2016年8月12日金曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(7)

そもそも今回の都知事選は「舛添的でないもの」の選択、収斂として展開されていたはずである。そうだとしたら、鳥越氏はこの時点で完全にその資格を失ったと、私は考える。

「文春」の後を追って、「週刊新潮」(新潮社/8月4日号)は被害女性当人への取材録を公表している。こちらの記事についても鳥越氏はただちに名誉毀損で告訴し、事実無根だとしている。

 都知事という重要な公職の候補者にもかかわらず、鳥越氏は自らの説明責任から逃走した。また、問題指摘に対して言論の開示によって対応せずに、弁護士を通じて刑事告訴したことも、ジャーナリストとしての鳥越氏の自殺行為といえる。

 ちなみに「新潮」はその取材を03年に行っていたといい、最近スクープを連発してきたライバル誌「文春」の先行報道に焦って古い取材録を持ち出したともいえる。「新潮」は「文春」を凌ぐ生々しい報道を行ったのだが、そんな材料を持っていたのなら、なぜ「文春」より先に記事にしなかったのか。

 被害者たちが当時記事化を望まなかったというが、「文春」は今回その壁を乗り越えて報道した。週刊誌ジャーナリズムというのは大胆な報道を先行させて世の検証を仰ぐ、そして社会大衆の審判を促すというところに真骨頂がある。「文春」は今回も「新潮」を凌いだといえる。

 今回の都知事選は、調子よく後出しじゃんけんで出馬した候補者が、後出し記事による「新潮」で引導を渡された、という妙に平仄が合った構図で終わった。
 鳥越氏を都知事として迎えなかった都民の選択に、敬意を表したい。

(この項 終わり)

2016年8月11日木曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(6)

そもそも12日の立候補会見で、太平洋戦争開戦時の自らの年齢を15歳も誤って語り私たちを唖然とさせたし、その後の記者会見やテレビ番組では何度も質問を聞き間違えた、あるいは聞きなおしていた。単純に76歳という年齢が影響している可能性があるのではないかと私は心配していた。

とどめが女性スキャンダル報道への対応


 自身の女性スキャンダルが「週刊文春」(文藝春秋/7月28日号)で報じられた鳥越氏は、同21日に街頭演説の後で記者団と応答をして、見解を述べた。

「裁判になったり法的な問題ですので、うかつに私の口から具体的な事実についてあれこれ言うのは控えさせてください。これはすべて、そういう問題については、私の法的代理人である弁護士の方に一任をしております。以上です」

 これは、舛添要一前都知事が疑惑を指摘されて、「第三者機関」なる自費で弁護士による御用委員会を立ち上げて「すべては第三者委員会が明らかにする」と逃げ回ったのと同じ構図だ。

(この項 続く)

2016年8月10日水曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(5)

公約や政策はないが、批判だけはあった


 政策や公約を語ることには寡黙な鳥越氏だったが、自分に対しての批判に対しては敏感で強い対応をした。

 7月19日に至りようやく3有力候補がそろい踏みしたテレビ番組『バイキング』(フジテレビ系)で、小池氏に突っかかったのである。17日に小池氏が秋葉原で行った街頭演説で述べた、
「この人なら勝てるといって政策も何もない人、病み上がりの人をただただ連れてくればいいというものではないんです」
という発言に対して、

「これはね、がんサバイバーに対する大変な差別ですよ? 偏見ですよ」
と強く抗議したのだ。

 しかし、東京都というのは13兆円という予算を有し、それはインドネシア一国を上回るという規模の自治体なのだ。そこの長を決めようという選挙で健康というのはとても重要な判断要素となる。小池氏は同番組で謝罪してしまっていたが、正面から論じたほうがよかった。

(この項 続く)

2016年8月9日火曜日

カリスマ講師 箱田忠昭の「幹部・リーダーのためのコミュニケーション術」 9月10日

部下をやる気にさせる、業績を向上させる 箱田式必殺コミュニケーション術とは


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知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(4)

街頭演説以外でも、有権者に対する鳥越氏のアプローチには大いに疑問符が付いた。7月17日に『新報道2001』(フジテレビ系)で3候補の討論が企画されたのだが、鳥越氏のドタキャンにより収録は取りやめとなり、3人の直接交流の機会が阻害された。

7月24日に行われたニコニコ動画のインターネット討論会には増田氏、小池氏を含む5人の候補が登場して意見・政見を述べたが、鳥越氏はまたも欠席した。

 今回の都知事選挙へ向けての選挙運動で、私が鳥越氏に対して抱いた印象は、

「都知事という重要な公職に対する候補者としての選挙活動として、まったく誠実さに欠ける」

というものだった。

公約や政策はないが、批判だけはあった


(この項 続く)

2016年8月8日月曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(3)

告示後の選挙活動期間に入っても鳥越氏は、増田氏、小池氏に比し活発な選挙活動を行っていない。

午前中は陣営内の打ち合わせに当てられていたのか、街頭演説は午後に集中する傾向があった。7月16~18日の3連休は、各候補が都民に直接訴える絶好の機会だった。この3日間で最もたくさん街頭演説を行ったのは増田氏で22回、小池氏も21回を数えた。

