2017年10月19日木曜日

ZOZOTOWNが百貨店業界を破壊し始めた…「ゾゾ化」ためらい1.6兆円も売上高消失(2)

競合は百貨店


ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(前澤友作社長)の業績は絶好調だ。同サイトは楽天のように外部の会社が商品を出品して販売するモール型ECサイトで、ファッションに特化している。男性ものも扱っているが、女性ものがメインである。現下の出店ブランド数は6000を超え、それらのブランドがZOZOTOWNで売り上げた年間商品取扱高は2120億円(2017年3月期、以下同)、そこから発生している同社の年間売上(主として販売手数料)は763億円、営業利益は264億円を記録した。

 ECサイト企業として高収入・高収益なだけでなく、急激な成長を続けていることでも知られてきた。今期に入ってZOZOTOWNの売上(取扱高)は前年比40%増ともいわれ、この8月には株価時価総額で1兆円を達成した。

ZOZOTOWNがスタートしたのが04年だったので、実質的に13年で「企業価値1兆円」を実現した。

 同じくECサイトの雄、米アマゾンが1兆円を達成したのが、ちょうど設立13年目で、これより早く達成した大企業は米グーグル(9年)、中国シャオミ(5年)くらいしか見当たらない。もちろん日本企業としては最速だ。


(この項 続く)

2017年10月18日水曜日

ZOZOTOWNが百貨店業界を破壊し始めた…「ゾゾ化」ためらい1.6兆円も売上高消失(1)

ファッションEC最大手ZOZOTOWNが、10月1日から配送料金を変更した。同日、同サイト上には次の記載が現れた。

「本日10月1日よりZOZOTOWNの送料は、お客様に自由に決めていただけるようになりました。お客様のご都合やお気持ちに合わせご自由に設定ください」

 新しい配送料金体系として、デフォルト(初期表示)では1件当たり400円という料金が表示されており、消費者は自由に料金を設定できる。これまでは、購入代金4998円(税込)以下の場合は送料399円(同)、それ以上の場合は無料だった。

 10月1日といえば、ヤマト運輸が一般の宅配料金の値上げを開始した日でもある。その逆の道を選んだのがZOZOTOWNで、あくまでもユニークな企業スタンスを崩さない、興味の尽きない会社だ。

(この項 続く)

2017年10月17日火曜日

リーダーズブートキャンプ第4講 佳境に(2)

ランチの時間を遅くして、私が「戦略セオリー」から「使える戦略」としてPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント)とランチェスター戦略を簡単に解説。

1:30から新将命特別講師が「勝ち残る組織の原理・原則とリーダーシップ」の第2回目。3:15まで密接なクラス討議を入れながら、ぐいぐい話された。

新先生はその後、3:30から4:30まで、小グループ討議の一つにコメンテーターとして入ってくれた。4:40から5:45まではまた私がの講義で「組織戦略」セッションの後半を完了。

次講から皆さんいよいよ戦略策定の「解決策の提示」のステップに入る。今日のところまででそれぞれが「重要課題」を絞れてきたので、よろしいかと。絞込みにグループ討議、他の参加者の視点、意見がとても有用だ。

(この講 終わり)

2017年10月16日月曜日

リーダーズブートキャンプ第4講 佳境に(1)

リーダーズブートキャンプ第3期は、10月14日(土)に第4講を迎え、ちょうど折り返し点に来た。クラスの出席率もよく、皆よく準備してきてくれている。

朝1番は、課題図書の方向と討議。2冊目の本としてまた『日本電産流V字回復経営の教科書」(川勝宣昭、東洋経済新報社)を取り上げている。

「また」というのは、本書は前期でも取り上げたから。2期連続で同じ本を読むのは異例というか、初めてだが、本書への評価の高さ(前期のクラスでの)からのことだ。

この日は、第1章と第3章をそれぞれ別の参加者が報告、クラス討議した。まあ、大学のゼミのやり方である。

(この講 続く)

2017年10月15日日曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(9)

ヤマトといえば、すぐに思い出すのが名著『小倉昌男 経営学』(小倉昌男/日経BP社/1999年)だ。宅急便の創始者、小倉氏は前例のない事業を推し進めるため、国と訴訟を構えることもいとわなかった。腰の据わった、すばらしい経営者だった。

 振り返ってヤマトの現状を見れば、昨年来の残業代未払い事件を発端に、そのサービス改革への社会的な理解はかつてないほど高まっている。むしろ、社会的要請といってもよい。

 そのような状況にあって現経営陣は、なんだかわからない、そして実現性が薄い「新スライド価格決定方式」なるものを導入して問題を営業現場に押し付けようとしている。これは、個数のボリューム増という問題をすべてセールス・ドライバーという現場に押し付けてきた経営姿勢と一貫しているものだ。

 大口の法人顧客には、むしろ個人客より高額な価格を要求するなど、発想の転換をしたほうがよい。ヤマトで変わるべきは価格方式よりも、状況に対応できないままできた経営陣なのではないか。

(この項 終わり)

2017年10月14日土曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(8)

経営者には覚悟と責任が



 ヤマトの宅急便ビジネスが社会的に注目を浴びたのは、16年に発覚した大規模な残業代未払い事件だった。同社は17年2月に至り、組合との春季交渉で宅配便の総量抑制の要請を受け、「申し入れを真摯に受け止め、対策を図る」とした。そして、再配達の手順見直し、価格値上げ、働き方改革などを打ち出してきたわけだ。

 今回の中計では、荷物の総量を18年3月期までには17億7000万個まで減らし、体制を整え直した後に再上昇に転じる、とした。

 しかし、総量減活動の途中結果はどうか。8月末に発表された直近の同社資料では、4月から8月までの今期累計で、宅急便取り扱い個数は対前年比104.2%と増えている。ついでながら17年3月期で取り扱い価格は、対前年比で3.3%減じていた。

 山内社長は中計で素敵な絵を見せてくれたが、足元ではまだ組合との2月の約束以来、何も起こっていない。夜間配達専用セールス・ドライバー1万人新雇用なども実現性はどの程度あるのか。

