2017年8月22日火曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(7)

それどころか、兄弟のオリジナル店に「マクドナルド」の名称使用を認めず、兄弟がやむなく「ビッグ・マック」という店名に変更すると、その筋向いにマクドナルドの大型店舗を出店して、兄弟の店を倒産に追い込んでしまうのである。

脇役、フレッド・ターナー



 映画で、クロックの第1号店で働き始めたフレッド・ターナーが紹介されている。しかし、マクドナルドの大発展におけるターナーの大活躍は描かれていない。ターナーこそが同社の有名なQSC(クオリティ、サービス、クリンリネス)を提唱し、社内研修機関であるハンバーガー・ユニバーシティを創設、運営した人物だ。ターナーはクロックに息子のようにかわいがられ、クロックの後にCEOに就任し、同社を118カ国に進出させた。

(この項 続く)

2017年8月21日月曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(6)

マクドナルド帝国が形成され裕福となったクロックは、糟糠(そうこう)の妻であるジェーン・ドビンズ・グリーンと離婚し、翌1969年に有力FCオーナーの妻であったジョアンと再婚する。いわば略奪婚であり、それもビジネス・パートナーであり重要顧客でもあった相手から奪ってしまった。

 ビジネスの基本モデルを提供したマクドナルド兄弟との契約では、店舗の改装にはすべて兄弟側の許諾が必要とされ、オペレーションの改善などで大いに手を縛られたクロックは不満を募らせていた。一方、契約で許されていないマクドナルド社をクロックが設立してしまうなど、両者の対立が深まっていった。

 結局、クロックは270万ドルを兄弟に支払い、「マクドナルド」の名称やロゴ、オペレーションのノウハウなどすべて買い取る。映画にもあるのだが、それ以外にチェーンの売り上げの0.5%を将来的に支払う、という「紳士協定」を申し入れたわけだが、これは反故にされている。

(この項 続く)

2017年8月20日日曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(5)

この金融マンはクロックに合流し、その後マクドナルド・コーポレーションの初代社長となったハリー・ソネボーンである。個人宅のローンの支払いができない経営者が、多数の店舗用の土地や家屋のための資金の手当てができたのが不思議で、そこは映画では説明されていない。拙訳書では次のように説明している。

「クロックはあちこちの銀行に断られた挙げ句、ソネボーンがかき集めた1,500万ドルが投資された。ニューイングランドの保険会社数社から、法外な利子で融資を受けたのである」(同書、36ページ)

マック帝国の独裁者



 独裁者は孤独を意に介さない。ソネボーンはマクドナルド本社においてCFO(最高財務責任者)から初代社長へと昇格するのだが、CEOとして独善的にふるまうクロックに嫌気がさし、1967年に辞任する。その後、マクドナルドの店舗には二度と立ち寄ることはなかった。

(この項 続く)

2017年8月19日土曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(4)

ビジネスモデルの転換、マックは不動産業だ



 映画では個性派俳優のマイケル・キートンがクロック役をやっていた。クロックの強欲な個性を出そうと熱演していたが、観客としてそこまでのめりこめなかったのは、過剰な演技のために“クサく”なってしまったためだろうか。

 店舗拡大が順調にいき始めると、クロックの会社(この時点ではまだ「マクドナルド」を名乗っていない)は運転資金がショートする。自宅も抵当に入れ、それにより妻との関係が悪化し始めた。

 当時、FC店から支払われるロイヤリティが売上高の1.4%で、クロックはマクドナルド兄弟に0.9%を上納する契約だった。その差額だけでは資金が足りなくなった。家のローンの支払い猶予を依頼するために銀行を訪れたクロックは、そこでとある金融マンと出会い、ビジネスモデルの変更を示唆される。

 その金融マンは「マックの実態は食品ではない、不動産業だ」と言うのだ。この助言により、クロックは土地と店を本部が所有し、FCに貸すというやり方に意識的に転換した。家賃収入や、開業時での不動産契約金などが入るようになったのだ。

(この項 続く)

2017年8月18日金曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(3)

カリフォルニアで大繁盛をしていたマクドナルド店にやってきたレイ・クロックは、くたびれたミルクシェイク用ミキサーのセールスマンだった。

マック・マクドナルドとディック・マクドナルドという2人の兄弟が開発した店舗のオペレーション・システムは、当時としては画期的なスピードを実現していた。普通のレストランでハンバーガーを頼むと30分も待たされていたところを、キッチン作業の「T-フォード化」と、フードメニュ-を3つだけに絞るという施策によって、オーダー後30秒の提供を実現していたのである。

