2014年12月17日水曜日

コメダ珈琲、上場で露呈した快進撃のピーク 大株主、成長限界察知し株式売り抜け狙う(2)

この好調な成長を続ける同社が上場をするのは、株主MBKの意向が強いと思われる。まず、コメダは特に多額の資金を必要としない。同チェーンはフランチャイズ展開をしており、直営店は加盟店店長や店員の研修拠点という性格が強く、9店しかない(14年3月時点)。また、製造業でもないので機械設備などの購入も少ない。

●上場はMBKの事情


 一方、MBKはエグジット(出口)戦略として同社を上場するしかない。MBKが同社株式を同じく投資ファンドであるアドバンテッジ・パートナーズから取得したのが13年2月。つまり別ファンドによる2次買収だったわけだ。その買収額は430億円ほどだったと推定されている。アドバンテッジはコメダの持ち分78パーセントを所有していたが、コメダ創業者からの購入額は36億円、MBKへの売却による自社取り分は約257億円と推定できる。つまり約220億円の売却益を得たことになる。

 では、1次取得者だったアドバンテッジが見事な売り抜けを果たしたその分、2次取得者となったMBKは高い買い物をしてしまったのか。実際、MBKがコメダホールディングスの全株式を他のファンドや事業会社に相対で売却しようとすると、取得額の430億円をスタート金額とするのは難しい。
 コメダの直近の年間経常利益額は14億円ほどであり、EBITDA倍率(時価で表されている企業価値が、年間に創出される企業のキャッシュフローの何倍になるかを示す。その会社を取得した時に何年分のキャッシュフローで賄えるかも意味する)は30倍以上、つまり株式取得額の430億円を回収するためには30年以上の回収期間を要することになる。

前述のとおり同社の設備投資額が少額なら、減価償却費もEBITDA計算上は無視できる範囲だろう。一般的にM&Aの適正額は、EBITDA倍率7倍程度とされ、積極的なM&Aで日本電産の永守重信会長兼社長は「自分はEBITDAが10倍を買収の上限としている」と述べている。

(この項 続く)

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