2019年7月7日日曜日

テーミス7月号でLIXILについてのインタビューが(2)

(略)
最初はプロのスター経営者を次々と招聘して、院政を敷いてきたオーナーという評価がある。

「潮田氏は’11年にリクシルの取締役会議長になり、いわば第一線から距離を置いた。そして同年8月、米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身の藤森義明氏を社長に招いた。

だが、’15年にM&Aでグループ入りしていたドイツの水栓金具大手、グローエ傘下の中国企業、ジョウユウの不正会計が表面化して、660億円の特別損金を計上すると、藤森社長を退任させ、後任に工具通販大手、モノタロウ会長だった瀬戸氏をスカウトした。

その瀬戸氏も今回、高層ビル外壁の政界最大手、ペルマスティリーザの関連損失が545億円発生したことを挙げて退任させた」
(前出・山田氏)

(この項 続く)

2019年7月6日土曜日

テーミス7月号でLIXILについてのインタビューが(1)

「潮田洋一郎リクシル会長『道楽経営』が醜態招く」


(略)
自らもプロ経営者としての実績のある山田修氏が語る。

「潮田氏はリクシルの経営に真剣に取り組んでいるとは思えない。たとえば’15年から税金の安いシンガポールに住んでいるが、年間の半分以上を日本で生活すると居住者となって、日本の税制を適用されてしまう。

潮田氏は昨年11月に瀬戸氏を放逐して自らCEOに就いたが、それならシンガポールを引き上げて、全身全霊で経営をやらなければいけない。

現在の経営は半身のままでやろうとしているという意味で”道楽経営”みたいなものだ。」

(この項 続く)

2019年7月5日金曜日

グループ社長・役員に戦略策定法を指南


大手商社の子会社社長約10名と役員の方10名強、計25名ほどの方を教えた。

これらの社長さんたちは「新任社長」ということで、グループ全体の子会社の数はよほど多いと思われる。

社長さん方なので、1日限定で駆け足で戦略策定を演習してもらった。もちろん、戦略カードを使っての「課題解決型戦略策定法」を走らせた。

最後は3名グループで早々に作った戦略を発表してもらった。各グループで発表者は社長さん、聴講(チャレンジャー)側2名は執行役員の方々(別法人同士の組み合わせとした)として、20分1本勝負とした。

執行役員の方たちは、現役トップの経営者が策定した戦略を聞き、それを討議するということでとても勉強になったと言っていた。たしかに他のやり方ではそのような成果は得られないだろう。

2019年7月4日木曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(7)

株主総会で会社側提案が実質的に否決されることは珍しいことだし、LIXILのような大会社では稀有の出来事となった。

 私は、今回の事例によって議決権行使助言会社からの助言の関与度が下がってくるとは見ていない。むしろ、助言会社の助言がこれほどまでに注目されたことはなかったし、これを機会に機関投資家はいっそう慎重に助言会社の推奨リポートを参照する度合いが高まっていくと見ている。

 その上で、機関投資家も個人投資家も、これからは会社側提案を簡単に鵜呑みにして白紙委任状を出す率が下がっていく方向に進んでいくのではないか。

 いわゆる「シャンシャン総会」の比率が下がっていき、総会で議決議題について会社側と株主側の真剣な討議を交わしていく傾向となる。その結果、株主総会の開催時間は長くなるだろう。特に総会の前年度で大きな経営課題をさらけ出した会社ほど、厳しい株主総会に直面することを覚悟しなければならない。

 考えてみれば、その方向は健全な株主資本主義の現出ともいえる。後世になって、今年のLIXIL株主総会は「株主総会のあり方」の大きなターニングポイントだったと振り返られるかもしれない。

(この項 終わり)

2019年7月3日水曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(6)

落選した2候補はISSが「反対投票」を推奨した結果だ。2社が推奨した「瀬戸氏側候補への全体としての反対投票」は効を奏さなかった、ということが重要だ。

 結果として、瀬戸氏側候補の選出数が会社側候補の数を上回り、瀬戸氏側に勝利をもたらしたことになる。2大助言会社の推奨は「骨」のところで反対の結果となったことになる。

 繰り返すが、3つの議案ごとだけでの投票だったとしたら、会社側2人の落選はなかったと思われる。そうすると、瀬戸氏側が全員当選したとしても、8対8の同数となり、総会後の取締役会でCEO選出をめぐり大いにもめることとなっただろう。

会社提案が精査選別される時代の幕開けか



 LIXILの株式で、機関投資家の持ち分は約30%弱だ。機関投資家は基本的にスチュワードシップにより、議決権行使助言会社の意見を参考にしなければならないとされている。そして、個別の議決案件への投票について開示しなければならない。

