犯人は電話番号を転々と変える
折り返し所轄署から電話が来た。状況を一通り繰り返すと、詐欺ハガキに書いてあった「訴訟通知センター」の電話番号と、S弁護士の電話番号を尋ねられた。「ちょっと調べさせてください」と言われ、5分くらいでまた電話が来た。
「その番号は、警察で把握していない新しい電話番号なので、ハガキの現物と奥さんの電話メモを証拠として提出してもらえないか」
すぐ来る、というので待っていると、20分ほどで2人の警察官がやってきた。「教えてもらった『訴訟通知センター』に電話したら、犯人が出ました」と、婦人警官が言う。それでどうなったかまでは聞かなかった。
警官は「これがハガキですね」とハガキを見ると、当家の正しい住所と妻の姓名がきちんとワープロ印字されている。
「おや、消印がありませんね」
見ると確かにそうだ。ぞっとした。犯人が当家の郵便受けに直に投函しに来たらしい。こういう詐欺ハガキは郵便局も気がつけば扱わなくなるなどということがあるのだろうか。
「私、どうしよう、家の電話番号なんか喋ってしまったわ」
事情を把握した妻が、恐ろしそうに言った。婦人警官が「間違ってもお金を振り込んだりしないでください。また連絡など来たらすぐに警察に知らせてください」と、帰っていった。
(この項 続く)
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