2012年10月16日火曜日

『なぜビジネス書は間違うのか』 フィル・ローゼンツワイグ 書評154(2)

フィル・ローゼンツワイグ
著者が主として批判した二書の内、前者『エクセレント・カンパニー』については、私自身が2001年の旧著で批判した。後者、そして本書の主要なターゲットとなった『ビジョナリー・カンパニー』についても、ローゼンワイグは前者と同じ「ハロー効果の働きによる原資料の無効」を主張している。

「ビジョナリー・カンパニー」とされた17社について「その後の業績の検証」をしたところは、私が「エクセレント・カンパニーのその後」で行ったのと同じ手法。異なるのは、「エクセレント・カンパニー」とされた14社(邦訳で残された事例)では、私は「そのうち10社については消え去ったか、他社に吸収されたか、4社を残して見る影もない」としたが、ローゼンツワイグによる「ビジョナリー・カンパニーのその後」は、S&P500(つまり大手企業)の平均と対して変わらない凡庸さ、ということだ。

さてさて、「エクセレント」にしても「ビジョナリー」にしても、選出手続きの学的正確さに疑義が出されたわけだが、それでは2書が提出した「理想の会社像」はすべて無効となるのだろうか。それについては別の機会で書くことにした。

(この項 終わり)

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