藤森氏が潮田氏に請われてLIXILのCEOに就任したのは、11年8月のことだった。5社が合併してLIXILが誕生した4カ月後のことだ。外資出身の経営者が日本の大企業に招聘された。プロ経営者が登場した大型事例として私は大いに期待した。その組織にプロパーで存在している経営陣では成し遂げられない、新しく大きなことを実現してくれるのではないかと思ったのだ。
藤森氏の経営改革には一定の評価を与えられる。まずジャック・ウェルチ仕込みの米ゼネラル・エレクトリック(GE)流「事業の取捨選択」で重複した事業を「水回り」など4部門に再編した。旧来の経営からの脱皮ということでGEなどから人材を集め、今や事業会社LIXILの取締役10人のうち9人が外部からだ。
何よりの功績は、事業の海外展開を推し進めたことだろう。私は以前から、衛生陶器各社が本格的に海外進出をしないことに苦言を呈してきた。藤森LIXILは、米衛生陶器のアメリカンスタンダードや独水栓金具のグローエなどの企業買収を通じて、就任時3%にすぎなかった海外売上高比率を3分の1近くまで拡大した。これは大きな功績だ。
しかし、グローエの独子会社ジョウユウが多額債務に関連していたことから、660億円もの損失を計上したことが、今回の人事の大きな引き金となったとも見られている。
(この項 続く)
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