2012年5月28日月曜日

部長力強化公開セミナーをSMBCコンサルティングで

5月26日は SMBCコンサルティングで終日公開セミナー。

定番となってきた「部長力強化セミナー」と銘打った1日コースである。いつも、地方から新幹線やら飛行機で参加していただく方がいて有り難い限りだ。SMBCコンサルティングも、そんな参加者達の利便性を図って、今春から東京駅の八重洲口に会場を移してくれた。

午前中の3時間は、「経営戦略の立案と使い方」。「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法で、実際に自社・自部門の戦略を模擬的に立てて貰い、ペア発表をして貰う。発表用テンプレートのパワーポイント・ファイルのメール送付希望を取ったら、全員が「欲しい」と。実際に帰社して実用にして貰える部長がたくさん出てくれると嬉しい。

午後は、「効果的なコミュニケーションの取り方」を3時間。部長や部門責任者が、チームメンバーに如何に近づけるか、「現代のリーダーシップはコミュニケーションにあり」という私の持論により、その具体的な技法を解説、演習して貰った。

2012年5月27日日曜日

社長の家庭教師 好評 銀行勉強会(企業再生担当者)で講演(4)

「社長の家庭教師」というべき個人指導型プログラムは、三本の柱で構成されている。

3本目の柱はスライドを使った講義だ。山田流経営成功のエッセンスである「繁栄の黄金律」の、次の4つの構成要素を各回に分けてお話しする。
― コミュニケーション
― 成長戦略
― 組織効率
― モチベーション

これらの講義を通じて、経営最高責任者としての「自覚と責任」を肝に銘じても貰う。

(この項 終わり)

2012年5月26日土曜日

「経営者ブートキャンプ」実録日記第15回 無敵の特別講師陣は今期も健在

経営戦略はこう立ててもらう
5月12日の第1講が始まる前に、参加者に知らせて『雇われ社長のプロの仕事術』(拙著、ぱる出版)
を事前課題図書として読んできて貰った。
ブートキャンプでの課題図書の例として、特定の章だけを指定して読んできて貰う。


続きはこちらから↓
http://bit.ly/KKflvk

2012年5月25日金曜日

社長指導 好評 銀行勉強会(企業再生担当者)で講演(3)

「社長の家庭教師」というべき個人指導型プログラムは、三本の柱で構成されている。

2本目の柱は、「3年企業戦略」を実際に立てて貰う。「戦略カードとシナリオ・ライティング」を各回で走らせ、各ステップを宿題で仕上げて貰う。最後には発表会を行う。今回のケースでは、次期社長が決まっている常務が、現社長である父君(オーナー)に対して行う、という段取りだ。発表のための、テンプレート・ファイル(パワーポイント)にカードを書き写して貰い、私がメール添削する。

実際に本格的に戦略を立てて貰うので真剣になるし、発表もするのでフォーマルなものだ。だから真剣に取りくみ、その過程を通じて「経営者としての自覚と責任」も高まっていく。

(この項 後1回)

2012年5月24日木曜日

トヨタ インド50万円車 「イノベーションのジレンマ」克服できるか

タタ社ナノ 欧衝突テスト合格
トヨタが別ブランドを作って、インドで50万円台の車を開発・製造・販売するという。

インドでは地場メーカーのタタ社が20万円台のナノで市場を席巻して以来、外資各社もアルトなど30万-50万円台の車種を投入している。トヨタにはそこまで安価なラインが無かった。

問題は、トヨタが自社で工場を立ち上げ、開発するということだ。「安全や環境面への配慮はしつつ」としているが、そう言うからこそ価格優先を貫徹できるのかということだ。結局は「トヨタ品質神話」に絡み取られてしまうのではないか。

こういう場合、トヨタのDNAを持続することは、戦略的な一貫性を阻害する。解決策としては、地場インドの車メーカーを買収して作らせることだ。しかし、インドにはタタ社の他には適した車メーカーは無いのでは。中国には地場の安価自動車メーカーが三桁も存在するという。戦略好適な解決策としては、中国の安価自動車製造メーカーを買収し、そこをインドに進出させるという方が成功の可能性は高い。

社長塾 好評 銀行勉強会(企業再生担当者)で講演(2)

