2012年11月30日金曜日

『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』 小笹 芳央 書評(158)

PHPビジネス新書、2006年刊。著者はリクルート出身で、リンクアンドモチベーション社を創業、現社長。

同社は、「モチベーション・エンジニアリング」に特化というポジショニング戦略を取り、研修業界で急成長してきた。著者は組織的だけでなく、理論上もトップリーダーとして同社のコンサル集団を率いている。この分野での著作も多い。

本書は、「30の原則」として書き分けられている。モチベーションやコミュニケーションをどう具体的に実践していって、経営者(あるいは部門責任者)はリーダーシップを発揮できるのか、という方法論がかつ具体的に書かれている。リーダーシップ論の本はイヤと言うほど有るが、本書は読みやすく、分かりやすい。経営者ブートキャンプの次回課題図書とすることにした。

2012年11月28日水曜日

「半分は女性をめざせ」ライフネット生命のダイバーシティ(3)

女性登用を謳っていることと裏腹に、朝日新聞と住友金属では役員に殆ど女性が存していない事実を2回にわたって指摘してきた。

もう1回書こう、と思ったことは経営者ブートキャンプで特別講師を務めて頂いている、ライフネット生命の出口治明社長のことだ。60才を過ぎて戦後初の生命会社を創業したアントレプレナーだ。

出口さんが経営者ブートキャンプで参加経営者の方に毎回強調していることが、「ダイバーシティ(多様性)」の重要性である。「年齢も、バックグラウンドも、価値観も、違った方が良い」として、「採用は学歴フリー、年齢フリー、国籍フリー」を謳っている。100名に満たないこの会社の常務は女性の方だ。

(この項 今度は本当に終わり)

2012年11月27日火曜日

朝日新聞、社説で「半分は女性をめざせ」、と?住友電工はどうする(2)

2011年8月30日に、「住友電工 世界共通の人事制度」というブログを書いた。

「住友電工は、今回「グローバルHRMポリシー」を導入し、詳細はそのポリシーに従って構築していくという。これはおもしろい。その「ポリシー」というのはいわば同社を規定する「人事憲法」となる筈だからだ。となれば、日本本社もその施政下に置かれなければ首尾一貫しないことになる。同ポリシーには「xxに関わらす」というのが列挙されていて、その中に「性別」とも謳われている。」(1部抜粋)http://yamadaosamu.blogspot.jp/2011/08/blog-post_7015.html

本日付の同社のサイトを見ると、取締役・監査役・執行役員合計41名のうちに、女性と外国人はただの一人も見当たらない。グルーバル・ポリシー発表から1年以上が過ぎている。これでは、朝日新聞にも非難されてしまうだろう。私に言わせれば「ちゃんちゃらおかしい」ということになる。

さて、ノルウェーでは2003年3月、上場企業の女性取締役を40%以上にというクオータ(割当)を義務付ける法律を制定するなどしている。住友電工が近未来に北欧で現地法人を上場させるような結構な事態となったとき、「40%は女性」グローバル・ルールを日本でどのように咀嚼するか、けだし見物である。

(この項 終わり):もう一回書くことにした

朝日新聞、社説で「半分は女性をめざせ」、と?(1)

朝日新聞が11月27日の社説で、標題の主張を掲げた。これは政治に関してのことだが、揚げ足を取るようにその社説の1部を書き出すと、次のごとくである。

「一つの大きなかぎは、女性の力を生かすことにある。」
「ならば、自ら始めるべきだ。」
「外から言われるまでもない。女性の力を生かさないでいる余裕は日本にはない。」

それでは、同社の役員構成はと見ると、社主を除いて23名の役員・役員待遇の中で女性は2名だけだ。女性割合は8.7%である。まあ、上場会社全体での女性役員割合は1.4%に過ぎないので、8.7%に胸を張って社説を掲げたのかも知れない。とはいえ、わずか2人の登用で大きなコトは言えないのではないか。