 鳥越氏はわずか7回で、他有力2候補の3分の1という体たらくだった。しかも、巣鴨地蔵通り商店街では、酷暑のなかで聴衆を20分ほど待たせて遅れてきた挙句、ろくに話もしなかったのである。すぐに歌手の森進一に応援演説を託してしまい、みずからの演説というか話というのは1分間もなく、候補者本人に対して聴衆から怒号が飛ぶという成り行きとなってしまった。

(この項 続く)

2016年8月7日日曜日

リーダーズブートキャンプ 第4講は新将命講師も 三大講師がそろい踏み

リーダーズブートキャンプが第1期としてリスタートして8月6日に早くも第4講を迎えた。参加者の意欲はいや高く、伝統は立派に受け継がれさらに隆盛だ。

今回は新将命講師の「勝ち残る企業のとリーダーの条件」の特別講義。1時間45分のセッションには、経営者ブートキャンプのOBも多数駆けつけてくれた。

特別講義の後は、小グループ発表のコメンテーターにも新講師が入ってくれた。しかも2セッション!それぞれのセッションは、発表者の他にはファシリテーターが私、コメンテーターに新講師と連なり、もう一人の参加者コメンテーターが緊張していた。残りの受講者は傍聴してもらって、パネルのセッションを2回やった。

箱田忠昭講師も終日陪席してくれて、三大講師がそろい踏みした、参加者にとってとても贅沢な一日となった。

次回、8月27日にも新特別講師の特別講義があり。傍聴を希望される方がいればメールで連絡くれれば状況を説明する。

2016年8月6日土曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(2)

目を覆う準備不足と不見識


 過去の都知事選における“後出しじゃんけん立候補”では、とにかく告示1週間前までには主要候補が出そろっていて、政策や公約の準備・表明までなんとかこぎつけていた。

 しかし、7月12日の出馬会見で具体的な政策や公約について問われると鳥越氏は、「昨日の夕方に出馬を決めたばかり」として発表せずに、私たちを唖然とさせた。「公約もいずれ公表する」などと、これでは3有力候補以外の候補者たちのほうがよほど覚悟や信念を持っていると私は印象を持った。

 さらに少子化問題を問われて東京都の合計特殊出生率を「若干、他の地域よりは出生率は高いといわれていますけど、1.4程度です」と誤り、その後メモを渡されて、「東京都の出生率は1.17で、全国最低」と訂正した。準備もなければ勉強も間に合わなかった。

(この項 続く)

2016年8月5日金曜日

知事=公職への「誠実さ」欠落する鳥越氏を落選させた東京都民に、私は敬意を示したい(1)


7月31日に投開票が行われた東京都知事選は、増田寛也氏、小池百合子氏、鳥越俊太郎氏の3有力候補で争われ、告示2日前に出馬表明をした鳥越氏は一敗地にまみれた。

 今回のように現職が出馬せず新人同士が争った都知事選は、過去4回続いていずれも最後に出馬表明をした主要候補者が当選してきた。そんなこともあり、早々と出馬意向を示していた小池氏は鳥越氏に対して「究極の後出しじゃんけん出馬になると思います」と対抗心とも不快感とも取れる発言を、鳥越氏の出馬日にしていた。

「後出し出馬のジンクス」に加えて、鳥越氏にはジャーナリストとしての知名度の高さもあり、候補者の選定に苦慮していた野党各党からも歓迎され、急遽統一候補として野党4党の支援も得られることになった。選挙戦が始まった段階では、鳥越氏有利と見る向きも少なくなかったのである。

目を覆う準備不足と不見識


(この項 続く)

2016年8月4日木曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(8)

一方、しまむらの海外事業といえば、台湾と中国に進出したとはいえ、その売上寄与率は1%にも達していないとみられる。

 野中社長の興味は、現下好調なオペレーション経営のひたむきな精緻化にあると私には見える。しかし、国内の成長限界に近づいてきたしまむらの場合、それを超える大きな舵取りがなければ、早晩天井に突き当たるだろう。

 14年期、15年期と創業以来の連続赤字に沈んだ後、16年期と17年期は好調の波がやってきた。18年期以後がその波が打ち返すサイクルとならなければ良いのだが。

(この項 終わり)

2016年8月3日水曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(7)

ロードサイトでなく都市部、つまり都市中心への出店も検討している、ともしていたが繁華街への出店ということになると、従来型の店舗の大きさは確保できない、あるいは異型の床店舗への出店とならざるを得ないだろう。となると、しまむらのお家芸となってきたオペレーション経営の角を矯めて牛を殺すことになる。オペレーション経営の前提となっているのが各店におけるオペレーションの均一化、だからだ。

 そこへいくと、ファストリの実質的創業者である柳井正社長の志は、やはり一目置くべきものがあると私は思う。ユニクロの海外店舗数は928店(16年5月現在)と国内のそれを上回り、大きく伸び続けているし、コントワー・デ・コトニエやプリンセス タム・タムなどのグローバル事業としては1366店舗も世界中に展開している。

(この項 続く)

2016年8月2日火曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(6)