「社長塾」というか、「社長の個人指導」型プログラムは、三本の柱で構成されている。

1回は3セッションで構成され、それぞれが1.5時間。負担感を与えないため、ランチ前に1セッション、ランチ後に2セッション(その間も30分の休憩)。ランチと休憩時間中は、私と社長は同席しない。1日中指導を1対1で受けていると、相当な圧迫感を醸し出しかねない、それを避けようという配慮だ。

1つのクラスでは、事前あるいは前回に与えられた課題図書の感想を発表して貰い、それをきっかけとして経営論を交わす。どんな経営書を読んで貰うかは、その社長さんの状況による。感想文を書いて貰う書式も決まっていて、負担感のないモノとして対象範囲も図書の特定2章が指定され、A4書式1ページ以上「書いてはいけない」という仕組みだ。

本は無限に出版されているわけだが、読書習慣が無かったり、あっても試行錯誤的に読み散らかしていて、「本当にこの社長がこの段階で読むべき本」は見えていない。それを読んで貰う。拙ブログ書評で取り上げた本だけでも140冊ほどあるので、その選択には不自由しない

(この項 続く)

2012年5月23日水曜日

経営塾 好評 銀行勉強会(企業再生担当者)で講演(1)

「経営塾」と銘打って展開しているプログラムがある。同族企業で、常務がご長男。社長承継を前に、経営力をしっかりさせておきたい、とのこと。依頼はご父君。  メインバンクに相談され、銀行から私が依頼を受けた。6回コースを組み、3回を終了したところ、常務の経営に対する取り組み方、社内コミュニケーションなどに顕著な変革があり、私も喜んでいる。何より、目の色が変わった。「責任と自覚」が起動して「自分がやるんだ、今こそやるんだ」と言ってくれ始めた。
銀行の担当者が、「こんなに効果があるプログラムなので、是非他の支店の担当者にも紹介させて欲しい」とのことで、昨日銀行内講演を行った。その銀行には企業再生案件担当部署がありそこの担当者の殆ど、40名ほどが出席してくれた。

このプログラムの三つの特徴を説明したのだが

(この項 続く)




2012年5月22日火曜日

国際経営戦略研究学会 5月の研究会に出席

国際経営戦略研究学会に出席。5月21日(月)の戦略経営・理論・実践研究会では二つの報告があった。司会は丹沢安治氏(中央大学)と歌代豊氏(明治大学)の両教授。
第1報告者 志田崇氏 (株式会社東芝・北海道支社・電力部 火力・水力原子力担当・課長)
報告テーマ「電力業界におけるバリューチェーン革新の研究-クローズドシステムからオープンシステムへの転換」
第2報告者室勝弘氏(リコージャパン株式会社取締役)
報告テーマ「デジタル化時代における地方放送事業とCATV事業の生き残り企業戦略」

お二人とも企業人だが、学会報告ということで博士論文の梗概ほどのご準備を成されてきた。発表スライドもそれぞれ40ほど、しかも詳細なモノである。

第2報告で「CATV事業所が全国に560ほどもある」ということと、「水平統合、垂直統合、法規制要素など諸要素がありこの業界がどのようになっていくのか、不分明である」というポイントについて質問させて貰った。質問と言うよりコメントか。

「560ほどもプレイヤーがいて、フラグメンタルな競争状態である。誰か馬力のある企業家が出現してビジネス・モデルを策定して業界を統合してしまうようなことも有り得るのではないか」

昔、弱小業者が群生していた旅行業界を、業界団体的にまとめ上げたビッグホリデーの岩崎安利社長のことが念頭にあった。

「山田修の経営者ブートキャンプ実録日記」 連載再開

経営者ブートキャンプの第5期が開始した。以前に書いていた連載を再開した。

今回で5回目を迎える経営者ブートキャンプ、GW明けの気持ちいいスタートとなった。
社長が5人、外資3人、コンサル一人
5月12日(土)に第1講がキック・オフ。定員10名に対して1名増員して11名の申し込みを受けていた。寸前にお二人が、海外出張などで2回は欠講となるということで、来期への移行を希望。結局9名での船出となった。

(続きは下記URLで、会員登録は簡単にできる)
http://keieisha.co.jp/club/member/

2012年5月20日日曜日

八甲田山遭難とリーダーシップ


九段クラブ5月19日(土)隔月例会で、I会員が「八甲田山踏破に挑んだ先人に学ぶリーダーシップ」と題して発表してくれた。数十に及ぶスライドと豊富な資料の準備に圧倒された。

