2015年3月5日木曜日

ソニー 売却最有力はテレビ事業ーーインダストリアル・ライフサイクル(2)

また事業売却先候補が出てきても、その事業が本社に組み込まれていれば、デューディリジェンス(資産査定)の困難性が増す。本社に組み込まれたままでの事業売却を「カーブアウト(切り出し)」と呼ぶのだが、カーブアウトだとその売却の「荒事性」が高まってしまうのだ。

 一方、すでに子会社化された事業の売却では、こうした問題はすべて低減できる。買収希望会社や間に入る投資銀行などにとっても、適正価格の算定や交渉などをスムーズに進めることができるため早期の売却が可能になる。

●「衰退期」に入ったテレビ産業


 ではソニーが新たな子会社構成によって、売却に動く可能性が高い事業はなんだろうか。筆者はテレビ事業だと見る。

ソニーは昨年7月にテレビ事業をソニービジュアルプロダクツに移管・分社化した際、「売却を一切考えないというわけではない」とその可能性を示唆している。同事業は2014年の第1~2四半期に連続して黒字となったが、2四半期連続の黒字は実に10年半振りのことだった。その間、年間売上高はピーク時の2兆円から8300億円まで落としている。黒字を辛うじて出した今なら有利な事業売却が可能だろうし、ソニー全体の企業価値が上がり株価が持ち直すはずだ。ソニーはそんなシナリオの元に事業分社化を進めてきているはずだ。

(この項 続く)

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