2015年2月11日水曜日

介護のための退職者、年間10万人(3)

●重要な経営課題である「介護によるキャリア中断」


 昨年11月に発表された明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団の調査によると、介護を始めた人の50%以上が1年以内に会社を辞めている。もちろん、介護の必要度や状況はケースバイケースなので一概にはいえないが、会社にとって最大の問題は経営の舵取りではなく、実は従業員たちの介護問題なのかもしれない。
 同調査では、介護のために転職した場合、男性の約30%、女性の約60%が非正規雇用であり、年収は約半分に減少するケースもあると伝えている。また、これらはあくまで従業員の話で、経営者の場合は介護問題を抱えながら別の会社の社長に就任するというわけにはいかないだろう。幹部などの要職でも同じことだ。そうなると、会社は最も有為で必要な人材を失うことになる。これは、社会全体で考えても大きな損失であろう。
 総務省の就業構造基本調査によると、介護や看護のために退職する人は年間10万人を超えている。また、仕事と介護を両立している人は約240万人という多さだ。
 このような「介護によるキャリア中断」は多くの場合、従業員の視点から語られてきたが、実は会社にとって最も重要な人材である経営者や幹部社員たちに襲いかかってきているのが現状である。これからの時代に最優先すべき経営課題といえるだろう。

(この項 終わり)

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