2011年12月11日日曜日

「いい会社とは何か」小野泉・古野庸一 書評108

講談社現代新書、2010年刊。「いい会社」についていろいろ調べ、論じている。いろいろな要素や仮説を挙げて、それぞれについて言及しているのだが、読んでいてどうも収束しない。

「長寿企業」という観点を挙げたかと思うと、「財務的業績がよい企業」と別の切り口を示す。「働きがい」や「信頼関係」という組織論的な視点も挙げるし、「企業理念」という企業文化的な要素についての重要性も指摘しているかと思えば、「社会貢献」も重要だというわけだ。途中に「長寿企業の4条件」が入ってきて、その4条件が「長寿企業」以外の視点ととしてあげられている諸点と重なったりしている。

取り上げている諸ポイントの連関性や優先順位がよく理解できない。つまり「モデル化」が成されていない。どこのポイントを聞いてもその場その場では「お説ごもっとも」ということになるが、それでは何をどう企めば「いい会社」が現出されるのか、すっきりとした理解あるいは解に到達できない。どれをどうすれば「いい会社になれるのか」判然と見えてこない。

ところで、著者古野氏は組織行動研究所所長で、私自身が「プロ経営者の育ち方、育て方 研究」の対象となり、今年の2月レポートが公刊されている。本日のタイトル・クリックでリンクが張られている。

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