2013年4月29日月曜日

任天堂 2期連続赤字はイノベーションのジレンマ  潮目変わりに対抗できない(3)



任天堂が再浮上するための殆ど唯一の経営戦略とは、

モバゲーやグリーなどのスマホ・ゲーム会社を買収することである。相手会社の合意が得られることもないだろうから、高値でのTOB(公開買い付け)を敢行する。敵対的な買収劇となる。

スマホ・ゲーム発売のための技術や能力要素は現在の任天堂には備わっているはずだ。しかし、ゲーム機から離れて、その事業を本格展開することは同じ会社として試みる限り難しい。だから「イノベーションのジレンマ」なのだ。買収し、相手先の会社形態、ブランド、ビジネス・モデルもそのままに関連会社として経営させる。

短期的には買収資金は巨額に見えるだろう、そして不合理な投資に見えるだろう。しかし、任天堂にはそれだけの財務を出動させるだけの企業力がある。今この戦略を発動しなければ、5年後いや2年後の任天堂の業績は壊滅的なモノとなっている。

(この項 終わり)


2013年4月28日日曜日

任天堂 2期連続赤字はイノベーションのジレンマ  潮目変わりに対抗できない(2)



任天堂が再浮上しないだろうという私の観測は、同社が対峙しているのが「破壊的技術」だからである。

同社の不調は、旧来の競合会社によるものではない。かってのセガやソニー・プレイステーションでもなく、マイクロソフトのXボックスのゲーム機でもない。グリーやモバゲーなどの、スマホで遊ぶゲームソフトである。それが任天堂にとっての「破壊的技術」、本格的な脅威なのだ。

旧来型のゲーム機では世界に敵無しを誇ってきた任天堂は、「それだからこそ」スマホで遊ぶゲームには対応出来なかった。典型的な「イノベーションのジレンマ」である。コンパクト・カメラがスマホに駆逐されだしたように、ゲーム機もスマホに駆逐されようとしている。

この構造的な苦境を任天堂が脱出する経営戦略がある。それは、、、

(この項 続く)


任天堂 2期連続赤字はイノベーションのジレンマ  潮目変わりに対抗できない(1)



24日に発表された2013年3月期では営業損が364億円の赤字となった(前期は373億円の赤字)。期初には350億円の黒字を見込んでいたが、3度の下方修正を経ての着地である。マネジメントという見地から見れば、ずたずたな状態となった1年だった。

2011年10月28日の拙ブログには、
「任天堂 岩田聡社長 潮目の会見」
と題した。同社が1981年に業績開示を初めて以来、初の赤字決算見込みを発表したからである。 
http://yamadaosamu.blogspot.jp/2011/10/blog-post_28.html
1部を抜粋しておく。
「『大きな時代の、終わりの始まり』
と、私は感慨深い。(略)今回、任天堂のような専用ゲーム機の時代は終わりはじめた、と思う。時代はスマートフォンでのゲーム提供となっていくだろう。」

2013年3月期当初の同社による楽観的な見通しより、拙ブログの予想通りの展開となった。任天堂では今回発表した2期連続の赤字を受けて、4人の取締役が退任する。若い6人の新取締役が就任するともしているが、この「大きな流れ」には抗すべくも無いだろうと、再び予言しておく。それは、、、

(この項 続く)


2013年4月27日土曜日

【本ナビ】本のソムリエが家宝認定 『本当に使える経営戦略』(山田修)

「本のソムリエの一日一冊ビジネス書評」ー通称「本ナビ」は大手のネット書評サイトであり、書評メルマガ。4月27日付けで拙著を取り上げて貰い、★5つを頂戴した。

同サイトによれば、★★★★★は(絶対お薦めです!家宝となるでしょう)とのこと。大変有り難い。

長い書評の1部は例えば

■この本で私が共感したところは次のとおりです。
 ユニクロが繰り出した「合わせ技」・・・
 ・SPA(製造小売り)方式の本格的な導入
 ・中国での大量委託製造とそのコントロール・・
 ・新素材開発のため、東レ株式会社との戦略的で本格的な提携
 ・対面販売でなく、顧客が自分で選んで会計を済ませるセルフ方式の徹底
 ・「使った後でも返品自由」などの、顧客との信頼感醸成策(p21)