(この項 続く)

2017年10月13日金曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(7)

それを獲得したのがヤマトだが、当時のヤマト経営陣は価格について交渉することなく、アマゾンの配送を引き受けてきてしまった。この「アマゾン獲得」の凱旋報告に出席した社員が、その交渉の稚拙さに大いに怒っていたことを思い出す。その時困っていたのは、アマゾンのほうだったのだ。

 この結果、アマゾンを引き渡した佐川急便では売上が減少したが営業利益は大幅に改善した。引き渡されたヤマトでは逆に売り上げは急進したが、営業利益は大幅に毀損してしまった。トップを大きく伸ばして、ボトムを急落させるという、下手な経営を絵に描いたような交渉が行われたのである。

 そして今回の「スライド式新価格体系」だが、それが通用するかは見ものである。今までやらなかった、毎年の交渉ごとを現場の営業に押し付けるだけで、あとはトップとしては「うちの営業は……」と嘆くだけではないのか。

(この項 続く)

2017年10月12日木曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(6)

実際、ヤマトは2014年から大手法人顧客向け価格の値上げを断続的に行ってきたが、その都度競合との価格競争に巻き込まれて長期的な単価引き下げと営業利益率低下という負のスパイラルを繰り返してきている。

 今回の新方式の発表に当たり、ヤマト幹部は「(人手不足で人件費が上昇している背景から)コストに連動する形でサービスの価格が決まる考え方が日本に定着してほしい」(9月27日付朝日新聞記事)と語っているが、他人事のような物言いで、ただの願望であり、とてもその実現に自信があるとは感じられない。

染み付いた交渉下手



 ヤマトという会社の、いざという時の交渉下手には定評がある。宅配便で日本最大の顧客は、もちろんアマゾンである。アマゾンはもともと佐川急便にその最大ロットを依頼していた。ところが、低価格設定でコストをあまりに圧迫するので、佐川では13年に至り値上げという口実でビジネスを返上した。

(この項 続く)

2017年10月11日水曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(5)

毎年価格を自動的に上げられる?



 さらにヤマトでは、法人価格についてはこれから毎年価格改定を行っていくという。新しい運賃体系では、大口の法人顧客ごとに荷物1個当たりのコスト計算をして、その顧客に対する運賃を算出する。それをもとに個別に交渉して価格設定をし直すという。従来の方式では、一度合意された価格がなかなか改定されず、何年も適用されてきた。

 新しいやり方では、いわゆるインデックス方式を採用するという。これは、スタート時の価格を100とすると、毎年の変動係数によりそれを改定していくというものだ。ヤマト側の腹算用としては、上のほうに動いていくことを想定しているのだろう。

変動係数として社内で統一的に使うのは、(1)人件費の変動、(2)燃料費の変動、(3)ヤマトの配送作業の効率化への協力度合い、の3要素だという。

 しかしこの方式では毎年、翌年の価格について営業担当者が顧客とタフ・ネゴシエーションをしなければならない。そして、交渉により価格上昇に落ち着くかわからない。交渉に入ること自体がヤマトにとってヤブヘビ、つまり値切られてしまうこともあるだろう。

(この項 続く)

2017年10月10日火曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(4)

私は年初から、「ヤマトの宅急便の増収あるいは個数減対策は、個人客や多くの法人顧客の問題ではない、最大顧客のアマゾンを放棄すれば解決できる」と、指摘してきた。

個数ベースで同社の取り扱いシェアの2割近くを占めるアマゾンの単価は250円程度と推定されている(前出「週刊文春」記事より)。17年3月期のヤマト全体の取り扱い単価の平均は559円だったので、平均の半額以下だ。そして、伝統的に交渉下手のヤマトではアマゾンを放逐することなどできないだろう、とも予測してきた。

 ところが今回の発表で、アマゾンとの価格交渉は単価400円強とすることで合意した、とあったので、私は虚をつかれた。「山内社長、なかなかやるな」ということだ。アマゾン価格が150円以上引き上げられれば、それだけで450億円の増収となる。

さらにアマゾンだけでなく、値上げ交渉を行った大口法人顧客約1000社のうち8割もが値上げに応じた、というではないか。

(この項 続く)

2017年10月9日月曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(3)

アマゾンとの値上げ交渉に成功



 ヤマトの場合はしかし、個人客より大口法人顧客との個別交渉料金のほうがよほど同社にとってインパクトがある。法人料金は公表されていないし、それぞれの顧客企業が年間に出す荷物数により個別に設定されている。

ヤマト広報部によれば、出荷数の少ない企業の場合、出入りしているヤマトのセールス・ドライバーがその企業に料金を示し、出荷数が多い企業の場合は、ヤマトの支店の法人営業が交渉に当たって決定するという。

 アマゾンのような超大口顧客との価格交渉は、もちろん本社マターとなっているだろう。ヤマトが取り扱った宅急便の個数は、年間18.7億個(17年3月期)だった。そのうち、アマゾン分は3億個程度と推定されている(「週刊文春」<文藝春秋/2017年3月9日号>より)。

(この項 続く)

2017年10月8日日曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(2)

夜間配達専門のドライバーを19年度までに1万人配置し、再配達問題に対しては街中にオープン型宅配ロッカーを増設したりコンビニエンスストアでの受け取り拡大を進め、自宅外での荷物受取比率を10%に高める。これらの施策により、正社員の超過勤務時間を半減させ、パートの超過勤務も「大幅抑制」するとした。

 さて、これらの投資は、もちろん宅配料金の増収による。ヤマトの場合、宅配個数は総量規制というかむしろ減量が要請されているので、原資は値上げ分ということになる。

 個人顧客の値上げについては、すでに5月の段階で発表されていた。ヤマトの宅急便料金には、個人向けと法人向けがある。個人の料金は荷物の大きさと配達先の組み合わせで料金表が公表されている。関東から関東へは「サイズ60(荷物の3辺の長さの合計が60cmまで)」が756円で、これが最低料金となっている(9月末現在、宅急便コンパクトは別)。この料金は10月1日から840円となった。11%の値上げだ。