次の成長はどこにある


 しまむらの足元の好調に目を奪われ、「ユニクロが追いつけないしまむら経営」とか「次の成長は」と囃す論調が見えるが、私の見解は異なる。

「15年、16年と好調となったしまむらは、それ以上に成長を続けられるのだろうか」

 まず、2社の日本国内における店舗数が大きく違う。「違う」というのは、しまむらのほうが多いのだ。しまむらの店舗数が2015店、ユニクロが846店(いずれも16年5月末現在)だ。しまむらの国内売上が5400億円強、ユニクロは7800億円強である。

 しまむらは、郊外ロードサイド型の出店では限界に近づいていると私は見る。田中社長は「3000店舗体制に向けて、組織運営とコンピューターシステムを新しくする」(16年期決算発表会)と勇ましかったが、マクドナルドでも3000店を達成したら逆に飽きられてしまったことが思い起こされる。

(この項 続く)

2016年8月1日月曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(5)

しまむらの店舗は、郊外におけるロードサイド店が原則。土地の選択に余裕が持てる。各店はそのサイズや棚の位置などが徹底的に本社主導で共通化されている。そして、どの棚にどのアイテムを置くかまでを本部がすべて決めている。販売価格も本部が決める。

全店の売上データも単品まで細分化して管理しているのだ。各店で意思決定をすることを徹底的に減らして、パートの店員が最低限の人員で運営できるようにしているのだ。

 一方、本社ではセントラルバイイング制(本部一括仕入制)により、3カ月先の先読みを行って品揃え計画を立て、100名以上のバイヤーが500社以上のサプライヤーと緊密に情報交換をして仕入れ決定をし、原則として返品なしの売り切りというビジネスモデルだ。

 私はこれを「オペレーション経営」と呼んでいる。自社小売チェーン全体のオペレーションの効率を徹底的に推し進めるやり方だ。

(この項 つづく)

2016年7月31日日曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(4)

オペレーション経営を追い求めてきた



 野中社長は、しまむらの3代目社長だ。しまむらは、創業者の島村恒俊(のぶとし)氏が初代社長(在任:1953~90年)として88年に上場公開した。中興の祖ともいえる藤原秀次郎氏が2代目(同90~2005年)を務めた。初代以外は創業家ではない、従業員社長だ。

 ユニクロがSPA(製造小売)というビジネスモデルを確立して成功したのとは対照的に、しまむらは基本的には流通小売業である。つまり、仕入れたものを販売するという、形態としては従来型の小売ショップチェーンだ。しかし、2代目の藤原社長が開発したのは、ユニクロとは異なるビジネスモデルである。

 
(この項 続く)

2016年7月30日土曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(3)

商品の高単価シフトと連動して野中社長は、次のようにコメントしていた。

「高単価の商品も意外と売れる。単価が上がっている分、数量を抑え、商品レイアウトを工夫する。(略)昨年の下期からアイテムを絞り、1アイテム当たりの数を増やし、量を売る商品を増やすことを一部店舗でやってきた。

今年3月以降、それを加速して、アイテム数は現在4、5万点あるが、3割削減する。全体の在庫数量は2割削減となる」(1月28日付日刊工業新聞より)

 野中社長はしまむらに染み付いていた「安くてダサい」というイメージの払拭に、躍起になってきた。


オペレーション経営を追い求めてきた


(この項 続く)

2016年7月29日金曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(2)

「安くてダサい」から変身できたか


15年から回復基調となり快進撃を続けているしまむらだが、14年2月期と15年2月期に上場来初めて2期連続減益に落ち込んでいた。その時期を経ての15年からの好調なので、V字回復などともて囃されている。

 回復の要因はヒット商品の出現と、オペレーションの見直しにあった。15年の秋冬シーズンに売り出した「裏地あったかパンツ」は、見た目は普通のパンツだが、裏地に起毛素材を使い重ね履きしないでも温かいというのが売りだ。これが、3900円という値付けで100万本以上売れた。通常の「しまむら価格」はパンツ類なら1900円なのだ。

 初めは、14年シーズンに2900円で発売しており、15年は3割=1000円値上げした。2900円でも高すぎるという声が社内にあったが、野中正人社長がこれを一蹴。高額の大型ヒット商品になった。

(この項 続く)

2016年7月28日木曜日

パンツがバカ売れで絶好調のしまむら、成長終了の兆候…極限の超効率至上経営がアダに(1)

「第44回日本の専門店調査」(7月13日発表、日経MJ実施)によると、衣料品の分野で国内売上高1位はユニクロ(運営会社:ファーストリテイリング)、2位はしまむらだった。

 しかし、両社は直近の業績では明暗を分けている。ファストリは2015年9月~16年2月期のユニクロ事業が国内外で営業利益計画を下回り、大幅な減益に陥り、4月7日に16年8月期の連結業績予想を下方修正した。それによると世界連結での売上収益は1兆8000億円で据え置くが、営業利益が前回予想から600億円減の1200億円に、最終損益も前回予想から500億円減・前期比46%減の600億円にとどまる見通しだとした。

 一方しまむらは、16年2月期の連結業績は、営業利益が前期比8.4%増の399億円と、3年ぶりに営業増益に転じた(売上高は同6.7%増の5460億円)。加えて16年5月21日の今期第1四半期決算では連結売上1404億円(昨年同期比6.7%増)、営業利益120億円(同38.5%増)となり、目下絶好調という様相だ。17年2月期には過去最高となる営業利益462億円(同15.8%増)を見込んでいる。

