーション』(箱田忠昭、日本経済新聞出版社)も読んできてもらった。参考にしてもらったのか、プレゼンのやり方も、今回の方がこなれてきたか。

2010年6月29日火曜日

経営者ブートキャンプで池本克之先生の講義を公開



◎次回、7/10(土)は「経営者ブートキャンプ」の第3回講座。

その日の15:00~17:00に、特別講師の池本克之さんによる特別講義が
行われます。

※池本さんのプロフィールはこちらからご参照ください
http://www.keieisha.jp/lecturers.html

テーマは「年商3億円から数年で120億円への急成長経営」
「2社を上場させた経営」&「社長の勉強法」。

現在はマーケティングコンサルティングや数社の経営に携わる池本さん
のノウハウや経営方法論のエッセンスを、受講経営者向けに濃縮して
この講座でしか聞けない本音話も交えての講義を頂きます。

この講義部分を聴講されたいという非受講生の皆様に、
特別に席数限定にて

【特別聴講席】

をご用意いたします。
会場の都合で数席しか設けられません。
ご希望の方は、以下にご記入の上、本メールへの返信をお願いいたします。


(以下に記入の上、返信ください)--------------------------

7/10(土)15:00-17:00「経営者ブートキャンプ」
池本克之さん特別講義 聴講希望

聴講費:20,000円(税込)

会場:経営者JPオフィス
〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-16-2 K&S恵比寿ビルII 6F
MAP http://bit.ly/aJQw9u

お名前:
会社名:
お役職:
ご連絡先お電話番号:

----------------------------------------------------------

※基本的に先着順にて受付させていただきます。
同タイミングで席数を超えるお申込みを頂きました際は
抽選とさせていただきますので、ご了承ください。

経営者ブートキャンプ実録日記(5)「早くも本になる?」





経営者ブートキャンプの第2講(全6講)が6月12日(土)に行われた。

前回、5月の第1講では、第4講に特別講師として予定されている新将命(あたらしまさみ)さんが「サプライズ・ゲスト」として終日参加してくれた。

「伝説のカリスマ外資経営者」として隠れもない新さんの突然の参加は受講生を狂喜させた。長い経営体験から醸成された新さんの経営哲学、含蓄にあふれる箴言が随所で披露され、書物からだけでは得ることのできない、「終日のクラス参加共有体験」が提供されたのである。

今回・第2講からは他の特別講師、池本克之さんと井上和幸さんが全回参加だ。クラスに参加してくれる他に、私と手分けしてグループ討議にも参加してくれる。お二人とも鋭いコメントを発し、「さすが」と参加者をうならせていた。

早くも本になる!?

前回の「実録日記」で、「講師全員が経営者でベストセラー作家」と書いた。それは全くその通りで、このような面々が展開している経営者ブートキャンプのことが、早くも著名出版社に知られることとなった。

とりあえず、提示された出版企画が、各講師が話す特別講義を各1章として、「成功する経営のヒント」みたいな編纂本を出さないか、というものである。私ももちろん1章を起こす。

「実際の講義録が今面白いんです」

と、編集者の人が言ってくれる。

「まだ1講が終わったばかりなのに」

という驚きもあるが、

「経営者が集まり、経営者に学び、自社の戦略を策定する」

という本邦初のプログラムということで、注目をいただいているということだろう。先生もすごいが、参加者の質と結束が自慢できる。

2010年6月27日日曜日

Bスクール、日本とアメリカ

ご存知のように、私はこちらとあちらで、両方のビジネススクールに行っている。両方とも、社会人経営大学院なわけだが、違いはどこにあるのか。

法政大学でお世話になった洞口治夫現教授は、「自動車についての学び」という上手い例えをおっしゃっていた。
「日本の経営学部は、どう走るかエンジンのメカニズムを教える、アメリカのMBAスクールはどうそれを運転するかを教える」
というのである。洞口先生はハーバード・ビジネス・スクールで客員研究員として1年過ごされた。

私の「経営者ブートキャンプ」?
経営者の悩みに答えられる場の提供と、自分で問題に対処していける能力と覚悟を与えることにあるのだろう。

「ソリューション・フォーカス」マカーゴウ&ジャクソン 書評(37)


ダイヤモンド社。幾つかの意味で読みにくい本だ。まず翻訳。青木安輝というコンサルタントの方が翻訳されていて、この方は「ソリューション・フォーカス」の教祖様みたいになり、各種セミナーやらコンサルティングを展開されているらしい。

「売り」を求めて手に入れたという点でコンサルタントとしては鼻が効く(優秀)ということなのだろうが、語学の方はどうなのだろうか。こなれない言葉使いが多く、おそらく(原典の方に当たっていないので)誤訳だろうというところも散見する。同氏のある本には「1983年東京大学修了」という表記が、別の本では「卒業」となっているのも、立派なコンサルタントにふさわしく?である。

次に本の厚さだ。著者の主張には別に異議は無いものの、つまるところ5ページで書き表せる内容を350ページ以上に渡って展開している。まことに微に入り、細に入りである。結局、著者の二人もコンサルタントなので、「鬼面人を驚かせる」体裁の大著書が必要なのだ。

2010年6月25日金曜日

部長を変えよう!

