2019年10月30日水曜日

避難所で疲れ果てた人々を勝手に映すメディアを締め出すべき(6)

さて、大きな災害で避難が発生しているときに私がいつも疑問に思っていたことがある。それは避難所の中の様子をテレビなどのメディアが報道することだ。典型的なシーンでいえば、体育館のような大きな空間に多数のご家族が床に座り、あるいは横になっている。カメラはそれらの人々を映し出し、リポーターは避難者の誰かに被災の様子や感想を語らせる、と

 避難所の中の様子を報道することは、2つの観点から大きな問題がある。

 まず、肖像権の侵害だ。報道する側としては、インタビューに対応した人にはもちろん了解を得てのことだろうが、背景に映し出される多くの人たちの了解を得ていないだろう。それらの人たちの顔は、テレビの映像や写真にさらされた瞬間に「不特定多数」ではなく、「特定された個人」になってしまう。

 インタビューに応じる人々のなかには、着の身着のままで避難してきたり、メイクができていない状況の人もいるだろう。疲れ切った自らの顔や姿を、何を好んで全国にさらされる必要があるのだろう。「お疲れのところすみません、インタビューよろしいでしょうか」と丁寧に頼まれると、日本人はおもてなしの心に富んでいるので、受け入れてしまうのだろう。しかし、「やめてください、写さないでください、出て行ってください」と断ってもよいのではないか。

(この項 続く)

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