 

「安くてダサい」から変身できたか


(この項 続く)

2016年7月27日水曜日

英国のEU離脱はヨーロッパ史の必然(3)

島国に暮らすイギリス人がそのような歴史的、地理的要因に本能的に目覚めたのが今回のBREIXT選択につながったと見ることができる。

私に言わせれば、イギリスの大きな失敗はドーバー海峡を渡るユーロトンネルを開通させてしまったことだ(1994年)。これにより、列車はもちろん車も(列車に乗るのだけど)、イギリスと大陸を行き来できるようになってしまった。

ドーバー海峡という「堀」で守られていたイギリスといういう城砦の堀が埋められてしまったのである。こう考えると、BREIXTの自然で必然的な帰結は、入管管理の厳格化、つまりイギリスのヨーロッパからの再度の”適当な”孤立化ということになるはずだ。

一方、BREIXTにより、スコットランドとアイルランドの独立志向が高まってくる。まこと、「ヨーロッパの国境は永久に不定」であり、現代を生きている私たちもその経緯に付き合っていかねばならないのだ。

(この項 終わり)

2016年7月26日火曜日

英国のEU離脱はヨーロッパ史の必然(2)

時間の経過とともに言ってみれば無限に国境を、国名を書き換えてきたヨーロッパ大陸と一線を画してきて、むしろ対峙してきたのがイギリスだった。

フランスとの100年戦争や、スペインを大海戦で撃破するなど、ユニークな位置を保って繁栄を謳歌してこれたのも、イギリスが島国で大陸からは物理的に離れていたことにある。そして、イギリス人の多くはそのことを歴史的に感じていたり、文化的に刷り込まれているのだ。

日本が島国で、蒙古来襲や中国からの直接の併合を免れてきたことと、イギリスの立ち居地は似ている。大陸と地続きだった韓国は、同じ極東という位置にありながら、大陸の国家興亡の歴史に大きく影響されてきたのと日本の歴史は大きく異なってきた。

(この項 続く)

2016年7月25日月曜日

英国のEU離脱はヨーロッパ史の必然(1)

九段クラブの月例勉強会でBREIXTが取り上げられた。

イギリスのEU離脱は、経済合理性から言えば不合理なことだ。しかし、ヨーロッパの歴史の大きなうねりからは自然なことだと私は見ている。

そもそもヨーロッパでは、有史以前から国境線が確定されたことなどなかった。執筆者が分明な書物として初出の一つ、『カエサル戦記』からして、ローマ帝国の拡大を叙述したものであった。第2次大戦後、安定して紛争から免れてきた日本とは異なり、大きなものはソビエト連邦の崩壊によるロシア衛星諸国の出現、東西ドイツの統一から、ちいさなものではユーゴスラビアの分割やクリミアのロシアへの実質的な併合など、「ヨーロッパの国境は今も動いている」のだ。

イギリスへ行くとイギリス人は今でも、ヨーロッパ大陸のことを「ヨーロッパ」と呼び、つまり自分たちのことをヨーロッパに帰属、同一しているとは思っていない。

(この項 続く)


2016年7月23日土曜日

鳥越俊太郎は舛添要一と同類だった!



 

都知事候補の鳥越俊太郎氏の女性スキャンダルが週刊文春7月21号で報じられ、騒然となっている。

鳥越氏は、7月21日に街頭演説の後で記者団と応答をして、所感を述べた。一部をそのまま掲げる。

「裁判になったり法的な問題ですので、うかつに私の口から具体的な事実についてあれこれ言うのは控えさせてください。これはすべて、そういう問題については、私の法的代理人である弁護士の方に一任をしております。以上です」

として、自らの説明責任から逃走した。

鳥越氏が問題指摘に対して言論の開示によって対応せずに、弁護士を通じて刑事告訴したことも、ジャーナリストとしての鳥越氏の自殺行為と言える。

これは、枡添要一前都知事が疑惑を指摘されて「第三者機関」なる自費弁護士による御用委員会を立ち上げて「全ては第三者委員会が明らかにする」と逃げ回ったのと同じ構図だ。

そもそも今回の都知事選は「枡添的でないもの」への選択、収斂として展開されているはずである。そうだとしたら、鳥越氏は完全にその資格を失ったと、私は考える。

2016年7月22日金曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(6)

今回のポケモンGOの大ヒットが、任天堂が今秋にリリースすると予想されている専用ゲーム機の売り上げにどう好影響を与えるかが注目されているが、実は影響を与えないとみるべきである。

むしろ経営学者クレイトン・クリステンセンが唱えた「イノベーションのジレンマ」理論からいえば、ポケモンGOという破壊的技術により、ポケモン・キャラクターを使用する専用ゲーム機の失速は加速する、と見ることができる。

 ポケモンGOの大成功は、任天堂という企業全体から見れば諸刃の刃というべきものなのだ。クリスマス商戦に向かって、ゲーム市場がどのように推移していくのか、けだし見ものである。

(この項 終わり)

2016年7月21日木曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(5)