日本を代表する重厚長大産業企業の関連会社から、部長研修を依頼された。
企業規模1,500名ほど。部長が50名弱。

従来、巨大企業である親会社の仕事だけやっていればよかったが、現下の状況で外に打って出ていきたい。ところが、例によってなかなか変われない、というわけだ。

企業行動のキーとなる部長さんたちの意識変革を啓蒙してくれ、というわけだ。3時間ほどの講演型の働きかけだが、精一杯のアジテーションを行おうと思っている。出講そのものは8月。2日間の部長研修の強盗を任されている。

2010年6月22日火曜日

「コア コンピタンス経営」ハメル&プラハラード 書評(36)



日経ビジネス文庫。著者はそれぞれロンドン・ビジネススクールとミシガン・ビジネススクールの元教授。
著者たちは冒頭第一章で、「何に向かって会社を変革するのか」と経営者に投げかける。そして次のような観点を検討する必要があると啓蒙している。
*5年から10年後に業界の構造がどう変わってほしいか。
*業界の変革を自社に有利に展開するにはどうする。
*業界で主導的な地位を築くには、、、

「それぞれの業界でトップになろう」というのが著者たちの示すゴールであり、続く章は「そのためには」と説いているのが本書だ。

しかし、5年も10年も先と言えば「自社」を想定することさえ難しいのに、「業界全体」の構造まで当社1社で規定、コントロールなどできることなのだろうか。それがあまりに不確定だとしたら、それを所与の目標として現在の自社を規定することは賢いことではないだろう。
グーグルでさえ、10年前に現在の状況を想定して戦略を設定したのではなく、時間枠の進行とともに「反応・対応」的に大小の意思決定をしてきたはずである。

そもそも、「業界1位」をめざす?仮に業界を150程度に分類したとして、この著者たちの主張が適応される企業と言うのは、日本だけでは300もないということになろう。著者たちが議論しているケースが大企業、大産業に偏していることから、ますます該当する企業は限定された「既に大企業」ということになる。

結論からいえば、本書は日本でだからせいぜい300部くらい読まれれば必要にして十分なはずだが、文庫本まで出ているのはどうしたことか。夢を持たなければ生きてはいけないという、厳しい現状は個人も企業も同じだからということだろう。

2010年6月21日月曜日

ロジカルシンキングを構ずる

大手団体の職員対象に、ロジカルシンキングの一日セミナーを実施。

「(ロジカル)シンキングだけではなく、(ロジカル)コミュニケーションも大事だ」と強調。最初は、テクニカルなロジカル・シンキングだけを想定して出席してきていた参加者が、私の「論理的にメッセージを立てただけでは伝わるとは限らない」という説明と、伝えるスキルを加えての演習に納得してくれた。

例によって、個人及びグループで展開する演習例題を5つも散りばめてのセミナー。内容は豊富だったが、1時間おきに休みを10分間ずつ取って引っ張っていく。
参加者たちが組織内で円滑な意思疎通を実践、向上することを期待している。

2010年6月19日土曜日

「未来を創る経営者 石井元 他 書評(35)



国際経営者協会(IMA)編著、生産性出版。
経営者ブートキャンプの受講生石井元氏から恵贈いただく。20名の一流外資経営者が筆を取っていて、石井さんが巻頭第1章を任されている。こんな経営者が「生徒」の方で参加してくれているのだから、経営者ブートキャンプは心強い。計20名の著者のうち、泉桂さんと加藤春一さんとはそれこそ何度もお会いしている。というのは、お二人とも隠れもないエグゼクティブサーチ会社の社長さんだった方だ。

石井さんの話は、彼が初めて外資の社長に招聘されてから、その法人の本社がM&Aされてしまうまでの経緯を、ローカルの責任者の視点から書いている。ドラマティックであり、外資の社会を生きていく経営者の覚悟と処世術を示している。面白かった。