 このような縛りのなかで、米インダス・キャピタル・パートナーズや英マラソン・アセット・マネジメントなどの機関投資家は総会の事前に瀬戸氏側への支持と投票を明らかにしていた。さらに、助言会社が推奨しなかった瀬戸氏側候補が全員選出されたということは、LIXIL全株式の約40%を占める海外株主を含めて、個人株主などが雪崩を打って瀬戸氏のカムバックに票を投じたということだ。

(この項 続く)

2019年7月2日火曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(5)

2大助言会社の推奨リポートは概ねでは共通していた。それは、「会社側候補を推奨、瀬戸氏側候補に反対」というものである。本記事では両リポートが掲げていた理由は省略する。今となっては「詮無いこと」だからだ。

 ただ、第1号議案と第3号議案で個別の候補について上述した異なった見解を示した。このような推奨に対応した投票をするとしたら、3議案を分割して、個人投票にまで降りていくしかないのだ。

 今回の総会には特に世間の注目が集まっていたので、LIXILとしても透明性のある投票方法を考えるしかなかったのだろう。総会が近くなり、瀬戸氏側が東京証券取引所に総会での投票立会を求めたことも、うまい圧力となったと思う。

議決権行使助言会社が行った助言には、株主たちの投票に反映された部分とそうでない部分が出た。

 個別投票となり、最も得票率が高かったのが第2号議案の2名で、それぞれ94%強を獲得した。この2名は瀬戸氏側候補と自認していたが会社側も候補としていたので、両方から支持が集まった。

 それ以外の全候補のなかで最も得票率が高かったのが濱口大輔氏で、64%強を獲得した。これは、グラス・ルイスが「瀬戸氏側候補のなかで唯一、濱口氏を推奨する」としたことの影響とみられる。ちなみに、当選した他の全候補とも得票率は50%前半で、全員が辛うじての当選となっていた。

(この項 続く)

2019年7月1日月曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(4)

このような異例な方式の採用に至った経緯として、議決権行使助言会社の存在があった。世界で2大議決権行使助言会社として知られているのが、米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラス・ルイスである。

取締役選出で2陣営が対決する構図となった今回の株主総会での投票について、どのような助言が出るか、総会の前に注目を集めていた。

 世間の耳目を集めていた案件だけに2大助言会社も慎重になったのか、予定より遅く6月12日になって「推奨リポート」をそれぞれが発表した。それによると、2社とも瀬戸氏側候補の第3号議案へは反対を推奨した(グラス・ルイスは濱口大輔氏<前企業年金連合会運用執行理事>だけには賛成投票を勧めた)。

 第2号議案(会社側、瀬戸氏側が共に候補とした2名)については両社とも賛成投票を勧めた。会社側提案の第1号議案については、両社とも賛成投票を勧めたのだが、ISSはこの中で前出の福原氏と竹内氏だけには反対投票を勧めた。両氏は結果として選出されなかった。

(この項 続く)

2019年6月30日日曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(3)

株主総会では、議案ごとに採決が取られるのが通常だ。よって、上記3つの議案は個別に採決が取られるものと思われていた。つまり8名、2名、6名がそれぞれグループとしてまとまって採決されると見られていた。

 ところが今回の株主総会では、前代未聞のマークシート方式による選任投票が採用された。すなわち、16名の候補に対して、株主は一名ずつ賛否のチェックをすることとなったのである。

その結果、第1号議案に含まれていた2人の候補、福原賢一氏(前ベネッセホールディングスCEO)と竹内洋氏(前日本政策投資銀行常務)が落選したのである。会社側の候補で当選したのが6名、瀬戸氏側候補は第2号議案の2名も含めて8名全員が当選して6対8となり、雌雄が決せられた。

皮肉な役回り、投資助言会社

 

大手企業の株主総会で取締役選出を個別投票のマークシート方式で行うなど、およそ聞いたことがない。16名候補全員への持ち株数当たりの投票数を個別に集計するために休憩時間が取られ、それがさらに延長されるなど、今回の総会は5時間近くにわたる長時間となった。

(この項 続く)

2019年6月29日土曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(2)

異例のマークシート方式個別選出



 今回の株主総会には、会社側から提案されていた取締役候補8名(以下、「会社側」)と、瀬戸氏を盟主とした株主提案による取締役候補の8名(以下、「瀬戸氏側」)の計16名が、候補として挙げられていた。LIXILの取締役の定員は16名だったので、両陣営の全員が選出される可能性もあった。

