2014年1月24日金曜日

「本物の社長を連れてこい」と言われた日 (3)

 
伊藤麻美氏は、世界的にも有数のめっき技術を持つ日本電鍍工業社の社長。

伊藤 会社がここでつぶれたら、子どもの進学とか、家のローンとか、みんなどうするんだろう? 私たちが会議で安易に下す結論によって、さまざまな人生が狂いかねない……そこから、コトの重大さがだんだん身に染みてきたんですね。
(略)

伊藤:そういうことを思い知る中で、自分の中に義憤が湧き上がってきて。それまで何も知らないで来たけれど、私はみんなが働いてくれているこの会社と、両親に育てられたんだ。その私が行動しなくていいのかっ、と。

 会社に恩返しするのは今しかない、と心を決めて、弁護士さんに相談に行ったんです。弁護士さんに最初に聞いたのは、自己破産のことです。分からないところを何度も何度も聞いて、分かったのは、「32歳で自己破産をしても、命まではなくならない」ということでした。それで、エイッ、と踏み切ったのです。」

(原記事)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140117/258429/?P=1

私がいつも経営者に指摘する、「覚悟と責任」がここにある。危機に当たって、それらが短期間で醸成された。その危機の前には無かった。

(この項 続く)