2010年6月18日金曜日

「ストーリーとしての競争戦略」楠木建 書評(34)



東洋経済新報社より先月発刊。既に増し刷り。2800円と高価で厚い本にしてはよく売れている。
戦略系で学者が書いた本の中で一番出来が良い。従来の私の主張ととても共通したことを言っていて共感が強い。
「ストーリーテリング」という著者の最大のキーワードは、私が使ってきた「シナリオ・ライティング」と同じ。「優れた戦略の条件」という副題の通りに、優れた戦略についての知見、新見に満ちていて、しかもそれらが整理して提出されている。

ただ、、厚い。私なら三分の一の紙数で同じ話を主張する。しかし、このように委細を尽くせないことも確かだ。大変よろしい。経営者ブートキャンプの課題図書に採用することとした。

2010年6月16日水曜日

三重銀総研・経営者クラブで「変革期における経営戦略」

四日市市で一日公開セミナー。三重県下の経営者、幹部たち30名ほど。戦略立案の演習も実施。例によって戦略カードを使って、「目標設定」「課題設定」「戦略」「派生問題と対応策」のステップを体験してもらう。

皆さん集中して聞いて下さったし、よく参加してくれた。終了アンケートの評点では、「5」と「4」だけ。

三重銀総研のご担当からは、私の公開セミナーのテーマなどについていろいろ質問を受けた。定番の「戦略立案」の他に、最近著との関係でこのごろは「幹部」「部長」を対象にしたセミナーの問い合わせ、実施が増えていることを話す。

参加者の方に喜んでいただいたことが何よりの励みだ。

2010年6月12日土曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記(4)「演習(目標と課題設定)」



「演習(目標と課題設定)」

前セッションを受けて、個別演習を早速やってもらう。
「戦略カード」を使って、「目標設定」と「課題設定」をやってもらった。
それぞれの作業で、できるだけたくさんのカード出し(「網羅主義」)と、価値観による絞り込み(「効率主義」)の実施を指導。
次回はこの結果を、小グループ内で相互発表をしてもらい、他の参加者からの批判を受けてもらう。

2010年6月10日木曜日

「最高経営責任者」ネフ&シトリン 書評(33)



日経BP社。副題が「ヘッドハンターが選ぶアメリカのベスト企業家50」とあるように、個人の著作と言うより、スペンサー・スチュアートが社をあげて自社のパブリシティを兼ねて調査、編集して著したもの。米国スター経営者を選ぶ「オールスター紳士録」みたいにトップ50と目されるCEO達がそれぞれ10ページずつほど紹介されている。知っているあるいはファンである経営者のところを拾い読みするのは楽しい。

しかし、著作としての価値、提出した結論は、費やされた個別経営者についての記述に比べて貧弱だ。トップ50の大成功したCEO達の共通した成功要因とは何だ?著者も読者も、それが最大の興味となる。本書の一番大きな答えは

「適切なことを適切に実行する」

だと。

徳光和夫が歌番組の司会で、歌の題名も歌手名も覚えてこれないときに使うテクニックとして
「、、、それはこの人の、この歌です」
と言って紹介してしまう時がある。それってつまり何も言っていないんだよね。

ところで柳省三さんは今、どこで何をなさっていらっしゃるのだろうか。

経営者ブートキャンプ 実録日記(3)「戦略はどう作る」



山田修の「経営者ブートキャンプ」実録日記
第1回 いよいよ開講! 2010年05月15日


「自社紹介」

ランチの後では、参加者のうち、まず4名が自分と自社(あるいは自分が責任を持つ部門)の紹介。
これをしてもらうことは事前課題として連絡が出ていた。発表をした全員がインターネット接続で、スライドに画面投稿して説明。ストップウォッチを使い、12分発表、5分QAをしてもらう。「7つの約束」のおかげか、活発に手が上がり、講師として大変心地よい展開。



「戦略はどう作る」

私のレクチャー。
これから6回にわたり演習と続けていって、最後に「自社(自部門)の新経営戦略」を全員に発表してもらう。その戦略作りの方法論の指導。「シナリオ・ライティング」という私のオリジナル手法を説明し、そのための展開ツールとしての「戦略カード」の使い方を話す。
「シナリオ・ライティング」に関連して「プレイヤーズ・セオリー」、「戦略カード」の出し方などに関連して、「一人ブレーンストーミング」や「一人ナレッジ・マネジメント」の概念を話す。
また、一人ではなく組織の中で他のメンバーとともに戦略を開発する場合の、実際の手法についても説明する。
「経営者が明日から自社で使える経営技法を伝授する」ということを目指しているつもりだ。

