2015年8月16日日曜日

花王の怠慢 P&Gとの「ケタ違い」の差を生んだ「やる気のなさ」(2)

P&Gと花王の大きな差


 石鹸やヘアケア商品に代表されるトイレタリーの市場において注目されるのは、世界市場に展開する2社の違いである。
 P&G米国本社の世界売上高は、830億ドル(15年6月期)もある。1ドル120円で換算すると9兆9600億円に上り、16年同期は10兆円を越える勢いだ。花王とは一ケタ違う企業なのだ。

 花王は売上高の28.9%、4000億円強を海外で売り上げている(14年12月期)。05年3月期の海外売上高比率は26.6%だったので、海外比率はほとんど伸びていない。花王は国内重視の企業といってよいだろう。

 一方、P&G米国本社は売上高の61%、円換算で実に6兆円超を北米以外の世界中180カ国以上が占める(15年6月期)。花王の年間売上高の4倍をも北米以外で稼いでいることになる。

 P&G米国本社の年次報告書によると、05年期の「developing countries(発展途上国)」での売上高は32%と、割合では現在の花王の海外比率と同じくらいだった。その割合が14年期には61%(北米以外)に倍増している。金額でいえば、9年間で約4兆円も北米以外のビジネスを増加させたのだ。この10年ほどの間に、花王は完全に海外市場をP&Gに明け渡してしまった。

(この項 続く)

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