(この項 続く)

2017年10月7日土曜日

ヤマト、経営陣は問題をすべて営業現場へ丸投げ…一斉大幅値上げで社員の労働改善(1)

宅配便最大手ヤマトホールディングス(以下、ヤマト)が、中期経営計画(以下、中計)を9月28日に発表した。
この中計は当初2017年3月期末に発表される予定だったが、半年遅れとなった。遅れた理由は、昨年発覚した大規模な残業代の未払い事件を受けて、2月に組合と宅配便個数の総量規制や残業対策などを合意して、それらの対策を織り込むなどしていたため。

 いまや市民の生活インフラとなった宅配だが、その業界最大手に起こった問題だっただけに、“半年遅れの答案”提出に、どんな通信簿をつけることができるのか。

働き方改革に1500億円、原資は値上げで賄う


ヤマトの山内雅喜社長は、中期経営計画の発表会見でいくつもの意欲的な改革計画をぶち上げた。愁眉の課題となっていた「働き方改革」が柱とされ、この分野でネットワーク改善などに1500億円を投資するとした。また、物流施設や車両の更新などへの2000億円の投資も盛り込んだ。

(この項 続く)

2017年10月6日金曜日

新将命講師、リーダーズブートキャンプに登壇(3)

新将命特別講師は続いて、4:30から1時間、参加者のグループ発表の特別コメンテーターとして参加してくれた。

新さんのグループで発表したのは、とある教育機関の幹部。急成長している新興企業の、次の3年目標と急成長しているゆえの三大課題を発表して、グループの意見を問うた。

私がブートキャンプで展開しているいつもの、「戦略策定5つのステップ」でのこの人にとっては第1回目のグループ発表に当たる。クラスが進むと、もう一度「解決策の選定」ステップでグループ発表をしてもらう。

私がファシリテーターをして、特別コメンテーターには新氏、聴講しているのが箱田忠昭氏という、異様なまでに豪華な発表となった。これも当クラスならではのことだろう。

(この項 終わり)

2017年10月5日木曜日

新将命講師、リーダーズブートキャンプに登壇(2)

お昼をはさんで、私の講義。この日は、「組織戦略」の前半。組織の三大形態を説明し、それらが選択される場合の環境や要素について話した。次講では「組織戦略」について私の経営事例をケースとして取り上げる。

午後1:30から新将命氏が到着し、特別講義「勝ち残る企業創りとリーダーの条件」。今回は、参加者とインターラクティブ的な展開を多くしてくれて、クラスの討論が大いに盛り上がった。

新さんは続いて、、

(この項 続く)

2017年10月4日水曜日

新将命講師、リーダーズブートキャンプに登壇(1)


新将命(あたらしまさみ)氏がリーダーズブートキャンプに登壇してくれた。

ブートキャンプ第3期は9月30日(土)が第3講に進んだ。

午前中は課題図書の報告。この日は、スタートトゥデイ社の企業事例。同社が運営するZOZOTOWNと、創業社長の前澤勇作氏にスポットを当て、2名の参加者がそれぞれについて報告。

資料は、慶応B-スクールが外販する同社についてのケーススタデイ教材と、このごろビジネス誌で随分取り上げられた特別記事3点。

ZOZOTOWNのビジネス、そしてビジネスモデルは、クラスの参加者(従来型のビジネス)と大きく異なる。しかし、そのとても大きな異点が逆にヒントだったり、啓発することになるだろうと、教材選択した。それは正解だったようだ。

(この項 続く)


2017年9月22日金曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(6)

オリンポス遺跡にて
外航クルーズの日本人旅客者数は、実は13年、14年と微減していた(「2015年の我が国のクルーズ等の動向について」国土交通省海事局外航課港湾局産業港湾課より)。

それだけに、15年から始まり当面続きそうな急増から、15年が日本の外航クルーズの元年となったように私には見える。

 日本船社でも郵船クルーズが飛鳥2で、18年出発の世界1周クルーズを募集し始めた。横浜発着で101泊102日間のクルーズで正規募集の値段は400万円から2600万円にも上るという。そんなビジネスが成り立つような時代がやってきた。

 国内でも船ではないが、JR各社による豪華列車によるクルーズトレインが相次いで導入されて大変な人気を博しているなど、マーケットの素地が大きく成長している。
 日本政府も訪日クルーズ旅客数500万人の実現に向けて、国土交通省が「ニッポンクルーズ列島化計画」として、国際クルーズ旅客受入機能高度化事業(補助事業)を開始している。インバウンドのクルーズの伸びに対応するには、現在決定的に不足している10万トンクラスの客船が接岸できる港湾の整備が不可欠となっている。

 ベストワンクルーズは今、旅客オペレーションの質の向上、オペレータの確保に悩んでいる、とのこと。お勧めしたのは、質の向上を目指すより、それを放棄したらどうかという方策だ。つまり徹底的にオンラインだけで収束してしまうモデルを構築するか、外部コール・センターに外注してしまうかのどちらかである。

 いずれにせよ、マーケットの追い風と独自のビジネス展開で成長必須のベストワンクルーズである。澤田社長も34歳という若さだ。急成長するベンチャーであることは間違いないだろう。

(この項 終わり)

2017年9月21日木曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(5)

お墓ではない、オリンピア遺跡である。
――インバウンドというわけですね。
澤田 それもあります。インバウンドの新規就航は海外の船社も含めて目白押しですが、それらの申し込みは取り込めていません。

――貴サイトは日本語だけですからね。
澤田 はい。ですから、ぜひサイトの多言語化を実現したい。世界のクルーズ人口は2,500万人を超えているといわれています。当社が対応できている日本人クルーズ人口は外航、国内合わせて25万人にすぎません。サイトを英語化して、世界のクルーズをサイトに取り組めば、99倍のマーケットに一挙に対応することができます。