2010年6月9日水曜日

新著発刊の企画が

3月に刊行した「あなたの会社はぶちょうがつぶす!」(フォレスト出版)が13冊目の著書となった。その他の書は、ホームページに全てアップしてみたので、ブログの今日のタイトルをクリックしてくれたら、リンクが飛んでいる。

今年、シリーズとして一番力を入れてきた活動が、経営者ブートキャンプだ。この活動を聞きつけてくれた出版社があり、そこと出版企画を検討し始めている。今年中に上梓したいと思っている。

となると、私としては初めて1年複数冊の刊行となるの年となる。

決定したら順次ブログなどで情報をアップしたい。

「フリー」クリス・アンダーソン 書評(32)


NHK出版。経営者ブートキャンプ参加者の「推奨図書」。

著者は、ネット通販における「ロングテール」の存在を指摘し、その言葉を用語として世間一般に広めたあの人物。ネットの社会での新しい現象をかぎ分け、ネーミングを行い、理論化し説明し、つまり世間に新しい知識を提供できる稀有な著者と言える。

本書も、デジタルの世界では提供する情報の複製コストは限りなくゼロとなることから、単なる情報提供料も無料とする多数のサービスが出現していることを指摘、そのことの商業的価値を明快に論じている。その方向がこれからも広がっていくことが予想されることからも、ネットビジネスの「預言者」と言ってもよいような切り口だ。

本書はしかし、厚過ぎる。この三分の一で同じことは提示できるだろう。不要に厚くなってしまった原因は、過去のつまりネットビジネス以前の通常ビジネス時代の「無料サービス」事例を集めたり、その解説に紙数を費やしたため。

ネット世界以外の「無料」関連ビジネスと言うことなら、現在の「おまけ」とか「無料」とか「サンプル提供」などの事例の方を集めてくれた方がありがたかった。

NHK出版も、その厚さほどの価値は無いだろうということで、本書の価格は謙虚に1,800円としている。

2010年6月8日火曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記(2)「成長戦略」



オリエンテーション

続いて私がオリエンテーションを行う。今日を含み、「向こう6回のプログラムの時間割」を配布。
次のような「7つの約束」を説明。
1.明るく楽しく元気よく、そして仲良く
2.一人では学べない、クラスメートに感謝
3.率直な指摘、疑問の掲示が親切
4. 手を挙げてから発言
5.互敬に基づく討議
6.大変だけど準備して来て
7.オフ・クラスの交流で「勉強する社長仲間」を作ろう



「成長戦略」

最初の単元(1.5時間)は私のレクチャーで、「成長戦略」。6社を経営してきた私の実践事例の中から、企業の「成長」や「再生」に大きく奏功した要素を取り出し、分析してみせる。
さらにそれを演繹して「成功するための戦略要素」として掲示。参加者の経営者の皆さんは、事実例を本人が説明するので興味深く聞いてくれる。最初のセッションで、参加者たちの集中を強く感じた。

2010年6月7日月曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記(1)「機密保持書が待つ開会式」


経営者ブートキャンプが5月に第1回を開講された。その進捗を「実録日記」として主宰社経営者JPのサイトに連載開始。本日のタイトルをクリックするとリンクする。

本日はその最初を転載する。



開会式
経営者ブートキャンプが5月15日(土)にスタートした。
記念すべき第1期の第1回は、品川の会場で10時に開講された。
開会式で、主催会社の経営者JPの井上和幸代表が挨拶。続いて参加者に配布されたのは、何と「機密保持の覚書(NDA)」だった。これは、プログラムの中で各参加者に自社の経営戦略を策定してもらうのだが、実際の企業情報を互いに高次元の段階で披露しあうので、それに対する配慮である。
「リアルな経営課題を取り扱う」
というのが特長の一つだ。

2010年6月5日土曜日

「最前線のリーダーシップ」ハイフェッツ&リンスキー 書評(31)



経営者ブートキャンプ受講者に出してもらった「他の参加者に読んでもらいたい推薦図書」の一つ。
リーダーシップの各要素を、主として米国の中央および地方レベルの政治力学的なケースを実に豊富にちりばめながら展開している。

本書のよいところは、変革を目指すリーダーシップの輝かしい成功や心得よりも、むしろリーダーシップを発揮することのリスクや失敗譚などに筆を費やしていることだろう。実際、リーダーシップを発揮しようとする場合のパワーポリティクスや、企業内で不可避となる各種の衝突のハンドリングの心得など、類書にはない斬新な視点であり、実際的だ。

