2013年1月31日木曜日

水谷栄二先生 知られざる日本の知性 (2)

故 水谷栄二先生
先生は生産性本部(JPC)から、第1期のアメリカ派遣駐在研修生として選抜された。この派遣同期からは
国弘正雄氏(元国会議員、評論家)
小松茂美氏(同時通訳、サイマルインターナショナル創業)
村松増美氏(同上)
今井正明氏(ケンブリッジリサーチ研究所創業者)
など、錚々たる著名人が輩出した。

私たち教え子の評価は、「水谷先生の知性と見識が抜き出ている」ということで一致している。
経営コンサルティング ミラン クーバーニュー・アメリカン・イデオロギー―新時代の経営思想 (1979年)  ジョージ・C.ロッジ ハーバードで教える人材戦略―ハーバード・ビジネススクールテキスト
など幾つかの質の高い訳業はなさっていたが、私は何度も
「先生、ご本を書いてください、出してください」
とお願いした。

結局、世間に広く知られることの無かった日本の大知性に私たち九段クラブの面々は、卒業後も20数年間導いていただくという僥倖に恵まれたのだ。

(合掌:この項 終わり)

水谷栄二先生 知られざる日本の知性 (1)

故 水谷栄二先生
1月31日は水谷先生の7回忌だった。先生を師と仰いで1982年に発足した勉強会九段クラブは、薫陶を忝なくした四谷に集まり、先生の学恩と遺徳を偲んだ。

私たちは70年代に国際関係学院で先生の国際ビジネス系のクラスで学んだ者達だ。

先生は教師ではなく、学者でもなかった。人材系のトップコンサルティング会社、エゴン・ゼンダ―とワイアットの日本法人を立ち上げ、マッキンゼーではNo.2の人材開発部長としてあの大前研一を支えた。世界コンサルタント会議では2度にわたって日本を代表してキー・ノート・スピーチをした。
The Consutant for Consultantsと自他が認めていた。

(この項 続く)

2013年1月28日月曜日

『戦略立案ハンドブック 』デービッド・A. アーカー 書評163(2)

デービッド・A. アーカー
著者のアーカーは、リサーチとブランドの分野が出自のコンサルタント。

経営の現場に出たことのないコンサル本なので、経営戦略の成功のためには「立案」と同価値で重要な「実践」に、最後の1章しか割かれていない。ページの割合で言うと、本書の6%に満たない。

6章「環境分析と戦略的不確実性」とする認識は良い。またこの章「シナリオ分析」の項で、

「新しい視点を持ち込む一つの答えがシナリオ分析である。あまり使用されていないが強力な方法論である」
などとして、シナリオ作成を薦めていることは評価できる。
(この項 終わり)

『戦略立案ハンドブック 』デービッド・A. アーカー 書評163(1)

2002年刊、東洋経済新報社、3,990円。
高い本だ。

「ハンドブック」というから、「戦略立案」の方法について、具体的なステップが書かれているのかと期待した。そして、、、そんなことはなかった。

「戦略を立てるときに留意すること」、つまりTipsが沢山書き連らなれている。コンサルタントが著した本なので、それらが網羅的で羅列的で、つまり退屈だ。どこが肝心なところが分からず、読み進めるのが苦痛な大部の本だ。

(この項 続く)

2013年1月27日日曜日

99.7%は中小企業

大同生命がTVコマーシャルで「社員を家族と思う」というオーナー経営者向け保険広告を流している。社員を子供と見立て、「7男5女」などと表現しているものだ。

このコマーシャルでの「日本の会社の99.7%は中小企業」という説明は、実は私が提唱した。2007年に著した『あなたの会社、誰に継がせますか? 売りますか?』(ダイヤモンド社)の中で、総務省の統計を使い、日本で登録している全事業所と、従業員数30名以下のそれを数え上げ、算出したのである。爾来、その割合が諸処で引用されるようになった。
http://www.amazon.co.jp/dp/4478000859