続きと前後は下記から
http://1book.biz/2013/04/27/post-2419.html#more

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(8)

戦略立案道場、経営者ブートキャンプ

 経営者ブートキャンプでは著名経営者が特別講師を務めます。この1年間では次の方々でした。いずれも著名な経営者の方々で、わたしを含めて皆さんの著書の数を足すと50冊以上になります。

 

新将命(あたらしまさみ)氏:伝説の外資カリスマ経営者
村上憲郎氏:元グーグル社長
池本克之氏:ドクター・シー・ラボなど2社を上場させた
出口治明氏:ライフネット生命保険創業社長
井上和幸氏:日本一の社長ヘッドハンター
高野登氏:元リッツカールトン日本支社長
青野史寛氏:ソフトバンク社長室長、孫正義の懐刀No.2

 「経営者が教え、経営者が集まる、経営者の梁山泊」を標榜している経営者ブートキャンプは、まさに実践的な「戦略立案道場」と言われています。

 経営幹部として自立していく――そのためには、とにかく「セオリー」だけでは駄目です! 実際に戦略を立てることのできる「戦略力」を身につけ、強力に実践していって下さい。
(この項 終わり)

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(7)

戦略立案道場、経営者ブートキャンプ

 「実際に使える経営戦略を」という要請で、多くの会社で指導してきました。公開型のプログラムというと、「経営者ブートキャンプ」(部門長以上)を主宰、指導しています。初回に戦略立案技法を解説し、2回目から6回目までに上記の各ステップを準備して貰います。各ステップ毎で指導があり、最終回で発表してもらいます。

 各参加者は、作成した3年戦略計画を自社に持って帰り、実際に直ちに展開しています。その新戦略により上場に成功したエニグモの須田将啓社長など、大躍進を遂げた例が輩出しました。企業や部門の業績を大きく伸ばしたり急激に改善するには「戦略力」が最大の武器となることがよく証明されたと思います。
(この項 続く)

2013年4月26日金曜日

ユニクロ帝国、終わりの始まり(5)

朝日新聞4/23では柳井社長自身のインタビューも大きく掲載している。柳井氏はいつものように力強く信念を語り自信に満ちている。しかし、それは傲岸不遜ととても近く受け止められたことだろう。実際、同日の記事にあるように、ユニクロでの08-10年入社組の3年退社率が46-53%となってしまったことと対比させてみると、いっそ驕慢というほどの印象を受ける。

同インタビューの中で、
「年収100万円も仕方がない」、あるいは「当社ではgrow or dieだ」という発言を平素社内で浴びせられている同社の従業員達はどう感じているだろうか。この名経営者は、名リーダーとしての範疇からは明らかに外れだしている。

「社長は一人では何も出来ない」
というのは、かねがねの私の主張だ。鼠が逃げ出し始めた巨船の船長は、その船を進めていけるのか。巨船は失速し始めるのにも時間がかかる。しかしユニクロという巨船の迷走ぶりは、柳井社長が公言した「社長引退2014年」に明らかとなることだろう。

(この項 終わり)

2013年4月25日木曜日

ユニクロ帝国、終わりの始まり(4)

『本当に使える経営戦略』(ぱる出版)の中で、「柳井正、太閤秀吉、中内功」という一項を立てた。最後の「中内功」というのは、一代のカリスマ経営者が老害と化し、最後は晩節を汚してしまった、その轍を踏みはしないかという譬喩だった。

柳井社長は以前から「2014年には引退する、世襲はしない」としている。その一方で二人の子息を近年入社させ登用している。

今回の「世界統一賃金体系の導入」の発表を見ると、このカリスマ創業経営者を留めるNo.2はこの会社には出現していないようだ。

だとすると、「中内功」が歩んだ途を辿るのか。
(この項 続く)

ユニクロ帝国、終わりの始まり(3)

私が最新刊『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(ぱる出版)で、一番筆を割いた企業事例がユニクロだ。

