2014年11月2日日曜日

『トヨタの思考習慣』(日比野省三) 書評214

講談社+α文庫、2005年刊。知り合いになった、トヨタ出身で開発技術指導コンサルタントの先生が
「トヨタ本というなら、これだ」
と勧めてくれたので、勉強させて貰った。

カイゼンなどで象徴され、喧伝される「トヨタの強み」の源泉は那辺にあるのか。著者は経営工学から入った学者教授で、現在は企画経営学の第一人者だという。不勉強で、そんな分野が確立されているということを知らなかった。

東海地区を本拠とするトヨタの強みの源泉を、三河武士、徳川家康から続く同地区特有の「思考習慣」にある、とするのが本書の主要な指摘だ。これにより「変わり続けるための究極思考」や、「絶対ベンチマーク」(他社を真似ない、目標としない)などの特徴が形成されてきた、としている。

そうなのかも知れない、と読み、勿論反証を出来ることではない。しかし、こういう指摘って困るんだよね。というのはある卓越した企業の成功事由がその会社の企業文化だ、ということだと断言されたら、他社は何も学べなくなってしまうからだ。企業文化は一番変えるのが難しい領域である。ということは、トヨタの独走は続くということなのでもあろう。めでたいことだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