戦略策定指導をしている会社のオーナー会長から座右の書ということでご恵贈いただいたのが、「生きがいの探求」(出口日出麿、天声社)。故出口師は大本教の三代教主補だった人だ。
同書を通読して、改めて明治人の漢文素養に圧倒された。同師は戦前京都大学の文学部を出ている。
出口師の書きぶりは基本的に雄渾な和漢混淆口調なのだが、突然砕けたざっくばらんな口語表現になったり、散文詩が入ったりと、その表現が自由自在だ。それらを可能にしているのが、漢詩漢文への素養であることは間違いない。国文学出身の私にはよく読みとれる。
森鴎外、夏目漱石あたりでこの美質は日本の文学人、あるいは一般教養人からは失われてしまった。今、自殺する時に誰が「巖頭之感(がんとうのかん)」(藤村操)のような文章を残せることだろうか。
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