同書の中で、「柳井正、太閤秀吉、中内功」という一項を立てた。秀吉は55才となり朝鮮出兵を企図して15万人もの大軍を派遣した。柳井社長は56才で社長復帰するや、海外展開の大号令を出し、軍を進めている。

「国内に覇を唱えた英雄は、その年頃に世界制覇の野望に燃える」
という、経営者ブートキャンプに参加した経営者の言を紹介した。
「そして大火傷する」
と、その参加者は続けたわけである。

今回の「世界統一賃金体系の導入」という、野心的ではあるが無理筋のプログラムを発表してしまったユニクロ帝国に於いて、少なくとも誰も柳井社長の無理無体を留める忠臣はいないようだ。
(この項 続く)

2013年4月24日水曜日

福田秀人氏が拙著に論評

ランチェスター戦略学会副会長
立教大学院の元教授(現サステナブル・リサーチ代表)の福田秀人氏が拙著をブログで紹介してくれた。

昨日、京都の行き帰りに電車で読んだ。とても読みやすく、面白く、往復2時間で完読。

ブルーオーシャン戦略やポーターをはじめとするアメリカの戦略論の問題点を的確に指摘した上で、なすべきことを明快に論じている。
これは、経営戦略学者同様、シロウトが陥りやすいあやまりを示し、ひどい目に会わないのに役に立つ。

アメリカだけでなく、楠木健『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』の特徴も端的に指摘している。

いずれにしても、有力な戦略論が幅広く、簡潔明瞭に紹介され、批評されており、それらを正しく理解するのにも役に立つ本である。
 
続きは下記から

「最高のゴールを目指して!」(書評サイト)で拙著新刊が高評価

『本当に使える経営戦略』(ぱる出版)が、大手ネット書評サイトで取り上げられた。

本書は、著者が社長として、実務の中で苦労されてきた経験からくるもので、非常に切れ味よく納得感があります。
特に戦略立案に悩んでいる経営者やビジネスリーダーの方々にとって、新たな気づきを得ることができ、実践に向けたヒント満載の一冊です。

身近な事例を戦略セオリーと対比しながら解説されていますので、経営戦略を理論的に学ぶことができます。
ユニクロの成功要因と今後の課題、富士フィルムとコダックの戦略展開の明暗、星野リゾートのコンセプト経営、ヤマダ電機とシャープの戦略レベルの違いなど、戦略全般を学ぶことができ、経営視点での力量を磨くことができます。

有名な経営理論やフレームワークについて、わかりやすく整理されていますので、各フレームワークの大意を理解することができます。

続きは下記から
http://yaokou.cocolog-nifty.com/yaotyan/2013/04/post-3c0d.html

『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』 増刷決定!

4月13日発売となった拙著新刊が早くも増刷が決まった。

多くの方に是非読んで貰いたい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4827207879

       どこへ消えたか、あの『エクセレント・カンパニー』(はじめに)      

第1章 「使える戦略」で読むユニクロの成功とコダックの倒産
第2章
伸びる会社は戦略で勝負している
第3章 「戦略カードとシナリオ・ライティング」で自社戦略を立てる
第4章 社員に火を付ける戦略とは
第5章 使えない、大企業御用達の舶来セオリー
第6章 SWOTは分析ツール、戦略ではない
第7章 神様、マイケル・ポーターがやって来た
第8章 学者は新学説を、コンサルタントは請求書を求めて


これで語れる、立てられる(終わりに)

ユニクロ帝国、終わりの始まり(2)

なぜユニクロの新「世界統一賃金」が機能しないと、私は見るのか。

例えば「グルーバル総合職」の8-14段階(スター店長など)には約1千人の社員(海外300人)がいるという。
「それぞれの國の物価水準などを考慮し、実質的にはどの國でも同じ生活ができる水準とする」
というのだが、同社が展開しているのは既に世界13國・地域。欧米先進国もあればタイ・フィリピンもある。これらの國で新制度を導入するには、
「具体的な制度作りには時間がかかる見通し」
としている。

