2016年10月27日木曜日

出光の合併を阻止し株主に損をさせる創業家は、経営合理性も「義」も欠如している(4)

ちょうど私は米国留学から帰ってきたばかりだったので、日本で高校まで過ごした昭介氏がハーバード大学に入学することは、同大学の経営大学院に入るより難しいということをよく知っていたのだ。東京大学に合格するより、ずっと至難の業である。

 当時、出光サントリーと並んで、非公開企業、つまり同族企業の最大手の一つだった。出光チームから私が聞かされた社是は「和(やわらぎ)」というもので、大いに驚いたのはこの社是により、出光には定年がない、もちろん解雇もない、そして組合もない、という特異な労使関係であり、企業文化だった。


 社員の離職率も低かったし、皆さん丁寧で、人間関係を本当に大切にしている会社だった。有名な「出光の大家族主義」である。前述した特異な諸制度は、上場した後の今に至るまで同社では受け継がれている。


 昭介氏が今回の合併話に反対を表明したのは、そんな異色の企業文化を持つ出光と、外資である昭和シェルとでは「社風が合わない」、この1点に尽きる。

(この項 続く)

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