2018年8月28日火曜日

なぜ小池都知事と徳島市の遠藤市長は自ら「死に体」になった?(4)

大量得票で自信、改革を掲げる

遠藤市長も小池知事もその当選は奇しくも同じ年、2016年である(遠藤市長は4月、小池知事は8月)。

 小池知事はマスコミへの露出が多いので、私たちの記憶に残っているのだが、大勝した小池知事は「都政刷新」を掲げて、その改革の象徴として選んだのが築地市場移転問題だった。16年8月31日の記者会見で、同年11月7日に予定していた築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転延期を表明したのである。

 遠藤市長にとっての「築地市場」は、「新町西地区第一種市街地再開発事業」だった。原前市長が進めていた本事業の総事業費は約225億円で、文化活動などに用いる新ホールの建設が中核だった。

 その計画の撤回を公約に掲げて当選した遠藤市長は16年6月、地権者に対する権利変換計画の不認可を通知した。これを不服とした再開発組合は同年8月26日、徳島地方裁判所に「徳島市による権利変換計画の不認可処分は違法である」として不認可処分取り消しと、計画認可の義務付けを求めて遠藤市長を提訴した。一審で市側が勝訴したが、再開発組合が控訴して、現在も訴訟状態である。

 既存勢力を象徴する、選挙民の誰もが漠然と大きな利権が絡んでいるのではないかと感じているプロジェクトを、勢いのある政治家は“改革の目玉”としていわば槍玉にあげる。ポイントを稼ぐということもあろうが、選挙による信任が大きいうちに手がけられる大きな改革を目指すのは政治家の本能でもあるだろう。

 小池知事のターゲットが築地移転問題だったとすれば、遠藤市長の次のターゲットとなったのがそれが徳島市最大の行事、阿波踊りの改革となったわけだ。

うまく舵をとれない2人の首長

(この項 続く)

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