私の指摘は一貫して、「世の経営書の類の本当に多くは、殆ど存在しない大企業を前提、対象にして書かれている。絶対大多数の中小企業に適する経営戦略はどこにあるのか」ということだ。

2013年1月26日土曜日

国際経営戦略研究学会、 「採用活動の新潮流」

研究会が1月23日にあり聴講。テーマは「採用活動の新潮流」。   講師は中川智尚氏(株式会社カケハシ スカイソリューションズ代表取締役社長)。前ワイキューブ創業副社長として知られている。
中川社長の話の中では、「海外人材の採用では、留学生を採用するより現地国での新卒採用の方が遙かに高レベルの人材を採用できる」という指摘が印象に残った。当学会の発表で今まで一番実務に近い話しだった。こちらのほうがおもしろい。
経営者ブートキャンプに参加している、人材会社の社長を同伴。発表と同伴者の両方の話しを聞くと、人材マーケットがここ数年になく盛り上がっているとか。これもアベノミクスの好影響か。青学に足を踏み入れたのは、留学前にここの経営学部がハワイ大学Bスクールと提携して開催していた英語による社会人大学院コースに出席していたとき以来。すっかり綺麗になり感慨深かった。

2013年1月24日木曜日

全国経営者大会で経営相談

全国経営者大会日本経営開発協会主宰の第「2013年 新春 全国経営者大会」が帝国ホテルで開催された。三日間にわたり、数百人の経営者が日本中から来ている。半年ごとで、今回が何と第117回目だという。

希望参加者に対して、希望されたコンサルタントが経営相談に乗る。私が話したのは不動産賃貸紹介のチェーン展開の会社など。こんな大規模な会に出席されている経営者はどなたも意欲が強く、そこそこ勉強している。問題は、そのセオリーが生かじりになってはいないか、しっかりした蓋然性を有しているか、だ。また共通して悩んでいるのは、人材育成と後継者の問題だ。

2013年1月21日月曜日

『本当に使える・使えない経営戦略』 新著 脱稿!


『コダックは滅び、ユニクロは栄えた

これで語れる・立てられる、本当に使える・使えない経営戦略
 
    対象: 経営者、幹部、管理職、経営セオリーなどに興味がある若手ビジネスパーソン、経営学部学生
  ユニクロ、星野リゾート、コダック(倒産)、GE、ヤマダ電気など、近年話題の企業事例を経営戦略セオリーの観点から解説する。
  マイケル・ポーター以来、世に溢れてきた経営セオリーで主要なモノを取り上げ、概観・整理する。
  経営者の視点から、それぞれの限界や実経営にそぐわない点を挙げ、理由を述べる。
  実経営に貢献できる経営セオリーを指摘し、その活用法を示す。
  実際に経営戦略を立てられる、山田式「課題解決型の戦略立案法」を紹介。
  結果、全体として読者が主要経営セオリーに対しての理解を深め、実際に自分で経営戦略(部門戦略も含む)を立案できる道筋を与える。
 
今春 発売予定!

2013年1月20日日曜日

経営者ブートキャンプ 第7期 5月からの日程発表

経営者ブートキャンプの次期の日程が発表された。受け付けも開始されたので、志のある経営者と幹部は参集してほしい。
第1回  2013年5月11日(土)
第2回  2013年6月 1日(土)
第3回  2013年6月22日(土)
第4回  2013年7月13日(土)
第5回  2013年8月 3日(土)
第6回  2013年8月24日(土)
第7回  2013年9月 7日(土)


詳細は下記から。
http://www.keieisha.jp/seminar130511.html

2013年1月19日土曜日

鴻海(ホンハイ)、自社ブランド開始 弊害の方が大きい(2)

90年代に香港で最大のEMSだった王氏グループはセガの最大の下請けとして、年間800万台ものTVゲームを製造していた。余勢を駆ってミニ・ステレオの自社ブランド拡販に乗り出そうとした。日本法人の社長をしていた私は、アフター・サービスや流通などの難問を指摘して大反対した。

