2012年6月9日土曜日

「ジョン・コッターの企業変革ノート」 書評138(3)

Dan S. Cohen
ダン・S.コーエン達は、序章で既に優れた知見を述べている。まず、「分析の限界」について。
1.大きな真理を発見するのに分析は必要ない。
2.激動する世界では、分析手法は通用しにくい。
3.優れた分析を見たからといって、俄然やる気にはなることはない。やる気とは理性の問題ではなく感情の問題である。

分析手法を重視したマイケル・ポーターを批判したヘンリー・ミンツバーグ(そして私も!)と同じ立場に立つのが、1と2だ。3はコッター達のオリジナルな主張で、その重要性の指摘は正しい。

8っつに分けられた各段階でのセオリー付け、説明にも納得できる。例えば第3段階で、「大きな変革を成功させるための4つの行動指針」として予算、計画、戦略、ビジョンをあげ、それぞれについて解説しているところなどだ。

この章で、大型飛行機の組み立ての効率を上げるために、製造工程が完成しなければ「ポジション」を移動させることを禁じたケースは、私が「極め打ち戦略」として拙著『プロフェッショナルリーダーの教科書』(2011年刊、東洋経済新報社)として説明したものと完全に整合する。

研究手法も、概念の解説も両方優れた良書である。

(この項 終わり)

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