地域内での成功に満足していて、かつ品質の担保にこだわる兄弟を説得して、クロックは全国展開の権利の獲得に成功する。そして、フランチャイズ・システム(FC)によってアメリカ全土にマクドナルド店舗をオープンしていくのだ。このへんの権利の獲得、初期の拡大に典型的なアントレプレナーシップ(起業家精神)を見ることができる。

(この項 続く)

2017年8月17日木曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(2)

強引、強欲な拡大志向、レイ・クロック


同書が出版された同じ年、題材がかぶってしまった『マクドナルド わが豊饒の人材』(ジョン・F. ラブ著/徳岡孝夫訳/ダイヤモンド社)が出版された。前者がレイ・クロックに対して批判的(はっきり言って非難的)、つまり野党的なのに対し、後者はマクドナルド・ビジネスを賞賛的に紹介する、いわば与党的な書物だった。

『マクドナルド』にはマクドナルドでハンバーガーと交換できるクーポンが付けられたため多く売れ、私の『ビッグマック』を置き去りにした。もっとも、『ビッグマック』も3刷までいくほどには売れた。

 映画『ファウンダー』でレイ・クロックのなりふり構わない拡張の道程を見て、書籍『マクドナルド』のユニークな拡販政策を懐かしく思い出した。

(この項 続く)

2017年8月16日水曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(1)

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(監督:ジョン・リー・ハンコック)が封切られたので見に行った。原題は『The Founder(創業者)』で、マクドナルドを創設したレイ・クロック(1902―84年)が展開した創業物語である。

 映画の宣伝文句に「彼はどのようにして巨大企業を築き上げていったのか? この夏、誰もが知っているマクドナルドの、誰も知らない誕生のウラが暴かれる!」とあったのだが、私は知っていた。

 というのは、私は87年に出版された『ビッグマック マクドナルドに学ぶ100億ドルビジネスのノウハウ』(M.ボアーズ、S.チェーン/啓学出版)の翻訳を担当したからだ。原書は76年に出版され、著者は2人のジャーナリストである。

 レイ・クロックという経営者は毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人で、というよりあまりに露骨で強欲な事業拡張ぶりのために、存命中から批判を受けていた。ボアーズとチェーンは批判的な立場でこの巨大ファーストフードチェーンの拡大の軌跡を追い、クロックのいってみれば悪辣振りを詳細に再構成した。その、野党的な視点に私も共鳴したので翻訳を引き受けたという経緯があった。

(この項 続く)

2017年8月15日火曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(8)

対談を終えて 山田の感想



 シェアリング・エコノミーの新ビジネスの代表として、いつもAirbnb(エアビーアンドビー)と並んで論じられるのがUberである。世界中でビジネス展開しているが、従来からの法制などの問題でそのまま導入できないサービスが国によってはある。

 日本市場におけるひとつの可能性は、物流部門への参画ではないか。たとえば、アマゾンの配送。ヤマト運輸から値上げ要請を受けているアマゾンは、ヤマト以外で「ラストワンマイル」のお届けの方策を樹立しようと動いている。丸和運輸機関がこれに呼応し、1万人の配達ドライバーを採用したい、と報じられている。

 しかし、運送業界で喫緊の課題は、なんといっても人手不足である。丸和運輸が必要としているのは配達要員だけなので、UberEATSの配達パートナーがそのまま貢献できると私にはみえる。

 またコンビニ店舗からの個別配送にもマッチできるだろう。UberEATS側からすれば、配達する拠点がレストラン・パートナーに加えてコンビニとなるだけだ。UberEATSの配達パートナーがお届けすることができる。

 物流クライシスといわれる現在、シェアリング・エコノミーは経済合理性に基づいて自ずと拡充していくことだろう。

(この項 終わり)

2017年8月14日月曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(7)

GDPの成長にまで寄与



――高橋社長は、Uberというビジネスの価値をどうとらえていらっしゃるのですか。
高橋 Uberが提供するサービスは、既存のものを置き換えているわけではありません。新しい仕組みを提供して、それが使われることにより関連する経済のパイ全体を拡充しています。移動が簡便化し、利用が増えることにより、たとえば高齢者の皆さんの外出が増える、そして消費が拡大する、ということが起こっています。そして雇用の提供まで生み出しています。社会に対しても貢献できるサービスだと思っています。フランスではuberXのドライバー・パートナーとして新しく1万人以上の雇用が発生しましたし、GDPの成長にまで寄与したという報告がなされています。