80年代に勤務していたコーニング社は光ファイバーなど、特殊ガラスで傑出したメーカーだった。これがまたその時、「マーケットを自分でコントロールしたい」とのことで、サングラスへの進出を図った。レイバンのような自社ブランドを作りたがったわけだ。

両方とも、B-to-B会社の儚い夢プロジェクトで終わった。前者のケースでは、顧客だったヤマハからの信頼感を損ねただけだった。
(この項 終わり)

2013年1月18日金曜日

鴻海(ホンハイ)、自社ブランド開始 弊害の方が大きい(1)

(日本経済新聞2013/1/15)『家電製品などの受託生産で世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が自社製品の生産・販売に乗り出す。このほど台湾の傘下の家電量販店で60型の液晶テレビを発売した。 米家電量販大手のラジオシャックとも提携、中国大陸で合弁店舗を増やして拡販する。中国の人件費上昇を受けて受託生産の利益率が低下しており、事業モデルを一部修正して成長を目指す。 鴻海はこれまで最大の顧客である米アップルのスマートフォン(スマホ)などの受託生産に特化していた。今後は中国などに自前で築いた小売り網で自社製品を販売する事業も展開する。家電を自社生産・販売するのは初めて。

B-toB専業だった鴻海(ホンハイ)がB-to-Cに乗り出す、という一報。EMS(電子製品製造受託)企業が陥る典型的なジレンマと罠に同社も嵌ってしまった。
「顧客企業とは競合しない」と言いつつ、野心には限定がない。そのことを顧客側も読み取る。潜在競合となる可能性があり、能力がある巨大EMSが一歩を踏み出してしまった。もうそれだけで、顧客企業との従来の関係は損なわれ始めている。

(この項 続く)

2013年1月17日木曜日

関西大震災の思い出

18年前の今日、私は帝国ホテルの一番大きな宴会場にいた。その日はセガが取引先を集めて大新年パーティを開催していた。
午後一番、大前研一氏の講演が始まるときに、「新幹線が止まり、大前先生が来れない」というアナウンスが流れた。

その後、二つの式次第が同じようにゲストの未着で流れ、やがて大会場は騒然となり次々と客達は姿を消していった。

あの日の大災害は、私の人生観にも影響を与えた。日本の2大都市のこちらにいた私は大饗宴に参列していた。その時彼の地は死生が分かれる状況が現出していた。

「生かされている」
という強烈な思いがその後数日のニュースに接して醸成された。

2013年1月16日水曜日

『エクセレント・カンパニー 』トム・ピータース他 書評162(5)



『エクセレント・カンパニー』のその後を検証してみて私が思ったことです。まず一つは、経営セオリーには流行りがある、ということです。あの本は当時とてつもないブームを経営者やビジネスパーソンの間に引き起こしました。

 


その二つは、いくら流行って人気があるセオリーでも、すべてが正しいとは限らない。どこかに偏りがないか、実ビジネスにそぐわないところがありはしないか、そんなことに気をつけながら読んだり、理解していかなければならない、ということです。

 
経営戦略セオリーだけに限っても多数の主張が提出され、幾つかはベストセラーとして迎えられて来ました。それぞれが別の主張を提出しているわけですから、すべてのセオリーが同時に正しいことはあり得ません。
有名な戦略セオリーで、どんなところが実企業活動に使えるのか、どんなところが机上の空論なのか。(この項 終わり)