(この項 続く)

2012年11月26日月曜日

新経営技法の実験場GE社「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(14)

アメリカの代表的な株価指数、ダウ平均でそのスタート時点から組み込まれているただ1社となっているのがゼネラル・エレクトリック社だ。あのトーマス・エジソンが発明した電球を事業化するために、自ら創設した会社であり、それ以来今日まで押しも押されぬ大企業である。

この大企業はまた、伝統的に進取の気概に富み、前項で表にまとめたような革新的な経営技法を真っ先に、それも本格的に導入してきた。伝統と基盤のある大企業が最先端の経営技法を取り入れてきたのだから、実現してきた継続的な大発展も理解できる。

戦後取り入れた技法の中でも特筆されるべきなのが、SBU(戦略的事業単位)の導入によりその時点での経営組織を革新したことである。

(この項 続く)

2012年11月25日日曜日

新経営技法の実験場GE社「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(13)


GE社が採用した主な先端的経営技法


経営技法

内容・年代な

MBO(目標管理経営

ピーター・ドラッカーの提唱(’54)と同時期に、MBOにより組織再編

クロトンビル研修センタ

大企業として初の企業内研修センター(56年創設)

SBU (戦略的事業単位

マッキンゼー社の提言により、従来組織に捕らわれず43のSBUを設置(’70

戦略計画と戦略オフィサ

SBUには、ゼネラル・マネジャーの他に戦略オフィサーが配され戦略計画を立てた

PIMS

マッキンゼー社と共に開発した9象限・投資優先順位ポートフォリ(‘70年代初め)GEグリッド、GEのビジネス・スクリーンとも。

出所:筆者作成

(この項 続く)

2012年11月23日金曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(20)

柳井正、経営戦略の成長:経営資源論の立場から
 
ユニクロの成長軌跡を分析すると、下記のような幾つかの時代に分けて考えることが出来る。
 青山商事追随時代  (1974-1983)
 初期成長  (1984-1997)
 迷走と対応 (1998-1999)
 発展と錯誤 (2000-2002)
 グローバル大成長志向 (2003以降)

成長ということでは、ユニクロの業績は決して一本調子のモノではない。停滞や混乱の期間があり、ぐっと伸びる時期がある、それらの繰り返しで大成長を遂げてきた。柳井の成長戦略も、だから最初―ユニクロ第1店舗目―から「世界で売上げ5兆円」を掲げたわけではない。経営戦略自体も成長してきた。

それぞれの段階で、それでは何を契機にして成長してきたかというと、「経営資源」だ、と観察することが出来る。「経営資源論」とはジェィ・バーニー他が提唱したモノで、VRIOフレームワークに該当する事象により、その企業は他社と差別化でき、成長していけるとする戦略セオリーだ。

(この項 続く)


経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(19)

柳井正、経営戦略の成長:経営資源論の立場から
 
今期は研究テーマ経営者として柳井正を取り上げてきた。最初に第2講で『プロフェッショナルマネジャー』(ハロルド・ジェニーン、プレジデント社、2004年刊)の巻末に柳井が書いた「解説」を参加者に報告して貰い、討議した。本書を自らの「経営の教科書」としている柳井が、解説としては異例の長さでかつ盛んな熱意を示した文章を皆で読んだのである。

その後も『柳井正 未来の歩き方』(大塚英樹、講談社、2010年刊)と、ユニクロあるいは柳井に関する雑誌文献数点を、「課題図書」に指定して2回に渡って報告発表と討議を行った。

本日は総括として私が見解というか、戦略セオリーと関連して柳井経営の成長を解説した。

(この項 続く)

2012年11月21日水曜日

鳩山由紀夫 政界引退 遅すぎた

鳩山元首相が次の衆院選挙には立候補しないと表明した。

同氏が首相就任してまもなく、国会答弁を聞いて、「学習院の誇り、学習院の恥」というコラム記事を書いた(2009年10月30日)。http://yamadaosamu.blogspot.jp/2009/10/blog-post_30.html