「このような構造の中で、任天堂が選択できる企業戦略としてはM&Aである。同社の財務諸表を見ると、現金と有価証券でなんと約9000億円も保有している。これを有効活用して、世界中のゲーム開発会社や関連するIT企業を早期に10社以上買収することだ。」

「そして同社に統合することなく、それらの会社を活性化させてローエンド・セグメントを席巻する。人事交流は行わないほうがいい。任天堂本社の現在の『持続的イノベーション』のモメンタム(惰性)が、それらの『破壊的イノベーション』を担当すべき企業の風土を阻害してしまうからだ」

 ここでいう「ローエンド・セグメント」というのは、まさにスマホゲームのことだ。同記事掲載後に任天堂はスマホゲーム開発へ方針を転換して、提言した通りの道をたどってポケモンGOの大ヒットにつながった。

(この項 続く)

2016年7月20日水曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(4)

ツバメ1羽が任天堂に春を告げたのか


 ポケモンGOが任天堂の業績を大幅に押し上げる、というのは少なくとも売上的には難しいことだろう。

 というのは、任天堂は2009年に連結で年商2兆円近くの売上を計上した、大きすぎる企業だからだ。直近の16年3月期でも5045億円もの年商を有している。

 専用ゲーム機という分野での勝者でありジャイアントとなってしまった同社は、スマホゲーム時代がやってきていたにもかかわらず、その分野への対応を怠っていた。名経営者といわれた故・岩田聡社長も「スマートデバイスには物理的なボタンがない。『スーパーマリオ』などを楽しく遊べない」(15年1月18日の会見)としていた。

 私は昨年2月、本連載記事『任天堂、もう沈みゆくしか道はない スマホゲーム制覇戦略を採用できない構造的欠陥』で同社の立場に立った場合のスマホゲームへの対応の難しさを「イノベーションのジレンマ」セオリーにより解説した。同記事では「任天堂は、スマホゲームに参入できる、そして制覇できるすべての経営資源を有しているにもかかわらず、なぜ参入しないのか」と批判する一方、次のように対応策も提示した。

(この項 続く)

2016年7月19日火曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(3)

しかし、ポケモンGOの世界全体での好調がどれだけに上るかはこれからのことだし、任天堂本体に売り上げとしてどれだけ寄与するかは、実は現時点では不分明なのだ。

というのは、ポケモンGOを開発販売しているのはグーグルから独立した米ベンチャー、ナイアンティックという会社で、任天堂はそこの株式を部分的に所有している。ポケモンGOの販売にかかわる収益をどう分配するかについて、ナイアンティックは明らかにしていない。任天堂が所有する株式持分についても明らかにしていないのだ。

 ちなみに、任天堂はポケモン・キャラクターを管理する株式会社ポケモンについても32%の株式を所有しているにすぎない。

ツバメ1羽が任天堂に春を告げたのか


(この項 続く)

2016年7月18日月曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(2)

任天堂の業績にはどれだけ寄与するのか


無料でダウンロードして遊べるが、モンスターを捕まえるのに役立つアイテムをゲーム内で販売するというビジネスモデルだ。米国でのアイテム販売収入は現在一日約160万ドル(約1億6000万円)との推定もあり、任天堂の株価は7月6日に1万4380円の終値だったのが、12日は2万2840円で引けた。実に60パーセントもの棒上げであり、同社の時価総額は4営業日で約1兆円も増えたことになる。

 さらにポケモンGOの好調はまだ入り口でしかないという見方がある。というのは、世界でも有数のゲーム市場規模である日本(2015年:1兆3591億円、「ファミ通」<カドカワ>による)でのリリースがこれから控えているからだ。そして日本ではもちろんポケモン人気はしっかり定着していて、リリースされれば人気が出るゲームとなることは間違いない。

(この項 続く)

2016年7月17日日曜日

ポケモンGOの大ヒットは、むしろ任天堂の主力・専用ゲーム機事業をさらに衰退させる(1)

任天堂が展開してきたポケットモンスター(ポケモン)・キャラクターが登場する新スマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」がアメリカでリリースされ、大変な人気を博している。スマホが持つ位置測定システム(GPS)を活用した位置情報ゲームで、キャラクターを実際に自分の周辺で探し出すというゲーム。発見すること自体が楽しいが、さらにそのキャラクターと遊んだり捕まえたりする。ほかのプレイヤーと交流することもできる。 
故・岩田聡氏 Wikipediaより

 7月6日にアメリカで先行リリースされると、Androidユーザーだけでも5%以上がこのゲームをインストールして、その後の継続利用率は60%を超えているという。さらに1人1日当たりの利用時間は43分23秒にも上っている。これはスマホ用の全アプリのうち、SNSも含めて現時点で最長となっている。

 キャラクター探しに夢中になり、他人の敷地に入り込んでしまったり、移動中に転倒してけが人が出たりしている。ワイオミング州リバートンという町では、19歳の女性がキャラクター探し中に本当の死体を発見してしまったという事件が報告された。

任天堂の業績にはどれだけ寄与するのか

(この項 続く)