――世界規模の英語版サイトがあるのですか?
澤田 はい、cruise.comというサイトが先行しています。このサイトは逆に日本語ではまだ使えません。

――当面の経営上の課題は?
澤田 旅行オペレーション部門の品質向上でしょうか。当社はオンライン志向ということもあり、電話やメール対応の面でご意見をいただくことがあります。また育成課題と併せて、お客様の急増に対応する人材採用、社員数の確保を行っていくのも、この人手不足の折、高い戦略性が求められると感じています。

――本日はありがとうございました。
澤田 新しいオフィスにも、ぜひ遊びにいらしてください。

(この項 続く)

2017年9月20日水曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(4)

プールはもう一つ有った

ネットの強みでグローバル展開を目指す



――貴社は澤田社長が創業なさったのですか。
澤田 いいえ。私は新卒としては証券会社に勤務しまして、それから別の会社に勤務していたのですが、29歳の時に弊社の代表を引き継ぎました。それから5年、現在34歳です。

――5年間で急成長させたと。
澤田 おかげさまで、年商も社員数も10倍ほどになってきています。

――今後のビジネスの展開について聞かせてください。
澤田 日本からの外航クルーズの人数が今年の18万人から2020年には50万人に達するとみています。現在当社のシェアは4-5%だと想定していますが、このシェアをさらに伸ばしていけば、マーケットの伸びとの相乗効果で大きな成長が目指せると思っています。

――そのための戦略は?
澤田 当社はあくまでも現在の強みであるオンラインの集客と販売で勝負していこうと思います。そして、次に目指しているのが日本以外での集客です。

(この項 続く)

2017年9月19日火曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(3)

船内にあるシアター。3階ぶち抜き、800人収容、毎晩違うショーが。

オンラインに特化したビジネスモデル



――貴社の特徴や強みはどんなところにあるのですか。
澤田 おかげさまでインターネットに強い、というところです。クルーズに関してネットの広告、サイトのつくり込み、オンラインでの申し込みや決済システムなどに強みを発揮しています。これらを使っての個人旅行の分野に特化、傾注しています。

――社員構成は?
澤田 現在30名ほどです。そのうち、システム開発に5名ほどいまして、当社のシステムはすべて内製しています。
――他の社員の方は?
澤田 旅行オペレーション部門がほとんどです。オンラインに特化していますが、まだまだ電話やメールでの問い合わせがありますので、それらに対応する社員たちです。

――店舗は本社のここだけですか? 大阪など他のマーケットにも店舗展開するプランはありますか?
澤田 実は9月に本社を移転することが決まっています。しかし、当社は来店型の営業形態を志向していないので、駅の直近の場所に移転するわけではありませんし、支店を設ける予定もありません。あくまでオンラインで完結できるビジネスモデルでいきたいと思っています。

(この項 続く)

2017年9月18日月曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(2)

船内に6つほど有ったレストランの一つ
――阪急交通社の外航クルーズの新聞広告はよく目にします。ベストワンクルーズの売り上げ規模を教えてください。
澤田 年商などは非公開にさせていただいていますが、おかげさまで前年対比で30%増を続けています。

――成長が加速しているのですね。
澤田 はい。外航クルーズの分野ではマーケット自体が成長していますし、当社はおかげさまでマーケットの成長をしのぐ速度で成長させていただいています。

――どの分野が好調なのでしょう。
澤田 クルーズは、外航クルーズ(アウトバウンド)、訪日クルーズ(インバウンド:日本で就航、あるいは日本に寄港する海外船社のクルーズ)、国内クルーズの3つに大別されています。当社は、すべて扱っていますが、特に外航クルーズの伸びが大きくなっています。

 商品としての外航クルーズは3つに大別されます。(1)添乗員付きのパッケージ旅行、(2)添乗員が付かない募集型のパッケージ旅行、そして(3)FITといわれる個人旅行です。FITとはForeign Independent Tourの略で、お客様のご希望によりクルーズ、航空券、ホテルなどを組み合わせ発注します。当社の売り上げは(2)と(3)で大部分を占めています。

(この項 続く)

2017年9月17日日曜日

海外客船クルーズ、ブーム&身近に…101泊・400万円で世界1周も人気(1)

筆者が乗った船、16階建て
急加速し始めた日本のクルーズ・ビジネスを牽引するオンラインクルーズ・エージェント。その運営会社ベストワンクルーズの澤田秀太社長に、前回に引き続きアウトバウンドの外航クルーズの実情を聞いた。

急成長を続けるクルーズ市場、ベストワンが外航クルーズで強み


――日本で外航クルーズ(出港地、寄港地、帰港地のいずれも日本国外)を手がけている主な旅行会社は、どんなところがありますか。
澤田秀太社長(以下、澤田) 総合旅行会社としては、JTBさんと阪急交通社さんが力を入れています。専業的な旅行会社としては、当社とクルーズプラネットさんが知られています。

――各社のクルーズ・ビジネスの規模は、どれくらいなのでしょうか。
澤田 JTBが100億円規模でトップ、これは日本船として世界1周クルーズを展開している飛鳥2【編注:正式表記はローマ数字】での売り上げが半分ほどあると見られています。飛鳥2は郵船クルーズが所有運航しています。

(この項 続く)

2017年9月16日土曜日

対談してくださる経営者を募集します。



山田修の間違いだらけのビジネス戦略
ビジネスジャーナルでの連載コラムです。


【山田修と対談する経営者の方を募集します】

本連載記事で山田修と対談して、業容や戦略、事業拡大の志を披露してくださる経営者の方を募集します。

・急成長している
・ユニークなビジネス・モデルである
・大きな志を抱いている
・創業時などでの困難を乗り越えて発展フェーズにある
などに該当する企業の経営者の方が対象です。
ご希望の向きは山田修まで直接ご連絡ください。
山田修

選考させてもらいますのでご了承ください。



2017年9月15日金曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(3)

「同じ経営者が10年以上その任にある」
ということになると、多くの上場企業にはあてはまらない。実際、上場企業といえど、その会社の創業経営者、あるいは同族出身の実質オーナー経営者のような立場の人でなければ、その位置に君臨し続けられない。

