トニー・シェイが実質的創業社長として開発、深化した経営哲学は、「幸せを届ける会社」ということだ。企業文化として、従業員に対してはそれは実現されたらしい。この本にも種々のオフィス現場での描写から伺われるし、ザッポス社もこの点を発信することに腐心している。その結果、毎年に渡り「働きたい職場ランク」の常連となってきた。
しかし、それと同じ「幸せの体験」をネット通販の会社が顧客に対してどう実現するのか。同社の「10の哲学」の筆頭が
「顧客にWoo!を与える」
だ。Woo!とは予期せぬ驚き、それも喜びに満ちた驚きなのだが。
問題は、同社がネット通販の会社ということだ。それは、顧客との接点が少ない。顧客側とすれば、販売会社との接点など少なくすんでしまう方が満足度が高いというビジネス構造だ。濃密な顧客接点を有する、例えばノードストリームやリッツカールトンなどと対極のビジネスな訳だ。トニー・シェイが本書で宣言し目指している目論見は顧客側ではどう評価されているか、次回に書く。
(この項 後 一回)
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