2016年7月10日日曜日

リーダーズブートキャンプ、第3講に突入 箱田忠昭特別講師 登壇

リーダーズブートキャンプは7月9日(土)に第3講に突入した。

午前中は、課題図書『影響力の武器』の第5章、第6章を報告発表と討議してもらう。

また私の「戦略セオリー」のセッションも。

午後からカリスマ講師箱田忠昭先生の「エグゼクティブのためのプレゼンテーション」。オープンクラスとしたので、外部からも聴講者を受け入れた。

その後、戦略策定途中の1回目グループ発表を二コマ。箱田先生にもコメンテーターに入ってもらった。

今回から遅ればせに参加された受講者の方が「とても刺激を受け、おもしろかった、次講が待ち遠しい」との感想をもらった。まあ、それはそうだろう。

2016年7月7日木曜日

男祭りの博多福岡で「経営戦略の立て方」1日セミナー

7月7日、七夕のその前日に福岡に入った。
7月の前半は、博多の町は山笠祭りの一色となっていた。

博多駅頭にも、高さで左の写真を優に倍に超える「飾り山(山車の部分)」が安置、飾られていた。こんな大きな置物が男たちにより町並みを疾走すると思うと、その迫力が思いやられる。

そんな中、朝から夕刻まで集まってくれた経営者や幹部の皆さんに、戦略カードを使って戦略策定演習を実施。

終わって、皆さんのアンケート評価も高く、主催者の方にも喜ばれた。また、秋に足を運ぶことになった。

2016年7月5日火曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(7)

鈴木氏は、あまりに偉大なカリスマ経営者となったので、オーナーや創業経営者のような錯覚を持ってしまったのではないだろうか。つまり「矩(のり)を超えてしまった」ということである。

 井阪隆一セブン&アイHD新社長に対して総合スーパー(GMS)事業での経営経験がないと指摘する向きもあるが、GMS事業とコンビニエンスストア事業の両方で経営実績を持ち、かつスカウト可能な人材がいるとでもいうのか。「カリスマ鈴木氏」の幻影を求めることは空しいことだ。

 いずれにせよ、孫氏が今、58歳にして事業意欲の再燃を自覚して続投宣言をしたことはまことに喜ばしい。ソフトバンクグループどころか、企業の枠を超えてどこまで羽ばたいていくのか。ぜひ見届けたいものだ。

(この項 終わり)

2016年7月4日月曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(6)

しかし、ウェルチの場合、孫社長などと決定的に異なるのは、創業はもちろん、オーナー社長でもなかったことだろう。新卒からGEに入社した純粋な従業員経営者だった。いずれは「バトンを渡す」という覚悟、風土がGEにはあったので虚心に後継社長選びのプロセスを踏むことができたのではないか。

 後継経営者を育てられないのがカリスマ経営者の悩みだったとしたら、カリスマが去ってしまったらどうしたらいいのか。それは、そのときの成り行きで決めるしかないのだ。

 今年になって退陣したカリスマ経営者としては、鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス(HD)前会長が記憶に新しい。鈴木氏の場合は、後継経営者候補として浮上してきた井阪隆一氏を排除しようとしての蹉跌となった。

(この項 続く)

2016年7月3日日曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(5)

カリスマの後継はそのときの成り行き


 FR-MICや星野リゾートが展開している幹部研修プログラム『麓村塾』にしても、後継経営者の発掘あるいは教育を標榜している社内プログラムは珍しくない。しかし、そんなことをしても実はカリスマ経営者の2代目をつくることは不可能だ。ほとんど再現できないような人材だからこそカリスマ経営者であり、同じような人材がもうひとり同じ組織から発見できると期待してはならない。従業員をいくら教育しても、せいぜい幹部教育として実を上げられるのが限界である。

そんな限界をカリスマ経営者自身が実はよく理解している。あるいは直感している。そして逆説的にいえば、そんなことが難しいと思うからこそ、後継育成プログラムなどを整備したがっているともいえる。

 カリスマ経営者の後継育成、指名プロセスでうまくいったのが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチだろう。ウェルチは退任前の数年間にわたって4名の後継者候補を公示して、その4人を徹底的に競わせた。その結果、ジェフ・イメルト現会長兼CEOが勝ち残り、後継となり現在に至っている。そして就任以来同社の業績を伸張させてきている。

(この項 続く)

2016年7月2日土曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(4)

カリスマ経営者には後継ぎは育てられない


 孫氏がグループのCEO(最高経営責任者)として全体を見て、海外部門をアローラ氏、国内部門を宮内謙氏がそれぞれ副社長として受け持つことが企業価値を増大させる格好の布陣だったろうが、今となっては「ないものねだり」となってしまった。アローラ氏は、7月1日以降は顧問としてソフトバンクグループに関与するという。しかし、より大きな権限と責任を求めての副社長退任なので、外にポジションを探すことになる。

 そこで、ソフトバンクグループで後継経営者の育成はどうするのか、という命題が発生してしまった。私は「そんなことは無理だったのだ」と指摘したい。同社には以前からソフトバンクユニバーシティがあり、社内だけでなく社外からも参加を認めている。何百人もの参加者を輩出し、当初は孫氏の後継経営者の発掘、あるいは教育機関ともいわれてきたが、結局外部から唐突にアローラ氏をスカウトした。

