本書にマーケティングのセオリーを見いだすことはあまりない。著者がコークや関連ブランドをリリースしたり拡販したりするのにどのような施策を行ったか、などのエピソードやその為のチーム組成、広告代理店の使い方など、実践的な話しがおもしろい。
ペプシに展開された、有名な「目隠しテスト」。私は自身がマーケターとして振り返ると、あれはペプシ側の恥さらしもいいところだと思っている。
つまり、「ペプシの方が上手いという人が60%いる」というのがペプシのメッセージだった。「しかしシェアはコークが70%、ペプシが20%」。上手くないコークの方がペプシよりシェアが高い、これこそブランド力の差というモノなのだ。ジーマン自身もヘボ・マーケターらしく、この点を指摘していない。
ジーマンが展開したことは妙手ではないが、壮大な失敗譚としても本書はけっこうおもしろい。私はほめているんだか、けなしているんだか。
(この項 終わり)
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