しかし、この指摘は、中小あるいは中堅の企業で、創業社長や2代目以降のオーナー社長には力強いメッセージだろう。
彼らが、「成長より利益」を旨として力強い戦略経営を続ければ、10年単位でその会社は大きく利益業績を伸ばす可能性がある、ということに演繹される。

こんなことを知ることができるのも
「知識は力だ」。経営者よ、本を読もう。刺激を受けよう、セオリーを知ろう。

(この項終わり)

2017年9月14日木曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(2)

いくつかのご著書を通じて教授が主張されたことは、
「企業の繁栄、発展は売り上げではなく利益にある」
ということだ。上場していて業績が公開されている多数の会社、そして同じ業界で経年的な業績比較をしている。

そして、明らかにしたことは、
「利益率が高率に推移していることと、経営者の在任期間は相関関係にある」
ということだ。戦略経営者が10年以上在籍している会社なら、高率の営業利益率、営業利益額をたたきだせる可能性がある、とデータを駆使して示している。

(この項 続く)

2017年9月13日水曜日

『経営戦略を問い直す』(三品和弘、ちくま新書)(1)

リーダーズブートキャンプ第3期ではじめに取り上げた課題図書。

三品和弘氏は、神戸大学の教授。戦略論を専門としている日本の学者の中で、私が信頼するお一人。

三品教授の学風は、多数の企業データを扱い、分析比較して説を立てる実証的なもの。本書は新書なので軽く見えるが、たとえば『戦略暴走』(東洋経済新報社、2010年)は179もの企業事例をケーススタディ的に分析している。それを、教授の造語でもある「戦略不全」的な視点で不調の道程を明らかにしている。その仕事量には圧倒された。

経営戦略のクラスなので、ビジネススクールなら、教授の出世作(と言っては大先生に失礼だが)『戦略不全の論理』(東洋経済出版社、2009年)を読んでもらうのだが、本書のほうがいわばダイジェストで敷居が低いので選んだ。

(この項 続く)

2017年9月12日火曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(10)

ドブロニクの城壁の中、旧市街。要塞の町。
――エクスカーションはオプション、つまり客が選べる、そして有料ですね。私たちも寄港地に着くたびに何かのエクスカーションに参加しました。
澤田 そして結局、お金を使われるわけですね。

――クルーズの中での物価は高いのか、安いのか。食事やイベントは無料のものが多いのですが、スパやらワインやらお店やらは結構な価格ですね。プロのカメラマンが多数乗り込んでやたら写真を撮ってくれて、きれいに修整した引き伸ばしをその日のうちに展示してくれるのですが、買い取るとなると1枚20ユーロ(約2,500円)取られました。何枚も買ってしまいました(笑)。
澤田:実はクルーズの参加費以上を乗船中に消費なさる方が多いですね。

――立派なカジノまでありました。
澤田 公海上を行く場合は、ギャンブルは規制されません。

(この項 続く)

2017年9月11日月曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(9)

城塞都市ドブロニクを山頂から

――クルーズを提供している船会社としては、主なところにはどんな会社があるのですか。
澤田 カーニバル・コーポレーションというアメリカの会社が大きいですね。同社は近年、同業大手のプリンセス・クルーズを買収して年商を1兆円としました。主な船社としては、世界に50社くらいでしょうか。

――大きな船というと、どのくらいのものが就航しているのでしょう。
澤田 カリブ海に就航しているロイヤル・カリビアン社が22万トン、お客様が8,000人搭乗という船を3隻就航させています。

――スタッフ、乗員を含めると、1万人もの人たちが移動するわけですね。「セイルするホテル」どころかもはや「セイルする町」ではないですか。私の先日のクルーズ中に、あるオフィサー(船の上級船員)と話したのですが、「クルーズを本当に楽しむなら、もう少し小ぶりの船のほうがいいかもしれない。小さな船だと、参加者とクルーたちが最後にはファミリーのようになるんだ。キャプテンと順番にディナーを共にしたりすることもある」と言っていました。
澤田 ヨーロッパでいえば、リバークルーズなどがそれに当たると思います。ライン川やドナウ川を50から100名程度のお客様で行き来する、というクルーズです。寄港地ではそれぞれの町のお城や地域のお祭りなどのツアー(エクスカーション:遠足)があります。

(この項 続く)

2017年9月10日日曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(8)



ボートの中にはカジノも。ディーラーも活躍。
――そういえば、私が乗ったクルーズも子供連れのヨーロッパ人が多く、中産階級の人たちにとって当たり前なのレジャーのように見えました。全世界でのクルーズ人口はどのくらいですか。
澤田 年間で2,500万人くらいが市場規模でしょう。日本の搭乗者数は16年に外航クルーズが15.4万人、国内クルーズが9.4万人でした。

――日本のクルーズ人口は、世界全体の1%にしかならないのですね。
澤田 そうです。拡大余地は無限にありますし、急増し始めました。私たちは確かな手ごたえを感じています。

(この項 続く)

2017年9月9日土曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(7)

観光客でごったかえすオリンポス遺跡
――確かに、海外旅行初心者では、それぞれの地域への旅行ならまず大都市をカバーしようということになるので、クルーズは海外旅行リピーターが中心となるのでしょう。地域的にはどんなところが人気があるのですか。
澤田 3大地域は、エーゲ海と地中海を中心としたヨーロッパ、カリブ海、そしてアジアです。アジアのクルーズというのは、シンガポールを起点とするものが多くなっています。

――(前出の)「クルーズ等の動向について」を見ると、ヨーロッパが31.3%、アラスカを含む北米とカリブ海が20.1%、アジアが32%となっていますね。


世界のクルーズ・マーケットは2,500万人



――クルーズは、海外ではどのくらい盛んなのですか。
澤田 ヨーロッパとアメリカが2大マーケットです。年間の搭乗者数でいえば、ヨーロッパが500~600万人、アメリカが1,300~1,500万人といわれています。

(この項 続く)

2017年9月8日金曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(6)

白い家並みが義務付けられているミコロス島
――好調の理由をどうご覧になっていますか。
澤田 3つあると思います。ひとつは、価格が下がってきていること。船体が10万トンを超えるなど大型化して多客航海をするようになって、コストの効率化が進んできました。その結果、1泊当たりの価格が1万円前後となってきました。3食付いているので、これはホテルよりも安くて楽しいイベント付きの旅程となります。