――米国ではカラニックCEO(最高経営責任者)の退任が発表されるなど、トップの交代が重なっています。
高橋 日本に直接の影響はありませんし、私たちが日本でやらなければならないことは、わかっています。私たちは粛々とビジネスの拡大に励んでいくつもりです。Uberの使命は、それぞれの国での交通の課題を解決するソリューションを提供することです。高齢者や過疎化、増加する海外観光客の移動、そのような日本が直面する交通課題に対してチャレンジしていきます。

――とても大きな可能性があると思います。本日はありがとうございました。
高橋 ありがとうございました。

(この項 あと1回あり)

2017年8月13日日曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(6)

――UberBLACKはハイヤーの配車サービスですが、すでに既存の競合他社はいくつもあります。
高橋 高級車両が来るだけでなく、配車アプリそのものも徹底的に洗練され、透明性があります。提供するハイヤーの料金も変動できるようにしています。

――規制の面はどのようにクリアされているのですか。
高橋 当社が旅行代理店として登録しており、ハイヤー会社から車両を借り上げることで、サービスを実現しています。料金が変動することにより、お客様の利用状況とドライバー・パートナー稼動との需給マッチングが可能となります。Uberのテクノロジーによって、配車依頼が発生しそうな時間帯や場所が、ドライバー側のアプリに表示されるため、効率的にお客様を乗車させることができます。UberBLACKのハイヤーは営業所で待っているのではなく、需要が予測されるサービス提供エリアで待機しているのです。

――Uber全体としては、他にも多くのサービス・メニューがありますね。
高橋 Uberは世界中で展開していますが、それぞれの国・地域での特性や地域性も考慮しています。日本なら高齢化などの状況を踏まえて対応していきたいと思っています。

(この項 続く)

2017年8月12日土曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(5)

――それで入社を決意されたのですか?
高橋 実際に参画したのは14年のことで、7月にUber Japanの社長として赴任しました。しかし、始まりはあの夜のわくわく感、どきどき感であることは間違いありません。あれからずっと、Uberのユニークなサービスを日本に導入したらどんなことが起きるか、そしてどんなことができるのかに興味を持っていたのです。声をかけていただき、改めてUberのことを知ると、とにかくものすごい技術、そしてものすごいビジョンを持っている会社だと思い、参画を決意しました。

今後のビジネス展開



――日本における今後のビジネス展開について、どのようにお考えですか。
高橋 プロダクトとして本格的に導入しているのは、UberBLACKとUberEATS(ウーバーイーツ)の2つです。この2つが現在でのビジネスの軸になっています。これらを軸にサービス提供エリアを拡大し、事業を大きくしていきたいと考えています。加えてグローバルな、つまり世界で共通のUberサービスを日本で提供するという使命もあります。外国人訪日客が他の国でいつも使っているUberのサービスを、日本ではまだ使用したくても使えないというのが現状です。今年の1月から3月の間に、東京でUberBLACKをお使いになったユーザーの方の国籍は78カ国に上りました。それだけ高いニーズがあるわけです。

(この項 続く)

2017年8月10日木曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(3)

Uberは新興企業にして大企業



――Uberのサービス、そして会社自体もまだ新しいものですよね。

高橋 はい、2009年に米サンフランシスコで創業されました。最初のサービスはUberBLACK(ウーバーブラック)というもので、ハイヤーを配車するサービスです。これはどちらかというとプレミアムなもので、黒塗りの高級なハイヤーを配車します。実は私が初めてUberを利用したのも、このUberBLACKだったのです。

 当時私はサンフランシスコでソニーの投資部門に勤務していました。12年に友人とコンサートに出かけて帰ろうとしたら、バスも終わり、タクシーなどがまったくつかまらない状況になってしまいました。

 途方にくれていると友人が「問題ないよ」と言って、スマートフォン(スマホ)を操作しました。すると魔法のように数分のうちに黒塗りのハイヤーが現れ、私たちを迎えてくれました。友人は行き先を告げることもなく、まるで自分のお抱え運転手であるかのようにしていました。到着して、降りるときも支払いをしません。聞くと、事前登録したクレジットカードで支払いまで済んでいるというではありませんか! 

