資本家と対峙するプロ経営者の蹉跌
ジョウユウ問題でつまずいてしまった藤森氏に対して、市場は厳しい評価を下していた。藤森氏の着任後にLIXILグループの時価総額は1.3倍になったが、同期間で業界第2位のTOTOはそれを3倍以上とした。LIXILは活発な海外M&Aを展開するなどの投資を続けたため、収益力ではTOTOの後塵を拝してしまっている。潮田氏は自らも大株主ゆえに、そうした株価の情勢にも苛立ちを増していたのではないか。
任期半ばの退任となった藤森氏は、プロ経営者としての能力を全開する前に志半ばとなってしまった。プロ経営者とは、経営の専門家、あるいは専門経営者である。しかし、当該会社に対する立場は当然、資本家ではない。潮田氏のようなオーナーがいて、その資本家から経営委託を受けて任に当たる。当然ながら高額な報酬やストック・オプションなどを含む多額の成功報酬が提示される。
逆にいえば、それだけの高給を食むのだから、結果責任も含めていつ更迭されても仕方がないという諦念を持って邁進しなければならない。
次のステージを待つ身となったプロ経営者・藤森氏のこれまでの尽力に、拍手と心からのエールを送りたい。専門経営者の活躍の場はいくらでもある。時代はプロ経営者を必要としているのだ。
(この項 終わり)
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