「工場内に従業員の行動をとらえることができる複数台のカメラを設置したうえで、製造エリアでは手元を大きく映し出すことができる高性能カメラを配置。従業員にはゼッケンを装着させることで個人を容易に識別できるようになり、製造ラインで異物混入などの問題が発生すればすぐに個人を特定できる。
また製造エリアには2人以上揃わないと入れないようにしたほか、単独で居残りするとすぐに警報が鳴る仕組みも取り入れた。このようなきめ細かな仕組みが評価され、前期は30の工場に2000台近いカメラを一括導入する顧客を獲得するなど、大型案件の受注が堅調だ」(4月10日付日本経済新聞電子版記事『セコム、工場・外食・塾…広がる監視需要』より)
これらの「企業内監視システム」は、さらに通信によりセコムの「警備監視センター」で一括してモニタリングおよび記録することが可能である。需要は無限といっていいだろう。セコムの株価もうなぎ上りで4月10日の高値8621円は、年初から30%も上げている。
「風が吹けば桶屋が儲かる」。このことわざを投資家は「油がまかれればセコムが儲かる」と言い換えられるかもしれない。しかし、企業側の経営者の立場で見ると、「世相が動けば需要がどうなるか」と考えて備えなければならない。さらに、戦略的経営者ならもう一歩先を読み「世相がこう動くかもしれない、それならこんな手を打って待ち伏せしておこう」とまで考えられなければならない。
戦略的経営者に洞察力と見識が求められるゆえんである。
(この項 終わり)
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