「八甲田山死の彷徨」(新田次郎、新潮社)を、実資料とを付き合わせ、小説(創作)化された部分を明示。雪中行軍訓練と調査が実施された背景と経緯をつぶさに報告してくれた。

もちろん、一番の関心はほぼ全滅してしまった青森隊と全員生還した弘前隊の分析と比較だ。準備と、そして何よりリーダーシップの違い。さらにシャクルトン(南極遭難で全員生還)から著名なリーダーシップ論にまで触れて、充実した発表となった。

ちなみに私も、本ブログで上記小説の書評を行っている。次のURL.
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2010/11/blog-post_21.htm

2012年5月19日土曜日

幹部研修・役員研修 誰が教えている?

研修課長の悩みは、幹部研修である。

昨日終了したのは、社長以下役員9名を対象とした4日間の研修(部門別戦略立案を実際に策定する)だった。
懇親会で、皆さんからお話しいただいたこと。

「管理職対象に、リーダーシップ研修を月1頻度で実施中。著名研修会社がやってくれているのだが、この先生が30代後半?一生懸命やってくれるし、教材などは整備されているのだが、いかにも受け売り。自分で実践してきていないことは明白で、私たちレベルでは今更聞くことが、、、」

部長研修以上になると、対象者は能力開発が進んでいるし、経験も積んできている。その意味で、昨晩の懇親会で皆さんから異口同音に
「こんな研修は全く初めてのことだった」
と言ってもらえて大いに面目を施した。

2012年5月18日金曜日

役員への戦略立案指導研修終わる

経営戦略立案指導を年商50億円ほどのとあるメーカーに実施。CEO社長と役員8名への、計4日間(3ヶ月に渡る)指導が本日終了した。

今回は、全社戦略ではなく8名の幹部にそれぞれの部門戦略を立てて貰った。前回終了後、途中までの戦略パッケージをパワー・ポイントのテンプレート・ファイルに書き込み提出して貰っていた。各人へのメールによる添削指導を経て、本日は4名x2の小グループで討議して貰う。つまり、各部の部門戦略3年実践案を他部門の役員3名に批判、助言して貰う。その合間に「組織戦略策提示の注意」「モチベーションとコミュニケーション」の講義セッションを各1時間ずつ。

終わって夕刻からの懇親会に招いて貰う。社長以下、全参加者の満足度は非常に高かった。気持ちのよい仕事が出来て私も大満足。

「ザッポス伝説」 トニー・シェイ 書評137(4)

ザッポスの成長・成功は品揃えとシューズネット通販で先行した要素の方が大きい?
Reseller Ratingsというサイトは、北米における多くのネット通販に対する顧客のコメントを集めている。ザッポスに対しては、今日現在248コメントがアップされている。星1から星5つまで。もちろん星5つのモノも多いが、星が1や2のモノも少なくない。天の邪鬼な私が、その一つを簡訳紹介する。

ザッポスについて沢山のよいことを聞いていました。しかし、初めて使ってみて、そういういいことを言う客がいることにショックを受けました。
私は自分の誕生日(28日の水曜日)のためにブーツを発注したのが前の週の火曜日(20日)でした。26日の月曜日には着くはずでした。

発送通知メールが来ないので、当方からメールで問い合わせてみると、26日現在発送されていない、とのこと。私は何度もメールを送り、誕生日のためだと知らせたのですが、翌日配送にアップグレードは出来ないとの返事。「次の機会に使えるクーポンを出す」、など。こんなコトの後で、2度と注文出すと思うの?「27日には着くように出荷します」とメールが来たが、着いたのは29日だった。担当者からは、「出荷日を変更することに気がつかなかった」と。

29日に着いたブーツを見ると、左右のサイズが異なっていた。それから12回メールを出した。やっと新しいブーツを送ってくれた。入手できたのは、最初の発注から2週間後。こんな非道いサービスの会社だと知っていたら、決してザッポスを使わなかった。
http://www.resellerratings.com/store/view/Zappos/page/3

(この項 終わり)

2012年5月17日木曜日

「ザッポス伝説」 トニー・シェイ 書評137(3)