前任首相の麻生総理大臣と二人とも学習院出だったことからだ。私の母校なので、そのような視点となった。

鳩山先輩の資質を見抜けなかった自分に自戒の念がとても強い。一刻も早く消えて欲しい。

7S 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(14)

7Sの下の から は『エクセレント・カンパニー』で「超優良企業の条件」と結論されたものであり、A) から F)は『ビジョナリー・カンパニー』で「時代を超える原則」とされたものである。

『ビジョナリー・カンパニー』の有効性については、フィル・ローゼンツワイグという学者が大きく疑問を提出している。
 http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/10/blog-post_16.html 

『エクセレント・カンパニー』に関して、私は自著『タフ・ネゴシエーターの人を見抜く技術』(講談社、2001年)で企業事例のその後を検証して、立論が無効だとした。その後、著者のトム・ピーターズ自身が
「データをねつ造してさっさと書いたお手軽プロジェクト(hip-pop project)だった。あんな騒ぎ(ビジネス書として歴代世界最大のベストセラー、600万部を売り上げた)になるなんて思ってもいなかった」(Fast Company誌、2001年5月号)
と告白してしまった。

(この項 続く)

2012年11月20日火曜日

7S 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(13)

本日はマッキンゼーが提唱した7Sについて。
ソフトの4S
①Shared value (共通の価値観・理念)②Style(経営スタイル・社風)③Staff(人材)④Skill(スキル・能力)
ハードの3S
⑤Strategy(戦略)⑥Structure(組織構造)⑦System(システム・制度)


7Sについて述べる前に、下の二つのグループのステートメントを見ておいて欲しい。 
     行動を重視する
     顧客に密着する
     自主性・企業家精神
     人を通じての生産性の向上
     価値観に基づく実践
     基軸から離れない
     簡素な組織
   厳しさと穏やかさの両面を持つ

A)     社運を賭けた大胆な目標をもつ
B)     カルトのような強力な企業文化の構築
C)     実験精神とリスクを厭わない姿勢を養う
D)    人材を育成し、生え抜きの経営陣とする
E)     決して満足しない
F)    意思決定と行動を導く基本理念を持つ


(この項続く)

オリンパス 菊川剛元社長 覚悟がなかった経営者

オリンパスの粉飾決算事件第2回公判で、菊川被告は
「公表すれば倒産する確率が極めて高く、決断が出来なかった」
と述べた。このことは、本人の経営者としての意思決定力の弱さだったろう。

しかし、発表について前任2社長に提案したら猛反対されたとも述べたという。弁解するのに事欠いて何を告白しているのか。こちらの証言については、私はとても心外に感じた。

前2社長とは、その隠蔽を実施してきた直接の利害関係者である。というか、そのようなことを主導した、会社に対しての悪人だ。そのような人たちに相談?おかしい!

経営者は孤高で孤独な決断を迫られる存在だ。菊川被告は社長就任して、その覚悟が無かったのだろう。そして最後まで無かった。経営者失格の人だった。

2012年11月18日日曜日

新将命(あたらし・まさみ)特別講師、経営者ブートキャンプ 登壇


経営者ブートキャンプ第6期の第2講が11月17日(土)に。
午前は参加者が4人グループに分かれて、「3年戦略策定」討議の第1回目セッション。「3年目標」と「重要経営課題」カードを準備してきて貰って、他の3人とファシリテーターに提示。議論をした。各40分。

午後前半、特別講師の新将命氏が出講してくれた。今回は「マネジャーとリーダーの違い」について1時間話して貰い、その後まるまる1時間、参加者からの質問をベースにして話して貰う。私が司会させて貰ったのだが、質問が途切れることなく、さすがブートキャンプ、と感心。