それまで、シリコンバレーで投資事業を担当していて、Uberについては毎日のように聞かされていました。しかし、あの夜の出来事は本当に衝撃的でした。

(この項 続く)

2017年8月9日水曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(2)

――すると、移動料金も変動的なのですか。
高橋 お客様のほうでピックアップしてほしい場所を入力、たいてい「現在地入力」で済むのですが、それと目的地を入力すると、近くのドライバー・パートナーの待機地点や料金も表示されます。降りるときには事前登録のクレジットカードで決済されますので、支払い行為も不要となります。イベント時や雨で需要が集中するようなときは、提示される料金も変わります。それを最適化するのがUberのテクノロジーです。

――AI(人工知能)やシステム・オペレーターを活用しているのでしょうか。
高橋 現時点で最善と思われるやり方で実践しています。

――普通の人が運転する車で事故が起きた場合は、どうなるのですか。
高橋 uberXを展開している多くの国では、Uberのサービス用に開発された自動車保険が適用されます。Uberのサービス実施時のみを対象とした自動車保険です。

(この項 続く)

2017年8月8日火曜日

感動的に便利なUber…スマホ入力→数分でタクシー到着→支払い行為不要(1)

Uber Japanの高橋正巳社長
世界のUber、日本のUber



――6月にUber米国本社が「世界中で50億回目のUber乗車を達成した」と発表されましたね。
高橋社長(以下、高橋) はい。Uberは現在、世界77カ国・地域でサービスを提供しています。20億回目が達成されたのが2016年だったので、その後1年間で倍増以上しました。

――主として利用されたのはuberX(ウーバーエックス)というサービスですね。
高橋 はい。uberXは、遊休資産として眠っている自家用車を運転したい人の隙間時間を活用し、お客の移動に提供するものです。登録運転者のことをドライバー・パートナーと呼んでいます。世界のUberのなかで、一番使用頻度が高いサービスです。

――その場合、顧客が知らない運転手への信頼などはどう担保されるのですか。
高橋 お客様は、乗車前にドライバー・パートナーの名前や顔、評価がわかる仕組みになっています。また、移動終了後に、お客様にドライバー・パートナーへの評価を入力していただくようにしています。評価が高いドライバー・パートナーには、より多くのサービス機会が提供できるようにシステム設計されています。

(この項 続く)

2017年8月7日月曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(6)

地方行政を巻き込んでの展開



――Uberのメインのサービス・プロダクツであるuberX(ウーバー・エックス)は、日本では始まっていません。
高橋 自家用車を活用した配車サービスは、地方の行政と組んだかたちで始まっています。16年から北海道中頓別(なかとんべつ)町と京都府丹後町で、行政やNPOにUberの技術を活用していただいています。公共交通の少ない地域で、お年寄りなどご自身で運転ができない人たちの足としてご利用いただいています。

――それは社会的にも有意義であり、市場参入の突破口になるかもしれませんね。
高橋 現在、数十の地方自治体から引き合いやご相談を受けています。

――Uberが世界で展開している規模感を考えると、日本ではまだまだ可能性がありますね。
高橋 私が日本に赴任した14年、当社には社長の私を含めて3名だけしかいませんでした。

――それが今では数十名に増えました。
高橋 UberEATSも順次拡大しているなか、組織も拡大しています。

※次回は、Uberのその他のサービス・プロダクツ、そして今後の日本での展開について高橋社長に聞く。

(この項 終わり)

2017年8月6日日曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(5)

――なるほど、お客には利便性、レストランには追加のビジネスがあるというわけですね。
高橋 加えて、数千人登録していただいている配達パートナーさんには、新しくて柔軟な働き方のオプションを提供できていると思います。Uberのサービスはどれも、「それがなかったら存在していなかったビジネス機会を創造する」というものだと思います。
 配達パートナーさんが受け取る配達料金も固定されておらず、たとえばランチ時間などのピークタイムで多くのパートナーさんに配達していただきたいようなときは、1件当たりの受け取り配達料が上がります。配達距離によってもパートナーが受け取る配達単価は変動します。また、配達料は事前に示されているので、配達パートナーさんの稼動を確保できるようになっています。

――それはUberが判断、提示するのですか。
高橋 はい、設定したアルゴリズムに基づいて、しっかり需給がマッチするようにしています。

――UberEATSは現在都内9区で展開なさっているわけですね。今後の方針としては、東京市場を地域的に拡大していくのか、大阪などの他の大都市に展開するのか、どちらをお考えですか。
高橋 16年9月にサービスを開始したばかりですので、当面都内とその近郊に地域拡大を目指しています。他の都市はその次の段階として考えています。UberEATSを使っていただけるレストラン・パートナーの開拓も、いろいろな手段を講じて数を増やしていこうと思っています。評判を聞いたレストランの方からお問い合わせをいただくようなことも増えてきました。

(この項 続く)

2017年8月5日土曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(4)

