2014年9月6日土曜日

ベネッセ流出事件、原田経営に追い風? (2)


●原田社長の下で強まる結束


そう考えられる理由としては、まずベネッセにとって未曾有の大危機が到来したわけですから、新社長の下での結束へのベクトルが大いに強まります。軍事紛争を抱えた時、その国の大統領への信認度が大きく高まるのと同じです。今回の事件がなければどれだけの時間とエネルギーを要したかわからないほどの求心力が、原田氏に集結したはずです。

 次に、事故の責任を取って2人の経営幹部が辞表を出しました。原田氏自身は本事件が起こった後の就任ということで無傷で済むでしょう。逆に言えば、自分以外の幹部はすべて責任追及できる事態となり、幹部の出処進退について全権を把握したわけです。そしてそれをいつ行使しても誰にもとがめられず、反論されない、こんなに強い立場の経営者は通常、創業オーナー社長しかいません。
 原田氏は思うように組織の再編成に大なたを振るえる、むしろ改革を断行することを求められる事態となったわけです。筆者自身、いくつもの会社に新社長として就任してきましたが、外部から登用された経営者が現在原田氏の置かれているような立場を確保するためには、とてつもないエネルギーを要しました。図らずも原田氏は、そのような立場に「立たされた」のです。

 さらに、今年度から来年度にかけてベネッセの業績が悪化したとしても、今回の事故の影響度が必ず加味されます。業績責任の追及が減免されるような新社長というのは、通常ではあまり存在しません。
 今回の事件をきっかけとしてベネッセが倒産するような事態は想定できないでしょう。とすれば事態が収束した暁には、原田氏は危機を乗り切った経営者としてベネッセ内で盤石の基盤を築くことができます。

(この項 続く)

0 件のコメント:

コメントを投稿