2014年5月16日金曜日

本を書く (23) 丸谷才一、大野晋、谷崎潤一郎 (書評195)

「丸谷才一・文章読本」の難点は、細かすぎるということだ。

大文章家のこの作家が、文章について微に入り細にわたってその蘊蓄を傾けている。

記号の使い方やオノマトペアのことなども詳しく指南しているが、レトリックについての各論での用語や概念などは、私も「丸谷・文章読本」で初めて勉強させて貰った。

そんな細かな技能を駆使する、あるいは駆使できる一般の文章家がどれだけ存するというのか。私は文学部を出て(一応修士課程も)著作も20冊以上有る。その私が(不勉強だけかも知れないが)知らない、つまり自家薬籠のものとして使えない文章技能がたくさん書き連らなれている。

そのような細事のところは飛ばして読めばよいとも思うのだが、それぞれのところに来ると、この大文章家の文章力に捉えられてスキップすること能わない。結果、読了するのに難渋し、快読する読書の読み方ができない。「文章読本」という看板と目指すところが違ってきてしまっている。

そこへ行くと、「谷崎・文章読本」は、、、

(この項 続く、しかし飛び飛び)