最後の2時間は、課題図書の報告と討議。今回の本は『フォーカス』(アル・ライズ)。サブで読んで置いてもらったのがランチェスター戦略本。期の始めにマーケティング本を読んで貰ったのは、もちろん「三年戦略策定」の参考として貰うためだ。

上位戦略と下位戦略「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(12)

2012年9月18日に「ヤマダ電機満足度最下位訴訟」というブログ記事を書いた。
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/09/blog-post_18.html

2012年度の「業界別アフターサービスランキング」(日経ビジネス2012.7.30号)で、「家電量販店」の分野で今年もヤマダ電機が最下位だった。一方シャープは、TV、冷蔵庫、クーラー、HDDなどの「家電製品」の各分野で軒並み第1位である。

顧客満足度で最下位のヤマダ電機が業界の勝ち組横綱、一方満足度最高のシャープは存続の危機にある。

つまり、戦略には企業全体として上位戦略、下位戦略がある、ということだ。機能別戦略や部門戦略などの個別戦略の中でも、何が当社全体にとって重要なのか、それを経営者は意識しなければならない、見極めなければならない。さもなければ「合成の誤謬」の轍を踏んでしまう。

(この項 続く)

2012年11月16日金曜日

シャープ「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(11)

シャープ社の記事を書こうとして、ロゴを引いてきたら、それにかぶっているテーマ・コピーが「目指してる、未来がちがう。」ですと。皮肉を言うのも気の毒な。

今年6月16日(土)に「シャープディスプレイプロダクト社佐治寛社長スティーブ・ジョブスとの違い」というブログ(下記URL)に「佐治社長は退陣した方が良い」と乱暴なことを書いたら、その次の週に解任されてしまったという経緯があった。
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/06/blog-post_16.html

小ブログがそんなことを引き起こしたことではもちろん無いが、同記事のアクセス数がその月では大変多かったのも事実だ。

さて、シャープ・ヤマダ電機・顧客満足度という三題話で経営戦略を語ろうとしているが、次回となる。
(この項 続く)

2012年11月13日火曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(18)

井上和幸特別講師が「人材マネジメントを科学する」
 
井上さんの講義の中で特に興味を集め、参加者からの質問をこなしきれなかったトピックがあった。それは「FFS理論」というものだ。100以上から成る性格観察についての定性質問について該当度合いを定量的に答える。その集積から、ビジネスパーソンは大きく4つの類型に分類できる、というものだ。4っつのタイプとは次のようなモノだ。

 リーダーシップ(AD型)
 アンカー(AE型)
 タグボート(BD型)
 マネジメント(BE型)

この理論では、どの類型が優れているかということではない。ビジネスの状況により、どのタイプが一般的には適しているタイプとなるか、そしてチームの中でそれぞれのタイプの相性がある、ということだった。個別のチームに特定の任務を与えるような場合、組成員のMixをどのようにすれば、チーム効率が最大化となったり、あるいは最悪となるか、ということを指し示している。クラスの経営者の皆さんが興味を持ったのは当然と成る理論だった。
 
(この項 続く)

2012年11月12日月曜日

当ブログ 1,000記事 達成

拙ブログ、この記事が1,000回目となった。読んでくださる皆さんがいらっしゃるので、続けてこられた。心から御礼申し上げる。

ほぼ毎日書いているので、3年近く、「本当に役に立つ経営戦略とは」との視点で評論したり、書評を繰り広げてきた。取り上げたビジネス・経営書は150冊以上となり、「書評サイト」としても紹介して頂くようになってきた。

このブログを書き続けていた間、幸い健康に恵まれ、講演やセミナー、研修指導などで病欠変更などが1回もなかった。これからも精進を続け、次の1,000回を書き続けたい。経営者やそれを目指している読者に少しでも参考にしていただければ幸いだ。皆さん、ありがとう。これからもよろしく。

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(17)

