2014年5月15日木曜日

本を書く (22) 丸谷才一、大野晋、谷崎潤一郎 (書評195)

「丸谷才一・文章読本」が数有る同名書の中でピカ一なのかと言うと、すぐにそう言えないのが文章論の難しいところだ。

「丸谷読本」は、太いところで的を射る指摘を重ねていて、私には概ね首肯できる。また文章読本をモノする個人的資質として、例えば評論家でしかない(つまり実作をしていない)中村真一郎などより、よほどの文章量を紡ぎ出してきた。つまり実作家の言と体験に裏打ちされた指摘に富んでいる。

また川端康成や三島由紀夫のような天才肌の作家・文章家ではなく、丸谷才一の場合は文章論を緻密に研鑽し、その形式、結構、理論の上に大伽藍というべき長編小説を発表してきた。丸谷にとっては、技能的に文章論に詳しくならざるを得ないアプローチで文学をしてきたと言える。

ところが、「文章読本」の場合ということになると、、、

(この項 続く、しかし飛び飛び)