2017年8月16日水曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(1)

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(監督:ジョン・リー・ハンコック)が封切られたので見に行った。原題は『The Founder(創業者)』で、マクドナルドを創設したレイ・クロック(1902―84年)が展開した創業物語である。

 映画の宣伝文句に「彼はどのようにして巨大企業を築き上げていったのか? この夏、誰もが知っているマクドナルドの、誰も知らない誕生のウラが暴かれる!」とあったのだが、私は知っていた。

 というのは、私は87年に出版された『ビッグマック マクドナルドに学ぶ100億ドルビジネスのノウハウ』(M.ボアーズ、S.チェーン/啓学出版)の翻訳を担当したからだ。原書は76年に出版され、著者は2人のジャーナリストである。

 レイ・クロックという経営者は毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人で、というよりあまりに露骨で強欲な事業拡張ぶりのために、存命中から批判を受けていた。ボアーズとチェーンは批判的な立場でこの巨大ファーストフードチェーンの拡大の軌跡を追い、クロックのいってみれば悪辣振りを詳細に再構成した。その、野党的な視点に私も共鳴したので翻訳を引き受けたという経緯があった。

(この項 続く)

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