 総会後の取締役会で選出されるCEO候補として、会社側は三浦善司リコー元社長、瀬戸氏側は同氏を提示していた。

 取締役選出の総会議案としては、LIXILは16名の候補を3つの議案に分けて決議事項としていた。第1号議案には8名の会社側候補、第2号議案には会社側と瀬戸氏側両方から候補とされた2名、そして第3号議案には瀬戸氏側の6名である。第2号議案の2名の方たちは瀬戸氏側候補との認識を示していたので、第1号議案候補8名が会社側、第2号議案の2名と第3号議案の6名の計8名が瀬戸氏側8名と、拮抗していた状況だったのである。

(この項 続く)

2019年6月28日金曜日

LIXIL内紛、大波乱の瀬戸氏勝利の舞台裏…「株主総会=会社側有利」の崩壊(1)

LIXIL新CEOの瀬戸欣哉氏(写真:日刊現代/アフロ)
注目されていたLIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が6月25日に行われた。

復帰なるか、世間の耳目を集めていた瀬戸欣哉前CEO(最高経営責任者)は取締役に選任されただけでなく、総会後の取締役会でCEOに選任され、同社経営のトップに返り咲いた。

 私は本連載記事などで、「創業家で元CEOの潮田洋一郎氏による瀬戸氏のCEO解任が不当だったところにコトの発端があるのだから、瀬戸氏のCEO復帰が正道だ」と主張してきた(『LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない』)。

 瀬戸氏復帰までの紆余曲折を振り返ると、大企業における株主総会での機関投資家といわれる大株主たちの意思決定に、大きな変化があったことが観察される。そして今回のこの変化は、機関投資家の投票行動が今後変わっていくきっかけとなる可能性がある。


異例のマークシート方式個別選出


(この項 続く)

2019年6月27日木曜日

LIXIL、元CEO・瀬戸氏側が不利な情勢…議決権行使会社、会社側を概ね支持へ(2)

同ペーパーはLIXILの株主総会に向けて20ページにわたる詳細なものだが、取締役候補関連の議案に関する結論だけを報告する。

1.会社側提案候補について

 鈴木氏と鬼丸氏を含む全員に対して選出投票を勧める。

2.株主提案候補について

 濱口大輔氏(前企業年金連合会運用執行理事)についてだけ選出投票を勧め、他の5名(瀬戸氏も含む)に対しては反対投票することを勧める。

 同ペーパーには上記提案の根拠として、詳細な分析・評価が記載されている。それについては別の機会があれば触れたいが、「過去、あるいは現状との決別」というセオリーが採用されている。株主提案候補で推奨されなかった5名の候補は、現任のLIXIL幹部たちである。

 株主提案候補のなかで濱口氏のみが選出投票を推奨されているが、同氏を含む6名は今回の総会では3号議案としてまとめられている。議事進行上、濱口氏だけ別扱いとされることはないだろう。結果、同ペーパーは株主提案候補全員への反対投票を進める助言として受け止められるだろう。

 そしてISSは、会社提案の取締役候補8人のうち6人について賛成を推奨しており、LIXILは「大勢としては会社提案を支持した」との見解を発表している。さらにISSは、瀬戸氏の取締役選任について反対を推奨しており、事態は瀬戸氏側に不利な様相を見せてきたが、その展開に注目したい。

(この項 終わり)

LIXIL、元CEO・瀬戸氏側が不利な情勢…議決権行使会社、会社側を概ね支持へ(1)

LIXILグループ(以下、LIXIL)の株主総会が開かれる6月25日が近づいてきた。今回の総会で注目されているのは、会社側の指名委員会が提案している取締役選任議案と、元CEOである瀬戸欣哉氏側が株主提案している取締役選任議案が対抗していることだろう。

そんななか、大手議決権助言会社である米グラス・ルイスが会社側の取締役選任案を株主に対して推奨していることがわかった。


2つの取締役選任案



 会社側の取締役選任案は10名。松崎正年氏(現コニカミノルタ取締役会議長)を取締役会議長に、三浦善司氏(前リコーCEO)を暫定CEOに充てるというもの。ちなみに鈴木輝夫氏(元あずさ監査法人副理事長)と鬼丸かおる氏(元最高裁判所判事)は当初会社側提案の取締役としても発表されたが、両氏は「了承していない」としたため、会社側は株主提案と重複する両氏を除く8名への賛否を問う1号議案と、両氏のみについての2号議案に分けた。