――ワインなどの飲み物は別料金でしたが、船内でのイベントの多彩なことには驚きもし、楽しみました。私の船には、3階ぶち抜きでの収容人数が数百人もの本格的なシアターがあり、毎晩別の出し物が2回ずつ上演され、無料でした。
澤田 2つ目は、私たち旅行会社がマーケティングに力を入れてきていること。内外の船会社も積極的に協力してくれたり、独自での情報発信を強めています。

 3つ目は、クルーズを楽しめるお客様の層が厚くなった、ということでしょう。もちろん高齢化が進んでいてリタイアしたシニアの皆さんには時間と予算に余裕がある、という状況がひとつ。それ以外の層も、海外旅行に慣れた方たちがクルーズの魅力を発見してくれるということです。

(この項 続く)

2017年9月7日木曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(5)

古代オリンピックが発祥したグラウンド。100M競争?

今年は20%伸びて18万人台にも




――先日、私は初めてクルーズを体験しました。ベネチアから出航して7泊8日でエーゲ海、アドリア海を回るというクルーズで、旅客数3,000人、スタッフの乗り込みが1,000人以上、船は9万トンで16階建てと、海の上を走るビルという威容で度肝を抜かれました。
澤田秀太社長(以下、澤田) 楽しまれましたか。

――部屋は移動しなくていいし、食事は食べ放題、船内のイベントは目白押し、毎日朝になると次の寄港地に着いていてバスなどのオプション・ツアーがいくつもある、ということでしたね。海外にはたぶん70回近く出かけているのですが、指を折る楽しみでした。
澤田 一度クルーズを体験すると、リピーターになる方が圧倒的に多いですね。

――そこで、澤田社長からぜひお話をうかがいたいと思います。外航クルーズの旅客数はだいぶ伸びていますね。
澤田 14年、15年と足踏みしていたのですが、16年は15%増えて15万人を達成しました。今年はさらに好調で、うまくすれば18万人に達するのではないかと見ています。当社のお客様でいえば、20歳から65歳までで全体の80%を占めているのですが、増えている層もシニアだけでなく、すべての年齢層で伸びています。20年には日本から外国のクルーズに出かける方の数が、50万人を達成しないかと期待しています。

(この項 続く)

2017年9月6日水曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(4)

バリの歴史的町並み。世界遺産。
「クルーズ・ブームが来た」といわれて、テレビなどではヨーロッパやカリブ海での豪華なクルージングが紹介されることが目につくようになった。

実際、2016年のクルーズ乗客数は国内が9.4万人と対前年比7.6%増となったのに対し、外航は15.4万人(対前年比15.5%増)と、わざわざ海外に出かけて船に乗り込むかたちのクルーズが大きく伸張した(「2016年の我が国のクルーズ等の動向について」海事局外航課、港湾局産業港湾課より)。

 そこで今回、急加速し始めた日本のクルーズビジネスを牽引するオンラインクルーズ・エージェントの雄、ベストワンクルーズを運営するベストワンドットコムの澤田秀太社長に展望を聞いた。

(この項 続く)

2017年9月5日火曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(3)

ベネチアで
イタリアに行くのは5回目か。ベネチアだけは足を伸ばしていなかったので、今回の旅程はそれもひとつの理由。

ベネチアに入ると、陸路の移動手段が何も無い。ボートバスがあるのだが、停留所の乗り降りに時間がかかるし、観光客でとても混雑。

タクシー、と言ってもボートタクシーがホテルの裏の水路まで迎えに来てくれるのだが、これがすぐに50-70ユーロという値段となるので、一回の移動で1万円くらいかかる。食事や観光に行くと往復のボートタクシー代が恐ろしい。

食事は、さすがイタリア。初日にスリに会い、400-500ユーロを盗まれる。前回もスリに会い、その時は被害が無かったけれど。パスポートはホテルにおいてきて良かった。

相当めげた。

(この項 つづく)

2017年9月4日月曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(2)

クルーズの旅程図だ。ベネチア(ベニス)を出発すると、イタリア東岸の古都バリに上陸。

その後エーゲ海に出て、ギリシアの港町カタコロンでオリンピック発祥の遺跡オリンピアを訪ねた。ミコノス島ではギリシアらしい白い建物、そして青い屋根という眺めを楽しんだ。エーゲ海の海や空気、光の強さはあそこ独特のもので強い印象を持った。

アテネでは巨大なオリンポス遺跡に登り西洋文明の発祥を検分した。
サランダ(アルバニア)は素朴な港町で、クルーズが来るとそのときだけ開く店などが多かった。ドブロニック(クロアチア)は「アドリア海の真珠」と謳われる港湾都市で美しい。

これらの街には、クルーズでなければ行くことは無かっただろう。印象深い旅となった。

(この項 続く)

2017年9月3日日曜日

豪華客船クルーズがブーム…1泊1万円で食事も多彩なイベントも無料、毎日寄港地でツアー(1)

夏休みに、クルーズに出かけてきた。海外旅行の回数は多いが、クルーズは初めて。
イタリアのベネチア(ベニス)に飛行機で飛び、そこで前泊。

クルーズ自体は7泊8日。前後の移動も含めて、11日間の夏休みとした。
写真の船でイタリアの東側の海、アドリア海とエーゲ海をまわり戻ってくる。

ボートの巨大なことにびっくり。16階建てなので、大きなビルである。登場客は3千人、それをサービスするスタッフは船員を含めて1,000人を超える。客席とそこで受けられるサービスはホテルそのもので、まさにセイルする大型ホテルだった。

(この項 続く)

2017年9月2日土曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(7)

所有していない経営資源を急速に補充するひとつの手段がM&A(合併・買収)だ。スタートトウデイは、M&Aに対して消極的ではない。

古着のEC事業を手掛けるクラウンジュエル、「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES.jp)」などを手掛けるブラケット、電子雑誌書店「マガストア」を運用・開発するヤッパに続いて、15年5月にはECサイトの構築会社であるアラタナを傘下に入れている。

