2012年1月22日日曜日

「チャイナマネーを追え」奥村尚樹 書評118

総合法令出版、2010年刊。

桜井よしこ氏の講演(1月20日ブログ)で中国の軍事的拡大策について啓蒙された。関連して、経済的な拡大策についての知見を確認しようと本書を開いた。

本書はまず、中国本土人が個人ベースでどうして海外投資、特に不動産投資に傾注するのかを文化経済学的に説明している。歴史的に国家を信じることが出来ず、家族やファミリーだけで助け合おうとする、いつでも逃げ出せる流浪の民という特性が中国人で、華僑(本土以外に出た中国人1世)華人(2世以降)の大量発生もこの文脈からのことだった。日本・華僑華人学会の設立発起人としてこの分野の専門家であった私からして、このあたりの著者の分析や整理は的確なモノと言える。中国人の個人マネーが向かっている国の理由は良く理解できる書だ。「国」だけではなく、「都市」までピンダウンして論じることも出来たはずではあるが。

日本人読者が著者により啓蒙されるのは、中国から飛び出している資金の投資先に付いていけば、手堅く儲けられる、という点だ。著者は具体的にマレーシアだという。
その選択についても良いのかも知れない。とはいえ、著者のビジネスが海外不動産投資コンサルタントであり、紹介業であるので、ご自分のビジネスをアピールする側面が本書にはあろう。

実は著者の会社が昔東京で開いた、上海マンション投資セミナーに出席したことがある。中国からの投資回収にリスクが感じられ、購入には至らなかった。マレーシアではそのようなリスクは無いと思うが。

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