 一方、株主提案となった3号案件は、鈴木氏と鬼丸氏を除く6名となり、瀬戸氏がCEO復帰への意欲を示している。

 両陣営の取締役選任案は計16名で、LIXILの取締役定員も16名なので、全員が選任される事態も理論的にはありうる。

 LIXILの株主構成は、機関投資家が約4割、機関または個人を問わず海外投資家が約7割とされる。このなかで機関投資家の投票に影響力を持つとされるのが、議決権行使助言会社である。機関投資家はその行動を制約する「スチュワードシップ」によって、助言会社の助言を参考にしなければならないからだ。


グラス・ルイスは会社側の取締役選任案を支持



 米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と並んで世界の2大議決権行使助言会社といわれる米グラス・ルイスの文書「PROXY PAPER:LIXIL GROUP CORPORATION」(6月12日付け)を今回、筆者は独自ルートで入手した。

(この項 続く)

2019年6月26日水曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(16)

しかも、瀬戸氏解任に当たり指名委員会の委員長だった潮田氏は、瀬戸氏には「委員会の総意だから」と告げ、取締役会では「瀬戸氏から辞任の申し出があった」と、両者を愚弄するような対応をしたとされている。ここで両者を愚弄した、というのは株主をも愚弄したというに等しい。

 となれば、この実績のあるプロ経営者が希望しているのだから復活の出番を与えるのがガバナンスの王道というものだろう。

 瀬戸氏自身はLIXILの経営風土として「深く根付いた忖度文化が立ちはだかっていると感じたのは一度や二度ではありません」(「文藝春秋」<文藝春秋/2019年6月号>記事『私は創業家に屈しない』より)と、指摘している。

 LIXILは、このたびの取締役選任争いを奇貨として瀬戸氏が指摘しているような忖度人事から決別すべきである。潮田氏は社外に出て、ただの一般株主のステータスになるはずだ。つまり在野の存在となる。この際、トップ人事という大事を透明性のある議論で決定する方向に舵をきるべきだ。

 幸い、指名委員会が提出した8名の候補のなかには、社内の候補は1人しかいない。瀬戸氏側と合わせて16名全員を新取締役として選任し、瀬戸氏がCEO代表取締役に選任され復帰するのが、成り行きからみてLIXILの大義だと私は思う。

 さらにこの機会に、形骸化していた同社の指名委員会を実質機能させ、社外のオーナーもどきの人たちの影響や関与(クビキ、呪縛といったほうがいいのか)から、同社のステークホルダーの皆さんが完全に解放されることが望まれる。

(この項 終わり)

2019年6月25日火曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(15)

今回、LIXILの指名委員会で取締役候補の選出を主導し、発表したのは菊地義信取締役だった。同委員会で唯一の社内取締役で、潮田氏と近いと評されている。指名委員会による候補者のなかには、瀬戸氏側の候補者からの選抜がなかった(鈴木輝夫氏と鬼丸かおる氏は会社側候補となることを拒否)ことから、菊地取締役は瀬戸氏側と対立的な構図を現出させた。

 潮田氏は4月の会見で、「取締役退任後も相談事があれば」とコメントして、院政への関心があるかのような態度を示してもいる。菊地取締役がその受け皿、あるいはパイプ役を果たすのではないかと危惧する向きもあろう。

 LIXILの次期取締役選任に対する私の意見は簡単である。それは瀬戸氏をCEOに復帰させろ、ということだ。単純に瀬戸氏はCEO在職中に大きな失策を犯していない。瀬戸氏の失脚は、潮田氏の気まぐれ、あるいは潮田氏が主導したイタリア建材のペルマスティリーザ社のM&Aでの大きな損失計上の失敗の押し付けによるものだった。

(この項 続く)

2019年6月23日日曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(13)


瀬戸氏をCEOに復帰させるのがスジ


 瀬戸氏側と会社の指名委員会側と、2つの取締役候補案が提案された状況を受けて、執行役などのLIXIL幹部が指名委員会に「意見書」を2回にわたり提出した。幹部たちが自発的に、自社の重要人事を差配する委員会に意見書を提出するということは相当重大な決意の表れと取ることができる。

 4月に提出された1回目の意見書では潮田経営への批判、2回目5月に提出されたものには次のような指摘があったという。

「5月13日の指名委員会・取締役会の発表で、真に中立的な候補者名簿にならなかった理由をお聞きしたい」
「我々は提案された候補者名簿に潮田さんの影響が及んでいる理由を推定しています」
「我々上級執行者は多額の費用を必要とする委任状争奪戦を回避する全ての努力を支持し、瀬戸さんの建設的な提案(Olive branch:和解)を歓迎します」
(以上、5月24日付日経ビジネスオンライン記事『LIXIL幹部らが再び「意見書、委任状争奪戦回避訴え」』大竹剛より)