アップル 終わりの始まり

2012年10月25日のブログに「iPadミニ 終わりの始まり」という記事を書いた。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=1048986287515383300#editor/target=post;postID=5725018503693106795
iPadミニが発表された。タブレットで他社が7インチ画面の分野で先行しているので、そこへのダウンサイズ化参入ということだ。スティーブ・ジョブスが死んだ後、最初の主要な新製品ということでもある。ジョブス時代の新製品群と比べて、iPadミニは下記のように「チンケ」な性格を有する。
(略)
iPadミニが失敗作だとは思っていない。ジョブスの時代のような革新性や圧倒的な差別点を欠いてきている。中期的には、競合の製品と横並びになっていくことだろう。そして、メーカーとしても全体的に、現在のような突出した存在ではなくなっていく。失敗ではないが、「一人勝ちの終わり」の始まりだ。ジョブスの偉大さを締め括るストーリーとなってきた。

今日、アップル社の株価が500ドル台に下落したという。一時は700ドル台だった。

2013年1月15日火曜日

コメダ珈琲、独立系投資ファンドが買収へ

独立系の大手投資ファンド「MBKパートナーズ」は15日、東海地方を中心に喫茶店「コメダ珈琲(こーひー)店」を展開するコメダ(名古屋市)を買収すると発表した。買収総額は負債も含めて400億円規模とみられる。全国への出店を加速させ、いまの2倍以上となる国内1千店達成を支援するという。
(朝日新聞デジタル1月15日)http://www.asahi.com/business/update/0115/NGY201301150019.html

今時、結構なエクジットだと思う。というのは、直近の同社の年間営業利益は20億円ほどだとも報じられているからだ。400億円規模という買収額は、営業利益の20年分ほどにも相当することになる。コメダを買収保有していたファンドであるアドバンテッジ・パートナーズはこのディールに快哉を叫んでいるのでは。

私がアドバンテッジから依頼を受けて、コメダの社長以下3取締役に「三年経営戦略」を立案して貰ったのが、ちょうど2年前の今頃だった。あの経営指導から2年で店舗数も300店台だったのが500店近くに伸張を果たし、新しいファンドが触手を伸ばしたわけだ。実にめでたく、私も鼻が高い。

『エクセレント・カンパニー 』トム・ピータース他 書評162(4)



するとその年の12月に今度は、Fast Companyというアメリカのビジネス誌が『トム・ピータース、真実の告白』というインタビュー記事を掲載しました。その記事の中で、著者トム・ピータース自身が
「『エクセレント・カンパニー』の中で我々はデータをねつ造した」
と認めてしまったではありませんか!さらに、
「あれはマッキンゼーのゴミ箱から出て来たがらくたで、『ヒップ・ポケット・プロジェクト』で、全くのでっち上げだったんだ」
とまで語っています。「お尻のポケットに突っ込んでおくような無価値なもの」のつもりで書き飛ばした、というのです。
「それがあんな騒ぎになってしまうなんて、、」
とも告白しています。こうなると、あの世紀のビジネス・ベストセラーへの賞賛、位置付けとは一体何だったのか、と思わざるを得ません。
 
(この項 続く)
 

2013年1月14日月曜日

『エクセレント・カンパニー 』トム・ピータース他 書評162(3)



さて原書では43の会社がエクセレント・カンパニーの企業事例として掲げられましたが、翻訳版ではその中から14の会社が例示されていました。私は、2001年に自分が著した『タフ・ネゴシエーターの人を見抜く技術』(講談社)の中で、「これら14のエクセレント・カンパニーのその後」を検証してみました。
すると、何とその時点で4社を除いてすべての会社は倒産や他社に吸収、あるいは深刻な不調による大規模なリストラなどに見舞われていたのです!
「どうもあの本の信憑性はおかしい」
と指摘したその拙著は、2001年の5月の刊行でした。
(この項 続く)
 

2013年1月13日日曜日

『エクセレント・カンパニー 』トム・ピータース他 書評162(2)



著者のトム・ピータースとロバート・ウォーターマンはマッキンゼー社のコンサルタントでした。マッキンゼー社のように経営戦略を専門分野としているコンサルティング会社のことを「戦略ブティック」と呼ぶことがあります。戦略ブティックでは自社のエクセレンスを誇示するために、専門書や啓蒙書、あるいはコンサルティング技法を活発に発表しています。『エクセレント・カンパニー』という書物をマッキンゼーにとってのマーケティング活動として見ると、これほど成功したパブリシティは無い、ということができます。

