2009年10月25日日曜日

恩師大野晋(国語学)の伝記本

孤高 国語学者大野晋の生涯」(東京書籍)著者の川村 二郎という人は、朝日新聞の元編集委員で「大野番」の人だったらしい。

大野先生は、私が学習院大学国文科で最初のゼミの先生。その秀抜としか言いようのないご授業に、「国文なら学習院が日本一」(当時、教授陣のこと)という思いを強くした。本当に偉大な国語学者だった。
上掲書のアマゾンでの読書評から。
   「大野晋の本を読んで、「日本語の起源はタミル語なのだが、保守的な学者によって認められないままでいるのだ」と思っていた。大学学部・大学院で本格的に言語学を学ぶ機会を得て、様々な疑問を持つようになってきた。「日本語の起源はタミル語では『ない』」ということを証明することはできないが、日本語とタミル語が親縁関係を持ち、何らかの形で人や言葉が移動してきたことは、少なくとも今の言語学の手法では証明できないと考えるにいたった。

私も大野チルドレンの一人だが、大野先生のご不満は、タミル語説に対して言語学側からの本格的な論駁が無いということだった。この評を書いてくれた言語学者の方もどうして本格的に論文などで指摘してくれないのだろう。「語る価値なし」ということなら、どうして大野タミル語学説はあれまでに(無人の荒野を行くがごとく)流布してしまっているのだろうか。

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