 つまり、幹部たちは瀬戸経営の復活を支持しているのだ。

(この項 続く)

2019年6月22日土曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(12)

潮田氏が昨年11月にCEOに復帰してから、LIXILの株価は急落した。昨年12月25日は昨年来安値となる1,270円となり、昨年高値3255円(1月23日)より60%も下落した。現在も1,359円のまま(5月24日)である。潮田氏への評価を市場も共有していると見ることができる。

 創業家出身の経営者への評価は、それぞれの実績で決まることも多いのだが、経営実績の矩を越えて存在感を発揮してしまうのが、私の言う「オーナーもどき経営者」ということだ。オーナーもどき経営者を実質的に支えてくれる「番頭経営者」がいない場合は、オーナーもどき経営者は、その会社に益をもたらすことは少ない。いっそ、「君臨すれど統治せず」のポジションに入ってくれたほうが、皆の幸せとなる。


瀬戸氏をCEOに復帰させるのがスジ


(この項 続く)

2019年6月21日金曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(11)

また、潮田氏はそもそもLIXILの株式を3%程度しか保有していない。これらの事実から、同氏はLIXILのオーナーではない。資本持ち分的には経営支配権を有しないし、指名委員会議長や取締役会議長でもなくなったので、機能的な支配権も失った。6月の株主総会で取締役も辞任すれば、一般株主と同様な立場の関与者となる。

 そんな潮田氏が、LIXILの本社をシンガポールに移転することを画策していたというのだから呆れる。前回記事に書いたことだが、シンガポールに居住している潮田氏は自らへの税制の制約から、日本には年の半分以上滞在できない。シンガポールと日本との往来を忌避して、自らが預かった会社のほうを自宅近くに持ってこようとしていたのだとしたら、経営者の道楽、いや、わがままもこれに極まれりというほかはない。

 株式所有が少数でも、創業家出身者が実質オーナー経営者のように振る舞っている上場企業は珍しくない。トヨタの豊田章男社長が所有するトヨタ自動車の持ち株比率は0.1%にすぎないが、その求心力はいうまでもない。

(この項 続く)

2019年6月20日木曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(10)

それが経営の不調ということでもなく、あるいは経営路線の乖離という真摯な議論の結末でもなく、オーナーもどきの気まぐれから更迭され、そのトラック・レコードに理由なく傷を付けられていく――。

藤森氏と瀬戸氏に起きたのは、そのような不条理といってよいハプニングだった。経営人材として世に希少な2人のプロ経営者をないがしろに扱い、リスペクトを示していない潮田氏を支持するわけにはいかない。

 潮田氏のLIXIL経営への関心度が、同氏にとってほかの文化的趣味と同程度のものだったとしたら、6万人を超す同社の従業員の不幸は大きなものがあったといわざるを得ない。


オーナーもどき経営者は去れ


 私が潮田氏のことを「オーナーもどき」と呼ぶのは理由がある。潮田氏は創業家であるが、2代目で創業者ではない。またLIXILは数社が統合された会社なので、ほかにも創業家が存する。

 (この項 続く)

2019年6月19日水曜日

LIXIL創業家・潮田氏、敵前逃亡連発の“道楽経営”で6万人企業は経営できない(9)

つを指摘した。本記事はその3つ目から始まる。

プロ経営者を道具扱いするな





 日本GE会長だった藤森義明氏と、瀬戸氏のCEO招聘は、趣味人である潮田氏にとっては、茶道の名茶器をコレクションするような感覚だったのではないだろうか。世間で名器として評価されているお道具(名経営者)を自らのものとし、それをみせびらかして自慢する。名前だけが重要で、その実質的な機能には頓着しない。そもそも茶器の場合なら、あまり使いもしないだろう。

 だから招聘した両氏がCEO経営者として実際に機能するようになると、それは潮田氏が要望したこととは外れたことだったのではないか。潮田氏はその都度「路線の違いがあった」と説明していたが、実際には連れてきたスターたちがパペット(操り人形)ではなかったということへの“趣味人の対応”として理解できる。

 しかし、招請され短期で解任された2人にとっては、たまったものではない。プロ経営者は、預かった会社の業績伸長や回復に命を削って取り組むものだ。そして、幸いに実績を出すことができると、それをトラック・レコードとして次の活躍の場を求めていく。

(この項 続く)