同書で「アメリカのジ・エクセレント・カンパニー」とされた企業の認定基準は、財務的には著作の前20年間にわたって増収増益を続けていたこと、そして著者達が考えた「企業としての卓越条件」を満たす会社というものでした。これらの優良企業群が実践している経営をコピーしていけば、あなたの会社もエクセレントになれる、というわけです。とても説得的に聞こえたので、同書が史上最大の経営ベストセラーになったのも不思議ではありません。

(この項 続く)
 

経営者ブートキャンプ、モチベーションとコミュニケーション

1月12日(土)は、第6期の第4講。午後はクラス講義。テーマは「モチベーションとコミュニケーション」。


最初に課題図書として読んできて貰った『モチベーション・リーダーシップ』(小笹芳央、PHPビジネス新書)を討議。第3章「モチベーション」と第5章「コミュニケーション」のみを取り上げる。それぞれ報告者が20分、討議30分で、計2時間。

休憩の後に、私が同じテーマで2時間半講義。私の話は自分の体験事例から話して、一般化(セオリー説明)の形。どのセッションも活発な討議となった。 (この項 終わり)

2013年1月12日土曜日

経営者ブートキャンプ、小グループ発表

1月12日(土)は、第6期の第4講。午前中は、「戦略立案演習」での小グループ討議。今日は小グループ発表での第2回目の後半、二人。



一つのグループは4名で構成し、一人1時間を持つ。2講に分かれて、二人ずつ発表してもらっている。第7期では、小グループ発表を各自三回ずつやって貰う。グループのメンツは3回でそれぞれ変わり、全員が全員から学べるようにしている。

今日も大変盛り上がり、質問や助言のコメントが活発に行き交った。私はこの実事例による学習法をMutual Method(互いから学ぶ)と名付けている。Case-Study Methodを超えた学びが実現している。経営者レベルでこれ以上の方法は無いのではないか。

(この項 続く)


2013年1月11日金曜日

ローソン玉塚元一副社長の正念場 (3)

実は2年前の、ローソン入社時に既に玉塚氏の経営手腕に懸念が寄せられていた。

(以下、日経ビジネス 2011年1月24日号)一部の関係者からは「なぜ玉塚氏にこの事業を任せるのか」と、国内コンビニ事業トップへの就任を不安視する見方もある。
 玉塚氏はファストリ社長時代は経営目標を達成できず、3年で社長職を降りた過去がある。またリヴァンプではバーガーキングの日本再上陸や、業績不振に苦しむロッテリアの再建など、外食分野が主戦場だった。コンビニ事業での実績はない。
 「これまでのところは際立った業績が見いだせない」。この点が経営手腕への疑問視につながっているようだ。新浪社長の期待に応え、不安を払拭できるのか。コンビニ逆風下で玉塚氏は舵取りの重責を担う。(以上引用)

実際にはロッテリアが大きく業績を回復したとか、バーガーキングの店舗が目立つようになった、などということも無い。この、「目立った実績が何もない」スター経営者はどこへ行くのか。

(この項 終わり)

ローソン玉塚元一副社長の正念場 (2)

2年前、新浪社長はローソンの国内部門を玉塚氏に任せ、自身は海外事業の拡大に全力を挙げる、という体制を取ったはずだ。

今回、国内を任せたはずの玉塚氏を海外担当とし、さらにその海外部門は新浪社長との2トップ体制とする、という。任せたはずの国内から短期に外し、新しい担当部門は一人では任せられずに自分の下に、という構図だ。

海外部門を社長と副社長の2トップで、というのは強弁で結局は社長の直轄となる。新浪社長はそれを分かっていて、対外発表用の説明をしている。この人事は、玉塚氏の経営手腕への不信任という読みが自然となるのではないだろうか。

(この項 続く)