井上和幸特別講師が「人材マネジメントを科学する」
 
井上さんの強みは、何と言っても(株)経営者JPの創業社長で、現役経営者であるということ、そして業務内容が経営者と経営幹部専門の人材コンサルティング、つまり「社長のヘッドハンター」というところにある。しかも、その異名にはおまけに「日本一の」という冠詞がついてまわっている。

「日本一の」というのは別に僭称でも何でもなく、人材会社の最大手リクルート社が制定して毎年顕彰している「優秀人材会社法人」と「同コンサルタント」の両方で井上さんは最優秀として表彰を受けている実績がある。それも昨年の話だ。いまをときめく「日本一の社長ヘッドハンター」と周りが囃すのは伊達ではない。

経営者の能力、資質の見極めについてはこれ以上の人はなく、いわば「幹部人材界の中島誠之介」であり、さらに経営者の能力開発と育成については私同様情熱を持っている。そんな、バリバリ現役の井上さんは経営者ブートキャンプでも各期でいつも異なるトピックや知見を披露してくれて、参加者や私を飽きさせることがない。今回も「人材マネジメントを科学する」と題して、とても興味深い講義をしてくれた。

(この項 続く)


2012年11月11日日曜日

SMBCコンサルで「部長力強化」1日セミナー 出講

11月10日(土)に標記タイトルで出講。
SMBCコンサルでは、定番的に数ヶ月毎にこのタイトルで実施してきている。部長を対象にした公開セミナーは、他のメガバンク系総研各社でも定期的に実施させて貰っている。

11月のこの日は、午前中は「部長のための部門戦略の立案法」、そして午後は「部長のためのコミュニケーション強化術」という、二つのサブ・テーマで話させて貰った。次は来年2月16日(土)に同内容で実施する予定。

初任管理職はいざ知らず、部長クラスの上級管理職は能力開発が進んでいる人たちなので、なかなか研修のテーマ、機会を見つけられないことと思う。そんな部長さん達にお役に立てるセミナーとしたい、といつも考えている。

2012年11月9日金曜日

法師温泉 日本ファミリービジネスアドバイザー協会(2)

設立発表会で基調講演をしてくれたのは、石川県の法師温泉で第46代当主となる法師善五郎氏。76才。

日本はファミリー・ビジネス大国で、創業200年、300年以上の企業の数では世界一。同温泉も一時は「世界最古のホテル」としてギネスブックに収載された。なにせ、創業1,300年。同温泉より古くて存続している企業がさらに数社あったということだ。
ご長男の第47代目専務が何と、9月12日に亡くなられ、49日を済ませて本日上京した、というお話しに会場は声を失った。
「でも第48代目(お孫さん)がおります」
歴史に堪えてバトンを渡していくオーナー経営者も声を振り絞った。

(この項 終わり)

2012年11月8日木曜日

中国銀行系で経営戦略立案セミナー


岡山経済研究所(中国銀行のシンクタンク)が「後継者・若手経営者育成セミナー」を開講している。月1回で、全8講。第3講として、

「戦略の『立案』と『実践』なくして成長なし~実践!有効な『経営戦略』はこうして作る~」

というタイトルで1日セミナー。正規受講者の他に、前年以前のOBなどが来てくれて盛況。地方の若手経営者の皆さんに有益なプログラムを同研究所は提供されていると思う。

2012年11月7日水曜日

パナソニック津賀一宏社長 大赤字 経営責任も (2)

業績悪化について発表した記者会見で、厳しい表情を見せるパナソニックの津賀一宏社長=31日午後、東京・東新橋
10月31日の発表ではパナソニック津賀一宏社長は、
「創業100周年となる2018年までには新しい企業目標を見つけ出したい」
と語ったとされる。

この記事を見て私は失笑してしまった。年次中に下方修正という形でこんな大赤字を出した経営者が、どうして後6年もその任にとどまっていられると思うのだろうか。いやしくも公開会社である。

