2020年1月6日月曜日

誰も知らない「コニカミノルタの奇跡」…企業消滅の危機乗り越え、超グローバル企業に変身(4)

株式市場の評価も業績の推移とほぼ同様だった。CEO就任直前の09年6月5日の同社の株価はその年の高値、1,077円だった。そして退任直後の14年5月23日には885円と就任時より2割以上下落している。皮肉なことに、松崎氏がCEOを退任すると15年5月29日は1,568円という同年高値が出ている。

 栗木契神戸大学大学院経営学研究科教授は、同社の09年から12年までを「停滞期」と評する一方、13年、14年は「躍進期」だとしている(19年6月26日付PRESIDENT Online『7年で約2倍コニカミノルタ欧州の大成長 リポジショニングで新顧客を開拓』より)。

「イノベーションのジレンマ」の洗礼からの立て直し



 松崎CEO時代のコニカミノルタの業績は、成長という観点からは見るべきものがない。しかし、この会社の場合、「成長」以上に重要な経営要素がこの時期に存在した。それは企業としての「生存」そのものだった。

 コニカミノルタは03年にコニカとミノルタが経営統合して発足した(当時の社名はコニカミノルタホールディングス)。コニカの主要ビジネスはカメラ用銀塩フィルム、ミノルタはカメラ・メーカーの雄だった。ところがこの両社とも、統合の前からある新技術によって業績を急激に落としてきていた。

(この項 続く)

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