2014年3月16日日曜日

本を書く (16) 丸谷才一、大野晋、谷崎潤一郎

国文科1年で「国文学概論I」として始まったクラスは、同期が二つに分けられ、私は大野晋先生のクラスに割り当てられた。40名のクラスで、ちょうど高校の延長の感じだった。今から思うと何という贅沢なことだったろう。ゼミではなく、1年坊主の割り当てクラスに大碩学が舞い降りた!

1960年代から70年代にかけて、大野先生は研究者として壮年期を迎えていた。印象は、誠実、明晰、舌鋒鋭いというところだった。
「真理の前には私も皆さんも等しく平等だ」
とおっしゃってくれ、その信条から怖いもの無しの学者でもあった。高い声で早口で分かりやすく畳みかけてくる。この人が頭の良いヒトだということは誰にでも分かったことだ。

この大野先生が国文科1年坊主のために最初に持ち出して来たのが、川端康成『文章読本』だった。

ところが、、

(この項 続く、しかし飛び飛び)