幸せをEコマースが顧客に伝える?
トニー・シェイが実質的創業社長として開発、深化した経営哲学は、「幸せを届ける会社」ということだ。企業文化として、従業員に対してはそれは実現されたらしい。この本にも種々のオフィス現場での描写から伺われるし、ザッポス社もこの点を発信することに腐心している。その結果、毎年に渡り「働きたい職場ランク」の常連となってきた。

しかし、それと同じ「幸せの体験」をネット通販の会社が顧客に対してどう実現するのか。同社の「10の哲学」の筆頭が
「顧客にWoo!を与える」
だ。Woo!とは予期せぬ驚き、それも喜びに満ちた驚きなのだが。

問題は、同社がネット通販の会社ということだ。それは、顧客との接点が少ない。顧客側とすれば、販売会社との接点など少なくすんでしまう方が満足度が高いというビジネス構造だ。濃密な顧客接点を有する、例えばノードストリームやリッツカールトンなどと対極のビジネスな訳だ。トニー・シェイが本書で宣言し目指している目論見は顧客側ではどう評価されているか、次回に書く。
(この項 後 一回)

2012年5月16日水曜日

「ザッポス伝説」 トニー・シェイ 書評137(2)

CEOトニー・シェイによる教宣書
本書の構成は大きく三つに分けられる。

まず、初めはexザッポス創業時代の、著者の生い立ちであり、ビジネス歴だ。企業家にふさわしいユニークな経歴(親が移民、子供の頃からのビジネス実践、ハーバード卒、最初の会社を24才で売却、億万長者になど)。

第2弾は、初期投資したザッポスが順調に立ち上がらず、経営者として全面参画し、キャッシュ・フローのために全財産を投入するなどのめり込んでいく。何度も倒産の危機や修羅場に遭遇し、それを乗り越えてザッポスもトニーも成長していく。ここのところが一番おもしろい。企業小説かと思うくらいスリリングだ。

第3部が、トニーが辿り着いたザッポスでの経営哲学と、その徹底的な実践だ。いわく、「幸せを運ぶ会社に」という。実は、この部分では私は例によって大分懐疑的だ。

(この項 続く)

2012年5月15日火曜日

エニグモ社 須田将啓CEO サハラスーパーマラソン完走

須田さんは、経営者ブートキャンプ第1期生。凄い、おめでとう!須田さんのブログの1部を転載させて貰う。

須田
サハラ砂漠250Km無事完走し、
本日、ようやく日本に帰ってきた。
冗談抜きで体力的には人生で一番過酷な1週間だったと思う。
80Kmのナイトランでは、荷物を背負って山をのぼり、砂丘を超え、
ノンストップで夜中にベースキャンプに戻ることができた。
暗闇の中、ゴールゲートが浮かび上がってきた時には感動した。
ただ、その最中、熱中症防止で塩分を取り過ぎたことと
疲労困憊のため、人生初の血尿も経験した。
汚い話だけど、デミグラスソースみたいなドス黒ささと量の多さに焦った。
9日間、砂漠にいて、貴重な水を使わないように、

(以下、須田さんの4月18日付けブログへ)http://www.enigmo.co.jp/blog/suda/

「ザッポス伝説」 トニー・シェイ 書評137(1)

創業からエグジットまでの修羅場伝説

ダイヤモンド社、2010年刊。ザッポス社は靴専門のオンライン通販サイトとして大成功してアマゾンに買収された。株式交換によるアマゾン傘下入りとは言え、トニー・シェイ以下社員株主にとっては大成功となったエグジットである。

本書は、まずとてもおもしろい本だ。ビジネス書としての域を超えたおもしろさの企業家ストーリーである。トニー・シェイは当初、ザッポスの創業時の投資家だった。しかし、ザッポスの経営が順調に立ち上がらないことから、CEOとして経営参画し、やがてそのキャッシュ・フロー対応でシェイ個人の資産の殆ど全てを投入してしまう。文字通り背水の陣を敷いたし、レイオフなどの痛みや綱渡りのような修羅場が、経験した本人で無ければ語れない迫力で描出される。

(この項 続く)