また
「例えば中国で採用された店長は、米国や日本の店長になれば賃金を上げるが、逆の場合は賃下げはしない考え」
ともしている。

上述2点を私が翻訳すると、
「制度設計が難しいので、すぐには導入できないー当分あるいは永久に始められない。また、仮に始まったとしても例外措置続出でとても『統一』の看板にそぐうモノに仕上げられない」
ということだ。

つまり、出来もしないモノを大々的に発表してしまうところに、同社の既に迷走の始まり、夜郎自大的な混乱が読み取れる。そしてそれは柳井正社長に端を発しているとしか理解できない。

(この項 続く)

2013年4月23日火曜日

ユニクロ帝国、終わりの始まり(1)

朝日新聞(2013.4.23)に「ユニクロ、世界で賃金統一」という一面トップの大記事が出た。二面では半分以上に「両刃の同一賃金 社員選別」という解説記事を掲げ、さらに九面でも半分以上を使って柳井正社長のインタビューを掲載している。
 
まあ、これ以上ないというような大記事となっている。同報道によれば、
「欧米や中国など13カ国・地域で店長候補として採用した社員すべてと役員を『グルーバル総合職』として、『グレード』ごとに賃金を決めた」
という。http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130423/biz13042310140011-n1.htm

ファーストリテイリング社の日本での大卒採用は全てが店長候補として採用されている筈なので、上記の対象となるということか。

この「新制度」は、羊頭狗肉として終わり機能しないか、機能した場合は同社に大混乱をもたらすだろう。絶好調を誇っている同社だが、この制度の発表・導入を契機に一代の名経営者柳井正氏は「殿ご乱心」のフェーズに突入し、数年後に同社のグローバルな大進撃には大ブレーキが掛かっていることが観察されるはずだ。

(この項 続く)

2013年4月21日日曜日

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(6)

役に立つ
  • 経営資源論(J.バーニー)
  • ビジネス・モデル、ストーリー(楠木建)
  • ランチェスター戦略(田岡信夫)
役に立たない
エクセレント・カンパニー(T.ピータース他)
コア・コンピタンス(ゲイリー・ハメル他)
ビジョナリー・カンパニー(J.コリンズ他)
ゲーム・セオリー
ブルー・オーシャン(W.C.キム他)
フレームワーク各種
 
限定的
競争戦略(マイケル・ポーター)
破壊的技術(K.クリステンセン)
選択と集中(J.ウェルチ)
 
(この項 続く)

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(5)

組織の階層で上になるほど競争も激化してくる。優秀な人材だからこそマネジャーとして選抜れているわけで、そんな同僚たちに何をもって差を付け、自らの競争優位を確立するのか。考えてみる価値がある。

欧米渡来の戦略セオリーは役に立たない

また同書ではマイケル・ポーター氏から楠木建氏まで、内外の著名な戦略セオリーを「本当に役に立つ・立たない」という視点から評価して、その理由を述べています。とりあげた主要なセオリーには次のようなものがあります。それぞれの大骨の紹介と入門的な解説も加えました。

 これらのセオリーは、経営戦略を語るときよく引き合いに出される代表的なものですが、オリジナルの文献を読んでいる経営者やマネジャーは、実はごく少数です。わたしの本で概要を仕入れておくと、上司や同僚マネジャーに知ったかぶりをされて悔しい思いをすることは無くなり、むしろ一目置かれるようになるはずです。

(この項 続く)

2013年4月20日土曜日

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(4)

組織の階層で上になるほど競争も激化してくる。優秀な人材だからこそマネジャーとして選抜れているわけで、そんな同僚たちに何をもって差を付け、自らの競争優位を確立するのか。考えてみる価値がある。

そこで、何らかの思考ツールが必要となります。わたしが開発した「戦略カード」を使って、次の5つのステップを走らせます。
  • ステップ1「目標の設定」
  • ステップ2「目標合意」
  • ステップ3「課題の発見」
  • ステップ4「解決策の策定」
  • ステップ5「派生問題と対処」
 それぞれのステップでは、「カード出し」と「カード選び」、「選択理由の裏書き」を繰り返していきます。するとちいさな「ミニ・シナリオ」が紡ぎ出され、全体としては「シナリオ・ツリー」が形成されます。