 スタートトゥデイがマザーズに上場公開したのは07年12月のことだった。それが10年の間にこの急成長である。前澤社長は創業経営者として、また人間的にユニークで興味が尽きない方なので、稿を改めてぜひ紹介、分析してみたい。

 その前澤社長が狙ってきた新業態がいよいよ始動の段階に入っている。必要とする経営資源が現時点で不足している状況で、この稀代の創業経営者がどんな手を打とうとしているのか、そしてそれは思惑どおりに成功するのか。経営戦略的にとても興味がある段階で、目を離すことができない。

(この項 終わり)

2017年9月1日金曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(6)

しかし、この新しい業態は前澤社長にとって新たな挑戦となる。実際、「準備に6~7年かけた」とツイッターで漏らしているように、他社製品を糾合する従来型のECではない、いわばメーカーとなるので企画、デザイン、生産発注、製造・品質・在庫のコントロールなどの経営要素に取り組まなければならない。しかも、既存出店社とは競合関係が発生する。

「経営資源論」の観点から見ると、上記のような経営資源は現在同社グループに存在しないか、潤沢にあるようには見えない。デザイナーの募集を始めたが、機能させるためには組織として社内にオーガナイズして定着機能化させなければならない。そのためにはコアとなる人材が必要だ。他部門とのコーディネーションやはめ込みにも時間がかかる。そんな困難の上に構築されるから「経営資源」となりうるわけだ。

(この項 続く)

2017年8月31日木曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(5)

プライベートブランドで参入を狙う



 前澤社長が以前から公言しているのが、ゾゾタウンに自社のプライベートブランドを投入するということである。新時代の経営者らしく、前澤社長はツイッターを使って次のように発信している。

「ずっと準備してきた当社プライベートブランドが、ファッション業界の常識や慣習を転覆させる前代未聞のブランドになりそうです。これからのローンチまでを追ったドキュメンタリー番組、どなたか作っていただけませんか?当社広報宛に連絡ください」(2月16日)

「当社プライベートブランドについて、現時点で発表できるポイントは以下です。
・世界初の試みになると思います。
・ICT、IoTをフル活用します。
・企画開始から6~7年かかってます。
・老若男女、広くお楽しみいただけます」(同)

 デザイナーの募集も7月から開始している。ビジネスモデル的にはユニクロが展開しているSPA(製造小売)的な方法で商品を開発、製造してゾゾタウンに販売投入するものと思われる。

(この項 続く)

2017年8月30日水曜日

リーダーズブートキャンプ第3期 発進! (3)

リーダーズブートキャンプ第3期でも、結構本を読んでもらう。

まず、『経営戦略を問い直す』神戸大学の三品和弘教授の著書。三品教授は、日本企業の戦略展開と業績との関連を実証的にかつ膨大な調査をなさっている。『戦略不全の論理』は大した本だが、重すぎるので、ちくま新書の前掲書を読んでもらう。

『日本電産流V字回復経営の教科書』(川勝宣昭、東洋経済新報社)は第2期に続いて取り上げる。なんといっても今年有数の経営書だ。

「テーマ経営者」をほぼ毎期選定して報告してもらうが、第3期は、ゾゾタウンの前澤友作社長と、カルビーの松本晃会長兼CEOとした。前者は創業経営者、後者はプロ経営者として、その対比からも学べるはずだ。

(この項 終わり)

2017年8月29日火曜日

リーダーズブートキャンプ第3期 発進! (2)

リーダーズブートキャンプでは、各回で読んできてもらう課題図書を渡す。
ただし、本の全部を読むわけではなく、特定の2-4章を対象課題としてもらう。

これは、参加者のワークロードを調整することと、その本の重要な部分を集中して読んでもらう、というねらいだ。実際には、他の賞も流れとして読むことになるのだが、負担感は少ない。

次の回では、二人の指名者がそれぞれの担当章を報告し、クラスの討議をリードする、というのが当キャンプのスタイルだ。

今期はどんな本を選んだかというと、、、

(この項 続く)

2017年8月28日月曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(5)

アクティブ会員が増え、顧客の消費年額や頻度も向上し、取り扱い高は前年比で4割も伸びている。こんなお化けサイトに出店社が増えないわけはない。

6月末現在の出店社数は987に上り、そのブランド合計は6,000に近づいている。1年前は842店舗だった。

 最近では、アダストリアのジュニア向けブランド「repipi armario」やワコールの主力ブランド「Wing」、資生堂ジャパンの主力ブランド「MAQuillAGE」や「INTEGRATE」、そして「Zoff」や「EMPORIO ARMANI EA7」といった、幅広いジャンルの47ショップが新規出店した。アダストリアなどは国内だけで1,243店(複数ブランドで展開)もの実店舗ネットワークを構築しているのだが、ゾゾタウンを無視できる状況ではなくなった、ということだろう。

(この項 続く)

リーダーズブートキャンプ第3期 発進!

リーダーズブートキャンプ第3期クラスが、8月26日(土)に第1講を迎えた。

クラスルームがちょうど満員で、今期も充実したクラス運営が行えそう。前日の駆け込み申し込みでちょうど満員となった。

定員となった再受講者枠に加え、OB社長が自社の幹部を送り込んでくれるというケースも多くなってきている。当プログラムへの評価をいただいているものと喜ばしい。

第1講から箱田忠昭講師も終日陪席してくださり、参加者に助言などしてくれる。箱田先生が学長、私が学部長兼主任教授のような関係で関与してもらっている。

今期の課題図書は予定として、、、

(この項 続く)

2017年8月27日日曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(4)