2012年5月12日土曜日

ポストMBAプログラム 経営者ブートキャンプ

丁度前期の卒業生が、ブートキャンプのサイトにコメントを寄せてくれたので紹介する。

私は、再生企業CFOなどを経た後、いまの会社で幾つかの事業責任者をさせて頂いて参りました。情報をフレームワークに落とし込み整理し、戦略らしき資料をこさえる作業にはMBA修学時から慣れてはいましたが、それだけでは解決に至らないもどかしさを感じていました。

そんな折、事業責任者を務める新規事業の次の成長戦略を描きたいと考えていた時、経営者ブートキャンプを知りました。組織コミュニケーションを通じてクリエイティブに戦略を立案する山田式は全く趣きが異なり、浸透と実行、そして結果にフォーカスしている大変実践的なものでした。また、実際の成果を出してきた講師の方々には確たる哲学と強い想いがあります。ともに学ぶ受講生には熱い夢があります。 少人数のなか、こうした想いにインスパイアされるブートキャンプは素晴らしい学びの場であり、ポストMBAの場としても相応しいものだと考えております。
https://www.keieisha.jp/kbc/#03

経営者ブートキャンプ 第5期 盛況にキックオフ

経営者ブートキャンプの第5期が盛況の内に本日スタート。これから9月まで6講が開催される。今回も国内企業社長、外資事業部長クラス、コンサルタントなど多彩な参加者が集結してくれた。女性参加者も。

2012年5月11日金曜日

村上龍 「カンブリア宮殿」で戦略を語る

村上 龍
富士フイルムホールデング社長の古森重隆社長が「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)に出演(5月10日)。今年は、写真フィルム業界で長く世界の巨人だったコダックが倒産したこともあり、同社の大躍進というか変身が一層注目されている。コダックの倒産については私も「イノベーションのジレンマの呪い」というタイトルでブログに解説した。
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/01/blog-post_5866.html

昨晩の「カンブリア宮殿」で私の印象に残ったのは、しかし村上龍の最後のまとめだった。
「企業の変化、変革を作り出すために必要なのは新しい資源ではない。資源・技術・人材の再編であり、それらの最適配置である。
それを実現するには、考え抜く以外の方途はない」

これは、経営戦略の本質を見事に表しているではないか。さすが文学者にして当番組のホストを務めているだけのことはある。

【実践!戦略立案技術】(16)


解決策の策定
◆「気づき」と「思いつき」


「ステップ3:課題の発見」で大切だったのは「気づき」でした。自分の会社の経営で、一体何が重要な問題となっているのか、それをしっかり認識するために「戦略カード」を走らせたのです。

今回の「ステップ4:解決策の策定」で重要な資質となるのは、「思いつき」です。とある経営課題に対しての解決策というのは、理論的には無限に存在します。その中で一体、いくつ思いつけるのか。「有効な解決策」というのは、思いついた中からしか絞り込めせん。

経営戦略の立案で辛いところは、「有効性の事前証明」ができないことです。これは経営が社会科学の範疇である以上、仕方がありません。このため、ステップ4ではどれだけ他者を説得できる蓋然性の高い「解決策」にたどり着けるかが、勝負となります。

次回は「ステップ5:派生問題と対処」に進みます。

2012年5月10日木曜日

リッツ・カールトン 高野登氏 経営者ブートキャンプに6月2日(土)登壇

「究極のホスピタリティ」経営を示現したとして広くリスペクトされているザ・リッツ・カールトン。その日本支社長を務められた高野登氏を、経営者ブートキャンプの特別講師として招聘した。高野さんは5月から始まる第5期経営者ブートキャンプで、ホスピタリティ経営の神髄について講義していただく。登壇は6月2日(土)となった。

本講は一般公開ではないが、経営者ブートキャンプのOBには開放とした。昨日告知したところ、早速多くのOBが参加希望。夕刻は、講師、第5期参加者、OBとの大懇親会を予定した。「経営者の梁山泊」「志のある経営者・幹部のネットワーク」を強化していく。


第5期で登壇いただく特別講師は他に、
新 将命 氏 (元ジョンソン&ジョンソン社長)
出口 治明 氏 (ライフネット生命 社長)
井上 和幸 氏 (経営者JP 社長)

の各氏を予定している。いずれも複数の著書をお持ちの著名な経営者の方々。私を入れて、全員で50冊以上の著著がある。「経営者が教える経営者のための経営者ブートキャンプ」の異名にふさわしい顔ぶれと自負している。

