2015年3月19日木曜日

社外取締役義務化への的外れな批判(2)

経営の実践には「原理原則」があり、それを踏襲すれば他の企業にいっても、あるいは非常勤取締役の立場で関与しても十分に機能できる。ただし、その社外取締役に十分な企業経営経験があるということが前提条件となる。1つの企業の経営だけという経験レベルでは、わからないことなのかしれない。

 企業組織の階層は下にいけば専門知識や専門技能が重要だが、上にいけばいくほどいわゆる「大所高所」の見識、判断力が必要となる。他の企業や業界でそれらの知見・見識を磨いた経験者を招けば、企業ガバナンスに必ず寄与できる。近頃ようやくこのことが理解されてきたのか、いわゆる「プロ経営者」が招聘あるいは派遣されて活躍するようになってきた。せっかく外部から経験者や有職者を招くのだから、社外取締役を有効活用しない手はない。

筆者は昨年、とある上場企業から社外取締役就任の打診を受けた。社長は意欲的でその動きが出たのだが、筆者と面談したのは総務部長(執行役員)だった。「社外取締役の方には、役員会では提出議案に賛同するご意見を言ってもらいたい」という役割だという。つまり、単に外部の視点からもお墨付きをもらいたいというのである。筆者は「きっと社長は別の考えなのだろうにな」と思った。総務部長がさかしらをして、トップの意向とは反し役員会で波風を立てない成り行きを求めていると理解した。

(この項 続く)

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