6年後に「目標の発見」?私が教えている経営戦略立案では、3年というのが経営戦略の「実践時間枠」である。6年も掛けて戦略目標を設定するようでは、その6年間の間にどんな優良会社も失速、市場退場せざるを得ない。そうならないためには、津賀社長に退陣して貰うしかないはずだ。パナソニックは、社長人事に失敗したようだ。

津賀一宏社長の再生戦略は「家まるごと」だ(2012/2/29の拙ブログ)
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/02/blog-post_29.html

(この項 終わり)

日本ファミリービジネスアドバイザー協会発足(1)

日本ファミリービジネスアドバイザー協会の設立発表会に招かれ、11月2日にその催しに出かけた。http://fbaa.jp/

「同族企業」のことを欧米の経営学ではファミリー・ビジネスとよぶ。世界中で、法人の圧倒的多数はファミリー・ビジネスであり、その他の政府系や完全に創業家の手を離れた株式会社の方が圧倒的少数だ。

株式公開して、一般株主や投資家がその大多数を所有するに至った上場企業でも、少数株主の筈の創業家が実質的なガバナンスを保持しているケースは枚挙にいとまがない。トヨタしかり、タケダしかり、カシマしかりである。

今回の発足に当たっては、私の友人である武井一喜氏(WellSpring代表)が理事事務局長に就任した。同協会の発展を心から願っている。

(この項 続く)

2012年11月3日土曜日

パナソニック津賀一宏社長 業績下方修正 「普通の会社でない」 (1)

業績悪化について発表した記者会見で、厳しい表情を見せるパナソニックの津賀一宏社長=31日午後、東京・東新橋
パナソニック津賀一宏社長が、10月31日、今期の業績の下方修正を発表した。昨年に続き、7千億円を超す赤字となるという。この2年間だけで、その前の20年間の利益を帳消しとした。

津賀社長が就任した2月に、私は下記のブログで「再生戦略は『家まるごと』だ」、とした。
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2012/02/blog-post_29.html

あれから1年も経たないうちに、31日の発表で同社長は「当社はデジタル家電の負け組だ」とうめいた。そして、「普通の会社ではない」。

すべての会社は「普通」ではない。すべてそれぞれ特徴がある。この2つのコメントから、津賀社長はもう相当追い詰められていると私には読める。大会社のCEO,大リーダーが意欲があるうちには「うちは負け組だ」なんて言えるはずがない。早期の辞任か、最悪の場合自殺なんてことも有り得る、メンタル状況ではないか。

(この項 続く)

2012年11月2日金曜日

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(16)

ユニクロ柳井正社長の経営を掘り下げ

第5期で採用した課題図書は次のようなモノだ。
  『プロフェッショナルマネジャー』(プレジデント社、2004年刊)ハロルド・ジェニーン著。今は無い、アメリカの大手コングロマリットITT社を率いて14年半の間増収、増益を続けた名経営者の名著。
ユニクロの柳井正社長が巻末に解説を書いている。これが、本文の1章分と同じくらいの長さがあり、柳井社長が「私の経営の教科書」と入れ込んでいる。
 
 『柳井正 未来の歩き方』(大塚英樹、講談社、2010年刊)
 今期は、「柳井正の経営」の理解を目指し、課題図書を組み立てた。ちなみに前期では星野リゾート「星野 佳路(ほしのよしはる)社長の経営」を取り上げた。

 ユニクロの経営に関する、ビジネス誌の特集記事5点。
 『超実践的経営戦略メソッド』(拙著、日本実業出版社、2011年刊)
 最後に私の本を使って、ユニクロの「新ビジネスモデル経営」を解説する(次講で)。

(この項 続く)

経営者ブートキャンプ 実録日記 抜粋(15)

課題図書はこう読み込む!