電気自動車 充電規格戦争で欧米連合に一敗地に

電気自動車では、トヨタなどの日本勢が遙かに先を走っていると思っていたが、思わぬ「搦め手」から反攻され始めた。

従来の日本式充電規格(チャデモ)では、車側に二つのプラグ(差し込み口)があり、30分で8割の充電を行う。それに対し新発表されたコンボ規格では、1プラグで最短15分で満タン充電となるという。

コンボ規格は、GMやダイムラーなど欧米の主要8メーカーが採用するともいう。これが問題だ。規格戦争が仕掛けられたと言ってよい。このままでは、日本規格は例によって「世界のガラパゴス」となってしまう恐れがある。充電装置口や充電インフラなど、相互利用は望めないような成り行きとなるだろうからだ。

フィリップスの日本子会社の社長時代に痛感したことだが、欧米、とくにヨーロッパの企業の「我が田水を引く」規格戦略は恐ろしいものが有る。せっかく日本メーカーが技術的に先行したとしても、世界規格を設定することにより、先行技術を引きずり下ろすか使えなくしてしまう。十数世紀にわたって国や国境までをやりとりしてきたヨーロッパ人の外交感覚は恐ろしく高い。そして、人種的なモノもあって、いつもアジア人、アジア企業を排斥・不利にしようと衆謀しているのだ。

グローバル展開を目指す場合、この「国際規格設定の罠」があることを常に注意しておかなければならない。日本経済新聞記事のURLを掲げる。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE2EAE2E1888DE2EAE2E7E0E2E3E09494E0E2E2E2

2012年5月8日火曜日

【実践!戦略立案技術】(15)

解決策の策定
◆有効カードを選び出す

カードが出きったら、すべてを机の上に並べて、「似たもの集め」をしてみましょう。その過程でまたカードが出てきたり、複数のカードが集約されてきたりもします。

「カード選び」のステップは、複数の幹部とグループで行ってもいいでしょう。ただし、その場合も「カード出し」は事前に個々人が個別に行い、それぞれのカードを持ち寄るのが重要です。

ステップ4では、最も有効と思われる「解決策カード」を数枚選び出し、選択マークと選択理由の裏書きをするのがゴールとなります。各課題につき、それぞれ数枚の「解決策カード」ができるということです。

2012年5月7日月曜日

ダイナミック競争戦略論・入門 」河合忠彦 書評136(8)

マイケル・ポーター
マイケル・ポーターに読ませて欲しい

河合教授は、巻末近くに「ダイナミック競争戦略の7原則」を掲げ、その中で「リーダーシップの重要性」を指摘されている。まことに当を得たご指摘だ。どんな戦略を企業が選択しようとも、経営者の覚悟-つまり強いリーダーシップ-が無ければ、それらの経営戦略は全く機能、あるいは始動さえしないだろう。

この点を含め、本書はそもそも「ポーター理論の7つの謎を解いて学ぶ」と副題で謳っている。一番本書を読んで欲しいのが、私はマイケル・ポーターである。

河合教授はもうご検討のことと思うが、早い機会で英語による北米でのご説発表を切に願う。河合ダイナミック戦略論に対するポーターからのコメントや反論など是非読んでみたいモノだ。

(本項、終わり)

2012年5月6日日曜日

【実践!戦略立案技術】(14)

解決策の策定
◆「解決策」のカード出し

1つの課題に対して、「戦略カード」を使って、できるだけ多数の「有り得る」解決策を書き出してみます。例によって、「1枚のカードに1項目、1つの短い文章で」の原則で、思いつく限りの解決策を絞り出してみましょう。

「カード出し」を行っているときは、「どれが有効か」「そんなことが可能なのか」「それを採用したらこんな問題が出てくる」などということを考えてはいけません。有り得るアイデアを「一人ブレーンストーミング」で絞り尽くしてください。

作業の性格上、「カード出し」はいつでも一人で、邪魔が入らない環境で行ってください。3つの課題に対して、それぞれカードを20枚くらいは出して欲しい。結局、1日がかりの作業となるはずです。