(この項 続く)

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(3)

組織の階層で上になるほど競争も激化してくる。優秀な人材だからこそマネジャーとして選抜れているわけで、そんな同僚たちに何をもって差を付け、自らの競争優位を確立するのか。考えてみる価値がある。

コンセプトの達人や、戦略センスに格段に富んでいなくても、ステップを踏んでいけばその能力を獲得できる、つまり体系立てた「戦略立案技法」が学習できれば、マネジャー・レベルの皆さんの能力開発に大きく貢献するはずです。それが「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法です。戦略を立てるには次のようなインナー・ステップがあります。

1、自社内外の事象を概観し、重要要素を抽出する。
2、対応策を幾つも考え、それぞれの実現蓋然性を査定する。
3、選抜したアクション・プランを実践になじむように構成する。
4、伝えられるように言語化する。

 以上の作業要素は基本的には全て自分の頭の中に存在します。実際、経営戦略は自己の頭の中からしか生まれてきません。しかしそれらの要素は頭の中では「思索の断片」の形で、未整理なものとして存在しています。それらに対して上記のような操作を加えようとすると、通常は頭の中だけではとても行えるものではありません。

(この項 続く)



2013年4月19日金曜日

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(2)

マネジャーレベルの人たちが一応保持している能力が2つあります。
・リーダーシップ能力
・コミュニケーション能力

 これら2つの能力がなければ、預かったチームを指揮、鼓舞して結果を出すことはできないので、いわば「持ってて当然」の能力です。ですから、皆が持っているこれらの能力分野でさらに抜け出そうとするのは効率が悪いし、至難の技です。

 ところが皆さんのレベルになってもばらつきがあるというか、開発が進んでいないのが「戦略力」なんです。「戦略力」とは経営戦略を立てる力、そしてそれを実践できる力です。

●誰も教えてくれなかった経営戦略の立て方
 それでは、全社戦略や部門戦略の立て方とは、一体どうすればいいのでしょうか。その方法を今度の新著『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(
山田修、ぱる出版)で書きました。同書では「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法についても説明しました。

 世の中には多くの「経営戦略本」が溢れています。しかし、それらをひも解いてみても、ストレートに「経営戦略の立て方」を指南してくれている書はありません。戦略を立てる際に気をつけること、つまりTIPS(役に立つコツ)が種々述べられているくらいです。

「戦略を立てるためにはコンセプトが重要だ」などとも言われますが、それではそのコンセプトはどうすればいいのだというと、「それは自分で考えるしかない」などと述べられていました。


(この項 続く)

「マネジャーは“戦略力”で勝負!」 ITmediaエグゼクティブに寄稿(1)

4月18日に寄稿。 「マネジャーは“戦略力”で勝負!」こうすれば立案・実践できる

わたしは現役時代、幾つも会社を変わってキャリア開発をしてきました。37才の時に小さな外資の社長を任されて、それから幾つもの会社で経営職をこなしました。経営職というのは――特に社長の仕事というのは面白いものです。責任やプレッシャーももちろんありますが、それさえもそのポジションにたどり着かないと味わえません。本コラムを読んでいる皆さんはすでにマネジャー・レベルの方が多いと思いますが、是非精進してエグゼクティブ、そしてCEOへの階梯を登って行ってもらいたいと思います。

●優秀なのが揃ってきた、どうする?
 組織の階層で上の方に来れば来るほど、競争もまた激甚となってきます。何しろ、優秀な人材だからこそマネジャーとして選抜そして任命されているわけですから。そんな同僚マネジャーたちと「何をもって差を付けていくのか」つまり「自らの競争優位」は何になるのか、考えてみる価値があります。

 マネジャーレベルの人たちが一応保持している能力が2つあります。


(この項 続く)