一方、正テキストの方は事前準備が課せられる。一冊の本の中で、一部分がその対象と成り、典型的には重要な2章を私が指定する。どんな章を選定するかというと、「優秀な経営者になるために参考と成る」という基準からだ。

当該2章については、それぞれ1名が指名され、次回の「課題図書報告」クラスで報告する。大学のゼミでの輪読発表と思えばよい。今回も、一人20分報告して貰い、二人の報告が終わった後で、クラスで討議した。

発表者以外は、「課題図書感想文」という書式があり、その書式に沿って事前に書き込んでくることが求められる。ただし、その書式も1ページ以上書いてはいけない、という制約がある。「経営者はいつも重要なことにフォーカスせよ」ということで、やみくもに時間を使うのは正しくない、という私の考えからだ。

(この項 続く)

2012年11月1日木曜日

「G-FIELD EBISU」(ジー・フィールド・エビス) 公式オープン

経営者JPよりのお知らせ転載。
 
「G-FIELD EBISU」は、“志高き経営者・リーダー達が結集するリアルスペース”です。経営者JPオフィスビルの7Fに設営しましたセミナー・イベントスペースです。恵比寿発信の刺激的な場として、当社主催セミナーや各種交流活動を実施していく予定です。
お楽しみにしていただければ幸いです。
◎「G-FIELD EBISU」オフィシャルサイトを公開いたしました!
「G-FIELD EBISU」の位置づけ、施設間取りやスペースのPhotoギャラリー等ご覧いただけます。
ぜひ、アクセスください。
http://www.keieisha.jp/gfe/

セミナー&イベントスペース「G-FIELD EBISU」オープン記念講座
■2012年11月13日(木)開催
ビジネスに関わる法律上の疑問・悩みを一挙解決!
「社長のための、よく分かる法律相談所」
http://www.keieisha.jp/seminar121113.html
講師:
白川敬裕弁護士(原・白川法律事務所)
北周士弁護士(きた法律事務所)
清水陽平弁護士(法律事務所アルシエン)

■2012年11月29日(木)開催
明日のビジネスを生みだす事業開発力を身につける!
「事業開発リーダー養成講座」
http://www.keieisha.jp/seminar121129.html
講師:細谷功氏(ビジネスコンサルタント/株式会社クニエ コンサルティングフェロー)
・ 新規事業を考えている方、現状業務を新しい視点で見直したい方
・ 上記を特に「ビジネスモデル」の切り口で考えたい方

■2012年12月12日(水)開催
取引先から、部下・従業員から、消費者・ユーザーから「10倍モテる!」
社長・リーダーのための「会話力&プレゼンテーション力養成講座」<基本編>
http://www.keieisha.jp/seminar121212.html
講師:野村絵理奈さん(株式会社KEE'S 代表取締役)
取引先を、部下・従業員を、消費者・ユーザーをぐっとツカむ、「モテる」自分に変身!
元放送局のアナウンサー講師・野村絵理奈さん(株式会社KEE'S 代表取締役)に
放送現場で培ったプロのノウハウを基に、プレゼン、商談、
ビジネスコミュニケーション評価が確実にあがるメソッドを伝授いただきます!

『ランチェスター戦略 (ビジネスCOMIC)』(福永雅文) 書評157

PHP研究所、2009年刊。

ランチェスター本というのは、恐らく数百冊出ているはずで、マンガによる解説書も数冊出ている。総本山、日本ランチェスター協会の田岡佳子理事長までマンガによる解説本を出しているくらいだ。

本書の著者、福永氏も同協会出身。本書の特徴は、バー「ランチェスター」でアルバイトウェイトレスをしている星野ランという女子大生を主人公として、彼女に助言を求めて大躍進する経営者のエピソードとしたこと。

「局地戦」や「一点集中主義」、「差別化」などのおなじみのエピソードがあり、各章末に解説が数ページ付く、という構成だ。マンガと言っても、というよりマンガの方が分かりやすいところもあり、なにより、購読時間が圧倒的に短縮される。ランチェスター本の中でも売れ筋がトップに近いことも首肯できる。