 柳井氏にしても、09年にFR-MIC(ファーストリテイリング・マネジメント・アンド・イノベーション・センター)を立ち上げて後継経営者を育成し始めたと思ったら、自らの65歳引退を公言していたのを13年に至り撤回して、現在67歳で陣頭指揮を執っている。永守氏に至っては常々「死ぬまで経営に関与するのが創業者の責任だ」と覚悟を示している。

(この項 続く)

2016年7月1日金曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(3)

株主総会には社外取締役も出席した。柳井正社外取締役(ファーストリテイリング社長)は「60歳にもなっていないのに引退なんて冗談じゃないぞと申し上げた」と述べ、続投を支持した。

また永守重信社外取締役(日本電産社長)も「経営意欲は年齢ではない」と強調して、「最初から絶対に辞めないと思っていた。69歳になったらまた10年やるだろう。あまり信用しないほうが良い」と述べて、会場の笑いを誘った。

私も孫氏の続投を大いに歓迎する。同氏は創業時から「豆腐を1丁、2丁と数えるように売り上げを1兆、2兆と数える会社にする」と豪語してきた経営者だ。日本で20世紀における最高の大経営者は故・松下幸之助氏だったが、孫氏は21世紀における最大の創業経営者の道を歩んでいる。

カリスマ経営者には後継ぎは育てられない


(この項 続く)

2016年6月30日木曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(2)

総会前日の発表は問題ない


アローラ氏が退任するという発表が株主総会前日だったことを問題視する論調がある。つまり、総会での提案議題としては同氏の再任が盛り込まれており、総会本番でそれが覆されたので、事前に株主投票や委任状を提出していた株主は意思表示をする機会が奪われた、というのだ。

 しかし、アローラ氏の退任が6月になり急遽決定されたということなので、上場企業としての適宜開示の原則のほうが優先されるべきだろう。そして何より、孫氏の社長続投という意思決定によるものなので、それが企業価値の増大に益するものかどうかという可能性によって評価されるべきだ。

 58歳になる孫氏は、「(来年8月11日に迎える還暦の誕生日に)古くからの友人やソフトバンクの幹部を集めて僕の誕生日パーティーを開いて、そこでみんなを驚かせようと思っていた。『実は明日からニケシュが社長になります』とね」と株主総会で吐露した。しかし、人工知能(AI)が人類の知能の総和を超える「シンギュラリティ」の到来を前に「(経営への)妙な欲が出てきた」として、「情報革命」のチャンスが広がったことが引退撤回の真相だとしている。

(この項 続く)

2016年6月29日水曜日

カリスマ・孫正義と柳井正は、後継者を育てることなど不可能である…鈴木敏文の失敗(1)

(つのだよしお/アフロ)
ソフトバンクグループは株主総会前日の6月21日、副社長で次期社長候補だったニケシュ・アローラ氏の退任を発表し、株主ならずとも世間から唐突な感じを持たれた。

 2014年、米グーグルに在職していたアローラ氏に孫正義社長がほれ込み、契約時のボーナスも含めて約165億円を支払い入社させ、さらに15年度も約80億円に上る巨額報酬が支払われ話題となった。

「2年間で240億円の社長後継者候補」の突然の退任ということで騒がれているが、私は孫社長の続投宣言という視点のほうを重視したい。株式市場も孫社長続投について好感を示し、総会の前週末6月17日の株価から、23日終値ベースで9.1パーセントも値を上げた。

総会前日の発表は問題ない


(この項 続く)

2016年6月27日月曜日

株主総会 立て続く

6月は株主総会の季節だ。3月末決算の会社が一斉に総会を開催する。

私も関与している二つの会社の株主総会に出席した。株主側でなく、ひな壇にすわらされた。

ひとつは、監査役として冒頭監査報告を述べた。

社外監査役なのだが、私に対して株主の方の期待があるのか、株主質問が私に向けられて、議長社長が想定外の成り行きで戸惑ったりもした。

いずれにせよ、関与・指導している会社が順調に業績を伸張しているのはうれしいことだ。来年もまたそのような報告を出す総会に出席したいものである。

2016年6月25日土曜日

リーダーズブートキャンプ 白熱第2講

リーダーズブートキャンプは本日第2講。

「組織戦略」と「マーケティング」を私が講義。前者では私の経営実体験事例も。具体的に組織をどう動かしたか、実例を示しながらその意図や効果を説明した。

第2講に入り、課題図書の報告と討議を2セッション、早くも戦略策定第1発表を数名がグループで行った。

長野、大阪、金沢から参加者が来ている。第3講からは広島から途中参加してくれる経営者も。

次講にはいよいよ箱田忠昭特別講師が登壇する。

2016年6月24日金曜日

グローバリゼーションの終焉(3)

Lim准教授が

「日本の企業も国際適応力を増していくだろう。私のMBAクラスには日本人が5名来ている」
と説明したので、私は挙手をして

「5名のうち4名、または5名全員が帰国すると外資に勤務するだろう」
と意見を述べた。

すると教授は
「何人かは日本の会社に戻ることになっている」。

私は再び
「日本の会社に戻った学生は、欲求不満となり外資に転出するか、起業するだろう」
と見解を述べた。

ラウンド・テーブルから笑いが出た。

(この項 終わり)

2016年6月23日木曜日

グローバリゼーションの終焉(2)