2013年4月12日金曜日

『本当に使える経営戦略』 夜に読了、翌朝再読


昨11日(木)にセミナーを行ったところ、嬉しいメールを受講者から頂いたので、1部を紹介する。

「帰宅してから一気に頂いた本を読ませていただき、今日の出社の電車の中、営業活動の 移動中に更に2回目を読ませていただいております。

今までたくさんの「戦略本」を読んでまいりましたが、いまひとつすっきりしないままでおりました。(略)どんなに頭がいい人間が大勢いても、どんなに精力的に働く人間がたくさんいても、正しい戦略が無ければ、また、それをきちんと実践する組織と方向性の一致が無ければ だめだということを再認識した次第です。(略)

戦略カードを使い、もう一度考え方を纏めてみます。気づきの場を与えてくださり、ありがとうございました。」



次世代経営幹部研修 佳境に(5)

長野県のとある製造業メーカーで、昨年末から「次世代幹部養成研修」を行っている。

今週、第6回そして最終回を迎え、社長以下幹部を聴衆に、それぞれが策定した「部門三年戦略」を発表して貰った。

発表時間枠は一人40分。その中で、20-25分のプレゼンテーション、参加者の中から指名されたコメンテーター、そして直属の部門長の講評、さらに本人の答弁コメントという形で進行した。

終わって懇親会を催して貰った。参加者の覚悟と覚醒に大きな印象を持った。社長の満足度も高かった。これから10年後、当社をこのグループが担っているところを見たい。

(この項 終わり)

2013年4月11日木曜日

『経営者になる 経営者を育てる』 菅野寛 書評169(3)

本書は後半で、「経営スキルの習得法」という、とても興味のあるテーマを掲げている。

経営は「スキル(技術)」であり、スキルである限り習得できる、というのが著者の主張だ。「ではどうする」と、大いに膝を乗り出した。

ところが例示されていたのは、著者の実践例。それは「コンサル・スキル」の習得である。はばかりながら、経営者の仕事というのは、コンサルタントのそれと全く異なるモノだ。挙げ句の果ては、「習得法は自分で編み出せ」と突き放している。それでは、(具体的な方法を示していないので)最初の「スキルだから習得できる」という指摘と大いに違う。こういうのを「羊頭狗肉」という。

本書評(1)の初めに置いた私の評語が「コンサルタントのアリバイ本」ということだった。

(この項 終わり)

2013年4月9日火曜日

『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』 予約開始 (6)

4月13日発売予定。

アマゾン予約中。
http://www.amazon.co.jp/dp/4827207879
本日、見本刷りが手元に届いた。表紙のデザインが、写真のようにとても斬新。活字組や級数も適当で見やすい。文章もいつものように―自賛だがー読みやすくなっている。

肝心の内容だが、少し骨があるように感じられるかも知れない。しかし、当該経営セオリーを知らない読者にも、解説を含めて書いた上で批判あるいは推薦しているので、経営セオリーの入門書としても読んでもらえるだろう。セオリーに詳しい読者には、、次の「編集者の言葉」(アマゾンより)を引いておく。

「今回、とくに感心したことは、けっこう重厚で密度の濃い内容をあっさりと書かれていて読みやすい点。経営者にとってはまさに「目からウロコ」の新発見が続々と見つかるはずです。」

世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。
 
(この項 終わり)

『経営者になる 経営者を育てる』 菅野寛 書評169(2)

菅野 寛 氏
「経営者には必要なスキルセットがある」と本書ではされている。

それには異論がないのだが、著者が示している「セット」について証明、傍証が脆弱だ。「長年のコンサルティング活動を通じて」とのことだが、それでは本書で示されている「セットA」でなく「セットB]が著者によって主張されたら、論無く信じよ、ということなのか。

実際の経営体験がないので、それを補完するために著名経営者の著作からの引用がとても多い。それらの経営者の選択にはずいぶん同感するところが多い。いずれにせよ、一次情報(あるいは直接体験)が決定的に欠けている。

(この項 続く)

2013年4月8日月曜日

『経営者になる 経営者を育てる』 菅野寛 書評169(1)

 
ダイヤモンド社、2005年刊。著者はボストンコンサルティンググループの幹部コンサルタント。戦略ブティックのコンサルタントがいかにも著しそうな「アリバイ作り著作」と読んだ。

