2014年1月24日金曜日

「本物の社長を連れてこい」と言われた日 (2)

伊藤麻美氏は、世界的にも有数のめっき技術を持つ日本電鍍工業社の社長。

伊藤:まず後継者の資質の問題。後継の社長は父の敷いた路線を踏襲しないで、自分流の経営を進めたのですが、世の中で起きている経営環境の変化を理解していなかったんです。
 昭和の高度成長時代は、時計のめっきを一手に引き受けていて、それが利益を生み出していましたが、90年代以降、国内の時計市場はもう成熟していて、後は下がる一方でした。携帯電話やコンピュータ機器など、新しい市場を開拓しなければならなかったのに、そういうことに取り組んでいませんでした。

インタビュア:昔、好調だった分野の上にあぐらをかく。ありがちですね。
 
伊藤:新市場の開拓どころか、必要のない工場を新設したりするなど、素人の私から見ても、腑に落ちないことだらけでした。」

(原記事)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140117/258429/?P=1

これはつまり、「成功の復讐」ですね。経験の長さだけを誇っている、適応できない幹部。そこに入った若手社長、伊藤氏。企業再生の苦闘が読み取れる。

(この項 続く)