若い女性のファッションに対する購買額や頻度を想像すると、ゾゾタウンでの購買慣行を形成した顧客は、その分野での同サイトへの集中を高め続けていることが読み取れる。


顧客が集まればメジャーなアパレルまでも集まってきた



 ファッションEC業界でのゾゾタウンの圧倒的な地位は、いくつものマーケティング的な施策の結果だ。出品されているアイテムの色や細かなサイズの表示はもちろん、複数商品を試着したモデルによるコーデ(コーディネーション、組み合わせ)の提案などだ。コーデ提案などだけではなく、試着写真のモデルの身長や試着させたアイテムのサイズなどを明記して、顧客にイメージを湧きやすくさせている。
 また顧客が以前に買ったサイズを知らせる機能があるなど、現物に触れることなく洋服をネットで買わせる、ということでゾゾタウンは「かゆいところに手が届く」サービスを開発、提供してきたのだ。
 さらに16年11月に「つけ払い」制度を導入した。購入してから2カ月後の支払いでよい、という制度で、顧客の衝動買いを高める施策である。これは、未成年者の購買と絡んで論議を引き起こしているが、売上増には寄与している。

(この項 続く)

2017年8月26日土曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(3)

株式市場では大きな存在となってきたスタートトゥデイだが、主要事業であるゾゾタウンの知名度は男性、女性とでは大きく異なっている。ゾゾタウンではメンズも扱っているが、主要顧客は圧倒的に女性とみられる。トレンドファッションEC市場シェアの半分以上を握っているとみられ、若い女性で知らない者はいない。

ビジネスモデルとしては、楽天市場やYahoo!ショッピングのような出店モール型サイトだ。ネットで洋服を選ぶのか、と思われる向きもあるだろうが、ゾゾタウンではその壁を乗り越えるような仕掛けを多々工夫して顧客を誘導している。
 今回の決算発表会での公表によれば、アクティブ会員(過去1年間にゾゾタウンで購入した顧客)は284万人で、前年同期から44万人増えたという。

これらのアクティブ顧客は同サイトで年間平均9.9点、金額で4万8,644円購入したという。前年はぞれぞれ8点、4万4,279円だった。つまり、同サイトで買い物をしている客は、その頻度と消費金額を増額している、同サイトへの信頼と嗜好を増大させているということだ。

(この項 続く)


2017年8月25日金曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(2)

創業者の前澤友作社長は次の成長のドライブとして、自社独自のプライベートブランドの投入を明かしているが、その壁を越えて次の段階に登梯していくことは新たな挑戦となる。


企業価値は1兆円を超え、なお急速な成長段階にある




 絶好調な決算発表を受けてスタートトゥデイの株価は上昇し、8月1日に企業価値として1兆円に到達した。国内上場企業の時価総額ランキングでは、この時点で124位である。ファッション小売りだけでない流通大手、三越伊勢丹ホールディングス(売上高:約1兆2000億円)と比べても2倍以上だ。グループ社員数832名、平均年齢30.8歳(17年6月末日現在)という組織規模の同社が企業価値としては立派な大企業となり、“日本の100社”入りも視野に入れている、というか近いうちに実現してしまうだろう。

(この項 続く)

2017年8月24日木曜日

「化け物」ゾゾタウン、「とにかく買わせる」仕掛けの秘密…有名ブランドも大挙して出店(1)

ファッションのインターネット通販サイト、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)を運営するスタートトゥデイ(東証1部上場)が、7月31日に2018年3月期第1四半期(17年4-6月)の決算発表を行った。

 足元の業績は絶好調だ。同期の商品取り扱い高は595億円で、対前年同期比40%の伸び、同社の営業利益は79億円で同59%の伸び、対取り扱い高の営業利益率は13.4%(前年同期は11.9%)と、流通業としては優秀な利益率をたたき出している。ちなみにゾゾタウンでは出店企業が商品を販売しているので、商品取り扱い高はスタートトゥデイの売上高とは異なる。また、営業利益の主な部分は、ゾゾタウン出店社の売上に対して徴収する10%の手数料である。

 このように取り扱い高、利益率とも異例なほどに好調だが発表を行った栁澤孝旨氏は、3月末に取締役副社長兼CFO(最高財務責任者)に着任したばかりであり、17年3月期の決算発表に続いて、さぞ気分の良い思いをしたのではないか。

(この項 続く)

2017年8月23日水曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(8)

マイケル・キートンは熱演しているが、キャラクターが悪役なので、そのアップとたびたびの咆哮で暑苦しい。

最後の場面でキートンが「ビジネスに必要なのは執着だ!」と何度も獅子吼(ししく)するのだが、画面が切り替わり生前のクロックが同じフレーズをカメラ目線で決め付けた映像で終わる。私には、レイ・クロックがトランプ大統領と重なって見えた。トランプ氏も実業家だし、「ディール・メーカー」としてのし上がった人物だ。教養がなくてもアメリカ大統領くらいにはなれるという好例だ。

 人を大切にしない主人公の成功譚とその主張がメインの映画なので、後味がいいとはいえない。アメリカ人にとってレイ・クロックは有名人なので、その一代記映画としてアメリカでは興味が持たれたのだろう。興行成績もまずまずだったそうだが、日本ではどうか。

 この映画からビジネスパーソンが得られる知見としては、「事業の成功と高邁な人格は関係ない」ということであり、「事業家として重要な資質は、脊髄反射的な判断力と、行動力」ということだ。それで勝負する経営者もいるということに尽きるだろう。

(この項 終わり)

2017年8月22日火曜日

マック、謎のベールに包まれた誕生と繁栄の秘密…実質的創業者を破綻させた「強欲経営」(7)

それどころか、兄弟のオリジナル店に「マクドナルド」の名称使用を認めず、兄弟がやむなく「ビッグ・マック」という店名に変更すると、その筋向いにマクドナルドの大型店舗を出店して、兄弟の店を倒産に追い込んでしまうのである。

脇役、フレッド・ターナー



 映画で、クロックの第1号店で働き始めたフレッド・ターナーが紹介されている。しかし、マクドナルドの大発展におけるターナーの大活躍は描かれていない。ターナーこそが同社の有名なQSC(クオリティ、サービス、クリンリネス)を提唱し、社内研修機関であるハンバーガー・ユニバーシティを創設、運営した人物だ。ターナーはクロックに息子のようにかわいがられ、クロックの後にCEOに就任し、同社を118カ国に進出させた。

(この項 続く)