介護の負担感は、育児のそれよりも大きいそうだ。つまり、育児の手のかかり方は成長とともに少なくなるし、プロセスも予想できる。ところが、介護の場合は親が存命な限り先が見えない。配偶者の大きな関与や手助けを得られない社員が持つ負担感は男女共に大きい。
佐藤教授の発表後に私がコメントしたのは、「企業にとって、介護は育児よりも大きな経営課題となってきた」ということだ。具体的に次のように経験を語った。
「以前幹部社員を転勤させようとしたら、『介護している自分の老親が同居していて、妻から自分だけとなる介護について強い難色を示された』と言われた。また知人の経営者が、地方に住む母親が亡くなり父親が独居老人となったので、いわゆる『遠距離見守り』を始めたが堪えられず、来年引退を決めた。この社長は従業員社長で、親会社はこれを機会にその会社を閉鎖することにした」
「遠距離見守り」とは、月に数回訪問してケアすることだ。このほかにも、老親介護のために幹部職から残業のない一般職への降格を願い出た事例なども知っている。
(この項 続く)
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