ブートキャンプでの課題図書に採用することにした。

2010年6月4日金曜日

新入社員を教える

「一般社員に効率的な仕事の手順を教える」という切り口で話してくれと言われ、赴いた。「話せ」と言われても講演ではなく、本格的な1日セミナーをその企業内で実施した。演習も幾つも用意し、グループワークも実施してもらった。

行ってみたら、「一般社員」でも偶然「新入社員」の人ばかり16名が参加していた。新人研修を実施したことは、自分が社長時代に自社の新入社員に訓話を垂れた時以来、記憶にない。

私が話をさせてもらう対象は、経営者などのトップ層から、幹部の方たち、このごろは新著のせいで部課長まで降りてきている。ところが一足飛びに新人の皆さんに話をすることになるとは思わなかった。

「社長から新人まで」

今後はこのキャッチで行こうか。でも、若い人を相手に話すのは面白かった。まずエネルギーにあふれているし、出来の良いクラスだったからもある。この先30有余年のビジネスキャリアを無事に漕ぎだして行ってもらいたい。息子、娘を教えるような心境でもあった。

2010年6月3日木曜日

部長を教えられるのは誰だ

本日、とある会社に部長研修の打ち合わせに参上した。研修担当の人事部長が、「階層で言って、課長辺りまでは研修を企画実施できるのだが」とおっしゃる。

「部長研修と言うと自分も部長で、言ってみれば同じレベルなので」
と苦手意識の本音を披歴された。

「研修会社ではどうですか」
とおうかがいしても、「満足していない」とのこと。

管理職も上にあがってくるということは、実績に加え能力開発が進んでいるので、そんな人たちをさらに教える、能力開発を指し示すというのは難しいことになってくる。通常の研修会社のコンサルタントの先生にも手に負えないケースが出てくるわけだ。

私が提供している部長研修、幹部研修が少しでも役に立ってくれれば幸いだ。というのは、普通の研修会社では階層別で言うと、新入社員から始まり上にあがってくるのだが、私の場合はトップにお話しさせてもらった段階から始まり、部課長研修まで降りてきた。だから個人的に幹部層の階層に気後れはないし、実際十分に対処しているつもりだ。

2010年6月2日水曜日

「東京島」桐野夏生 書評(30)


以前にもブログに書いたが、桐野夏生女史は私のスキー仲間で20代の初めに何シーズンもご一緒させていただいた。学習院のスキー仲間と、私が教えていた某短大スキー部の部員たちが卒業してから作っていたスキーチームがあり、そこの一員だった。各シーズン15日程度はスキー行をご一緒している。

ブログに書いたので、久しぶりに桐野作品に手が伸びた。本の惹句はこうだ。

32 人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。
いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。
果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。
欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、
読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!

桐野さんの構想力はいつも雄大で、現代作家の中でも屈指だろう。ストーリーが次々と展開して驚きが続く。「え、そんな展開が?」なんてこともあるのだが、何しろ作家は神なのだから「面白ければ勝ち」だと思う。
しかし、桐野作品に通底している、暗さ、気味悪さ、グロテスクさなどのため、私のFAVORITE WRITERではない。

離れ島漂着譚というと、どうしてもノーベル文学賞のゴールディング「蝿の王」が出てくる。「蝿の王」が示した宗教性、聖性、人間との直面などには、桐野夏生をもってしても達していない。エンターティンメントとしては十分勝っているのだが。がんばれ、まり子ちゃん。

2010年6月1日火曜日

「ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書」 書評(29)



講談社。7人のそれぞれの科目の専門家が、「高校教科」の本質、勉強法について諭すという形のオムニバス本。内容よりも編集と構成の手法に興味があり通読。

「国語」の科目の執筆者が金田一秀穂氏。「気鋭の日本語学者」として紹介されている。この本の内容ではなく、私はいつもこの人の紹介され方のスタンスが気に入らない。祖父の金田一京助、父の金田一晴彦に続く家系なので、TVなどでも「現代の代表的な日本語学者」などのように紹介され、登場している。

でも、そもそも学問って家督承継されるものではない。京助博士はアイヌ語研究で立派な日本語学者だったが、晴彦さんは言語学者。孫の秀穂さんに至っては、日本語教師である。日本語教師は私は学問とは認めない。

学習院大学国文科に、日本語教育が取り入れられて「日本語科」と名称が取り入れられた時、私の指導教授だった吉岡廣先生も「あれは学問ではない」と同列に扱われることを嘆いておられた。学問ではないなら何なのか。はい、技術者、技能者です。