2015年3月18日水曜日

社外取締役義務化への的外れな批判(1)

東京証券取引所が企業統治(コーポレートガバナンス)ルールの原案を2月24日に公表した。新ルールの適用は2015年6月1日からで、東証1部、2部に上場している約2400社が対象となる。

 新ルールの目玉は、複数の社外取締役の選任を求めているところだ。この東証新ルールに先立って5月に施行される改正会社法では1人以上の社外取締役の選任を促しているが、東証新ルールでは東証上場企業に対して法律より強いガバナンス体制を求めている。

 新ルールでは、主要な取引先である企業の元役員でも退職してから1年以上たてば着任を認められ、これまで義務づけられていた独立性についての詳細な説明は省略できるなど、選任についての弾力的な運用も促している。一方、2人以上の社外取締役を選任しない場合はその理由の説明を義務づけるなど、「飴と鞭」で複数となる社外取締役の選任を上場企業に促している。

 なぜ、今まで社内の取締役だけでやってきた日本企業に社外取締役の導入を促すのかというと、「外部の眼」が必要であり有効だからだ。社外取締役の導入によって企業のガバナンスが向上し、結果として業績に寄与するからにほかならない。「その企業や業界の事情もわからず、専門知識がなくて取締役として貢献できるのか」という向きもあろうが、それは企業経営を経験したことのない人々の思い込みである。

(この項 続く)

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