2013年1月10日木曜日

ローソン玉塚元一副社長の正念場 (1)

ローソンの新たな経営体制の概要
(写真:山西 英二、時事通信)
ローソンは10日、海外事業を統括する海外事業グループ最高経営責任者(CEO)に、3月1日付で玉塚元一副社長・最高執行責任者(COO)を充てる人事を発表した。海外事業はグループ全体のCEOを務める新浪剛史社長とのツートップ体制とし、中国やインドネシアなどでの拡大を目指す。
(以上 日経Web版、1月10日)

新人事が実施されるまでの2月いっぱい、現在同社トップの業務管掌は左の図の通りだ。実はこの分担が採用されたとき、玉塚氏はローソンに入社した。その時点では、新浪社長CEOは国内部門を玉塚氏に任せ、自身は海外事業に専念するとされた。2011年1月のことだった。

(この項 続く)

『エクセレント・カンパニー 』トム・ピータース他 書評162(1)




英治出版、2003年復刊。


今日に至るまで経営書の分野で最も読まれてきた本が、『エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件』(講談社、1983年刊)です。1982年に刊行された原書はIn Search of Excellence(「卓越を求めて」)といい、世界中で600万部以上が売れたと言われています。現代に至るも、同書を「経営に関する最優良書」あるいは「自分の座右の書」として挙げ続けている人も少なくないのです。

ところが、その『エクセレント・カンパニー』がでっち上げだったという事実を知る人は多くありません。
 
(この項 続く)

2013年1月5日土曜日

『危機にこそ、経営者は戦わなければならない』金川千尋 書評161

危機にこそ、経営者は戦わなければならない! (Best Selection)東洋経済新報社、2011年刊。
著者は信越化学工業を社長、現会長として20年以上率いて、リーマンショックまで13年間増益を続けてきた名経営者。

2008年リーマンショック、2010年東北大震災という危機的環境を通過して、旧著『社長が戦わなければ、会社は変わらない』を大幅に加筆した。

オーナー社長でもない著者が経営に対してこれまで取り組んでいる姿勢、業績向上への飽くなき信念、輝かしい結果を残してきた経営技法、それらを支える経営哲学。

経営者本はあまたあれど、経営者に勧めるときに真っ先に思い浮かべる本となった。大推奨。

2013年1月3日木曜日

(株)エニグモ 須田将啓CEO 経営者ブートキャンプに登壇

(株)エニグモはソーシャル国際通販サイト「バイマ」を運営している。須田さんがCo-CEOとして創業し、昨年上場を果たした。須田さんは、経営者ブートキャンプ第1期生。昨年冬には、日本の経営者を代表してあのダボス会議にも出席している。また何とサハラ砂漠250Kmを無事完走した。

2012年のスーパーマンだった、その須田さんに現在進行中の経営者ブートキャンプで話をしてもらうようにお願いして、快諾して貰った。2月のクラスに出講して貰うことになった。

これだけの、今の旬の経営者を一クラスで独占できる。当日はOB経営者も集まり、同窓懇親会も予定している。須田さんの「postブートキャンプ」の経営譚を聞くのがとても楽しみだ。

経営者を教える、育てる

新しい年が始まった。

今年も、本を書いたりして発信しつつ、セミナーや研修を担当したり、経営指導コンサルなどを行っていく。幸い健康に支障があるような箇所もなく―老化は別として―まだスキーにテニスにと飛び回れる体調でもある。

著述及びコンサル活動の中でも、私が一番貢献できるのが「経営者を教えることと育てること」という分野だろう。経営技術的なことでは「経営戦略策定法」の布教である。「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法だ。

ヒトを直接教えるのが一番手応えがあり、感謝してもらえる。ということで、近年一番力を入れているのが経営者ブートキャンプだ。幸い現在第6期が盛況に進行していて、次も5月に第7期を開講することが決定している。多くの現役経営者や、経営者を目指す幹部、志の高い人たちに集まって欲しい。