――UberEATSのレストラン・パートナーでは、どんなところが人気があるのですか。
高橋 有名なお店の料理を自宅やパーティーで試してみたい、というニーズが高いようです。UberEATSでホームパーティーやピクニックを行う方々が増えてきていると聞いています。また、ご注文なさる方は、美容や健康を重視した女性の方も多いですし、仕事の合間に頼む忙しい会社員、栄養が偏りがちなひとり暮らしの方などもいらっしゃいます。リピートのご注文も増え、レストラン側にもとても喜んでいただいています。
 レストランによっては、月の売上が数割向上したというところもあります。健康志向のところが伸びていますし、通常行かないようなレストランのメニューを取り寄せるという需要が顕在化しました。


UberEATSの拡大方向



――フードの配達というサービスには、既存の競合他社が存在します。
高橋 UberEATSはアプリで受注を代行するだけではなく、当社の配達パートナーがお店で料理を受け取ってお客様にお届けします。そのため、今まで出前スタッフがいなくて配達をしていなかったレストランでも、多くの投資をすることなく、デリバリー事業を開始できます。

(この項 続く)

2017年8月4日金曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(3)

――短時間でもいいのですね。
高橋 はい、隙間時間などでも有効に使っていただけます。働き方のオプションを広げるものです。学生さんや自営業、主婦や芸人の方も登録されています。

――私も注文しようとしたら、東京都内ですがまだサービス区域外でした。
高橋 今のところ目黒区、港区、中央区、千代田区、新宿区、世田谷区、中野区、渋谷区、品川区などの9区部で展開していますが、好評なので順次拡大しています。

――マクドナルドは店舗数が3000近くありますが、将来はすべてに対応なさるということですか。
高橋 いいえ、まずUberEATSがカバーする地域の店が対象となります。今回サービス開始したマクドナルドの店舗は33店です。そもそもUberEATSは16年9月から開始していまして、すでに都内500店以上のレストラン・パートナーの料理を配達しています。基本的なコンセプトとしては、「お客様に食のオプションを広げてもらおう」ということです。ですから数百円の肉じゃがから数万円のレストランのメニューまでをカバーしています。選択肢を広げるということで、今回マクドナルドと提携しました。

(この項 続く)

2017年8月3日木曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(2)

UberEATS(ウーバーイーツ)で日本マクドナルドと提携




――マクドナルドの店舗からの配送を、Uberが始められましたね。
高橋社長(以下、高橋) はい、UberEATSというサービスでマクドナルド店舗への対応を6月から開始しました。店舗からお客様への注文品を、UberEATSの配達パートナーがお届けします。

――配達は無料なのですか。
高橋 1回の配達につき380円をいただいています。しかし、1品からでもお届けしますし、お客様はご自宅だけでなく、公園などでも受け取ることができます。

――配達パートナーにはどうやってなるのでしょう。
高橋 ビデオなどを盛り込んだ説明会に参加し、登録していただきます。あとは働きたいときだけ、アプリを起動していただければ良いのです。

――何か特別の資格とか、審査はないのですか。
高橋 ありません。誰でもいつでも働ける仕組みを提供するのが、Uberの基本理念です。UberEATSの配達も車ではなく、配達パートナーの自転車かバイクやスクーター、あるいは行政などが提供しているシェア・サイクル(共用自転車)をご利用いただいています。ユニフォームも使用しません。使っていただくのは、Uberが貸与する配達用のカバンだけです。

(この項 続く)

2017年8月2日水曜日

Uber、革命的な食の宅配サービスが急拡大(1)

Uberは、台頭するIT関連企業のなかで最も注目されている企業のひとつである。
 注目を集める理由はいくつかある。

ひとつはその新興性だ。世界本社である米サンフランシスコでUber Technologies (ウーバー・テクノロジーズ)が創立されたのは2009年のことだ。まだ10年もたっていない。

 2つ目はその規模感だ。Uberはまだ上場していないが、投資会社の間での評価として、企業価値が700億ドル(約7兆8000億円)に達したといわれる。ちなみに日本最大の企業価値を有するとされるトヨタ自動車のそれが1560億ドル強(17年6月末)なので、未上場のUberがトヨタの半分の企業価値をまもなく達成するだろう。ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上のベンチャー企業)としてはUberが世界最大といわれている。

 3つ目は、ビジネスモデルの革新性だ。Uberが創出し、提供しているのはシェアリング・エコノミーの概念に基づいた配車アプリである。

 今回は2回にわたって、Uber Japanの高橋正巳(まさみ)社長に日本における同社のビジネスの現状と展開をうかがった。

(この項 続く)