2014年12月2日火曜日

ビッグホリデーの破天荒経営 20歳で創業し年商800億円、取引先への忠誠心で大胆行動(2)

岩崎安利社長
バス旅行を拡充させようと、ブルーバス社(現千葉中央バス)の代理店になると、ブルーバスとは資本関係もないのに自社の名前を東京ブルー観光社に変更して(69年)、代理店としての覚悟を示した。

 この同社の「取引先へのきっぱりとしたコミットメント」はその後も続く。街の代理店としては敷居が高かったANAからの販売代理権を得るときには、「他の航空会社の切符はこれからも一切扱いません」と、旗幟を鮮明にした。この姿勢が評価され、後に都内に中小約600社もあった街の旅行会社に対するANAの専売代理店として認められた。一方でそれら約600社の旅行会社にも、ANAの航空券を扱うようにまとめ上げてしまった。こんな豪腕経営者は滅多にいない、そして人間的魅力がなければ成せない戦略である。

 筆者は岩崎氏とビジネス上の関係を71年に初めて持った。当時主催していた学生スキーバスのバスのチャーター先を探して、まだ板橋区にあった東京ブルー観光社を訪れたのである。飛び込みで入って来て、「バスを10台志賀高原に出してくれ」と無茶を言った学生を、営業所長と名乗る岩崎氏が真摯に対応してくれ、太っ腹に受注をしてくれた。岩崎氏は実際はオーナー社長だったのだが、「若いので営業所長なんて言っていたんだ」と、その後20年ぶりくらいに再会した時に笑って言った。まだ弱冠28才だった岩崎氏は、それにしては貫禄があったし、剛毅で愛嬌のある「営業所長」だった。

 85年にビッグホリデーに名称変更以後の業容拡大や活躍については、すでに数多く報道されており広く知られているが、経営者のみならずビジネスパーソンが、岩崎氏の類いまれで大胆な行動力から学ぶ点は多い。

(この項 終わり)

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