2012年5月5日土曜日

現代自動車 鄭夢九会長 極め打ち戦略の経営者

現代自動車の鄭夢九(チョンモンク)会長は端倪すべからざる企業家だ。

売上げが伸び悩んでいた1998年に「10年、10万マイル保証」という大胆なというか、当時の同社としては背水の陣を敷いたような戦略を採用した。

このプログラムは、北米消費者に信頼を与え、同社の大躍進の起爆剤となった。しかし、効果は対外的なものだけではなかった。組織全体に緊張感を与え、品質改善だけでなく、意識改革をもたらした。

同会長が断行したのは「極め打ち戦略」と私が名付けたモノであって、その定義は、次となる。

「特定の重大な課題を徹底的に解決しようとすることによって、その課題を取り巻く複数の分野で大きな改善に至り、その結果、全社的な業績の改善やビジネス・モデルの改善に至るような戦略である」
(『プロフェッショナルリーダーの教科書』32ページ、拙著、東洋経済新報社)

2012年5月4日金曜日

「ダイナミック競争戦略論・入門 」河合忠彦 書評136(7)

ジャック・ウェルチ
純粋理論と実用技術(2)

河合教授は、「ダイナミック戦略のタイプ」として、12もの戦略タイプを掲げられた(表6-1)。精緻に構成されたセオリーはしかし、実用の場面ではより厳密な理解と選択を要求することになる。

どの戦略タイプを選ぶかの一つのツールとして、「ダイナミック競争戦略の経営プロセス」(表7-4)をまとめられている。表7-4は、「INPUT」と「OUTPUT」により構成されている。もちろん、前者を入れた後、後者を得よ、というフレームワークである。しかし、前者を埋めても必ずしも後者が形成されるわけではない。

問題は、上記のこれらの作業を、通常の経営実務家CEOが遂行していけるのか、というコトだと思う。経営学を専攻しなかった圧倒的多数の世の社長には無理な作業だとしたら、戦略専門スタッフを置くことになるのか。ダイナミック競争戦略は、戦略専門スタッフか、戦略ブティック系のコンサルタントには駆使できるかも知れない。しかしそれを提案説明される経営陣側では「経営の共通言語」となりえないという至難性が予想される。

GEには長くBSUごとに「戦略マネジャー」が置かれ、彼らの戦略立案によってBSUの経営が差配されたという。CEOとの役割分担や優先順位、そして時間的な遅滞などの弊害がさぞ大きかったのではないかと、CEO職を勤めさせて貰った私には思える。果たして、あの大経営者ジャック・ウェルチがその職制を一掃したわけだ。

(この項 あと一回)

2012年5月3日木曜日

「ダイナミック競争戦略論・入門 」河合忠彦 書評136(6)

純粋理論と実用技術(1)

アインシュタインが相対性理論を構築したとき、もちろんエンジニアリング面などでの援用などは考えもしなかっただろう。セオリー構築とは純粋に理論的に遂行されるものだ。

経営戦略セオリーの場面におきかえると、私はエンジニアー経営実務家-なわけだ。また私が日々指導している経営者や幹部のことを思い浮かべると、「ダイナミック競争理論」をどう彼らの実務に落とせるかと思ってしまう。本書で展開されているセオリーを理解できるには、少なくとも下記の素養が必要だ。
  1. ポーターの競争セオリーに対する知識。
  2. それを、価格・差別化直線にグラフ化されて理解。
  3. 消費者満足曲線と需要構造の理解。
  4. PLC(プロダクト・ライフサイクル論)との適合戦略の理解。
  5. 双曲線を含む複雑な幾何グラフ造形の理解。

マイケル・ポーターで言えば、「競争優位」という単語とその概念は広く知れ渡ったと思うが、その競争戦略セオリーの2項対立的な構造は、経営実務家には殆ど理解されていないのが実情だ。

(この項続く)

「プロフェッショナルリーダーの教科書」書評が 書評138

「プロフェッショナルリーダーの教科書」(東洋経済新報社、2011年刊)は、経営者ブートキャンプでの授業をまとめた本だ。私を含む5人の講師のそれぞれの講義を1章として著述されている。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492532870


各方面でご評価を頂いてきたが、「創意とくふう」誌2012年4月号で2ページに渡って紹介された。同誌は、カイゼン運動の総本家のような存在である日本HR協会が発行している。
http://www.hr-kaizen.com/