いろいろなデータが示されたが、面白かったのが、「国による美人の尺度」。

すっぴんの若い女性の写真を、各国の若手デザイナーがそれぞれ思う美人にCGグラフィックする、というもので、同じ人とは思えないほど国により異なって加工されていた。

ASEAN各国の価値基準の計数化という興味の有るデータも報告されていた。それによると、共通的な数値をしめして次のようにグループ化できるとされた。

日本
インドネシア・マレーシア
シンガポール・香港・韓国
中国・タイ
インド・フィリピン

私は挙手して「インドとフィリピンが近接したのはどのように理解すればいいのか」と訪ねた。Lim准教授もこの結果については必ずしも納得していないようなやり取りとなった。

(この項 続く)

2016年6月22日水曜日

グローバリゼーションの終焉(1)

国際経営戦略研究学会の月次発表会が6月22(水)に中央大学後楽園キャンパスであった。

今回は初めて通訳なしの英語によるラウンド・テーブル型の報告会となった。報告者はナンヤン技術大学のLewis Lim准教授。

シンガポールにある同大は、今月の「アジアにおける大学ランキング」で、シンガポール国立大学とともに東京大学の上位にランクされたばかりだ。

リム准教授の報告はThe End of Globalizationとされた。内容は、アジアとりわけASEAN諸国では西洋諸国と同じ画一的なマーケティングは通用しない、というもので各国の違いを実証的な調査の報告により説明するというもの。

展開して、それでは日本はどのようにその地域でビジネス展開すればうまくいく可能性があるのか、ということも示唆された。

(この項 続く)

2016年6月20日月曜日

沈み始めた大塚家具 父・勝久氏は春日部店で娘と正面対決 かぐや姫は月に登れるか(8)


それから、株主配当がある。株主総会での支援獲得争いで久美子社長は一株当たり80円の配当を公約した(勝久氏は120円)。会社は赤字でも配当資産があれば配当していいので、赤字見込み修正となってもそれは実行される。

同社の筆頭株主はききょう企画で189万株、個人株主では勝久氏と奥さんの千代子氏が合わせて223万株。ききょう企画の代表取締役は久美子氏だ。分かりやすく言えば、久美子氏側には1億5千万円、勝久氏側には1億8千万ほどのキャッシュがこの赤字会社から渡される、ということだ。

私が株主なら、久美子社長が退陣しても惜しむことは無いだろう。

(この項 終わり)

2016年6月19日日曜日

沈み始めた大塚家具 父・勝久氏は春日部店で娘と正面対決 かぐや姫は月に登れるか(7)


大塚家具の株価の推移を見てみると興味深い。父娘の経営権争いが勃発する2015年春までは1,000円前後で推移していた同社の株価は、父娘の対決となった株主総会のころに2,500円に急騰し、久美子社長が「お詫びセール」を展開した4月、5月は2,000円ほどで推移した。

父娘対決で久美子社長側について大いにこの祭りを煽ったともいえる海外ファンドはその持ち株をこの時期に売り抜けたと見られる(大蔵省への大株主報告から外れた)。

そして、今回の下方修正を受けて、株価はまた1,000円に近づいてきた。つまり、何年も掛けて久美子社長がようやく手に入れた経営権も、株価的には「行って来い」というむなしい推移と言う他は無い。
 
(この項 続く)

2016年6月18日土曜日

沈み始めた大塚家具 父・勝久氏は春日部店で娘と正面対決 かぐや姫は月に登れるか(6)


それよりも、春日部店の6月オープンが発表されているので、こちらの方が大塚家具にとってはよほど脅威だろう。というのは匠大塚の新店舗は床面積1.5万坪ほどもあり、駅を挟んだ大塚家具の店舗の3倍にもなるという。大塚家具春日部店は喉に匕首を突きつけられたような気分だろう。

 

l  経営ごっこと株式ゲーム


経営者は結局業績によって評価される。株主総会で支持を集められるか、ガバナンスでどう優位に立てるか。そんな祭りが終わってしまえば、成長と利益両面の冷徹な数字が突きつけられる。

 

経営権の争奪合戦とそれに続いた久美子社長の戦略取り回しによって、大塚家具の企業価値は損なわれてきたと私は見る。しかし、そんな中で利を得た人たちがいる。

 
(この項 続く)

2016年6月17日金曜日

沈み始めた大塚家具 父・勝久氏は春日部店で娘と正面対決 かぐや姫は月に登れるか(5)


  l  匠大塚の脅威は始まっていない


大塚家具の経営権争いで一敗地にまみれた勝久氏は、匠大塚社を昨年7月に創業した。爾来、大塚家具の管理職や社員たちが50名以上も転職しているという。

匠大塚での新事業開始の資金として勝久氏が大塚家具の株を一部売却したこと、大塚久美子氏側の資産管理会社となったききょう企画との裁判で15億円を勝ち取ったことが報じられた。

 

しかし、大塚家具の今回の業績下方修正には、匠大塚の影響は全く勘案する必要は無い。匠大塚は4月22日に日本橋デザインオフィスを第1号店として開店したが、これは設計者やデザイナーなどの業界プロを相手にした特殊な形態の店舗だ。B-to-CならぬB-to-P(rofessional)というもので、大塚家具の顧客層と全くぶつからない。

(この項 続く)