まず書き出しの一文、
「今日ほど、日本企業に真の経営者が強く求められている時代はない。」
という陳腐さに辟易した。

直前の書評で取り上げた『V字回復の経営』(三枝匡、日経ビジネス人文庫)の後では、一層げんなり感が強い。

(この項 続く)

2013年4月6日土曜日

ニッチ・マーケット 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(26)

「ポーター直線」のある部分で競合がポジショニングしていない(存在していない)ことがあります。いわば「競合の空白域」なわけです。その部分が広大なことは稀です。

とある会社が、そんな部分にポジショニングしたとすると、競合の不在のため、価格としては「ポーターの四角」の上限まで設定することが可能です。小さいけれど美味しい商売、ということになります。これがニッチ・マーケットのポジショニングとして理解できます。

ポーター理論でニッチ・マーケットのポジションは説明されません。なぜならポーターは「四角」の中で左下か右上のどちらかの隅にポジショニングせよ、と説いているからです。

世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。

(この項 続く)

2013年4月5日金曜日

ポジショニング 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(25)

「ポーターの四角」の中で競合するプレーヤーは、「ポーター直線」に沿ってポジショニングします。理論的にはそれが合理的なことになります。

ところが、世に無数に存在する会社と経営者はポーター理論など知らない方が圧倒的に多い。知ったとしてもそれを信じなければならない理由などもない。さらに言えば信じたとしても、その理論から外れて経営行動することなどいくらでもあります。

ですから、ポーターの四角の中では、ポーター直線に近接しない場所にも沢山の会社がポジショニングしていることの方が、世の実情となっています。世の経営学者はこういうことを指摘しないわけです。何しろ「理論経営学」なわけですから。

世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。

(この項 続く)

2013年4月4日木曜日

ポーターの三大戦略 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(24)

「ポーターの三大戦略」は次の三つです。
1.コスト・リーダーシップ戦略
2.差別化戦略
3.集中戦略

ところが「3.集中戦略」とは、「1か2のどちらかに集中せよ」というものです。
ですから、ポーターの競争戦略は、図の「ポーターの四角」の左下点と右上点の「どちらかに」位置せよ(ポジショニングせよ)として理解することが出来ます。

この理解を起点にすると、ポーター以後に出て来た主要な経営戦略セオリーの幾つかもこの図表に書き込むことにより、理解することが出来ます。


世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。

(この項 続く)

2013年4月3日水曜日

ポーターの四角 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(23)

「ポーターの四角」で左下が、その商品の最低機能点となり、価格も市場では最安となります。この点がポーターの「コスト・リーダーシップ」点です。

ポーターは「コスト・リーダーシップ」という用語を使いましたが、私は「プライス・リーダーシップ」の方が適当だと思います。消費者、あるいは顧客は購入する商品のコストなど知り得ないし、関心がないからです。

「コスト・リーダーシップ」点にある商品に機能を加えていくと、そのためのコストが掛かるので、商品価格がー理論的には―高くなっていきます。その様子が「ポーター直線」として表れます。ですから競合する各社の商品群は「有効市場域」の中で、「ポーター直線」に沿ってポジショニングする筈ですー理論的には。

世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。

(この項 続く)

2013年4月2日火曜日

ポーターの四角 「本当に使える戦略・使えない戦略」徹底講義(22)

マイケル・ポーターの競争戦略は、左記のような「有効市場域マップ」に書き出してみると、簡単に理解できます。

「ポーターの四角」、「ポーター直線」は理解のために私が付けた名前です。

商品(サービスも含みます)には、通常取引される価格帯と、機能の範囲があります。「有効価格帯」と「有効機能帯」で形成されるポーターの四角が、当該商品についての「有効市場域」と考えられます。

このシリーズの前回は、2012年12月7日「破壊的技術とコダック倒産」(下記)です。久しぶりに再開。
http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=1048986287515383300#editor/target=post;postID=1445307510451179741

世に知られた経営セオリーの中でも特に有名なものについて、判断と解説をしてみました。それが今回の新刊、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修、ぱる出版)です。経営戦略に興味のある方には参考となるはずです。ご一読を御願いします。
また出版記念講座を4月11日(木)に行います。2時間講座。詳細は下記から。